バルタザールの遍歴
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デビュー作とは思えないほど洗練された文体で、ずっと読んでいたいほどだった。 主人公はハプスブルクの青年貴族メルヒオールとバルタザール。実はこの二人はひとつの肉体を共有している。 二重人格者なのか、イマジナリーフレンド保持者なのか、よくわからないが、私のなかにも複数の人格があるので、親近感が持てた。メルヒオールがバルタザールに話しかけるのと同じように、私も別人格に話しかけるし、会話のキャッチボールをする。 メルヒオールとバルタザールの話し方が違うのと同じように、私が人格交代しているときの喋り方は、主人格のときとは違う。説教好きでキツい別人格や、私に寄り添う優しい別人格など、様々である。 でも、私が別の人格とセットで喋ることはない。別人格と会話することはあるが。 メルヒオールとバルタザールは、二人同時に喋ることがあるらしく、その時の話し方は、メルヒオール単体の喋り方とも、バルタザール単体の喋り方とも違うらしい。二人のことはよくわからない。会ったこともないし。というか会えない。 そんなメルヒオールとバルタザールが、物語の中で、恋に破れ、酒に溺れ、ウィーンから北アフリカに流れ、ナチスと乱闘を繰り広げたり、砂漠に置いてけぼりにされたり、新しい恋をしたりなど、様々な冒険をするのだ。 よくこんな話が書けるものだ、大いに楽しめた。 * それにしても、佐藤さんに毛嫌いされている文芸評論家の岡和田晃さんは、佐藤さんの文体をめちゃくちゃ真似ているな、と感じた。 私は彼にうざ絡みをして絶縁された側なのだが、彼が私に対して言い放ったキツい言葉の数々が、『バルタザールの遍歴』にそのまま載っていて、ギクッとした。 彼は佐藤さんが本当に好きなんだな、岡和田さんが自分の無神経な言動故に佐藤さんに嫌われても、まだまだ好きなんだな、と思い、岡和田さんを可愛いと思った。 しかしかく言う私も、岡和田さんにいつまでも執着して、絶縁された後にもかかわらず、彼に手紙やメールなどを出してしまっているので、同じ穴のムジナである。 なにはともあれ、書いてくださりありがとうございました。 | ||||
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主人公の設定とそれに関する小さな事件以外は、アル中の放浪記であって、心が躍る展開は無く、ぎりぎり読みきった感じ。 | ||||
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ハプスブルク家の傍系子孫貴族、ヴィスコフスキ・エネスコ家の当主が主人公の物語。 エネスコ家は代々カスパール・メルヒオール・バルタザールの3つ、何れかのファーストネームを名付ける事が語られ、父カスパールは、主人公の双子2人に何故か1つのファーストネームしか授けなかった事で不都合が生じたように語られる。 この説明で筆者は頭が混乱した。 どうやら周りの人間には一人に見えているのに、双子なのか?それが名前を一つしか付けなかった事により生じた不都合なのか? 単純に、主人公が双子ではなく多重人格なのだろうか? それとも双子なのに名前が一つしか無いので周りの人間には一人として認識されている不思議な現象なのか? 主人公の状況の詳細が語られない状況なので、頭の中の???が解決されないまま話が進んでいく。 時代は第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間の時代の欧州。 アドルフ・ヒトラー率いるナチスがドイツに暗い影を落とし始めた頃です。 貴族制度が崩壊して、主人公の家も没落貴族として時代に取り残される様子が語られ、そんな中でも、欧州各地での人との交流、一族との交流、また父の若い後妻(義母)との不義などが語られるが、ここまでは筆者の読書力が拙いからだと思われるが、他のレビュアーさんが高評価している作者の純文学のような文体、と言うのが自分には合わないのだろうか?と感じた。 正直、内容が頭に入って来なくて読むのが苦痛に感じていました。 振り返って、もうちょっと自分なりに読むのが苦痛だった原因を考えたところ、多分、主人公の双子が置かれている特殊な状況があるからだと思いますが、主人公が内証?内省?を語ったり、二人の考えの違いを語ったりと、とにかく心の中の語りが多い。 また純文学的に物事の説明をされるのが、状況把握を難解にしているように感じました。 それらが多すぎて、双子の周りで起こっている出来事が頭に入って来ないような印象を受けて、ただただ文章を読んでいる感じでした。 この頃までは、もう読むのを止めて脱落しようか?と思っていたのですが、私はファンタジーノベル大賞(正確には第一回受賞作の後宮小説)が好きなので、その受賞作であるこの作品も最後までは読もうと思いました。 それが、この双子の不思議な状況が、特殊な体質だからと言うことが語られ、段々と二人の特殊な状況が真相が解って来た辺りで面白く成ってきます。 そして、この特殊な体質は、父からの遺伝かも?という事が匂わされた辺りで、文体も気にならなくなってきて(内面を語る場面も少なくなってきた気がします)、双子が周りで起こる出来事に巻き込まれて行き、次はどうなるの?次はどうなるの?と、続きが気になり引き込まれて行きます。 私は上記しましたが、ファンタジーノベル大賞が好きで購入しました。 「バルタザールの遍歴」という西洋を思わせるタイトルにファンタジー的な要素を感じてタイトル買いでしたが、内容としては、一般的なイメージのファンタジーではなく、ジャンルで言うとサスペンス小説だと思います。 途中から、これはサスペンス小説だと認識できてからは、どこへ向かうか解らない暗闇の中から、進む道を示されたようで面白くなりました。 難解だと思って頭から煙を出しながら読んでいた部分に伏線が巡らされていたり、膝を叩いて得心できたりしたのも良かったです。 | ||||
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1906年、残照のオーストリア帝国の首都ウィーンの公爵家に生まれた双子バルタザールとメルヒオール。義母との恋に破れた二人は酒に溺れ、台頭するナチスに追われるように転落していく。だが、流れ着いたチュニジアの港町では思いも寄らない冒険が待ち受けていた。 | ||||
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"頭が二つある人間の絵だった。私たちの未来の称号に対して字義通りに敬意を表するつもりなのだろう、二つの頭はそれぞれ冠を頂いていて、童話に出て来る邪悪な巨人のようだった。"1991年に日本ファンタジー大賞を受賞した本書は、世界文学と日本文学の良さが混在するような独特な魅力に溢れている。 個人的にも【一つの肉体を共有する双子】という設定や演劇的展開自体には、おそらく悪童日記の影響をかなり受けているのだろうな。と感じつつも。悪童日記ともまた違って【日本人という旅人的視点で】ナチスが台頭するウィーンを舞台にした没落貴族の描写それ自体には、著者の若い女性らしい丁寧さとやわらかさを魅力的に感じました。 そして【基本的に本人たちは泥酔しているだけ】なのに、後半はまさかの勧善懲悪的なスピードアップした展開になるのは多少びっくりしつつも、これはこれで物語的に楽しくて"あり"だと思いました。(うん。かのハプスブルク家DNAなら壁抜けくらいは。楽勝かな。。) 悪童日記好きな誰か、あるいはヨーロッパを舞台にした頽廃、享楽物語が好きな誰かにオススメ。 | ||||
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