(短編集)

奇商クラブ



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    初公開日(参考)1977年05月
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    奇商クラブ【新訳版】 (創元推理文庫)

    2018年11月30日 奇商クラブ【新訳版】 (創元推理文庫)

    この結社の会員となるための絶対的な条件は、生計を立てる商売が「まったく新しい商売」であることだ。既存の商売の単なる応用や変種は認めず、かつ純然たる商業的収入源である必要がある――突発的狂気に陥ったとみなされ、隠棲生活を送る元判事バジル・グラントが解き明かす六つの類まれなる謎。チェスタトンがブラウン神父シリーズに先駆けて発表した傑作短編集を新訳で贈る。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

    奇商クラブの総合評価:7.25/10点レビュー 8件。Bランク


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    全2件 1~2 1/1ページ
    No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
    (6pt)

    奇商クラブの感想


     ブラウン神父で知られるチェスタトンの短編集ですね。 旧版は本筋の短編集の他に凄く面白い中編が2つも入ってるらしいのですが今回読んだのは新訳版になります。 奇抜な手法で利益を上げる秘密結社「奇商クラブ」、主人公たちの前に訪れる面妖な人物たちは一体どんな稼ぎの術を・・・?

     奇譚の名にふさわしい六編でした。 自分の職業柄「家宅周旋人」が好み、実際すっごくニッチな分野ありますもの。 世の中が益々便利になっていき、個々の思想が具現化しやすくなった今世紀、如何なる者にも奇商クラブの会員に成り得るのだ。 ★は6つ。

    りーり
    9EDFH0HC
    No.1:
    (10pt)

    奇商クラブも凄いがボーナストラックがまたスゴイ!

    本書は短編集だが、ブラウン神父物ではなく、この1巻だけ活躍するバジル・グラントが探偵役を務める連作物だ。構成は語り手である私が「奇商クラブ」という誰もがやったことのない商売を手がける人たちと邂逅することで出くわす不思議に挑むという連作物だ。そして本作が出来としてどうかというと、これはかなりイイのである。

    ちらっと調べてみると、本作はあの大傑作『ブラウン神父の童心』に先駆けること6年前の1905年に出版されており、先に大絶賛した『木曜の男』と同じ年に出版されている。つまりこの頃のチェスタトンにはかなり語るべき逆説、奇想が頭の中に湛えてあり、その奇想のすごさに驚く。発表後1世紀以上も経っているのに、似たようなネタを見た事がない。とにかく常人には発想できない珍妙な商売ばかりなのだ。
    どんな商売なのかをここで明らかにするとネタバレになるのであえて止すが、とにかく21世紀の今でもない商売ばかりだ。つまり云い換えれば、商売として成り立たないであろう物ばかりだと云える。それもそのはず、ほとんど狂人の商売としか思えないものばかりなのだ。

    そしてそれら奇妙な商売の謎を解き明かすバジル・グラントという人物もそれ相応に変な探偵なのだ。元裁判官だったが、裁判中に法廷で突然発狂して職を辞したという、エキセントリックな人物。つまり毒は毒をもって制す、ならば狂人には狂人をといった趣向の作品集なのだ。
    本作には6編の「奇商クラブ」譚が収録されているが、その中でお気に入りには「家屋周旋業者の珍種目」と「チャッド教授の奇行」が特に秀逸。前者は映像化すれば、最後の真相が実に生えるに違いない1編であり、後者はもうスゴイの一言。云い意味でも悪い意味でもチェスタトンしか思い浮かばないトンデモ商売(?)なのだ。

    ただし本作における真価は実はこの「奇商クラブ」にはない。実は創元推理文庫版ではノンシリーズ物の短編「背信の塔」と「驕りの樹」が併録されているのだが、この2編がすごい作品なのだ。
    両者とも物語のトーンは幻想小説風だが、最後に明かされる真相はそれが故に実に絵的であるし、戦慄すら覚える。一見不合理だと思える狂える人たちの行為が狂人なりの合理的な理由によってなされていることが解るという趣向では「奇商クラブ」とは同趣向だが、物語の迫力というか風格が違う。「背信の塔」は物語冒頭で語られる主人公の当初の目的を読んでいる最中忘れてしまう熱気に溢れ、最後にそれが予想を超えた真相で知らされる。「驕りの樹」は一本の奇妙な樹を巡る話が二転三転し、これも最後に明かされる真相で汗ばんだ手にさらに汗を握らせる。あえて詳しくは書かないでおこう。
    本作を読んだ頃はまだ世間を知らない大学生。今読み返せばその不思議な世界観に包含されたチェスタトンのメッセージが読み取れるかもしれない。それほど深い2編だ。
    本作はこの2編があるが故に私の中では大傑作の短編集となっている。

    Tetchy
    WHOKS60S
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.6:
    (3pt)

    面白い?

    「ブラウン少佐の途轍もない冒険」、「赫々たる名声の痛ましき失墜」、「牧師さんがやって来た恐るべき理由」、「家宅周旋人の突飛な投資」、「チャド教授の目を惹く行動」、「老婦人の風変わりな幽棲」の六編。探偵役と目されるのはバジル・グラントだが、彼が推理を披露することはない。いつも「それは分かっていることだ」という謎の微笑みを浮かべるばかりであり、真相は謎の渦中にいる本人によって明かされる。語り役は「私」であるが、その名前が「スウィンバーン」だと示されるのはようやく第三話においてである。しかもまた、六編すべてに言えることなのだが、謎が明かされても読者は大して驚かない(ような気がする)。それは出来事が浮世離れしていることと、その真相もまたそれに負けず劣らず浮世離れしている、という事情に依るのだろう。
    奇商クラブ【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:奇商クラブ【新訳版】 (創元推理文庫)より
    4488110193
    No.5:
    (1pt)

    某探偵を馬鹿にしたような作品

    本作は某探偵になぞらえるように探偵役と語り部を用意し、奇怪な事件の真相を解き明かすというもの。
    しかし探偵役は自他ともに認める狂人で神秘家という点でエポックメイキングを図ろうとした作品といえるだろう。
    安楽椅子探偵というよりも矢吹駆のような直感系の探偵の走りというべきだろうか。
    作者は推理小説のスタイルに対して一石を投じたかったのかもしれない。
    ただ、正直に申し上げて、書き方が稚拙と言わざるを得ない。

    本作は殺人事件ではなく、怪事件の真相を追う形やそれに巻き込まれる形で進展する。
    そしてその影に潜むのは「奇商クラブ」という秘密結社。
    別に悪の組織ではない。当時の考え方から言うとかなりぶっ飛んだことを生業とする、そういう人たちの連合だ。
    そしてこの小説のオチは、早い話が「奇商クラブの仕業」で終わるのである(厳密にはすべてではないが)
    三話くらい読むと、話のオチが見えるので特に展開に期待などできなくなる。

    さらに、その真相に迫る過程がひどい。
    探偵役の狂人バジルは謎の明察でひとりでに真相に辿り着くが、
    その推理や思考は、神秘学的な経験則だと言って、全く説明しないのである。
    早い話が、名探偵コナンから解説パートを一切合切取り除くようなものだ。
    追い詰めると犯人は勝手に自白し、めでたしめでたしとなる。

    スカスカの中身を埋めるため、語り部が当時の世相や町並みの描写を所々に入れてくるが、
    翻訳があまり上手くないこともあって、正直読んでいくのが辛い。
    中身のある内容ではないため、読むのが面倒になってくるのだ。
    当時の風情を出すにしても、もうちょっと何かなかったのか。

    結局、本作は、頭の悪い中学生が考えた「最強の名探偵」というレベルの代物でしかなかった。
    頭がいいという設定だけがあり、それを表現する能力や知性を、作者自体が有していない。
    スカスカの中身を言葉だけで誤魔化すのは、今の世も昔も変わらないらしい。
    奇商クラブ【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:奇商クラブ【新訳版】 (創元推理文庫)より
    4488110193
    No.4:
    (4pt)

    殺人なし

    表題作「奇商クラブ」は六つの短編集で、
    ブラウン神父シリーズの先駆けであり、パラドキシカルな機知、
    エキセントリックな様相、馥郁たるユーモアなど、
    共通する面も多々ありますが、殺人は起こらない。

    わたし=スウィンバーンが語り手となり、
    元判事の発狂探偵バジル・グラントが先陣をきって奇妙な謎を
    解決します。最後に奇商クラブ会員の仕掛けが明らかになる
    体裁をとっています。しかし、「チャッド教授の奇行」だけは、
    趣を異にしています。

    「家屋周旋業者の珍種目」にハッキリとした推理の手がかりは
    示されるが、その他は希薄で、愉しむべくはパズラーではなく、
    チェスタトン一流の逆説的機知その他にあるといって良い。

    終章のオチは多少予測できるとしてもキマっている。

    中編二作のうち「背信の塔」は、今でこそ古めかしい手だが、
    当時としては斬新だったのではないでしょうか。

    「驕りの樹」は、孔雀の樹に、伝説と現実、二つの属性が与えられる。
    それらを結果的に止揚してしまう首謀者の底意と行為がとても面白い。
    奇商クラブ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:奇商クラブ (創元推理文庫)より
    448811007X
    No.3:
    (5pt)

    ブラウン神父好きにオススメします

    本書は、ブラウン神父シリーズを読んで、著者の魅力に惹かれた方にオススメの一冊。
    ブラウン神父シリーズ発表前の1905年に発表された連作ミステリ【奇商クラブ】と、シリーズ刊行中の1922年に発表された短編【背信の塔】及び中編【騙りの樹】を収録。
    (題名と章立てをコメント欄に記載しました)

    【奇商クラブ】
    会員は、完全に新しい生業の方法を持っており、その商売は生活を支えるに足るものであること−−そんな奇妙奇天烈なクラブの存在を知った、元裁判官バジル・グラントが出遭った事件の数々は、そのクラブの存在を裏付けるものであった…。
    と、いうわけで、各編とも解決編近くで、その突拍子もない「生業」が明らかになるのですが、見方を変えると、爆笑に値する内容であったりもします。
    「チャッド教授の奇行」が傑出した出来でした。

    【騙りの樹】
    「まさか歩く樹の話を本気にしているんじゃありますまい?」−−このセリフを冒頭に引用した作品「樹霊 (ミステリ・フロンティア)」(鳥飼否宇著)で知った本作品ですが、本当に楽しめました。

    「人を喰う樹」の伝説の残るイギリスの一地方では、「孔雀の樹」と呼ばれる灌木が不吉なものとして恐れられていた。
    果たして、村人が熱病に冒され次々と死亡、地主も森の中に分け入ったきり行方不明に…。

    忌まわしい伝説の残る土地で事件が起こり、探偵が「迷信」を打ち破り、合理的解決に導く−−という、ディクスン・カーや横溝正史の作風の原点ともいえるのではないかと思われる本作品、その解決編は、ある意味、逆説的で、著者の本領発揮といったところでしょうか。
    奇商クラブ (1977年) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:奇商クラブ (1977年) (創元推理文庫)より
    B000J8U3TG
    No.2:
    (4pt)

    逆説、奇想、諧謔そして幻想味〜ブラウン神父の前身

    チェスタトンが「ブラウン神父」シリーズの前に発表した作品。「奇商クラブ」には短編六作、他に中篇二作が収められている。「ブラウン神父」と同様、逆説と奇想と諧謔が楽しめる。

    「奇商クラブ」は勿論作者の想像の産物だが、これ自身、奇想の塊である。この会員は次のルールを守らなくてはならないのである。
    (1) それまでにない新しい職業を考えなければならない。
    (2) その職業で生計を立てなければならない。

    この「奇商クラブ」に纏わる一風変わった事件を元裁判官の風流人グラントが解き明かすという趣向である。会員達が従事する職業は正直言って、"奇商"と呼べる程珍奇なものでは無いのだが、物語の中で普通に日常生活を営む常識人と係ると、摩訶不思議な印象を与えるのである。これを一見奇人のグラントが逆説めいた言辞で次々と解く様は爽快である。物事の見かけに騙されるのではなく、裏にある真実を突く姿勢はまさにブラウン神父そのものである。物質文明・階級社会に対する批判精神も健在。最終第六話で作品全体の意匠が明らかにされるという凝った趣向。「背信の塔」は"仮想"の国トランシルヴァニアの辺境で起こる宝石紛失事件を、スティーヴン神父(=ブラウン神父の前身)が逆説的論理で、身を挺して解決する幻想的物語。「驕りの樹」はケルト地方の南海岸に生える人食い木と恐れられる"孔雀の樹"に纏わる神秘的物語。幻想と現実が交錯する傑作。

    逆説、奇想、諧謔、そして幻想味に溢れた、「ブラウン神父」シリーズに劣らない珠玉の短編集。
    奇商クラブ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:奇商クラブ (創元推理文庫)より
    448811007X



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