月明かりの男
- ベイジル・ウィリング博士シリーズ (13)
- 拳銃 (222)
- 本格ミステリ (563)
- 精神科医 (98)
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.67pt |
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者初読み。1940年の作品ですが、新訳の為か大層読み易い。月明りの中逃げ出した犯人、三人の目撃者は全く違う証言をする。素晴らしい掴みからラストの意外な犯人との対決まで、きちんと整った端正なミステリーでした。当時最新の科学捜査と社会的背景が描かれている割には、現代の日本で読んでも楽しめるのは凄いですね。「本格ミステリベスト102018年版」第三位。シリーズを追いかけて見たい作品に出合いました。おススメします。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
| ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
原題は“The Man In The Moonlight”。 | ||||
| ||||
|
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
う〜ん、読み応えありました!これでもか、これでもかというほど畳み掛けるような推理と手がかりへの説明、登場人物たちの心理描写。すごいです。ヘレン・マクロイらしさ満載でした。 私にはちょっと(というか、かなり)難しかったのですが、犯人の動機の一部は作品が書かれた当時の社会背景が影響しているのでしょうね。 かなり硬派な作品でしたが、ラストではウィリング博士の私的な部分が伺えて余韻を残しますね。 あと、作中のある登場人物に関する描写にムムッ!と思いました。それは本作よりあとに書かれた作品を私は先に読んでいたのですが、その中のある人物に共通する特徴だったからです。 本作を先に読んでいたら、後の作品の謎がわかってしまったかな? そう考えると本作を先に読まなくてよかったかも? 他にも人間の心理のあやが詳細に書かれていて、うん?そうなのか?などと考えながら読めて面白かったです。 重厚さと複雑なストーリー展開に今回も見事に騙されました。(よかった!) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
物的証拠なしなのに、何故犯人が自白してるのか理解できない。 犯人自身も空調を使って盗聴しているのに何故そこで自白する? 犯人当ての材料として建物の見取り図ぐらい入れないと不親切。 動機もイマイチ、目撃者は嫌いな人の格好を犯人に見立てる傾向とか初耳。 本格ミステリってそんなんでいいのか? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
初めてヘレン・マクロイのベイジル・ウィリングものを読んでみましたが、、、予想以上に本格的でしっかりした物語でした!しかしウィリング博士の描写がほとんどなくて残念!でもそれは「ささやく真実」で確認できました。登場人物の描写といい、ストーリーの展開といい、クロフツが好きでしたが、それ以上にムダがないカンジです。他の作品も楽しみたいですねえ! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1940年の刊行から77年が過ぎて今回漸く邦訳の運びとなりましたが、もっともっと早い機会に紹介されてもよかったなと真剣に思えるアメリカ女流本格ミステリーの人気作家マクロイ女史の長編第2作です。今回のレビュータイトルもやや迷ったのですが、他にも「唯一無二」「真骨頂」等々の候補を没にして最終的に「独壇場」に落ち着きました。著者の作品リストを見ますと1938年の処女作から1980年の最後の長編小説まで43年間で30作と、あのイギリスのクリスティー女史の多作ぶりとは明らかに異なりますが、かといって寡作でもなく中々にいいペースで執筆されていて、近年になって紹介された作品のどれもがハイ・クォリティーな力作ばかりで一編たりとも駄作のない事に驚かされますし、その意味で著者は「真のプロフェッショナル」と呼んでいい稀有な作家の一人だと思いますね。 フォイル次長警視正がヨークヴィル大学の構内で拾ったのは何とも物騒な「殺人計画書」で、おまけに謎の拳銃紛失事件も重なり、事態を憂慮した彼は決行日とされる夜八時に再び訪れるのだが案の定不安が的中し亡命科学者の死体の発見者となってしまうのだった。 本書にも題名の「月明かりの男」の由来となった三者三様それぞれに異なる目撃証言の謎を初めとする魅力的なフーダニット・ミステリーの手掛かりがあちらこちらに散りばめられていて、その解釈と謎解きは決して単純ではなく専門知識を必要とする難解な物も多分にありますが、でも終章で展開する精神科医探偵ウィリング博士の独壇場の名推理には充分な説得力があり全てが納得できてもう唯々恐れ入るばかりでしたね。私が読み終えて感じたのは、ヴァン・ダイン「ベンスン殺人事件」やクリスティー「ひらいたトランプ」みたいにフーダニットと言っても極端な意外性には拘らずに純粋論理で真犯人を絞り込むタイプのごく正統派の小説だという印象でしたね。まあ全体的に派手さは控え目ながらそれにしても本書の精神医学に基づく心理分析の手法は他の追随を許さない、まさに著者にしか書き得ない堂々たる圧巻のテクニックが冴え渡るミステリー作法で著者の真の実力を思い知らされましたね。本書に於ける被害者は当時ヨーロッパで猛威を振るっていたナチスドイツからの亡命科学者という事で全編に渡って暗く息詰まる様な緊迫したムードが漂っていて戦争の影が忍び寄る何とも言えない重苦しさに包まれていましたね。こういった素材はスパイ・サスペンス向けの格好の舞台装置ではあるのですが、著者はさすがにストレートな線ではなく捻りを加えて大がかりな組織犯罪ではなく個人レベルの人間の欲望が渦巻く本格推理の方向に落とし込まれていますね。さて、今回の名探偵ウィリング博士についてですが、まず彼を取り巻く重要人物が翻訳順序が後になった事によって容疑から除外されるという残念さは若干ありますが、でも初登場の初々しく神秘的で翳りのある人間性が発露されていてその魅力を再認識できた事は素直によかったですね。次に著者はウィリング博士の事件との関わらせ方を一作毎に工夫されていて、コージー・ミステリーの様に探偵が必ず第一発見者となるお約束ではなく、今回も最初の四章をフォイル次長警視正の活躍に費やす形にさせる等して、不自然感を極力減らす事でリアリティーを追求されていますね。また3年後に書かれた「小鬼の市」で見せた様に彼が思索型だけの探偵ではなく行動型で決断も早い(別の表現だと手が早いとも言えますが)タイプの名探偵であるという事実で、終章ではそのどちらの資質もきっちりと味わえて満足でしたね。ここで雰囲気がガラリと変わって誠に恐縮なのですが散々迷った末に私自身がどうしても気になった唯一の懸念を書かせて頂きます。本当は書くのを止めた方が良いのかも知れませんが、やはり公正を期して書くべきだろうと決心しました。それはウィリング博士が早い段階で示された手掛かりから目星をつけた犯人に疑惑を抱いていたのならば(絶対の確信は持てないにせよ)、もし用心すれば第三の殺人を未然に防ぎ得たのかも知れないという可能性ですね。こういう事もやりかねない奴だというヒントというか気配は確かにあったと考えると誠に無益な殺生が起きてしまった事が心の底から悔やまれるのですね。これは非常に厳し過ぎる見方であってウィリング博士とて全能の人ではない事は重々承知してはいますが、本音としてはフォイル次長警視正が責められるシーンを見ながら黙して感情を表に出していなかったのも振り返れば少し薄情にも思えるのですね。そしてもっと言えば事件の初めから共同で捜査しながら謎の数々の意味合いについての推理を共有せずに最後まで重大な真相に繋がる真実を打ち明けなかったが為に第三の殺人を生じさせると共に事件の解決が遅れる原因を生んだ面が多分にあるとすれば、残念ながらそれは一般的な名探偵にはつき物の真相を出し惜しみする性質がもたらした弊害と言えるでしょうね。とは言え、これは著者がデビューして間もない事から来る若書きの僅かな見落としだったのかも知れませんし、またウィリング博士も言葉にしないだけで反省の念は心に持っていた可能性なしとは言えませんし、単なる偶然かも知れませんがこの事件の反省を活かして後年「二人のウィリング」事件で未然に尊い人命を救った気高い活躍に繋がるのだと考えれば腑に落ちるのですね。最後に書いた部分については私の偏った一方的な思い込みと言えなくもないでしょうし、もし読みながら不快に感じられた方がおられたとしたら誠に申し訳ありませんでしたが、どうしても書かずにはおられなかった私の強い思いを汲んで頂きましてどうかお許し願いたいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1940年に発表されたマクロイの長編第二作。 謎の殺人計画書に端を発する亡命ユダヤ人化学者殺し、三者三様に食い違う不審人物の目撃証言など、冒頭から読者を惹きつける手際は作家デビュー間もないとは思えぬ堂に入ったもの。精神分析や心理学を単なる装飾に留まらずミステリに取り入れたパイオニアらしく、本書も開発されたばかりの嘘発見器や心理実験がプロットに導入されているが、その当時の新奇な要素が現代の目から見て陳腐化し興醒めになることもなく、結末におけるシリーズ探偵、ウィリング博士の明快な推理は端整な論理的探偵小説の愉しみを堪能させ、幕切れも極めて鮮やか。 常に物語に世界情勢や社会性を密接に反映させることも著者の特徴だが、本作でも欧州を蹂躙していたナチズムと開戦前夜のアメリカとの関係や、昨今の日本でも顕著な商業主義と学術研究の対立が影を落とす。それらが詞藻豊かな美しい文章、そしてミステリとしての驚きと無理なく融合しているのがマクロイの大きな魅力であり、その作品の不朽の価値だ。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 5件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|