(短編集)

ブラウン神父の知恵



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初公開日(参考)1960年01月
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短編集

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ブラウン神父の知恵【新版】 (創元推理文庫)

2017年03月21日 ブラウン神父の知恵【新版】 (創元推理文庫)

トリックの凄みでは、名作揃いの巨匠チェスタトンの作品でも十指にはいるほど優れている「通路の人影」、ポオの「盗まれた手紙」にも比肩する「銅鑼の神」など、いずれ劣らぬ名作12編を収録する。不格好で小柄、手にした帽子と蝙蝠傘をまるで大荷物のように扱いかねている――とても名探偵とは思えぬ外見のブラウン神父が語る事件の真相は、読むものを度肝を抜く! 名シリーズの第二作が、読みやすく新しいカバーでリニューアル。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

ブラウン神父の知恵の総合評価:7.92/10点レビュー 13件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
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(9pt)

『~童心』よりは劣るものの…

さて第1短編集の余勢を買って、私は次の日には5冊のシリーズ全てを本屋で買ってしまった。ずらりと並んだ5冊のブラウン神父シリーズに満悦の笑みをこぼしたものだった。
が、しかし本作は総合してみると『~童心』よりは落ちるという評価になる。というよりも『~童心』が凄すぎたということでもあるが。
しかしそれでもなお、本作には後のミステリ・シーンに多大なる影響を与えた作品が収録されている。

収録作12作中、白眉なのは「ペンドラゴン一族の滅亡」と「銅鑼の神」と「ブラウン神父の御伽噺」。

「ペンドラゴン~」は祖先が船乗りで海賊でもあったペンドラゴン家に伝わる因縁をバックグラウンドにしており、ブラウン神父らが同家の屋敷を訪れたところ、ちょうど若き当主が航海から帰ってくるところだった。しかしその夜、同家にある塔が火事になる。ジプシーの協力で危うく消し止めたブラウン神父が語った真相に驚嘆した。

「銅鑼の神」は冒頭からなにやらおどろおどろしい印象が強く、特にブラウン神父らがひょんなことから台座の下に隠された死体を発見し、街中の人間に追い掛け回されるというシチュエーションが怖かった。そして明かされる真相もオカルティックで寒気がした。

そして短編集最後を飾る「~御伽噺」は公民の報復を恐れて城から一歩も出ない独裁者がなぜ城の外で射殺されたのかという謎を扱っており、これが見事に裏返って不可解な状況が納得のいく論理、しかも想像を超えた内容であったのが実に印象に残った。
最後の「~御伽噺」のチェスタトン的逆説とも呼べる論理はこれ以降も様々なヴァリエーションで繰り広げられる。そしてこの3編に共通する、一種狂人の論理とも云うべき内容は日本の作家、特に泡坂妻夫氏の作品に多々見られる。

その他については寸評を。

女性が話していたグラス氏という男性。しかし部屋を覗いてみるといつもそこには女性しか折らず、彼は忽然と姿を消していた。そしてある日グラス氏は女性の婚約者を紐で縛り、そのまま逃走してしまう。果たしてグラス氏とは何者なのかという謎は魅力的な「グラス氏の失踪」だが、真相はかなり腰砕けでジョークとしか思えない。でも今でも記憶に残っているのはやはりインパクトがあったのか。

「泥棒天国」は山越え途中で起きた馬車強盗事件に隠された裏のストーリーが実にチェスタトンらしい。

無音火薬の発明家とそれを中傷する愛国者の決闘という、実にチェスタトンらしいシチュエーションの「ヒルシュ博士の決闘」もミステリ初心者だった当事の私にはあっと驚く結末だった。

殺人犯の目撃者の証言が全て食い違っているという「通路の人影」も蓋を開けてみればほとんど子供騙しなトリックでビックリするが、こういう誰もが思いつくけれど敢えてそれを推理小説のネタにしないような物まで作品に投影するチェスタトンの貪欲さにかえって感心してしまう。

「器械のあやまち」は嘘発見器が犯した過ちを扱ったもので、これにインスパイアされて乱歩は「心理試験」を創作したのか、などと勘ぐったりしてみる。

「シーザーの頭」は遺産相続された3人兄妹に起きる恐喝事件の意外な真相を、「紫の鬘」は同様に紫の鬘を被った男の意外な正体を、独特のロジックで解き明かす。

そして自分の作ったサラダで危うく毒殺されそうになる「クレイ大佐のサラダ」もそこに至るまでのシチュエーションが特異だし、「ジョン・ブルノワの珍犯罪」も殺された卿が死に際に残したメッセージから犯人が最初から解ってはいるものの、そこに隠された意外な論理はチェスタトンが得意とする逆説だ。

単なるワンアイデア物なのに退屈しないのは全編これペダントリーに満ちていて、愉悦の読書を提供してくれるからだ。正直云って、トリックは推理クイズの域を脱しない物も多いが、それを包む物語のガジェットが実にヴァリエーション豊かであることがその陳腐さを上手く覆い隠している。これはやはりチェスタトンという博学者ならではの芸当だ。そして読みにくい訳も相まって、読み終わった後になんだか読む前よりもえらくなった気がするのもこのシリーズを読む理由になったのかもしれない。
そんな興奮を持ちながら私はこのあともシリーズを読み続けるのである。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.12:
(5pt)

動画サイトが面白かった

古典文学として…、なぜか見落としていまして。
動画サイトで、9シリーズ全話みて、長編が多いミステリーにもかかわらず、短い時間でとても面白かったんですよ。キャラクターもおなじみになってまして。
 ?これはもう原作を必読しなくてはならないと思い、手始めに一冊。です。
ブラウン神父の知恵 (創元推理文庫 (110-2))Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の知恵 (創元推理文庫 (110-2))より
4488110029
No.11:
(2pt)

意外に読みにくい。

短編集なので軽く読めるかと思って手に取ったが、意外に読みにくい。ストーリーの場面が目に浮かばず読み進むうちに結論になる。いまいちスッキリ感が得られない。途中で、全部読まなくてもいいかな⁉️と思った。実際、途中で止めた。悪くないが、星4つ付けるほど、お勧めできない。
ブラウン神父の知恵 (創元推理文庫 (110-2))Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の知恵 (創元推理文庫 (110-2))より
4488110029
No.10:
(4pt)

チェスタトン独特の世界を堪能できる第二短編集

ブラウン神父ものの第二短編集。
今回もブラウン神父が独自に活躍する短編が12編収録されています。その短編も不条理サスペンスや逆説に満ちた本格推理小説で最初から最後まで楽しく読めます。
ただ、今作は前作より推理小説的な興趣が若干薄れている様にも思えたので、前作よりも☆を一つ減らしました。と言っても、つまらない訳ではまったくなく、他の作家に真似出来ないチェスタトン独特の世界観や推理小説を堪能出来ました。
収録作品中、ある短編の謎解きが日本語でしか成立しない様な翻訳になっていて驚きました。原文ではどうなっているのか、ちょっと気になりました。興を削ぐのであまり書けませんが。解説のチェスタトン特有のパラドクッスに関する論考も面白く、必読だと思います。
何より驚くのは原著刊行から100年経っているという事実で、それぐらいの時間が経過しても示唆に富む面白い小説として残っている事には軽い衝撃さえ感じます。
チェスタトン独特の世界が堪能できる短編集。機会があったら是非。
ブラウン神父の知恵 (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の知恵 (ちくま文庫)より
4480432760
No.9:
(4pt)

今のミステリーの祖

今のミステリーでごく当たり前のようにやっていることを、全部このシリーズで やっているというのは、本当に賞賛に値すると思う。
ブラウン神父の知恵 (創元推理文庫 (110-2))Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の知恵 (創元推理文庫 (110-2))より
4488110029
No.8:
(4pt)

奇想天外、快進撃

ブラウン神父の名推理が収められた短編集。第2弾です。
刊行は1914年と、
第1短編集「ブラウン神父の童心」から3年後です。
このブラウン神父譚の特徴的な点は、
「奇想天外」な発想と物語展開。
21世紀の現在から見ても、
奇抜で斬新な物語に、ただただ驚くばかりです。
以下に、本書に収められた12編について、簡単なコメントを記します。
「グラス氏の失踪」密室で縛られた男の謎。グラス氏はどこへ消えたのか?
「泥棒天国」神父達の一行が山賊に襲われた・・・!
「ヒルシュ博士の決闘」ヒルシュ博士と愛国者デュボスクは決闘するのか?
「通路の人影」○○を使ったトリック。不気味な通路の人影は犯人なのか?
「器械のあやまち」嘘発見器が間違えたのは、なぜ?
「シーザーの頭」ローマ貨幣の収集をめぐる謎。
「紫の鬘」鬘を強引に取ってみたら、そこに現れたものは?
「ペンドラゴン一族の滅亡」一族の財産の行方と、奇想天外なトリック。
「銅鑼の神」神父曰く”人を殺すなら○○の時よりも・・・”得意の逆説。
「クレイ大佐のサラダ」銃声とくしゃみ。奇妙な取り合わせの謎。
「ジョン・ブルノワの珍犯罪」珍犯罪とは、ホントに変な事件なんです。
「ブラウン神父のお伽噺」独裁者オットー公が銃殺されて・・・。
ブラウン神父の知恵 (創元推理文庫 (110-2))Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の知恵 (創元推理文庫 (110-2))より
4488110029



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