双頭のバビロン



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初公開日(参考)2012年04月
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長編小説

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双頭のバビロン

2012年04月21日 双頭のバビロン

結合双生児として生まれたゲオルクとユリアンの波瀾に満ちた数奇な人生。ウィーンに始まり、ハリウッドと上海の二大魔都で展開する壮大かつ謎に満ちた、絢爛豪華なオペレッタ。 (「BOOK」データベースより)




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No.14:
(5pt)

血族に疎まれながらも擬似家族の愛に守られた美しき双子の運命

ここ数年、夏の読書用に皆川博子さんの本を何冊か購入する。この『双頭のバビロン』はちょうど2年前にKindleで購入した記録が残っている。ところがその夏、読み終わらず、その後細々と読み進めたり、戻ったり、放置したりして、去年の夏は上巻の最後までなんとかたどりついたが、その後また読み進まなかった。そしてついに読み終わったのが昨晩だ。なぜ読み終わったのかというとコロナの熱にうなされて、数日床を抜け出せず、夢ともうつつともつかない状態で、というか夢でもうつつでもこの本とようやく向き合いながら、一気に最初から読み終えた。

何しろ圧倒的に自分に素養が足りないのだ。読めない漢字はKindle上で辞書検索をしたり、読めても知らない語句が出てくるとGoogle検索で調べたりしながらだからだ。そしてこの2年間に私はこの時代についての本を何冊か読み、ドキュメンタリーを見たりした。記憶に新しいのはAmazon Prime Videoで見たドキュメンタリー映画『命の綱・上海』と、NHKの『ハイビジョン特集 シリーズ ハプスブルク帝国』だ。どちらも少し本作とは時代がわずかにずれるのだが、この本を読むための基礎知識を授けてくれた。一見関係なさそうなウィーンと上海は、ユダヤ人にとって極めて大切な国際都市だったのだ。

この本のタイトルの『双頭の〜』は癒着して生まれた双子の形状を直接表すのはもちろんだが、同時にハプスブルグ家の象徴でもある『双頭の鷲』を連想させる。また『バビロン』は英語で綴るとBABYLONだから、赤ちゃんを匂わせるとともに、ユダヤ人にとっては屈辱のバビロン捕囚が想起されてしまう。巧妙な仕掛けだ。

正直なところ、上巻を読み進むのがとてもしんどい。何しろ冒頭が1929年上海の濃密な描写。そして主人公らしい豪放快活な人物が誰かに語り出す。この辺から時間や場所があっちこっち行ったり来たりする。何とか苦労しながら下,巻を読み始めると、今まで散らかり放題だった頭の中がきれいに整理されて、ピースがはまり始める。その爽快感たるや!そして映画でも見ているかのように場面が頭の中に流れていく。上巻で置き去りにしてあった紛失物を見つけて大きな絵画か地図でも完成させるような感じと言ったらいいだろうか。

私がどうしてもイメージしてしまうのは萩尾望都の『ポーの一族』のエドガーとアランだ。だからどうしてもユリアンがひげをはやしていることをイメージすることができない。同じ課をしているはずのゲオルクはひげをはやしていてもイメージができるような気がするから不思議だ。

気になるのは物語のあと、いったいゲオルクはどこでどのように激動のナチスの時代と向き合うのだろうか。どうか早くアメリカに戻って、メイベルとも仲直りしてハリウッドで映画を作っていてほしい、、、。
双頭のバビロン〈上〉 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:双頭のバビロン〈上〉 (創元推理文庫)より
4488441041
No.13:
(5pt)

文字によるサブリミナル効果

世紀末ウィーンの貴族の家に生まれた双生児・ゲオルクとユリアンの壮大な運命譚。
ウィーン、ボヘミア、ハリウッド、上海を舞台に語られる物語は圧巻です。
裏表紙の「あらすじ」「紹介」ではとてもイメージできない迫力と吸引力に満ちた作品なので、
とにかく読んでみないと始まらないという感じです。
場面ごとの描写がこまやかで、まるで映画を観ているような感覚になりました。
とくに上海の場面は「退廃」「魔都」なんて曖昧な言葉ではおさまらない、臭ってきそうな生々しさで、
吸ったことないけど鴉片の夢を見ているかのようでした。
文字による表現だけでもサブリミナル効果ってあるものでしょうか。
個人的には陳凱歌監督の「さらば、わが愛・覇王別姫」が大好きなので、「ホア・ムーラン」と京劇の描写ではゲオルクやユリアンとともにイメージの洪水に酔いしれました。
…脳と心に快楽を与えてくれる名作です。
双頭のバビロン〈上〉 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:双頭のバビロン〈上〉 (創元推理文庫)より
4488441041
No.12:
(5pt)

目に浮かぶ臨場感

繊細な描写で、その場にいるかのような臨場感を感じられる、最高の小説です。多くの方に私と同じワクワクを体験してもらいたいです。
双頭のバビロン〈下〉 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:双頭のバビロン〈下〉 (創元推理文庫)より
448844105X
No.11:
(5pt)

魂が溶け合うほどの

このお話はシャム双子だったゲオルクとユリアン、そしてパウルという3人の視点で交互に進んでいくのだけど、ユリアンと一緒に育った謎の少年ツヴェンゲルはもう一人の主人公ともいえる存在。
小さい時に分離手術を受けて、貴族の嫡男として育てられたゲオルクと、訳ありの人々が入る施設に幽閉されて育ったユリアン。時々起きるテレパシーのような現象。やがて交錯するそれぞれの運命。

普通に考えたら貴族のお坊ちゃまでプライドが高くて強気で士官学校行って決闘して映画監督になったゲオルクだってすごくドラマチックな人生を送っててかっこいいんだけど、なんかツヴェンゲルの超人ぶりとか謎めいた存在感とかユリアンとの関係とかがあまりにあやしい魅力を放っているので、ゲオルクですら普通っぽく見えてしまうのだ。

ツヴェンゲルは双子の結合部分にあたるという解釈を読んだのだけど(二人の運命をつなぐ要素ということですね)、ユリアンとゲオルクにとってツヴェンゲルがどういう存在かはしっかり描かれているのに対し、ツヴェンゲル側の心理描写は一切ないので気になる。
ゲオルクにどんな気持ちで仕えてたんだろう?戦場でなんであんなに肝が据わっていたのか?顔を見なくても後ろから触れられただけでユリアンを認識できるってどんだけなの、とか色々…

ゲオルクと双子の片割れユリアンよりも、ユリアンとツヴェンゲルの方が二人で一つのものっていう感じがする。皆川さんの西洋ものの小説にはよく同性愛要素が描かれるけど、この二人はなんか恋とか友情とか家族愛とかを超越した「魂の半身」という言葉がふさわしい。
生まれたときはゲオルクとひとつだったユリアン、切り離されて日陰の道を歩んできて、居場所を得るためにがんばったけど…最後は望む相手とひとつになれて満足な生だったのかなと思った。
双頭のバビロンAmazon書評・レビュー:双頭のバビロンより
4488024939
No.10:
(5pt)

幻影の三都物語

舞台であり主役でもあるのは、1920年代の上海とウィーン。
いずれも、世紀末の名残も濃厚な魔都であり、繁栄と混沌、退廃と耽美の世界が広がる。
これらは、皆川作品の読者が期待するところだろう。
本書ではこれに、ハリウッドが加わり、意外性を添える。
主人公のひとり、ゲオルクの語りは、まるで活劇のヒーローのように明朗快活で、ハリウッドの一面を体現している。

そうではあっても、圧倒的に過酷な現実に、踏みつけにされる登場人物たち。
誇りはなくとも、たとえ殺されようとも、意地がある。

といって、重いばかりではなく、皆川さんの長編作品では、遊び心も大切な要素だ。
著者が思うさま遊ぶ世界に参加することが、読者としての醍醐味である。

最後の謎解きでは、ある一節に感動する。本書中の白眉。

余談ながら、今から30年ほど前は、映画雑誌のネタとして、時々ハリウッドの歴史が載っていたものだ。
正確には思い出せないが、グリフィスの名前だとか、「イントレランス」だったか、莫大な資金を投じ、云々。
自分の世代にとっては、そういったレトロ感もある。

文庫版はカバーデザイン、イラストともに素晴らしい。
双頭のバビロン〈上〉 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:双頭のバビロン〈上〉 (創元推理文庫)より
4488441041



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