(短編集)
痛みかたみ妬み
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小泉喜美子さんは1934年生まれ、70年代を中心に60~85年にかけて活躍された作家さんです。ここに収録された10編も72~80年の間に主に「小説推理」に掲載されたものです。 「痛み」キリスト教系感化院(今でいう少年院)で起きた少女同士の傷害事件。どこかレスビアン色濃厚な一編です。 「かたみ」本当の意志を抑えて無難に生きてきた良家の主婦が、人生のむなしさに気づいて最後に取った行動は?女性心理がよく表現されています。 「妬み」女性同士の内ではよくある妬みと足の引っ張り合いです。 「セラフィーヌの場合は」から後の7作はどれもオチが弱くて、正直、最後にがっくりきます。何か他の持っていき方はなかったのだろうか。軽快だったりしゃれていたりしてそれなりに味はありますが、小説として秀作とは言えないと思います。 「ヘア・スタイル殺人事件」はいわゆる”読者への挑戦”もので、犯人を推理する趣向だったようですが、そのことがまったく書いてなくて普通のミステリだと思って読んでいったら、いきなり最後に”解答”が書いてあるのがみもふたもありません。せめてはページを変えるとかできなかったのか?「小説ジュニア」に掲載されたものだそうで、そのレベルの作品です。 また時代的にまだ海外事情に疎い頃だったのかもしれませんが、「影とのあいびき」ではインド、イラン、アラブをごっちゃにしていてなんだかなあでした。 ターバンをつけているのはインドのシーク教徒でイラン人はつけません。また、イランは四季がある温帯に位置し、太陽と砂と石油の国でもありません。このあたりはアラビアと勘違いされていると思います。また登場人物であるイラン人男性をハルーン・アル・ラシッド王子になぞらえてペルシャの魔法のようなという形容をされていますが、後に皇帝になったこの王子はアラブ人です。 イラン人男性が帰国後に送ってきた手紙にはスフィンクスの切手が貼ってあったそうですが、もちろんこれはエジプトのものですね。中近東やアラビアンナイトという言葉を並べて摩訶不思議な雰囲気を作りたかったのでしょうが、ちょっと恥ずかしいレベルの勘違いです。 また、「切り裂きジャックがやってくる」の中で”Yours Faithfully Jack the Ripper”を”あなたに忠実なる切り裂きジャックなんてしゃれたタイトルだと思いませんか?”と書いていますが、当時、英語の翻訳もしておられたそうなのに”Yours Faithfully”で”敬具”という意味だとご存知なかったのでしょうか?これは”敬具、切り裂きジャックより”と訳すべきでしょう。 時代のせいもありやや古びた感じがするのは否めません。また、どの作品もよくも悪くも女流作家的な甘さがあって、完成度は正直言って低いと思います。いまひとつで残念でした。 | ||||
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初めて筆者の作品を読みました。歌舞伎の知識のみならず、内容が豊富で楽しく読めました。お勧めです。 | ||||
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著者は1934年生まれの推理小説家・翻訳家。51歳の時に酒に酔って新宿の酒場の階段から転落し、脳挫傷のため他界している。築地生まれらしい語り口が特長で、もう少し年齢を重ね、おばあちゃんの目線を通してさらに幅広くかつ深く、女性の心の中の闇を描いて欲しかったと思う。 「あとがき」によると、この短編集は著者の第五短編集である『痛みかたみ恨み』(双葉社、1980年6月)の6編に、第四短編集である『またたかない星』(集英社文庫、1979年10月)からの二編と単行本未収録の二編を加えて再編集したもの。 掲載順に作品の題名と幾つか感想等をご紹介します。 『痛みかたみ恨み』(1890年)より、 「痛み」 感化院で決闘して傷ついた少女が告白する、べとついた心の痛みが描かれていく。 「かたみ」 幽霊話のようで幽霊話でない。謎は深まるばかり? 「妬み」 女の妬みとは斯くもという一作。とにかく妬みの描写が凄い。男には無理です。 「セラフィーヌの場合は」 日本のXX・バーはフランスの上流階級の人間も騙せるらしい。日本語ではなく英語なのがみそ。 「切り裂きジャックがやってくる」 大体の結論は前半から読めるのだが。成功かどうかは分からない微妙さ。 「影とのあいびき」 著者が大好きだという歌舞伎を題材にしたミステリー。中近東には今でも魔法が使える人間がいるようです。 『またたかない星』(1979年)より「またたかない星」、「兄は復讐する」。 単行本未収録の二編として「オレンジ色のアリバイ」、「ヘア・スタイル殺人事件」。 | ||||
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