木曜の男
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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光文社古典新訳文庫から本書の新訳版『木曜日だった男』が出版されたことを知った時は驚いた(書影もそちらになってますね。私が読んだのは創元推理文庫版)。あれほど癖の強い、あくの強い作品を新訳版で出す光文社の編集部の見識をまず疑った。この光文社のシリーズは商業的にも意義的にも世の読書家に好評をもって迎えられているらしく、その余勢を買ったあまりの無謀な行為ではと疑ったのである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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書庫整理のため再読. 創元「推理」文庫の一冊ではあるが,推理小説というよりサスペンス小説. 逆説が物語の基盤となっているという点では,『新ナポレオン奇譚』の系譜に連なるといえるかも. ▼ 以下,特に興味深かった箇所; ・「われわれは教育がないものが一番危険な犯罪者だという,上品ぶった英国人の考え方を否定します. 我々はローマの皇帝たちや,人を毒殺するのが得意だったルネッサンス時代の偉大な君主たちのことを忘れていなくて,最も危険な犯罪者は教育がある人間であることを主張します. そして今日最も危険な犯罪者は,法というものをいっさい無視する現代の哲学者だと言います. それに比べれば,強盗や重婚者は本質的には極めて道徳的な人たちなので,私はそういう人たちがかわいそうでたまらないんです. そういう人たちは,人間というものの根本的な概念は認めているんで,ただその求め方が間違っているに過ぎません. 泥棒は財産というものを尊重していて,ただそれを完全に尊重するために,自分のものにしたいだけなんです. しかし哲学者は財産の観念そのものを嫌って,私有財産などというものをいっさい無くしたがっているんです. 重婚者は結婚というものを尊重しています. でなければ,重婚するためのきわめて儀礼的で,そして宗教的でさえある手続きをとるはずがありません. しかし哲学者は,結婚を結婚というものとして軽蔑しています. 人殺しは,人間の命を尊重しています. ただ,自分自身の命をもっと充実させたくて,人殺しには自分ほどの価値がないと思える他人の命を犠牲にするだけなんです. ところが,哲学者は他人のだけでなくて,自分の命まで軽蔑します」(p.56-57) ・「貧乏な人間は反抗はしたことはあるが,無政府主義者だったことは一度もないんだ. 誰よりも貧乏な人間は,秩序というものに関心を持っている. 貧乏な人間は本当に国のことを思わずにはいられないので,金持ちはそんなことはない. いつだってヨットでニューギニアまで逃げていける. 貧乏なものは時には悪政に反対したことがあるが,金持ちは政治そのものに反対なんだ. 貴族がやったいくつもの戦争でも分かる通り,貴族は昔から無政府主義者だったんだ」(p.162) 本書に登場するロジックは,多かれ少なかれだいたいこんな感じ. ▼ ありきたりの小説に満足できなくなった人向け. | ||||
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ブラウン神父ものを読んでいるので、チャスタトンの少し変わった作風は、昔から感じていたところである。 さて、本書についてであるが、諧謔と逆説をふんだんに盛り込んだ、サスペンスファンタジーという感じの作品である。 物語の出だしは情景描写が細かすぎて、読みながら適当なイメージを浮かべながら何とか読み進めていくと、中盤から少しサスペンスを感じさせる展開に。 後半からファンタジー映画さながらの活劇風な流れになって、クライマックスの展開を期待させるが、最後の落ちはやや想像できる範囲だったので、少し残念。 物語全体として、作者が主張したかった事があったと思うが、小生にはいささか読解力不足。優れた作品なんだろうなぁ、と感じたが、小生の評価は並。 | ||||
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ミステリー小説好きなので一気読みできる作品です。 緊張感とサスペンスならではのワクワク感が味わえます。 ただしラストが韓国ドラマみたいな感じの終わり方に納得がいきませんでした。 | ||||
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思索が坂道を転がっていくような話で、笑える箇所も多い。一時の妄想のようだったラストも閑静な雰囲気で読後感がある。 | ||||
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なぜ、この小説が思想小説なのか、その場合、思想とは何か、そこにふれられた感想はないようだ。秩序と反秩序との錯綜した戦いを、詩人と無政府主義に対比させて描いている。ミルトンの「失楽園」とダンテの「神曲」の思想をチェスタトンがおのれのものとして描いた奇抜でいて深遠な小説。言うまでもなく旧訳創世記の第一章の創造の七日間を六人の刑事と謎の怪物である日曜で七人に割り当てているので、必読である。秩序と反秩序の関係は人類の永遠の課題だから、物語に深みがあるが、単なるうわべだけで読んだら、矛盾だらけのドタバタの稚拙な小説であろう。出来れば南條訳も参照したい。思想小説であればこそ別訳も読みたい。主人公サイムはSAME、同じという意味、南條訳では相変わらずと訳している箇所がある。これも一つの参考になる。 | ||||
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