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(アンソロジー)
世界推理短編傑作集4
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世界推理短編傑作集4の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.08pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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昔、古い版も買って読んでいたので知っている話ばかりなのだが懐かしいし、面白い短編集でした | ||||
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新版になって、訳も修整され、「若干」よくなりました。 これでハヤカワのように活字を大きくしてもらえたらいいのですが。 ロナルド・A・ノックスの『密室の行者』は、犯行の現場は旧版では「打球戯場」とあったのが、この新版では「ラケット・コート」になっています。 ただ、これでもまだイメージ出来ず不十分でしょう。 「ラケット・コート」とは壁打ちの球技「スカッシュ」のことだと思いますよ。 また、「ヨガ」のことなのに、「ユガ」とわざわざルビがふってあるのもまだまだ不満です。 | ||||
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旧版の再編集で、目新しさには乏しいですが、 内容は間違いありません。 ミステリ入門書としては必読のアンソロジーです。 | ||||
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収録作品 「オッターモール氏の手」トマス・バーク 「信・望・愛」アーヴィン・S・コッブ 「密室の行者」ロナルド・A・ノックス 「スペードという男」ダシール・ハメット 「二壜のソース」ロード・ダンセイニ 「銀の仮面」ヒュー・ウォルポール 「疑惑」ドロシー・L・セイヤーズ 「いかれたお茶会の冒険」エラリー・クイーン 「黄色いなめくじ」H・C・ベイリー 発表年代順に再編集された短編傑作集。本巻には1929年から1935年に発表された作品を集成。 リッパーテーマの先駆的名作「オッターモール氏の手」は従来割愛されていた冒頭部を収録した完訳版であり、その経緯は戸川安宣氏による解説で明らかにされている。 バークリーと並ぶ探偵小説の改革者であり皮肉屋であったノックスの真骨頂である「密室の行者」は密室トリックの古典的名作だが既にそのジャンルのパロディめいたシニカルさを湛えているのが改めて興味深い。 三人の逃亡者たちが辿る凄惨な末路を描いた「信・望・愛」、意外やアリバイトリック物であるハメットのサム・スペード探偵譚、乱歩が命名した〈奇妙な味〉の二大名作であるダンセイニとウォルポール作品の不気味な読後感、セイヤーズがサスペンス醸成にも秀でていたことを雄弁に証明する「疑惑」、『不思議な国のアリス』をモチーフにしたクイーンの短編代表作(新訳版)など全てが選り抜きの傑作であり、おそらく充実度は本アンソロジー・シリーズでも屈指だが、中でも特筆すべきは巻末の「黄色いなめくじ」。慄然たる悪意の行方を描いて極めて現代的であり、宮部みゆきの一連の作品に通じるようなアクチュアリティを感じずにはいられない。 | ||||
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1927年-1933年の7年間の作品から乱歩が選んだアンソロジー。 ヘミングウェイ、エラリー・クイーン、ダシ―ル・ハメットなど大御所の 短編小説もある。ちょうどこの時期は大恐慌と重なっている。世の中は ばくぜんとした不安に包まれ、やがて第二次世界大戦へとつながっていく 時代である。 全部で9編の短編のうち私は次の3編が気になった。 「銀の仮面」(ウォルポール) 実に後味の悪い読後感。善意を装う人々が他人の家に入り込み、 知らず知らずのうちに乗っ取ってしまうという恐ろしい話。最近日本でも この手の事件はよく聞く。物理的に家を乗っ取られなくとも、マインド コントロールによって精神を支配される話ならもっと頻繁に耳にする。 「スペードという男」(ダシ―ル・ハメット) ハードボイルドのフレーバーをもつ小説。スペード・シリーズのひとつ。 探偵と警察はこの時代はかくも仲良く、わきあいあいとやっていたんだと 妙なところに感心する。 「オッターモール氏の手」(トマス・バーグ) この短編集を手に取ったのはこの小説を読んでみたかったから。 エラリー・クイーン、ディクスン・カーなどの一流の作家たち12人が 世界のベスト短編小説を選んだときに2位に大差をつけてこの短編が 選ばれたという。意気込んで読んだが、いまひとつピンとこなかった。 人をうならせるようなあざやかなトリックや推理が見当たらない。 何も見落とすまいと読んだから、途中からある程度犯人像もわかったし。 しかし、これは1930年ころの作品だということに気がついた。 現代の視点をもってあれこれあげつらうのは間違いだ。おそらく、当時の 推理小説は、例えばヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」のような ゴシック建築のようなかっちりしたものだったんだろう。つまり原因と その結果が論理的に対応しており物語は起承転結の枠の中でで語られる。 それに比べて、この小説はシュールレアリスム小説である。不条理を 写実的に描いている。抽象化された無意識の世界を具体的に描いている。 そのあたりの感性が衝撃的に「新しい」とプロたちから見られたのでは ないか。よくわからんけど。SF的な新感覚も垣間見られたし。 | ||||
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本格推理一辺倒だった黄金時代を経てハードボイルドや心理サスペンスといったさまざまな企みに満ちた秀作が台頭して来た事で時代の移り変わりを感じさせる第4巻です。本傑作集もここまで来ると奇想天外なトリックよりも人間心理に重きを置いた作風の秀作が増えて実人生に近いリアリティーがあり読後に何とも言えない深い余韻を感じますね。 『殺人者』アーネスト・ヘミングウェイ著:田舎町の食堂にギャング風の二人の男が入って来て店主に物騒な話をし始める。実際に殺人シーンは無いのですが、殺人カンパニーの様な冷酷無情な請負殺し屋の存在にはぞっとさせられますね。『三死人』イーデン・フィルポッツ著:私立探偵マイクル・デュヴィーンが西インド諸島のバルバドス島で起きたイギリス人他三人の死の謎を故人の弟から依頼され本人に代わって部下の私が調査に赴く。物証ではなく被害者の心理分析によって難解な謎を解き明かすこの手法は著者にしか書き得ない独創的な素晴らしい発明ですね。『スペードという男』ダシール・ハメット著:私立探偵サム・スペードが依頼人から何者かに脅迫されているとの電話を受け急いで駆けつけると家には刑事達がいて既に部屋の主は殺されていた。単純だが効果的なトリックでスペードが気のいいお人好しではなく鋭い推理能力を備えた実力者だという事実を強烈に証明して見せます。『キ印ぞろいのお茶の会の冒険』エラリー・クイーン著:友人宅に招かれてやって来た名探偵エラリー・クイーンはやがて主の突然の失踪事件に端を発する奇妙奇天烈な事件に巻き込まれる。著者クイーンの遊び心が炸裂した少々おふざけが入った一編で、実際の捜査ではこんな事はあり得ないでしょうが、読者の意表を突く仕掛けが楽しめる凝った趣向の滅多に読めない逸品です。『信・望・愛』アーヴィン・S・コップ著:列車で移送されていた三人の囚人が捜査官の隙を突いてまんまと逃走に成功するのだが・・・・。劇作家である著者が悪党どもに下される神の裁きの結果とも取れる非情で憐れな末路を描き出しています。『オッターモール氏の手』トマス・バーク著:ロンドンの街に突如として出没した戦慄すべき無差別連続絞殺魔の正体とは?得体の知れない恐怖感を醸成する語りの魅力と読者の盲点を突く仕掛けと異常心理サスペンスの味わいが結実した傑作です。『いかさま賭博』レスリー・チャーテリス著:聖者(セイント)と呼ばれる義賊サイモン・テンプラアが列車内に乗り合わせた手品師からいかさまトランプの種を教えられるのだが・・・・。弱者の味方の心優しい義賊セイントなのですが、常に冷静さを失わない百戦錬磨の強者ですから、悪党どもはなめてかかると痛い目に遭いますね。『疑惑』ドロシー・L・セイヤーズ著:病弱な妻を持つ夫が自身も明らかな体調不良になって最近世間を賑わす毒殺魔の家政婦が家で働く女なのではと疑惑に駆られる。ベテラン女流の流石の実力を示す見事な一編で、どんでん返しの騙される快感が味わえる最後の一行が何とも言えず恐ろしく胸に一気にぞくぞくする戦慄が込み上げて来ますね。『銀の仮面』ヒュー・ウォルポール著:心臓が弱い独身女が貧乏な絵描きの男につきまとわれる様になり、つい生来の人の良さから親切にしてしまう。怪奇小説作家の著者が実際に起こりかねない救いのない無慈悲な恐怖の物語を冷酷に描いていますね。人の好さが命取りになり恩を仇で返されるという人情が薄れた厳しくも世知辛い現代社会の教訓でしょう。 | ||||
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世界短編傑作集1〜5巻の第4巻です。 1930年前後の作品が収録されています。 バラエティに富んでいて、ハードボイルド物では、ヘミングウェイの「殺人者」、ハメットの「スペードという男」、スリラーはフィルポッツの「三死人」、風刺の効いたコッブの「信・望・愛」(知名度は高くないと思われますが、面白かったです)、サスペンスはセイヤーズの「疑惑」、クイーンの本格「は茶め茶会の冒険」、古典短編推理の筆頭に挙げられる「オッタモール氏の手」(古さは否めませんが・・・)、げに恐ろしきは人間の欲望なりを描いた‘妙な味’の「銀の仮面」など、読めばお気に入りが見つかるはずです。 | ||||
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◆「銀の仮面」(ヒュー・ウォルポール) 孤独な中年女性ソニアが、美しくも不気味な青年ヘンリーに よって破滅に追いこまれるニューロティック・サスペンス。 一言で言えば「廂を貸して母屋を取られる」話です。 ヘンリーが狡猾なのは、けっして悪意を 表に出さず、ソニアの親切心に訴えるところ。 孤独な彼女の心の隙間に巧みにつけ入り、 善人であり続けたい彼女の欲望を利用します。 乱歩が〈奇妙な味〉の傑作と絶賛したそうですが、 それにふさわしい、苦い読後感を残す作品です。 ◆「三死人」(イーデン・フィルポッツ) 西インド諸島のバルバトス島。 ペリカン農場の経営者であるヘンリイと、そこの従業員である 黒人のディッグルが銃で撃たれ死亡しているのが発見された。 当初、ディッグルがヘンリイを撃ち殺し、その後に自殺したと推定されたが、 ディッグルの創痕からおしはかると、弾の発射距離は二十ヤードあったと 考えられ、その可能性は否定される。 もっとも、ディッグルはヘンリイを神のように 崇拝しており、もともと動機がまったくないのだ。 そして同日、同じく農場の従業員であるソリイの 死体が、海に臨む断崖の中段あたりで発見される。 死体は、何者かによって咽喉を斬られており、犯人によって 海に投げ落とされ、隠蔽が図られたと考えられた。 果たして、「三死人」の間にはなにか繋がりがあるのか? 私立探偵が現地で六週間調査し、集められたデータをもとに 探偵所長デュヴィーンが推理するという《安楽椅子探偵もの》。 人物造形や人物配置、「犯人」が抱く特異な動機と犯行計画、 「三死人」という不可能状況が現出する過程と意外な真相。 どの要素を見ても全く間然するところがなく、 短篇ミステリとしてほぼ完璧だと思います。 とくに、事件の根幹をなす「犯人」の逆転の発想がすばらしいです。 ◆「信・望・愛」(アーヴィン・S・コップ) 国籍を異にする三人の死刑囚が、それぞれ自国の 処刑方法に恐怖を覚え、汽車での護送中に脱走する話。 三人の脱獄囚が、結局は最も自分が死にたくない方法で最期を遂げるという一種の 因果応報譚なのですが、それぞれが最期を迎えるまでの経緯の演出が秀逸です。 | ||||
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◆「三死人」(イーデン・フィルポッツ) 西インド諸島のバルバトス島。 ペリカン農場の経営者であるヘンリイと、そこの従業員である 黒人のディッグルが銃で撃たれ死亡しているのが発見された。 当初、ディッグルがヘンリイを撃ち殺し、その後に自殺したと推定されたが、 ディッグルの創痕からおしはかると、弾の発射距離は二十ヤードあったと 考えられ、その可能性は否定される。 もっとも、ディッグルはヘンリイを神のように 崇拝しており、もともと動機がまったくないのだ。 そして同日、同じく農場の従業員であるソリイの 死体が、海に臨む断崖の中段あたりで発見される。 死体は、何者かによって咽喉を斬られており、犯人によって 海に投げ落とされ、隠蔽が図られたと考えられた。 果たして、「三死人」の間にはなにか繋がりがあるのか? 私立探偵が現地で六週間調査し、集められたデータをもとに 探偵所長デュヴィーンが推理するという《安楽椅子探偵もの》。 人物造形や人物配置、「犯人」が抱く特異な動機と犯行計画、 「三死人」という不可能状況が現出する過程と意外な真相。 どの要素を見ても全く間然するところがなく、 短篇ミステリとしてほぼ完璧だと思います。 とくに、事件の根幹をなす「犯人」の逆転の発想がすばらしいです。 ◆「信・望・愛」(アーヴィン・S・コップ) 国籍を異にする三人の死刑囚が、それぞれ自国の 処刑方法に恐怖を覚え、汽車での護送中に脱走する話。 三人の脱獄囚が、結局は最も自分が死にたくない方法で最期を遂げるという一種の 因果応報譚なのですが、それぞれが最期を迎えるまでの経緯の演出が秀逸です。 ◆「疑惑」(ドロシー・L・セイヤーズ) 家政婦に毒を盛られているのではという疑惑を抱いた 男の焦燥を、臨場感あふれる筆致で描いた恐怖小説。 戦慄すべき意外な結末に至るまでの効果的な 構成は、まさにサスペンスの教科書といえます。 | ||||
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本短編集を読んだのは30年以上前。ポーの時代から、昔は短編が主流だったんですね。本作では、バークの「オッターモール氏の手」が抜けていると思います。今で言うとサイコ物に相当するのでしょうが、当時はそんな概念がなかったので、結末の迫力には圧倒されました。作者の感覚は数十年先を行っていたのですね。後はクィーンの「キ印ぞろいのお茶の会」ですか。この作品は本来「クィーンの冒険」か「クィーンの新冒険」に入っていた筈なのですが、こちらの「傑作集」に入っているということで創元社が抜いていたのですよね。で、なかなかお目にかかれなかったのですが、本作で出合えました。作風はいつも通りなのですが、犯人に振り回されていたクィーンが逆に仕掛けを見せるあたりが面白いですね。書かれた時代が時代なので、総じて古臭く感じられるのはやむを得ないですが、ミステリの原点をたどるという意味で(他の傑作集も含め)価値がある一作と思います。 | ||||
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世界短編傑作集全5冊は,誰が読んでも,どの巻も,すべての作品が気に入るということはないと思われる。江戸川乱歩氏もそう考えて選んだものではないはずで,ミステリ・ファンの趣味が多様だから仕方がない。それでも,私は,「オッターモール氏の手」を読んだとき,新鮮な感動があったし,今でも傑作だと思っている。このプロットが面白くない人は,おそらく,この作品の模倣も含むいろいろな作品を先にお読みになっていたため,詰まらなく思われたのではないかと思う。翻訳の好みはあるかもしれないが,読む価値を十分感じられる方もあると思うので,私はお勧めします。また,「信・望・愛」は,かつて探偵クイズ本が流行ったときに,トリック紹介で必ず出てきた作品なのですが,読んでみると,トリックに主眼のある作品ではないことが分かり,やはり,ダイジェスト物やクイズ本で見て読んだ気になるのは良くない,作品そのものを読むことが重要であると,ショウペンハウエルの言葉ではないが痛感した次第。個人的には,4巻が一番好きです。 | ||||
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掲載作品:ヘミングウェイ「殺人者」、フィルポッツ「三死人」、ハメット「スペードという男」、クイーン「キ印ぞろいのお茶の会の冒険」、コッブ「信・望・愛」、バーク「オッターモール氏の手」、チャーテリス「いかさま賭博」、セイヤーズ「疑惑」、ウォルポール「銀の仮面」の9編。 「いかさま賭博」は本書で唯一気に入った話。私がセイント物のファンだから言うのではない。いかさまポーカーがテーマの軽い作品だが、二転三転の化かし合いがとても楽しめた。 「オッターモール氏の手」は、エラリー・クイーンら米国ミステリー界の大御所たちが1949年に選んだベスト短編「黄金の十二」の堂々の第1位に選ばれた作品。当然大いに期待して読んだが文章はやたらと回りくどくてウンザリするし、プ!ロットも大した事ないしどうしてこれがそんな傑作なのか、全然わからない。 ヘミングウェイは、ドライな文体と内容で、その後のハードボイルド・ミステリーに大きな影響を与えたという。ミステリー史的には価値があるのかもしれないが、この「殺人者」そのものは実にあっけない話だった。 「疑惑」も「黄金の十二」に選ばれた一品。悪くはなかったが、同じ毒薬を扱った話なら、クリスティーの「事故」の方がずっとあざやか。 以上、総じて期待外れだった。ミステリー史の勉強ならともかく、読んで楽しむだけならあまりお薦めしません。 | ||||
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