U
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
Uの総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
300年の時を越え、空間も超えて紡がれる二人の物語。オスマントルコ、第一次世界大戦これらをつないでいる数々の史実とそれに関わる二人。二つの物語を書いて、ぐるぐるっと混ぜて、一つにつないだ感じがして、なんとなくすわりが悪い感じがした。もう少し、異質なもの同士のつながりだったら、もっと心を持っていかれたかもしれない。最終章もなんとなくとってつけた感があって、物語と今一つ有機的につながっている感じを受けなかった。読みが浅いかしら。。。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かったです! ただ、個人的には エピローグなくても良いです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これまでの様な内容深い小説を期待していたが、多分にがっかりした。この内容で、もっと濃密に絡み合った筋の展開があれば良かった。基本構想だけで脱稿した様にも私には思える。余り日本では敷衍されないオスマン宮廷の内情をもっと紹介した展開だったら良かったと思うが残念だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ネタバレしてますのでご注意下さい。 この作品、字は大きめだけど冒頭から歴史的な説明っぽい硬い文章が多く、けして読みやすいとは言えない。西洋史に疎い自分には時代背景など理解しきれない部分も多いまま読んだ。それでも、実はそれほど難解なストーリーではないと言える。 私は皆川さんの作品にはたいていすごく好きになる人物が出てきて、その人に感情移入しながら読むクセがある。 今回はヤーノシュという人物がそれにあたる。 ヤーノシュはシュテファンという少年を「自分の半身」と表現しているのだけど(まるで『双頭のバビロン』のユリアンとツヴェンゲルを彷彿とさせる関係なのかな?と思ったのだけど)シュテファンには結ばれなかったとはいえ生涯で心から愛する女性ができて(私はこれはシスコンを拗らせた故に姉の面影を重ねただけかなーと思ったけど)、自分の弟分のように可愛がっていた少年と彼女の子孫を代々見守るという生きがいを持っていたのに対し、ヤーノシュはその境遇ゆえ恋愛もろくに経験できないまま人生を送ることとなったので、お互いへの温度差みたいなものを感じ、それがしんどかった。 ヤーノシュが××された下りあたりから(けっこう早い段階で匂わせている)、とにかく「ヤーノシュ幸せになってくれ」と願いながら読んだ。最後まで読んでも、結局彼が幸せだったのかどうかはよくわからない。 私の思う一つのハッピーエンドの形が『双頭のバビロン』の二人であるなら、これはどうかなーと悩ましい。なにしろ終盤にかけて特に、シュテファンが何を思っていたのかがいまひとつわからないからなぁ。叙述形式をとっていることで余計に分かりにくくなっている所はある。 こんなふうに読み終わった後に痛みのようなしんどさ、何かが欠けたような切ない感じがあることも含めて、あー皆川作品を読んだという満足感があったので☆5つとしておきます。また次の新作が読めますようにという願いも込めて。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
表紙の「飾り文字」に引き付けられました。 文字の横に「ウー」とあるので、ドイツ語読みのアルファベットの「U」(英語読みの「ユー」)。 物語の舞台が「ドイツ」なので、ドイツ語読みで「ウー」とカタカナを振ったのでしょう。 この「飾り文字」は、数字の「21」のようにも見えてきます。21世紀を意味する「21」かも。考え過ぎの深読みかも。 そして、歴史の時空間の「流れに掉さす人」が、Uボートのような小舟に乗り、棹を両手で持って時空の海をかいているようにさえ見えます。人が舳先の丸まった葦の小舟に一人乗り、掉をさして17世紀の時空を乗り越え、20世紀の1915年の世界にUボートに乗って突然、海上に浮上したようにも見えます。 表紙の装画も「たった一頁の絵本」のように見えて来ます。 真ん中に立つ三人の少年(髪型が少年っぽい)は、オスマン帝国により強制徴募された十三歳の少年二人と十一歳の少年一人のように見えます。 画の左端の横顔の男は、三人のうちの一人、ヤーノシュに違いありません。彼は生き残って、三百年後のドイツ帝国で王立図書館の司書となり、新型Uボートに乗艦します。この物語の語り手「私」です。若き頃の自分を含めて三人の黒い姿をなつかしく幻視しています。 裏表紙の帽子をかぶった軍服姿の黒い男も「私」です。「私」の横の、本棚に向かって立つ少年の白い亡霊は「私」の半身シュテファンです。「私は言った。『二人の<時>を一つにするためだ』」(302頁) この物語は、「俺」シュテファンの手記を基に「私」が書いた著作です。 「たった一頁の絵本」のような表紙の装画は、この長篇小説の構成と主人公が一目でわかるように読者に図示してくれています。親切な読者サービスです。 物語の舞台は、1613年のオスマン帝国、およびそれから300年のときを経た、1915年のドイツ(プロイセン)帝国です。 各章の始めには、その章の舞台を示す「U-Boot」(ドイツ)または「Untergrund」(地下のオスマン帝国)のどちらかの<小見出し>が付いています。 「Uボート」の世界と「地下」の世界が、ほぼ交互に出て来ます。二つの世界が折り重なるように、絡み合い撚り合わされる二本の糸のようです。二つの世界が織り成す物語は、歴史の音楽のようなものが感じられました。 「Uボート」の章で始まり、「Uボート」の章で終わる、四百頁余りの戦争の長編小説です。 捕獲された旧型Uボートを自沈させて軍事機密を保持し、捕虜となった兵士を新型Uボートで連れ帰るという困難な作戦の話です。 この話しに、17世紀の戦争で欧州に侵入したオスマン帝国によって連れ去られた三人の少年兵士の物語をかぶせ、絡ませています。 少年たちはトルコ兵としてトルコで戦争に継ぐ戦争を戦ううち、城攻め用の地下道に落ち、岩塩鉱の坑道へと迷い込み、六十年もの間、「地下」をさまよい、やっと出口を見つけて外に出ると、なんとそこも20世紀のドイツの戦場。それなのに又してもUボートに乗って戦うことを志願する少年たちの物語です。 この物語を語るのは「私」、オスマン帝国ではヤーノシュ、ドイツでは亡霊のようなフリードホフ、という名前で現れます。 「私」は手記を基に「私の著作」の原稿を残しますが、紙の上に印刷された革装の書物に惹かれています。 「私」は、オスマン帝国では皇帝の側近として仕え、ドイツ帝国では王立図書館の司書として働きます。 「私は生にしがみついている。君は自ら求めて死を賭した任に就いた。なぜだ」(327頁) そんな作戦に懐疑的だった「私」なのになぜか、亡霊の蘇りのような二等水兵とともに新型Uボートに乗艦して救出作戦に参加することを志願します。その新型Uボートには、オスマン帝国へ行った少年の末裔も乗船しているという不思議なめぐり合わせの物語です。 「戦争に継ぐ戦争」(323頁)の歴史物語です。 「1918年10月、オスマン帝国は瓦解する。 同年11月、皇帝は退位し、ドイツ帝国は共和国となる。ドイツは降伏する。ドイツはなおも餓え、凍え、とほうもない賠償金を負わされ、とほうもないインフレーションがのさばりかえる」(411頁) 1918年、オスマン帝国もドイツ帝国も共に瓦解してしまいました。 1930年、この本の著者「皆川博子さん」が生まれました。 1933年、ヒトラーが政権を獲得。 「1945年、ドイツは降伏した。 ドイツは二分され、ふたたび餓え、そうして凍えた。翌年も、その翌年も」(412頁) 1918年には、中世ヨーロッパのオスマン帝国も、20世紀のドイツ帝国も、共に瓦解したというのに。世界大戦の歴史は再び繰り返されてしまいました。21世紀の今、世界大戦は三度繰り返されるのでしょうか。 「君は自ら求めて死を賭した任に就いた。なぜだ」という問いへの答えを見つけられないままです。この本を読み終わったのに、まだ考え続けています。 「戦いたいんだ、とミヒャエルは拳を握ってみせた。志願しなくちゃ男じゃないぜ」(181頁) この言葉が、足首に絡みついた海藻のようにこころに引っかかったままです。 「昔、海は表面だけが戦場だった。今は静謐であった海の中までが戦闘の場となっている」(325頁) | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 8件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|