小鬼の市
- ベイジル・ウィリング博士シリーズ (13)
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戦時中の中米の島国の新聞編集者の死。平凡な事故のように見えたそれがやがてより大きな事件の引き金に。 金欠著しい流れ者の主人公が事件を紐解いていくとやがては二次大戦の諜報戦へと巻きこまれていく… とはいえボンド君のような派手なものではなく、丹念に証拠を集め推理を組み立て、そして関係者の証言を集めるという流れになります。 人物を鮮やかに描き切る筆致はさすがであり、登場人物は役割がありそして存在感があります。事件のクライマックスでのウリサール警部の事件の処理の仕方、そして最後に明かされる主人公の正体。 ドラマチックにストーリーを組み立ててあり、映画を見ているかのような気分になりました。 シリーズ物という前提が難しいですが、戦時中の雰囲気をふんだんに盛り込めば、映像化されてもよい作品になると思います。 | ||||
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本書は、Helen McCloyの『The Goblin Market』(1943年)の翻訳。 第二次大戦中のカリブ海の小島を舞台としたサスペンス小説だ。 通信社の所長が殺され、スパイ疑惑が渦巻くなか、怪しい人物が次々と登場して……という物語だ。 正直、途中まではいささか退屈に思っていたのだが、終盤でやられた。理詰めの推理と、あっと驚くような真相、そして驚愕のラスト。圧巻であった。ミステリ小説の楽しさというものを再確認させられる。 訳文もしっかりしていて信頼できる。 | ||||
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精神医学を取り入れた心理サスペンスが持ち味の女流本格ミステリー作家マクロイ女史が著した珍しく動的な冒険スパイ活劇調の長編第6作です。最初に残念ながら今回の創元推理文庫の紹介文「二大名探偵そろい踏み 夢の共演」という記述によって著者の仕掛けたトリックの一部は即ネタ割れしてしまって(どんなに勘の鈍い読者の方でも終章を読む前に何処かの時点で確実に真相に気づくでしょうね)おりますが、これは書かずにはいられないあまりにも魅力的で美味しい売りの部分ですから止むを得ずどうにも致し方なかったのでしょうね。 中米カリブ海の島国サンタ・テレサで運に見放された文無しの男フィリップ・スタークに思わぬチャンスが巡って来る。米国オクシデンタル通信社の支局長ハロランが怪死を遂げたのに乗じて首尾よく後任に納まる事に成功したのだが、彼が本国からの命令によりハロランの死の状況を調べ始めた途端に何者かに命を狙われる羽目になるのだった。 本書には著者の持ち味の一つである怪奇趣味は殆ど見られず僅かに「手首の印」が不気味な印象を醸し出しているくらいですね。原題「ゴブリン・マーケット」もあまり意識されずちょっとしか出て来なくて取り立てて怪奇の効果が狙われている訳ではないですが、日本語の古風な訳語「小鬼の市」は多少とも神秘や幻想の雰囲気を盛り上げる点で中々に良い選択だなと思いますね。推理の方はと言うとフーダニットとしての興味では関係者達と十分には馴染んでいませんので犯人の意外性は薄いですし、データに基づいて犯人を割り出せるとも思えませんが、その代わりに本作では著者にしか書き得ない凝りに凝った暗号趣味を楽しむ読み方をするべきでしょうね。そして本書の最大の謎「ゴブリン・マーケット」の意味には、まさに許し難い唾棄すべき人否人の犯罪者の浅ましい行為を思い知らされて何時の世にもいる功利的で悪賢い奴らにふつふつと怒りの思いが込み上げましたね。最後に本書に登場するウリサール署長にはあまり魅力は感じられず好きになれませんでしたが、謎の男フィリップ・スタークのしぶとさやハードボイルド・ヒーロー的なフットワークの軽さや冒険アクション風の物語に心魅かれる物がありましたので、残念ながら再登場は完全に無理なのですが、何れにせよ何時もとは全く趣の異なる著者の多才な別の一面が窺い知れる新境地の物語を読ませて頂けて大満足できましたね。 | ||||
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サスペンス・あるいは少々スリラー的な立場で描写しながらも、 マクロイは、得意な本格ものの要素を本作に取り入れています。 刊行された1943年、第二次大戦下、物語は時代を反映して進行します。 新聞社の支局長が殺され、その後釜にすわった男が事件の真相に 迫るという筋書き。 ある手がかりから「これは事故ではなく殺人」と断定し、第一の殺人を含め、 事後の隠蔽殺人、某策略などから、ラストで犯人をズバリ指摘するあたりは、 ロジカルで本格ミステリの色調が見え隠れします。 また、舞台設定も適切で、中米の島国を選んだことで、フランコ体制下の 中立国スペインというクセものを巧みに活用しています。ファシズムに対する 強烈な敵意と反感がみてとれます。 でも、梗概に「ウリサール警部とウィリング博士云々」と書かれては、最後の オチがわかってしまう!(まあ、おおよそ途中で見当がつくとしても) | ||||
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一応本格物に分類されると思うが、これまでのベイジル・ウィリングシリーズとは趣が異なり、カリブ海のリゾート地が舞台である。アメリカの通信社前支局長が死亡したことを受けて、後任に立候補したスタークを中心にストーリーが展開される。前任者の追っていた特ダネと不審な死、更なる死体、怪しげな人物など魅力的な謎には事欠かない。ベイジル・ウィリングものはどちらかと言えば、パズル的要素が強い本格物といった印象が強いが、本作ではそれに加えて、常夏のリゾート地の雰囲気や大戦をめぐる伏線などサスペンス的な要素もうまく機能している。巻末に言及された新たな事件の翻訳の刊行も決まったようなので、次作を期待したい。 | ||||
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