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(短編集)
歌うダイアモンド
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歌うダイアモンドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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アメリカの作家、ヘレン・マクロイの短篇集。 収録作はミステリかSFですが、この作家をミステリの専門だと思っていたので、SFの作品があるのが意外でした。 すべての作品に通底する物があるとすると、解説でも触れられておりますが、当時の冷戦の影響か漠然とした不安が感じられました。アメリカとソ連で一触即発の時代だったので、そういう心理が反映された作品が多い様に思えました。 ミステリで「鏡もて見るごとく」は後で「暗い鏡の中に」として長篇になりましたが、両方読んだ人間から考えると、長篇の方を先に読んだ方がいいように思えました。短篇も長篇もどちらも完成度が高いですが。 「歌うダイアモンド」はミッシング・リンクのミステリとしては導入部の謎がこれ以上にないくらい強烈ですが、最後は一応合理的に解決するので感心しました(若干の疑問もありましたが)。 時間が経って、この人の長篇が殆ど翻訳されましたが、出来にばらつきがありますが、基本的には才能のある人だった様で、SF、ホラー、ミステリ等何を書いても一級の物を書けた人だったらしいです。 ある作品の感想で、本質的にはホラーの作家で、時代の性でミステリを書かないといけなかった(生きていけなかった)のでは、と書き込みましたが、ミステリとしての合理性も結構そつなく書けた人という事で、自説を若干修正しないといけないかも、とも思いました(いい加減ですいません)。 マクロイという人の才能が判る短篇集。是非ご一読を。 | ||||
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是非皆さん、読んでみてください・・ と演説したいくらいです。 財布にどっさりの万札やらドル札 が・・・・あけてみたら、そうだった とびっくりします。 そのあと、十分に堪能することと なります。 その価値を。 | ||||
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バリエーション豊かな9作品を収めた短編集で、どの作品も大変楽しめました。 10ページ強のショートショートから、30〜40ページ前後の短編、さらには、最終話の「人生はいつも残酷」は100ページ近い中編と、大小種々のページ数の作品が織り交ぜられています。 また、4人の方が翻訳にあたられていて、多様な文調を楽しむこともできると思います。 作品のジャンルとしても、ミステリはもちろん、SF、心理サスペンス、純文学、社会小説と多岐にわたります。 私は、普段はミステリ主体に読んでいますが、他ジャンルの作品も充分に楽しめました。 (ミステリ以外の作品も、何らかのかたちで、ミステリ的な色合いがはいっていたからだと思います) 一話読むごとに、もう一話、と、ページをめくる手がとまりませんでした。 種々の作品を楽しみながらも、私としては、「鏡もて見るごとく」と、表題作の「歌うダイヤモンド」が良かったです。探偵役の精神分析医、ベイジル・ウィリング博士の見事な考察、分析を堪能しました。 騙される側の人間の錯覚や、心理状態、悪事を働く人間の動機、思惑、行動パタンをズバリ言い当てる活躍ぶり、「精神分析医」というキャラクタ設定が非常に活きていたと思います。 巻末の千街昌之氏による解説も、大変良かったです。 作品の時代背景や大家による論評の紹介、そして、各作品を見事に深堀した解説と、読後の満足感を一層高めてくれたと思います。 | ||||
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[収録作品] 東洋趣味 (シノワズリ) Q通り十番地 八月の黄昏に カーテンの向こう側 ところかわれば 鏡もて見るごとく 歌うダイアモンド 風のない場所 人生はいつも残酷 《クイーンの定員》にも採られたマクロイ自選短篇集 The Singing Diamonds and Other Stories (原著1965年刊行)に中編「人生はいつも残酷」(1949年発表)を併録した晶文社版(2003年初版)の文庫化再刊。 佐藤春夫も賞賛した、清朝末期を舞台とした歴史ミステリ「東洋趣味」は再三味わうに値する美しい名品。中国美術の豊かな造詣に裏付けられた見事なディテールに感嘆、そして結末に漂う東洋的な無常感は読み返す度に心に沁み渡る。 陰鬱なディストピア物の「Q通り十番地」、ブラッドベリのようにノスタルジックな「八月の黄昏に」、星新一の某作品を連想するユーモラスなファーストコンタクト物「ところかわれば」、世界滅亡を主題としながら一遍の詩の如く美しい「風のない場所」といったSF、悪夢的な心理サスペンスの傑作「カーテンの向こう側」などにおける筆致はまるで細密画のように繊細、さらに巻末の「人生はいつも残酷」では作者の最大の長所である素晴らしい伏線の妙が堪能出来る。 だがその本領が真に発揮されているのは代表作『暗い鏡の中に』の原型となった「鏡もて見るごとく」や「歌うダイアモンド」といった精神分析医ベイジル・ウィリング探偵譚だろう。ドッペルゲンガーや未確認飛行物体にまつわる怪死という奇怪極まりない謎が快刀乱麻を断つように解けた後でも読者の心に論理だけでは割り切れぬ深い余韻を残し続ける。その心理の綾を精緻に織り込んだ小説としての深みと巧みなミステリとしての愉しさをエレガントに両立した手腕は他の黄金時代の巨匠と比較しても類のない別格な存在だ。 本書の解説において千街晶之氏が作者を評して不安の詩神(ミューズ)と名付けているのは正に言い得て妙に思える。 | ||||
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◆「東洋趣味(シノワズリ)」 時は19世紀後半。 大晦日のペキン。 日本公使館での除夜の舞踏会に向かっていたロシア公使ヴォルゴルーギイの 妻である、若干17歳の幼な妻オルガ・キリーロヴナが、忽然と姿を消す。 どうやら、ヴォルゴルーギイが最近入手した、王維の「四流図」の一つ、 「川流図」が、オルガの失踪に影を落としているようだ。 公使館附陸軍武官アレクセイとチャーリイこと「わたし」は、 山水図巻のもとの所有者である皇帝の孫を訪ねるのだが……。 歴史ミステリにして美術ミステリでもある本作。 知的興味を刺激してくれるだけでなく、 当時のペキンが醸しだす、 匂い立つような幻想性や怪奇性を再現してみせる著者の流麗な 筆致、そして、訳者の精緻な仕事ぶりには脱帽です。 | ||||
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2つ星の方に同感です。 「シノワズリー」と「鑑もて見るごとく」は楽しかったですが・・・ 「古典の名作」はそうかもしれないが、全てが面白いわけではないし、 読みにくいものも。これは時代性だと思う。 猟奇事件が日常化した現代からみたら、やや幼稚に見えるものも。 ただし、シノワズリーは耽美な植民地小説として読むと確かに傑作。 腐敗しきったとはいえ崩壊まではまだ30-40年残っていた頃の清の都で、 何もすることもなく、帰還命令の出る見込みもない各国の外交担当者の 欝な気だるさの描写は絶妙。 | ||||
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ごめん、これSFじゃないです。推理小説でした。もう型にはまってるから逃げ場が無いねSF好きにはあまり価値のない本です孤島にたどり着いたときにこの本しかなかったら、しかたなく読むかもしれない | ||||
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ここ数年で、何作かが邦訳紹介されたり復刊されたりで再評価されつつあり(というより、今までは読みたくてもなかなか読めずに評価できなかった)、全貌とまではいかなくともその横顔は少しずつ見えてきた感のあるヘレン・マクロイの短編集です。短編8作、中編1作の構成で、収録短編のうち半数の4作がSF、これがとってもできがよくおもしろい。もちろん本業(?)のミステリも、代表短編とされる19世紀後半の中国を舞台にした『東洋趣味(シノワズリ)』、シリーズ探偵の精神分析医ベイジル・ウィリングが連続殺人とUFOとの謎を解く『歌うダイアモンド』、長編『暗い鏡の中に』の原型となったドッペルゲンガー・もう一人の自分ものの『鏡もて見るごとく』などなど奮闘はしているものの、日本でだったら都筑道夫か筒井康隆が書いていそうな、価値観の違う異星人どうしのファーストコンタクトを描いた『ところかわれば』、近未来の世界をサスペンスあふれるタッチで書いた『Q通り十番地』、静かに静かに人類の滅亡を描き余韻嫋々たる『風のない場所』(本書のベスト!)とSF側に傑作が目白押し、どうしてもミステリのほうが霞んで見えてしまいます。ミステリ作家として知っていたので、とても意外で驚きました。作者の違った横顔を発見・楽しむことのできる一冊です。 | ||||
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最近晶文社から出たイーリイの「ヨットクラブ」と続けて読んだが、この本は「ヨットクラブ」と甲乙付けがたい面白さだった。とくに「ところかわれば」という短篇は、地球人と火星人がはじめて対面する話なのだが、女性にしか書けないであろう皮肉がきいておりかなり笑った。古典的な(というか古くさい)謎解き小説もそれなりに楽しめるし、実に多彩な才能を持った女性作家だなーと感心しきり。 | ||||
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日本では好事家から評判がいい割には、紹介された本は少ないという不思議な作家、ヘレン・マクロイの短編集歴史物で、マクロイの最高傑作とされる、北京を舞台にした人間消失物「東洋趣味」をはじめウィリング博士が活躍する本格推理小説クイーン短編コンテストで入選したサスペンスものSFとマクロイの好きな作品を集めた内容になっています別れた夫ブレッド・ハリデーによる序文も掲載 | ||||
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