木曜の男



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初公開日(参考)1960年01月
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長編小説

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木曜の男 (創元推理文庫 101-6)

1960年01月01日 木曜の男 (創元推理文庫 101-6)

無政府主義者の秘密結社を支配している、委員長〈日曜日〉の峻烈きわまりない意志。次々と暴露される〈月曜〉、〈火曜〉……の各委員の正体。前半の奇怪しごくな神秘的雰囲気と、後半の異様なスピードが巧みにマッチして、謎をいっそう奥深い謎へとみちびく、諷刺と逆説と、無気味な迫力に満ちた逸品として、一世を驚倒させた著者の代表作! (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点10.00pt

木曜の男の総合評価:8.06/10点レビュー 36件。Bランク


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No.1:6人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

非常に人を選ぶ傑作です。

光文社古典新訳文庫から本書の新訳版『木曜日だった男』が出版されたことを知った時は驚いた(書影もそちらになってますね。私が読んだのは創元推理文庫版)。あれほど癖の強い、あくの強い作品を新訳版で出す光文社の編集部の見識をまず疑った。この光文社のシリーズは商業的にも意義的にも世の読書家に好評をもって迎えられているらしく、その余勢を買ったあまりの無謀な行為ではと疑ったのである。
しかしネットでの書評を読むと意外と良好のようで、不評コメントは私が調べた限りでは見当たらなかった。

で、本作は間違いなく傑作である。しかし残念ながら万人に推奨できる傑作ではない。これを初チェスタトンとして選ぶとしたら、その後その人はチェスタトンと訣別するのではないだろうか。なぜならば一読しても、訳が解らないからだ。

物語はガブリエル・サイムなる詩人が無政府主義者と論争になるところから始まる。主人公詩人!しかも相手は無政府主義者!もうこれだけでクラクラだ。
この「クラクラ」には二種類の意味がある。
1つは文字通り、理解不能という意味でのクラクラ。もう1つはこのチェスタトンならではの人物設定に対する酩酊感のクラクラである。
実は私はこの本を2回読んでいる。したがって上述のクラクラ感は正に私が抱いた感覚なのである。

さて物語はサイムが「日曜」と名乗る人物が議長を務める無政府主義者集団に加わる。実はサイムはロンドン警視庁の公安警察官であり、彼はこの無政府主義者集団を壊滅するために送られたスパイなのだ。
そして彼は「日曜」から「木曜」と名づけられる。そう、他のメンバーにはお察しの通り、「月曜」から「金曜」という委員会がいるのだ。そしてサイムはこのメンバーと接触していくのだが、実に意外な展開が待っている。
そして最後に残った議長「日曜」を追い詰めるサイム。しかしそこで明らかになる驚愕の事実!そして・・・。
このオチ―あえて真相と云わない―を知ったその瞬間、読者はきっと呆気に取られるだろう。そして唐突に訪れるカタストロフィに似た結末に呆然とせざるを得ない。

通常ならば駄作のレッテルを貼られるべき作品なのだが、チェスタトンの作品を読んできた者ならばこの作品は甘美な麻薬の如き魅力に満ち満ちているのだ。
上で述べたプロットを彩るのは全編これ、チェスタトンの哲学、逆説、宗教論とあらゆる思想論だ。サイムをチェスタトンの代弁者にし、事ある毎に登場人物と議論を重ねる。リアリティという観点から極北の位置に存在する人物たちはもちろんそんなサイムを変な奴だと一笑に付せず、論破しようと議論でもって対決する。この議論が実に面白い。いや正直に云えば1回目の読書では全く読みにくくてしょうがなかった。さらにその難解な文章の合間を縫うように展開するストーリーもまた曲者であり、何がなんだか解らないうちに1回目の読書は終ったと云えよう。
しかし2回目に読むとこの難解さが逆に心地よくなってくるのだから不思議だ。恐らくそれは免疫が出来たのだろう。だからチェスタトンが読者に放つ悪夢としか思えないクライマックスシーンも実に愉しめるようになる。特に本書では一般大衆と警察が入り混じって大勢サイムを追いかけるシーンは悪夢さながらも一歩間違えば喜劇である、そんな余裕まで感じられるようになる。

つまりこれはチェスタトンしか書けない奇書なのだ。それを愉しめるかどうかはまず本書を当たる前に「ブラウン神父シリーズ」を先に当たってもらいたい。その後なおチェスタトンを読みたいのであればこれは本当に読むべき作品である。
数少ないチェスタトンの長編という意味でも貴重な1冊。当時私は創元推理文庫版の難解な訳にてこずったが、今は光文社から新訳版が出ている。今からこの作品に遭遇する人はなんと恵まれた人たちなんだろうと私は思わずにはいられない。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.35:
(3pt)

逆説が物語の基盤

書庫整理のため再読.
 創元「推理」文庫の一冊ではあるが,推理小説というよりサスペンス小説.
 逆説が物語の基盤となっているという点では,『新ナポレオン奇譚』の系譜に連なるといえるかも.



 以下,特に興味深かった箇所;

・「われわれは教育がないものが一番危険な犯罪者だという,上品ぶった英国人の考え方を否定します.
 我々はローマの皇帝たちや,人を毒殺するのが得意だったルネッサンス時代の偉大な君主たちのことを忘れていなくて,最も危険な犯罪者は教育がある人間であることを主張します.
 そして今日最も危険な犯罪者は,法というものをいっさい無視する現代の哲学者だと言います.
 それに比べれば,強盗や重婚者は本質的には極めて道徳的な人たちなので,私はそういう人たちがかわいそうでたまらないんです.
 そういう人たちは,人間というものの根本的な概念は認めているんで,ただその求め方が間違っているに過ぎません.
 泥棒は財産というものを尊重していて,ただそれを完全に尊重するために,自分のものにしたいだけなんです.
 しかし哲学者は財産の観念そのものを嫌って,私有財産などというものをいっさい無くしたがっているんです.
 重婚者は結婚というものを尊重しています.
 でなければ,重婚するためのきわめて儀礼的で,そして宗教的でさえある手続きをとるはずがありません.
 しかし哲学者は,結婚を結婚というものとして軽蔑しています.
 人殺しは,人間の命を尊重しています.
 ただ,自分自身の命をもっと充実させたくて,人殺しには自分ほどの価値がないと思える他人の命を犠牲にするだけなんです.
 ところが,哲学者は他人のだけでなくて,自分の命まで軽蔑します」(p.56-57)

・「貧乏な人間は反抗はしたことはあるが,無政府主義者だったことは一度もないんだ.
 誰よりも貧乏な人間は,秩序というものに関心を持っている.
 貧乏な人間は本当に国のことを思わずにはいられないので,金持ちはそんなことはない.
 いつだってヨットでニューギニアまで逃げていける.
 貧乏なものは時には悪政に反対したことがあるが,金持ちは政治そのものに反対なんだ.
 貴族がやったいくつもの戦争でも分かる通り,貴族は昔から無政府主義者だったんだ」(p.162)

 本書に登場するロジックは,多かれ少なかれだいたいこんな感じ.



 ありきたりの小説に満足できなくなった人向け.
木曜の男 (創元推理文庫 101-6)Amazon書評・レビュー:木曜の男 (創元推理文庫 101-6)より
4488110061
No.34:
(3pt)

サスペンスファンタジー

ブラウン神父ものを読んでいるので、チャスタトンの少し変わった作風は、昔から感じていたところである。
さて、本書についてであるが、諧謔と逆説をふんだんに盛り込んだ、サスペンスファンタジーという感じの作品である。
物語の出だしは情景描写が細かすぎて、読みながら適当なイメージを浮かべながら何とか読み進めていくと、中盤から少しサスペンスを感じさせる展開に。
後半からファンタジー映画さながらの活劇風な流れになって、クライマックスの展開を期待させるが、最後の落ちはやや想像できる範囲だったので、少し残念。
物語全体として、作者が主張したかった事があったと思うが、小生にはいささか読解力不足。優れた作品なんだろうなぁ、と感じたが、小生の評価は並。
木曜の男 (創元推理文庫 101-6)Amazon書評・レビュー:木曜の男 (創元推理文庫 101-6)より
4488110061
No.33:
(3pt)

ドキドキハラハラのサスペンス小説。

ミステリー小説好きなので一気読みできる作品です。 
緊張感とサスペンスならではのワクワク感が味わえます。
ただしラストが韓国ドラマみたいな感じの終わり方に納得がいきませんでした。
木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)より
4334751571
No.32:
(5pt)

読んでみて良かった

思索が坂道を転がっていくような話で、笑える箇所も多い。一時の妄想のようだったラストも閑静な雰囲気で読後感がある。
木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)より
4334751571
No.31:
(4pt)

思想小説というが

なぜ、この小説が思想小説なのか、その場合、思想とは何か、そこにふれられた感想はないようだ。秩序と反秩序との錯綜した戦いを、詩人と無政府主義に対比させて描いている。ミルトンの「失楽園」とダンテの「神曲」の思想をチェスタトンがおのれのものとして描いた奇抜でいて深遠な小説。言うまでもなく旧訳創世記の第一章の創造の七日間を六人の刑事と謎の怪物である日曜で七人に割り当てているので、必読である。秩序と反秩序の関係は人類の永遠の課題だから、物語に深みがあるが、単なるうわべだけで読んだら、矛盾だらけのドタバタの稚拙な小説であろう。出来れば南條訳も参照したい。思想小説であればこそ別訳も読みたい。主人公サイムはSAME、同じという意味、南條訳では相変わらずと訳している箇所がある。これも一つの参考になる。
木曜の男 (創元推理文庫 101-6)Amazon書評・レビュー:木曜の男 (創元推理文庫 101-6)より
4488110061



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