(短編集)

ブラウン神父の秘密



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初公開日(参考)1961年01月
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短編集

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ブラウン神父の秘密【新版】 (創元推理文庫)

2017年07月20日 ブラウン神父の秘密【新版】 (創元推理文庫)

第四作品集に至っても、未だ驚異的なクオリティーを保ちつ<ブラウン神父>シリーズ。不可解かつ幻想的な殺人の謎「大法律家の鏡」、この世の出来事とは思えぬ状況で発生した金塊消失事件「飛び魚の歌」、常識を超えたユーモアと恐怖の底に必然的動機がひそむ「ヴォードリーの失踪」など珠玉の10編を収録。シリーズの精髄ともいうべき逆説とトリックの凄みが横溢する、唯一無二の名短編集が、読みやすく新しいカバーでリニューアル!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

ブラウン神父の秘密の総合評価:8.50/10点レビュー 14件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

ブラウン神父の推理方法が解ります

本作はまず「ブラウン神父の秘密」という短編で幕を開け、最後に「フランボウの秘密」という短編で閉幕する。内容的には神父が自身の推理方法について語り、その実施例として神父が解決した9つの事件が語られるという構成になっている。アルバムでいうところのコンセプト・アルバムのような内容になっている。神父の推理方法については後で述べることにしよう。

さて本作は第4短編集ということもあり、寛容に捉えてもネタ切れの感があると当時は思っていた。例えば、「大法律家の鏡」はもろ「通路の人影」の別ヴァージョンと云える作品だ。作者が得意とする思い込みを利用した逆説を用いた作品(「顎ひげが二つある男」、「マーン城の喪主」)もあり、連続して読んだ身としては小粒感は否めなかった。強いて挙げるとすれば「世の中で一番重い罪」と「マーン城の喪主」が一つ抜きん出いるだろうかというくらいで、それも『~童心』に入っていれば普通くらいの出来だと感じていた。
しかし今回諸作について内容を調べてみると、学生当時に読んだ印象とはまた違った印象を持つ作品もあった。特に「メルーの赤い月」で開陳される山岳導師なる隠者の特殊な心理は、海外で暮らすようになった今では理解できるが、当時はまだ海外はまだしも社会人にもなっていない頃だったので、何なんだこれは!と激昂したに違いない。
また本作には後の黄金期のミステリ作家、特にカーに影響を与えたと思しき作品も見られる。中でも「顎ひげの二つある男」のシチュエーションはあの作品を、「マーン城の喪主」のトリックはあの作品と思い当たる物がある。

しかし本書の注目すべき点は冒頭にも述べたブラウン神父の推理方法だ。彼は自分こそが犯人だという。それは彼が推理する時は自分も犯人になって考えるからだ。彼が犯人だったらこうするだろうと犯人の心理と同化することで事件の真相を見抜くと告げる。
なんとこれは現代の犯罪捜査でいうところのプロファイリングに他ならないではないか。本作が出版された1926年の時点で既にチェスタトンはこの特殊な犯罪捜査方法について言及していることが驚きである。勘繰れば、このチェスタトンの推理方法からプロファイリングが生まれたようにも考えられる。

小学校の時、児童版の名探偵シリーズでお目見えした時は、単に人物が神父というだけで、ホームズやミス・マープルその他と変らないという印象でしかなかったが、本作で神父の推理方法が明かされるに至り、その印象はガラリと変ってブラウン神父という探偵の特異性が見えた。神父ゆえの宗教的観点からの謎解きだけでなく、犯罪者の心理と同化するブラウン神父の推理は全く以って他の探偵とは一線を画するものだ。
確かに各編のクオリティは落ちている(それでも水準はクリアしているが、こっちの期待値が大きいばかりについついこのような云い方になってしまう)が、本作はこの、正に“ブラウン神父の秘密”が判るだけでも意義が高い。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.13:
(5pt)

本を読む時は、眼光紙背に徹して、3度以上は、読むべきであると思います。この言葉の意味するところは、私が小林秀雄から得たものであります。

こんなに、小さくて、偉大な書物が、入手出来ることは、有難いです。
あらゆる対応が、素晴らしいと思います。
ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)より
4488110045
No.12:
(4pt)

人間心理の達人…

ブラウン神父ものの四冊目です。

 人間心理の達人である神父の言葉を(本書から)ご紹介します。
トリックとは無関係です…

 「人はよく目の前にあるものを遠方のものと勘違いして、
ごく身近なもの、多分ご当人によく似たものに気づかないことがあるものです…」
(飛び魚の歌 111ページ)
 文脈とは違いますが、私は、
自分自身の心の特性を、他人の中に映し出して、そして(自分の中で、自分が)反応している…
姿を思い出しました。

 もし犯人が人間心理の達人であるならば、
ブラウン神父はさらにその上をゆく人間心理の達人のようです。
 日頃、人々かの懺悔を聴いている神父という職業柄もあると思いますが、
ブラウン神父の自分自身を見つめる心の目も澄み切っているのでしょう^^;

 どのお話か忘れたのですが、
 ブラウン神父がその真相を解明する手際に驚愕した知人から、
「事件を解決する秘密(秘訣)」を明かすように迫られます。
 それに答えて、神父は、「自分の心を犯人の心を全く同じにできたときにその事件の全貌がわかるのです…」
と説明し、同時に、「犯人の心情と全く一つになり切ることは(自分の)宗教的修行です」と言います。
 神父は「自分がどれだけの悪人であり、どれほどの悪人になりそこなっているかがわからなければ、
もし善人ぶって何をしてもしたかがない」と不思議がる知人に説明しています。

 推理小説としてのトリックに絞りますと、
流石に四冊目ですから、読者も馴染んできて、驚きはやや少なめかもと思います。
 ただ、トリックを抜きにして、神父の「お説教」を読みますと、
作者、チェスタトンの名言、満載という感じです。 

ブラウン神父の秘密【新版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の秘密【新版】 (創元推理文庫)より
4488110169
No.11:
(5pt)

古典には読み継がれるだけの理由がある

パタリロの作者が絶賛していたので、興味を引かれて手に取った。確かに、100年くらい前に書かれた代物とは思えない重厚な作品だった。なにより驚くのはキャラクター造詣の深さ。あぁ、確かにそんな人います!というような癖のある人が次から次へと登場し、その性格さ故に事件が起こる。そして何より、罪を犯した人を非難するだけの人に厳しい言葉を吐き、極悪人でも受け入れるのが我々聖職者の務めなのだと言い切る神父の覚悟に、作品の凄みを見せつけられた。古典になる作品は、古典になるだけの理由がちゃんとあった。このレベルに行きつく現代の作品はどれだけあるだろうかと唸らせる一品。
ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)より
4488110045
No.10:
(5pt)

ブラウン神父最高です。

昨今のどんでん返しが主流の日本の推理(?)小説(ともいうべきほどでない駄文)を書かれている作家たちは、ブラウン神父シリーズを読んだことがあるのでしょうか?最後の一ページで驚かすためだけにそんなに引っ張らなくても、こんなにコンパクトな量で面白い小説はかけるんです。

キリスト教や説教くさいところが鼻に付くという方もいらっしゃるようですが、「マーン城の喪主」などは人と神の許しの違いという解釈を超えて哲学の考え方にも匹敵するものがあります。

ブラウン神父を読んでいると、「一つの事柄に真理は一つしかありえない。」といったデカルトの言葉を思い出します。
シリーズ全編においてブラウン神父のこの考え方が貫かれています。
何事においても自分の信念は曲げない、簡単なようでとても今の時代、それをやろうとするのは難しいです。
頑固とは違うので。
ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)より
4488110045
No.9:
(4pt)

お披露目、神父の推理法

ブラウン神父の名推理が収められた短編集の第4弾です。
本書は、10編の作品から構成されていますが、
第1編の「ブラウン神父の秘密」と
第10編の「フランボウの秘密」は2つで1つの作品となっています。
第1編「ブラウン神父の秘密」で神父の推理法が語られ、
その具体例として、以下の第2編から第9編があり、
事件を語り終えたところで、
第10編「フランボウの秘密」が語られるという
形態となっています。
第4弾となっても、
奇抜な作品が読者を楽しませてくれます。
以下に、各編に対し簡単なコメントを記します。
「ブラウン神父の秘密」
神父独自の推理法とは。初公開。
「大法律家の鏡」
鏡が謎の焦点。神父の指摘する犯人とは。
「顎ひげの二つある男」
なぜ、顎ひげを二つ持っていたのか?
その疑問が真相を導き出す。
「飛び魚の歌」
謎のアラビア風の人物。金魚盗難の真相とは。
「俳優とアリバイ」
神父が挑む、アリバイ崩し。
「ヴォードリーの失踪」
謎を解く鍵はたばこ屋。
意外な動機も盛り込まれています。
「世の中で一番重い罪」
一番重い罪とは。神父、城のお堀に落ちる。
「メルーの赤い月」
ルビーの盗難事件。<山岳導師>とは、何する者ぞ。
「マーン城の喪主」
決闘の意外な真相を神父が推理する。
「フランボウの秘密」
フランボウ、自らを語る。
ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)より
4488110045



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