(アンソロジー)
世界推理短編傑作集4
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初版は1961年で、はや60年以上前になる。編者は御大=江戸川乱歩で、さす がというべき選集。一つ一つの収載作の質が高く、ゆっくりと味わうことができ る。旧版の本作品集では2作品だけは読んだことがあったが、あとは初めて読ん だ作品だった。 一作品ずつ簡単にレビューをする。 「殺人者」は複数の訳者がいるが、本書では評価の高い大久保康雄。別書では、 沼澤洽治(こうじ)訳が気に入っている。本書の訳はどうにもリズム感が私には合 わず、引っかかりがある。この名作短編のスピーディさが少しだけ失われている ような気がする。まあこれは好みか。この作品は現行の選集にはない模様。 「スペードという男」。ハメットの代表的短編。アメリカではごく普通に私立探 偵という職業があるのだろう。コンチネンタルオプよりも小粋なスペード。ハー ドボイルドらしく内面描写を抑えて描く。田中小実昌の訳で、最後はありきたり だが、格好のいい台詞がきく。 「三死人」。謎めいたイギリス植民地での殺人。複数の事件が絡み合う。ストー リーテリングの才か、読みやすく理解しにくい箇所もない。19c半ばから20c 半ばにかけて活躍した作家。謎解き自体はあっけない、ご都合主義的でもあるが、 これが現在から100年近く前に描かれたことには驚く。 「キ印~」。今となってはこの表題自体がアウトだろう。現行の選集では表題を 「いかれた~」としている。作者自身が作中に登場し、てんやわんやの騒ぎをする。 なるほど「不思議の国のアリス」へのリスペクトだろう。私には少し煩すぎる作品 だった。 「信・望・愛」。初めて知った作家。三人の悲劇、というよりも喜劇的な最期を 軽妙に描いた作品。描写が上手で随分とリアリティもありユーモアもある。最も 怖れた最期に行き着くのがお洒落。面白い。 「オッターモール氏の手」。乱歩の評価はもとよりクイーンやカーなどの評価も 高い。ロンドンにふさわしいような一種朦朧とした雰囲気のストーリーだが、恐 怖感がある。登場人物の言葉に説得力があり、今でもこの「オチ」はいい。 「いかさま賭博」。よく錬られているプロットで、最後も小気味よい。題名から 内容は想像がつくが、さすがと思われるひねり。ただ読み直してみると、「アラ」 が一つだけあった。これがおさまりが悪く少し残念。 「疑惑」。まさにイギリス社会そのもの。形式ばり感情を表出することを避け、 そして心の中では近しい人にも不信感がある。麗しい夫婦愛なのだが、そこに徐 々に違和感が生じる。このあたりの細やかな心の襞と、そこに投げかけられる無 気味な影がある。本作ではイギリスの文学に珍しく、食事のシーンと会話のシー ンが多い。ラストは恐怖そのもの。 「銀の仮面」。この作品も一種の恐怖小説。誰かが不意に家の中に侵入し、やが ては主人公の人生そのものを食い尽くす。このようなストーリーは昨今ではいく らでもあるが、1930年代にこのプロットを考え出したのは素晴らしい。少しずつ 少しずつ蚕食され、財産・家・心そのものが失われる。短いページでよくきれい にまとめられている。老人(とはいえないか)の混乱した、破滅へと向かう意識の 乱れは秀逸。 全体を通して。 再度書くが、1961年の版。それにしても質が異常に高い。これほどの短編を編 集できたのはやはり乱歩だからだろう。当時の版権はどうなっていたのか、いさ さか気になる。それらを超えて自由に編纂した短編集。 推理もの好き、恐怖もの好き、双方に相応しい作品集。 おすすめもおすすめ。新版もすぐに注文した。 | ||||
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昔、古い版も買って読んでいたので知っている話ばかりなのだが懐かしいし、面白い短編集でした | ||||
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新版になって、訳も修整され、「若干」よくなりました。 これでハヤカワのように活字を大きくしてもらえたらいいのですが。 ロナルド・A・ノックスの『密室の行者』は、犯行の現場は旧版では「打球戯場」とあったのが、この新版では「ラケット・コート」になっています。 ただ、これでもまだイメージ出来ず不十分でしょう。 「ラケット・コート」とは壁打ちの球技「スカッシュ」のことだと思いますよ。 また、「ヨガ」のことなのに、「ユガ」とわざわざルビがふってあるのもまだまだ不満です。 | ||||
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旧版の再編集で、目新しさには乏しいですが、 内容は間違いありません。 ミステリ入門書としては必読のアンソロジーです。 | ||||
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収録作品 「オッターモール氏の手」トマス・バーク 「信・望・愛」アーヴィン・S・コッブ 「密室の行者」ロナルド・A・ノックス 「スペードという男」ダシール・ハメット 「二壜のソース」ロード・ダンセイニ 「銀の仮面」ヒュー・ウォルポール 「疑惑」ドロシー・L・セイヤーズ 「いかれたお茶会の冒険」エラリー・クイーン 「黄色いなめくじ」H・C・ベイリー 発表年代順に再編集された短編傑作集。本巻には1929年から1935年に発表された作品を集成。 リッパーテーマの先駆的名作「オッターモール氏の手」は従来割愛されていた冒頭部を収録した完訳版であり、その経緯は戸川安宣氏による解説で明らかにされている。 バークリーと並ぶ探偵小説の改革者であり皮肉屋であったノックスの真骨頂である「密室の行者」は密室トリックの古典的名作だが既にそのジャンルのパロディめいたシニカルさを湛えているのが改めて興味深い。 三人の逃亡者たちが辿る凄惨な末路を描いた「信・望・愛」、意外やアリバイトリック物であるハメットのサム・スペード探偵譚、乱歩が命名した〈奇妙な味〉の二大名作であるダンセイニとウォルポール作品の不気味な読後感、セイヤーズがサスペンス醸成にも秀でていたことを雄弁に証明する「疑惑」、『不思議な国のアリス』をモチーフにしたクイーンの短編代表作(新訳版)など全てが選り抜きの傑作であり、おそらく充実度は本アンソロジー・シリーズでも屈指だが、中でも特筆すべきは巻末の「黄色いなめくじ」。慄然たる悪意の行方を描いて極めて現代的であり、宮部みゆきの一連の作品に通じるようなアクチュアリティを感じずにはいられない。 | ||||
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