(短編集)
歌うダイアモンド
- SF (392)
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アメリカの作家、ヘレン・マクロイの短篇集。 収録作はミステリかSFですが、この作家をミステリの専門だと思っていたので、SFの作品があるのが意外でした。 すべての作品に通底する物があるとすると、解説でも触れられておりますが、当時の冷戦の影響か漠然とした不安が感じられました。アメリカとソ連で一触即発の時代だったので、そういう心理が反映された作品が多い様に思えました。 ミステリで「鏡もて見るごとく」は後で「暗い鏡の中に」として長篇になりましたが、両方読んだ人間から考えると、長篇の方を先に読んだ方がいいように思えました。短篇も長篇もどちらも完成度が高いですが。 「歌うダイアモンド」はミッシング・リンクのミステリとしては導入部の謎がこれ以上にないくらい強烈ですが、最後は一応合理的に解決するので感心しました(若干の疑問もありましたが)。 時間が経って、この人の長篇が殆ど翻訳されましたが、出来にばらつきがありますが、基本的には才能のある人だった様で、SF、ホラー、ミステリ等何を書いても一級の物を書けた人だったらしいです。 ある作品の感想で、本質的にはホラーの作家で、時代の性でミステリを書かないといけなかった(生きていけなかった)のでは、と書き込みましたが、ミステリとしての合理性も結構そつなく書けた人という事で、自説を若干修正しないといけないかも、とも思いました(いい加減ですいません)。 マクロイという人の才能が判る短篇集。是非ご一読を。 | ||||
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是非皆さん、読んでみてください・・ と演説したいくらいです。 財布にどっさりの万札やらドル札 が・・・・あけてみたら、そうだった とびっくりします。 そのあと、十分に堪能することと なります。 その価値を。 | ||||
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バリエーション豊かな9作品を収めた短編集で、どの作品も大変楽しめました。 10ページ強のショートショートから、30〜40ページ前後の短編、さらには、最終話の「人生はいつも残酷」は100ページ近い中編と、大小種々のページ数の作品が織り交ぜられています。 また、4人の方が翻訳にあたられていて、多様な文調を楽しむこともできると思います。 作品のジャンルとしても、ミステリはもちろん、SF、心理サスペンス、純文学、社会小説と多岐にわたります。 私は、普段はミステリ主体に読んでいますが、他ジャンルの作品も充分に楽しめました。 (ミステリ以外の作品も、何らかのかたちで、ミステリ的な色合いがはいっていたからだと思います) 一話読むごとに、もう一話、と、ページをめくる手がとまりませんでした。 種々の作品を楽しみながらも、私としては、「鏡もて見るごとく」と、表題作の「歌うダイヤモンド」が良かったです。探偵役の精神分析医、ベイジル・ウィリング博士の見事な考察、分析を堪能しました。 騙される側の人間の錯覚や、心理状態、悪事を働く人間の動機、思惑、行動パタンをズバリ言い当てる活躍ぶり、「精神分析医」というキャラクタ設定が非常に活きていたと思います。 巻末の千街昌之氏による解説も、大変良かったです。 作品の時代背景や大家による論評の紹介、そして、各作品を見事に深堀した解説と、読後の満足感を一層高めてくれたと思います。 | ||||
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[収録作品] 東洋趣味 (シノワズリ) Q通り十番地 八月の黄昏に カーテンの向こう側 ところかわれば 鏡もて見るごとく 歌うダイアモンド 風のない場所 人生はいつも残酷 《クイーンの定員》にも採られたマクロイ自選短篇集 The Singing Diamonds and Other Stories (原著1965年刊行)に中編「人生はいつも残酷」(1949年発表)を併録した晶文社版(2003年初版)の文庫化再刊。 佐藤春夫も賞賛した、清朝末期を舞台とした歴史ミステリ「東洋趣味」は再三味わうに値する美しい名品。中国美術の豊かな造詣に裏付けられた見事なディテールに感嘆、そして結末に漂う東洋的な無常感は読み返す度に心に沁み渡る。 陰鬱なディストピア物の「Q通り十番地」、ブラッドベリのようにノスタルジックな「八月の黄昏に」、星新一の某作品を連想するユーモラスなファーストコンタクト物「ところかわれば」、世界滅亡を主題としながら一遍の詩の如く美しい「風のない場所」といったSF、悪夢的な心理サスペンスの傑作「カーテンの向こう側」などにおける筆致はまるで細密画のように繊細、さらに巻末の「人生はいつも残酷」では作者の最大の長所である素晴らしい伏線の妙が堪能出来る。 だがその本領が真に発揮されているのは代表作『暗い鏡の中に』の原型となった「鏡もて見るごとく」や「歌うダイアモンド」といった精神分析医ベイジル・ウィリング探偵譚だろう。ドッペルゲンガーや未確認飛行物体にまつわる怪死という奇怪極まりない謎が快刀乱麻を断つように解けた後でも読者の心に論理だけでは割り切れぬ深い余韻を残し続ける。その心理の綾を精緻に織り込んだ小説としての深みと巧みなミステリとしての愉しさをエレガントに両立した手腕は他の黄金時代の巨匠と比較しても類のない別格な存在だ。 本書の解説において千街晶之氏が作者を評して不安の詩神(ミューズ)と名付けているのは正に言い得て妙に思える。 | ||||
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◆「東洋趣味(シノワズリ)」 時は19世紀後半。 大晦日のペキン。 日本公使館での除夜の舞踏会に向かっていたロシア公使ヴォルゴルーギイの 妻である、若干17歳の幼な妻オルガ・キリーロヴナが、忽然と姿を消す。 どうやら、ヴォルゴルーギイが最近入手した、王維の「四流図」の一つ、 「川流図」が、オルガの失踪に影を落としているようだ。 公使館附陸軍武官アレクセイとチャーリイこと「わたし」は、 山水図巻のもとの所有者である皇帝の孫を訪ねるのだが……。 歴史ミステリにして美術ミステリでもある本作。 知的興味を刺激してくれるだけでなく、 当時のペキンが醸しだす、 匂い立つような幻想性や怪奇性を再現してみせる著者の流麗な 筆致、そして、訳者の精緻な仕事ぶりには脱帽です。 | ||||
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