だれがコマドリを殺したのか?
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.67pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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1960年に刊行されて以来、長らく絶版となっていたフィルポッツのまさに幻の作品がこの2015年に新訳で刊行されるとは一体誰が想像していただろうか? | ||||
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探偵小説の古典的名作「赤毛のレドメイン家」で有名なイーデン・フィルポッツの1924年の作品。長く絶版になっていたのが、創元推理文庫の新訳で登場した。 | ||||
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ミステリの黎明期に触れ、先人の知恵が今のミステリ界にどれほど影響を与えているかを知るために古典を好んで読む人には外せない一冊です。今時のミステリで街を歩き聞き込みだけで調べを進めるタイプの探偵はいざ知らず、鑑識課員が | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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ギリシャ彫刻のような美青年のノートンと、華やかな絶世の美女ダイアナ。二人は出会ってすぐ恋に落ちた。それはまさに運命の出会いだった。ノートンは貧しい開業医だったが、資産家のおじさんから多額の遺産を相続する予定だった。しかしそれにはある条件がついていた…前半は延々と人間関係の描写が続くので退屈と思う人たちはいるでしょう。後半は急展開をみせます。 以下ネタバレあります。ダイアナに天性の女優の才能があるという伏線はわかりますが、ふたごでもないのに実の父親や召使、主治医らを欺くのはさすがに無理があると思います。登場人物の少なさから、現代ではこのトリックを見抜く人は多数いるかもしれません。けれど、1924年の時点では仰天のストーリーだったと思われます。フィルポッツの描く犯罪者心理が好きなので、「医者よ自分を癒やせ」も全訳で、電子書籍で読みたいです。 | ||||
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開業医のノートンと、神学博士の父から"コマドリ"と呼ばれるダイアナ。偶然出会った美男美女の二人はお互いに一目で恋に落ちる。ノートンに父親はなく、恩人である伯父は独身の大富豪だが、遺産相続の条件は偏屈な伯父が人間性に惚れこんでいる彼の秘書ネリーとノートンとの結婚だった。相続権喪失の可能性から、迷いながらもダイアナとの結婚に踏み切るノートン。詳しい事情を知らずにノートンが遺産を相続するものと期待して疑わないダイアナ。そんな認識の食い違いから、二人の結婚生活には次第に暗雲が垂れ込める。 1924年に刊行された本作はイギリスとフランスを舞台にしたミステリ作品です。主要登場人物は先述の五人に加え、ネリーの兄、ダイアナの姉、姉妹と親しいベンジャミン卿、看護師、医師、そしてノートンの友人である探偵の11人となっており、ミステリ作品の登場人物としては多くはないでしょう。そのうえ事件自体も物語の半ばを過ぎるまで発生しません。そのため間がもたず退屈するのかというと、けっしてそうではなく、多くはない登場人物たちの人物像と心理が巧みに描かれており、仮に事件がなく恋愛や家庭をテーマとしたドラマとして完結してもおそらく不満を感じないであろうと思わせられました。事件のトリックとしては、実質的な容疑者が少ないこともあって真相の予測はやさしいほうだと思いますが、展開に沿った無理のない形に落ち着いていると感じます。 総じて、ミステリでありながら人間を描くことを重視した作品として楽しむことができました。トリックの面で物足りない読者もおられるかもしれませんが、個人的には推理をあくまで一要素として扱う本作の方針にはむしろ好印象でした。ちなみに著者フィルポッツは、創作を始めたばかりのアガサ・クリスティに助言をしたこともあるそうです。 | ||||
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同作家の「赤毛のレドメイン家」が面白かったので続けてダウンロードしました。 前半は全くミステリの要素を感じさせないメロドラマ的な展開です。絶世の美男美女がお互いに一目惚れし、周囲の気持ちなどお構いなしに突っ走ります。半分くらいから唐突にミステリになり、緊張感が高まります。 1冊で2度美味しい小説でした。しかし、他の方のレビューにもある通りで、犯罪の必然性が感じられないですね。謎解きは意外な展開でした。 同作家の小説が初めてでしたら、私は「赤毛のレドメイン家」の方をお勧めします。 | ||||
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この犯罪が行われる必然性がピンとこない。また途中でこの結末ではないかと予想して、前の部分を読み返すとそれはあり得ない遣り取りが長々とあり、予想外の結末を期待したら、結局はそうでは無かった。期待外れ。 | ||||
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フィルポッツは昔、子供向けにリライトされた「闇からの声」で知り、ミステリにはまり始めた10代で「赤毛のレドメイン家」を読み、こちらの作品は3作目になります。「レドメイン家」は恋愛要素の強いミステリで、その点が賛否両論だったと記憶していますがこの作品も同様で、目を疑うほどの美青年である医師ノートンとあでやかな美貌の令嬢ダイアナが互いに一目惚れするところから始まります。ダイアナに求婚するつもりの貴族ベンジャミン卿、そのベンジャミン卿を愛しているダイアナの姉マイラ、そしてノートンを心から思っている誠実なネリー。彼らをめぐる不穏な雰囲気は、この時代に多く書かれたメロドラマ的なロマンスの香りが強いです。ノートンとダイアナがお互いの好意を告白しあうシーンは大変美しく、相手のことしか眼中にない熱病のような恋の描写はとてもロマンチックです。登場人物たちの心の動きも繊細に描かれていて、すばらしい恋愛小説といってもいいと思いました。ただ、延々と読み続けても一向に犯罪が起きず、恋愛模様や夫婦間の葛藤ばかり描かれていくので、途中で??になってきました。本格ミステリ・ファンには、いまひとつかもしれません。 そして、あれほど強烈な個性と強い意志を持ったダイアナがあっさり亡くなってしまい、呆然。お話として、絶対亡くなってはいけないキャラクターのような気がしたからです。ネタばれするといけませんのであまり書けませんが・・・このあたりから一転して話の展開が速くスリリングになっていきます。探偵が登場するあたりで、実はトリックがわかってしまいました。作中のあちこちで結構ヒントが呈示されています。 今のように綿密な科学捜査ができるわけではありませんから、推理にはいくつか無理な点があると感じましたが、そのあたりは時代を考えるとまあ許容範囲です。雰囲気を楽しむ小説だと思います。動機はすんなりとは理解しがたいものですし、もし自分ならこんな危ない橋は絶対渡らないと思いますが・・・強烈な印象の犯罪であり、犯人でした。総合すると、とても好みの小説でした。 フィルポッツは内気で人見知りをする性格で、都会よりも田園生活が好きだったそうですが、当時の英国や海辺のリゾートの雰囲気がよく出ています。また、英国のお金持ちが、しょっちゅうフランスやイタリア、北アフリカ方面へ旅したり長期滞在していたこともよくわかります。ダイアナとマイラ姉妹の父親コートライト氏が教会の大執事ということですが、この地位がどういうものかはよくわかりませんでした。が、ダイアナは貴族であるベンジャミン卿と結婚することによって、自分の地位も引きあがると感じていたようです。また、この時代には開業医の地位は高くなかったのですね。お金持ちでわがままな患者に引っ張りまわされ、激務だけれどたぶん一生を通じてそんなにお金はたまらないだろうという記述があります。はっきりした階級社会だったのですね。ヴィクトリア朝英文学やBBCドラマなどが好きな人はきっと興味深く読めるのではないでしょうか。 日本でのフィルポッツの評価は、すでに戦前から高かったようです。1937年「新青年」のベストテンで3位、1951年の「鬼」誌では1位だったそうです。1862年生まれのフィルポッツは1960年に長命の98歳で亡くなったということですが、極東の小さな島国での人気を知っていたのか?ちょっと気になりました。 | ||||
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