灰色の部屋



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    ←非ミステリ

    ミステリ→

    ↑現実的

    ↓幻想的

    初公開日(参考)1977年06月
    分類

    長編小説

    閲覧回数2,026回
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    灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)

    1977年06月01日 灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)

    ※あらすじは登録されていません



    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt

    灰色の部屋の総合評価:5.00/10点レビュー 5件。Dランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (5pt)

    オカルトかミステリか?フィルポッツは我々を揺さぶる

    フィルポッツの再評価が止まらない!
    『溺死人』の復刊から続いて新訳刊行された『だれがコマドリを殺したのか?』が望外の好評を以って迎えられたお陰でこれまた長らく絶版状態だった本書が復刊の運びとなった。何とも喜ばしいことだ。

    「人を殺す部屋」という怪奇じみた設定は古典ミステリではよく用いられたテーマで、代表的なのはカーター・ディクスンの『赤後家の殺人』だろう。
    しかしミステリアスな設定ゆえに逆に真相が判明すると、なんとも肩透かしを覚えるのも事実である。

    そんな謎を英国文壇の大御所フィルポッツが扱ったのが本書だ。

    過去に2人の死人を出した灰色の部屋。一見ごく普通の部屋だが、宿泊した人物はどこにも外傷がないまま、事切れた状態で発見される。そしてその話を聞いた娘の花婿が周囲の制止を振り切って泊まって絶命し、更に捜査に訪れた名刑事は白昼堂々、部屋の調査中にたった1時間ほどで絶命する。更に花婿の父親は神への強い信仰心を武器に立ち向かうがこれも敢え無く同じ末路に至る。
    立て続けに3人も亡くなる驚きの展開である。

    この怪異現象に対して文学畑出身のフィルポッツらしく、単なるミステリに収まらない記述が散見される。

    特に息子トーマス・メイを灰色の部屋で喪った牧師セプティマス・メイが人智を超えた神の御手による仕業であるから、信仰心の厚い自分が部屋で一晩祈りを捧げて邪悪な物を一掃しようと提案してからの館主ウォルター卿と係り付けの医師マナリングとの押し問答が延々17ページに亘って繰り広げられる。

    その後も信仰心の権化の如きメイ牧師と合理的解決を試みる刑事もしくは館主の甥のヘンリーとの問答が繰り広げられる。

    一見怪異現象だと思われていた物事が合理的に解明される驚きをもたらしたのがポーでそれがミステリの始まりだとされている。
    フィルポッツの最初期に当たる本書では「人が悉く死せる部屋」を題材にし、この謎に対して怪異か犯罪かの両面で登場人物たちが議論を繰り広げるのが上の件なのだ。

    この辺はフィルポッツなりのある仕掛けなのかもしれない。
    不可解な事件に対して合理的な解決がなされるのかという不安と期待を読者に煽りながら、鳴り物入りで登場した名探偵の誉れ高き名刑事はあえなく屈し、退場する。そして牧師の口から摩訶不思議な事件は過去に死んだ者たちの想念もしくは霊によるものであり、もはや祈りによって解消されるというオカルト的解決が主張され、屋敷の主は洗脳されたかのように牧師の主張に縋り、除霊をお願いする。
    この館主ウォルター卿の揺らぎはつまり読者をも揺さぶっているように思える。

    オカルトかミステリか?
    その両軸で揺れながら物語は進み、結論から云えばミステリとして一人のイタリア人の老人によって合理的に解決がされる。

    正直この真相には驚いた。
    上に書いたように往々にして怪奇めいた謎は大上段に構える割には真相が陳腐な印象を受けるが、本書は歴史の因果が現代に及ぶもので、しかもそれまでの物語でウォルター卿の人となりとレノックス一家の歴史でさりげなく説明が施されている。
    さすが文豪フィルポッツの手になるものだと感心した。

    ある意味戦慄を覚える真相である。

    しかしそれでも訳がひどすぎた。およそ会話としてしゃべるような言葉でない文章でほとんど占められており、しばしば何を云っているのか解らず何度も読み返さなければならなかったし、また眠気も大いに誘った。
    さらに誤字も散見された。そんな記述者の些末なミスや技量不足で本書の評価が貶められていることを考えるとなんとも哀しい。この悪訳ゆえに今まで長らく絶版だったのではないか。
    奥付を見ると1985年に3版が出て以来の復刊である。実に30年以上も絶版状態にあったわけだ。

    上に書いたように最近になってフィルポッツ作品が別名義の物も含めて初訳刊行、復刊さらに新訳再刊されている。フィルポッツを読んだのは学生時代だったからこの再評価は実に嬉しい。
    復刊は喜ばしいことだが、しかしその前に一度刊行する前に中身を読んでいただきたい。その日本語が現在も鑑賞に耐えられるかどうかを見定めてほしい。
    そうしないと単なるブームで終わってしまうだろうし、ミステリ読者の古典ミステリ離れ、いや翻訳作品の読みにくさから海外ミステリ全般に亘って手を取らなくなる傾向に拍車がかかるだけである。
    出版業が商業のみならず文化の継承と発信を使命としているならばそのことを念頭に置いてほしいものだ。


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    No.4:
    (3pt)

    名作と言われれば、名作なのかなと

    これ、名作?
    確かに灰色の部屋で人が亡くなるのか、ナゾは、簡単ではない。でも、最後の謎解きを読んで、納得するかというと、ちょっと。そういうモノが有るんです、じゃーねー
    灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)Amazon書評・レビュー:灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)より
    4488111033
    No.3:
    (2pt)

    不可能犯罪小説かと思いきや

    灰色の部屋に泊った人は翌朝死体となって発見されるという事件が続く。不可能犯罪小説かと思って期待して読んだが、狂信的な牧師や名探偵が登場するあたりから宗教的な信仰と科学的な理性との論争が続き、これは本当に推理小説なのかと首をかしげた。ミステリとしては冗長すぎて退屈であった。ただ、意表の展開が続き最後までハラハラさせされたが、ようやく解決して安堵した。老犬プリンスがいい脇役となっている。

    いずれにしてもミステリとしては短編で十分な内容である。フィルポッツがこういう異色な作品を書いていたという点では興味深かったが、ミステリのルールを重視する読者には後味の悪い読後感と思われる。
    灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)Amazon書評・レビュー:灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)より
    4488111033
    No.2:
    (3pt)

    フィルポッツと言えば

    おそらく一度も重版されていないこの幻の作品は、私が最初に読んだフィルポッツ作品ということもあって、出来不出来には関係なく、「フィルポッツ」と聞けば真っ先に思い浮かぶ物語です。 ストーリーも冗長ながら、古典と割り切って読めばそう退屈でもなかった。 この世のものでない犯人という設定は、探偵小説というより奇談でしょうけれど、それはそれで面白かったですね。 もし重版が出るのなら、このカバーイラストを変えずに出してほしいものです。 「赤毛のレドメイン家」では洋館の屋根は赤でしたが、こちらはあまり見ない青なんで。
    灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)Amazon書評・レビュー:灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)より
    4488111033
    No.1:
    (2pt)

    イタリア礼賛

    『赤毛のレドメイン家』でよく知られるフィルポッツの最初に手がけた推理小説であるとされています。
    チャドランズ屋敷には「灰色の部屋」と呼ばれる部屋があり、その部屋では過去2人の人間の命が失われましたが死体には外傷もなく毒物も検出されませんでした。今回屋敷の主の娘婿がその謎に挑戦しようとした所、翌朝死体となって発見されたというお話です。
    話の大部分は超自然現象の有無・信仰心・創造主の意向などについての論争に割かれており、現在この作品を読みキリスト教徒でもない多くの人にとっては退屈であると言えるかもしれません。
    また結論も、「こうでなかったらいいのにな」と予想していたものズバリで、アンフェアであると言われても仕方がありません。
    筆者のイタリアの神秘に対する過剰評価が現れており、現実的とはとても言えないでしょう。
    灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)Amazon書評・レビュー:灰色の部屋 (創元推理文庫 111-3)より
    4488111033



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