極悪人の肖像



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初公開日(参考)2016年03月
分類

長編小説

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極悪人の肖像 (論創海外ミステリ)

2016年03月01日 極悪人の肖像 (論創海外ミステリ)

稀代の“極悪人”によって語られる犯罪の軌跡!いかにして完全犯罪は成し遂げられたのか。フィルポッツの未訳長編、待望の邦訳!(「BOOK」データベースより)




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No.1:
(4pt)

初訳のフィルポッツ作品

名探偵の明察も、名刑事の地道な捜査もありせん。意表を突くトリックやどんでん返し、息をもつかせぬサスペンスもありません。帯に“倒叙探偵小説”という言葉が見られますが、一見完璧に見えた犯罪計画が、思いがけない綻びから瓦解するという展開もカタルシスもないので、厳密には“倒叙もの”という分類も当たらないでしょう。たぶん犯罪小説とでも言っておくのが、いちばん適切ではないかと思います。

一人称で語られる本作の『私』は、由緒ある男爵家の三男であり医師ですが、莫大な資産を手にするため二人の兄を殺害します。『―利己心のない生命は考えられないのである。利己心は生命という血管を流れる血液、その体内で脈打つ心臓なのだ。(中略)人間にとっては、不滅の眠らぬエゴティズムという鎧こそが成功に不可欠なのは間違いない。』フィルポッツ作品に一貫して登場する、利己的な知性に支配された冷徹な犯罪者が、ここにも登場します。『―「誰の善、誰の悪か?」やがて両者は相対的なものであり、不可分の意味を持つことがわかる。善が存在するのは、それなくして悪が有り得なからである。しかし私の目には、悪のほうが有益なものとして魅力的に映り、よって悪は私の善となり、次第に悪たる存在でなくなったのである。』論文調の硬質な文章で、『私』という犯罪者の自画像が、ひたすら淡々と描かれてゆく作品です。

巷間人気の高いミステリ作品がもつエンターテイメント性に貧しいため、誰にでもオススメというわけにはいかない作品かと思いますが、殺害計画が実行されてゆくところはそれなりにスリリングですし、昔かじった哲学関連の本を思い出しつつ、この悪人の脳内に展開される世界と人間に対する思索に付き合っているのも、個人的には☆四つぐらいの面白さはありました。また、警察も世間も欺きとおし完全犯罪を成功させた犯人が、思いがけない運命の報復を受けるというタイプのミステリが時々ありますが、真実が露見することなく財産を手に入れた『私』が、医師として研究していたリューマチに自らに罹患し、昼夜をとわぬ激痛に睡眠の安息すら奪われ睡眠薬による死にむかってゆく終章は、そうした皮肉な結末のミステリには分類されるかと思います。

帯の刊行予定に、同じフィルポッツの『密室の守銭奴』がありました。これも本作同様タイトルばかり目にして、ずっと読むことのかなわなかった作品です。こうした作品が刊行されるのは、うれしい限り。論創社さん、いい仕事をして下さって、ホントありがたいです。
極悪人の肖像 (論創海外ミステリ)Amazon書評・レビュー:極悪人の肖像 (論創海外ミステリ)より
4846015025



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