十字路に立つ女
- 岡坂神策シリーズ (8)
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十字路に立つ女の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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1989年に刊行された岡坂神策シリーズの第2弾にして、シリーズ初の長編。入院先から逃亡した麻薬中毒患者の捜索、大会社専務の行動確認、馴染みの古本屋の地上げ阻止という3つのエピソードが絡み合い、さらに腎臓移植、岡坂の女性関係が重なる、読み応えがあり過ぎるハードボイルド・サスペンスである。 | ||||
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一言で言えば、ハードボイルドの名作です。 決して裕福でも権力者でもないが自分の仕事に対してプライドを持った主人公、不幸な過去を持ちつつも強い意思で向かい合ってきたヒロイン、何か隠し事をしているらしい友人の刑事、地上げに苦しむ古書店の親娘、失踪した女性などなど、いかにもハードボイルドな役者がそろっています。 同じテイストの作品に、藤原伊織氏の諸作が浮かびましたが、逢坂氏も藤原氏も大手広告代理店で働いていたのですね。職業柄からか、マーケティングというか、読者にアピールするポイント、見せ方が他の多くの作家さんに比べて、頭一つ抜けているように思います。 藤原氏の作品との共通点は、いかにもなキャラクターと道具たてを用意して、いかにもなストーリーを手際よく、面白くまとめている点です。 シリーズ物の一冊ですが、レギュラーキャラクターが多いわけではないので、この本から読んでも差し支えないと思います。 | ||||
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御茶ノ水でPR調査会社を経営する岡坂神策のもとに3つの事件が同時に舞い込む。 ひとつは御茶ノ水署の刑事・霜月真太郎から依頼された失踪者の捜索。覚醒剤事件の重要証人である売人・田川志保子が保護先から行方をくらましたという。 ふたつめは弁護士・桂本から頼まれた三島友一郎の尾行。三島は三星物産の専務であり、偶然にも岡坂のクラシックギターの先生・三島彩子の兄だ。 そしてみっつめはスペイン現代史の本を扱う行きつけの古書店『古楽堂』を襲う地上げ事件。店主の娘みずえは三島彩子の中学時代からの友人だ……。 --------------------------- 岡坂神策が怪事件を追うシリーズ第2弾。シリーズ開幕編にあたる『クリヴィツキー症候群』は連作短編集でしたが、今回は長編小説です。 長編とはいえ、逢坂剛氏の文章のリーダビリティの高さといったらありません。テンポ良い短い文章がつらなり、背景描写に比して各段に総量が多い会話とセリフは普段使いの言葉で記されているため、400頁強の厚みがあることなど忘れて滑らかに頁を繰ることができます。 それぞれが独立して見えた3つの事件を同時並行で追ううちに、その3つには隠れたつながりがあることが少しずつ見えてきます。根っこのつながりが無理なく鮮やかに立ち現れてくると同時に、この小説が書かれた1989年当時のどこか浮かれたバブル期の日本人たちの強欲ぶりが浮かび上がってきます。ソアラやシーマといった高級国産車の名前が登場するに至っては、苦いあの時代のことを懐かしく思い返しました。 同時に描かれるのは岡坂と花形理恵の性愛です。ハードボイルならではの洒脱で気障な二人の会話が読ませます。暗い過去を持つ理恵だからこその、一筋縄では進まない男女の仲が大人のミステリーに花を添えます。 そしてスペイン現代史の中から岡坂が拾い上げる蘊蓄話は今回も興趣が尽きません。 今回紹介されるのは、ヒトラーとフランコの間で1940年に行われたエンダヤ会談にまつわる話です。エンダヤはスペインとフランスの国境の町。ヒトラーはここでフランコに対英戦に加わるように要請します。しかしフランコは承諾しません。ヒトラーの通訳パウル・シュミットによればヒトラーは「あんな会談をもう一度するくらいなら歯を三、四本抜いたほうがましだ」と言ったといいます。 しかしフランコ政権の外相だったスニェルは回想録の中で、シュミットはこの会談に立ち会っていないと明かし、その証言を否定したといいます。 またオランダ人監督ジョリス・イベンスがヘミングウェイやリリアン・ヘルマンの提案によって製作した記録映画で『スペインの大地』というものがあるという話も出てきます。ナレーションをヘミングウェイが担当していて、岡坂によれば「ヘミングウェイのナレーションは、そっけないほど淡々としたもの」だが「それだけに、かえって惻々(そくそく)と迫るものが」あるといいます。 スペイン好きの私としてはぜひとも見てみたいものです。 岡坂シリーズはまだこの先も続きがあります。ぜひ次作の『斜影はるかな国』へと読み進めたいと思います。 . | ||||
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かなり読んでます。はげたか、百舌シリーズが好きですが、これらに興味が持てた方には読んで失望しないはずです。 | ||||
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久し振りにバッハのシャコンヌが弾きたくなり、主人公の岡坂神策が御茶ノ水のギター教室に通う。ところが昔と違って指が動かず、若い女性ギター教師に叱られる。そんな場面からこの小説は始まるのですが、作者ならではの洒落た冒頭だと思いませんか(私も若い頃ギターを弾いていたので、身につまされました)。 話の中身は地上げに腎臓移植が絡んで少々暗く、展開に都合良すぎる点もあるのですが、主人公一世一代の恋物語に救われて、読後感は爽やかです。また、このシリーズの舞台である御茶ノ水や神保町の描写には界隈に対する作者の愛着が感じられ、主人公の性行ともよくマッチして、マーロウのLA、スペンサーのボストンならぬ岡坂神策の御茶ノ水、神保町と言いたくなりました。 | ||||
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久し振りにバッハのシャコンヌが弾きたくなり、主人公の岡坂神策が御茶ノ水のギター教室に通う。ところが昔と違って指が動かず、若い女性ギター教師に叱られる。そんな場面からこの小説は始まるのですが、作者ならではの洒落た冒頭だと思いませんか(私も若い頃ギターを弾いていたので、身につまされました)。 話の中身は地上げに腎臓移植が絡んで少々暗く、展開に都合良すぎる点もあるのですが、主人公一世一代の恋物語に救われて、読後感は爽やかです。また、このシリーズの舞台である御茶ノ水や神保町の描写には界隈に対する作者の愛着が感じられ、主人公の性行ともよくマッチして、マーロウのLA、スペンサーのボストンならぬ岡坂神策の御茶ノ水、神保町と言いたくなりました。 | ||||
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