チューダー王朝弁護士シャードレイク
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チューダー王朝弁護士シャードレイクの総合評価:
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久々に充実した読書時間を持てた、と感じさせてくれる本でした。 一語一語が考え抜かれ、ゆるがせに出来ない意味を持つ、本当に読み応えある物語です。 十年程前に本屋で見掛けた時には、そんな面白い本だとは知らず、スルーしてしまっていました。どうして今まで誰も教えてくれなかったの~?! とは言え、暗い時代の暗い話です。主人公は出世にしか興味のない、と言うか、出世と異端撲滅という信念の為なら、身寄りのない障害者であっても平気で路上に放り出すような人間です。優しい助手の青年にも心無い言葉を投げたりする嫌な奴です。 いつもならこんな奴が出てくると、途中で投げ出したくなるところですが、何故かこの本は、逆にどんどん引き込まれてゆくのです、凄いことに! 主人公のみならず、登場人物一人一人の心理や、行動や発言の理由や背景が丁寧に描写されていて、それを補う時代背景の説明も巧みで、こじつけ的なところが一切無く、全てが肯けると同時に自然に理解されてゆく、その展開の上手さには、そうして文章の無駄の無さには全く、舌を巻きます。 だから主人公はそんな風に生きるしかなかったのだな、と納得させられてしまうと同時に、暗澹たる気分にもなってしまいます。 が、ラストシーンでちょっとだけ救われた思いにもさせてくれます。それは作者の優しさなのかもしれませんね。 評価の分かれるラストだと思いますが、私はこれで良かったのだ、と感じました。 | ||||
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評者が先に読んだジョセフィン・テイ著『時の娘』から触発され、本書C・J・サンソム著『チューダー王朝弁護士シャードレイク』を読むことにした。 『時の娘』では、薔薇戦争で勝利を得たヨーク家を倒したランカスター家のヘンリー七世が王位を得たところまでイギリスの歴史を知ることができた。 本書の書評をなにかで読んだ記憶から、ヘンリー八世の側近として仕え、イングランドの宗教改革や「行政革命」を主導した実在の人物トマス・クロムウェルの配下で働く弁護士の話であったからである。 弁護士の名は、マシュー・シャードレイクというが、もちろん著者の創作した人物である。 ヘンリー八世の離婚(キャサリン)のためローマ教会と決別して強引にアン(キャサリンの侍女だった)と結婚したのち、そのアンをも無実の罪でロンドン塔へ送り処刑してしまった。 本書のなかでその処刑の場面に、シャードレイクも立ち会っていたことを物語のなかへ挿入していた。 この物語は、スカーンシアという港街にある「聖ドナトゥス修道院」へ派遣した監督官ロビン・シングルトンが殺されたことに端を発する。 この殺人事件の犯人逮捕と合わせて修道院を解散させるため、トマス・クロムウェルがマシュー・シャードレを派遣することになった。 本書は、フーダニットものとして読むとプロットなどに斬新さはないが、ヘンリー八世統治下の宗教改革の凄まじさなどを描写していて興味深い。 物語の終わりに、教皇派根絶のためヘンリー八世の圧政やクロムウェルの非情な仕打ちなどに、シャードレイクが懐疑的になり、修道院施療係のガイの警告に、「もうクロムウェル卿のもとでは働かないつもりです。ささやかな法律業務にもどって静かに暮らし、絵でも描こうかと」と答えた。 評者は、著者が描いた架空の人物像なのに、この物語を読み進みながら、どうしてもシャードレイクが好きになれなかったのですが、このくだりを読み、ようやく感情移入ができたのです。 シャードレイクが、もし実在の人物で、クロムウェルと決別せずに仕えつづけていたら、ヘンリー八世の命により、クロムウェルとともにロンドン塔へ投獄され処刑されていたかも、などと埒もないことを考えながら本書を読み終えたのです。 | ||||
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歴史的な背景の詳しい描写に引き込まれました。 高潔なだけでなく弱さも合わせもつ主人公の鬱屈した心理描写も読みごたえがあってよかったです。 脇役のちょっとしたしぐさやセリフなどもまるで目の前で見ているかのように描かれていてワクワクしました。 かなり厚い本ですが、どの一行も適当に飛ばして読むことが出来ません! 面白かったです!! | ||||
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面白かったです。でも、これってウンベルト・エーコのLa nome della Rosaの亜種ですよね、要するに。 ウンベルト・エーコはまぎれもないイタリア人です、つまりcatholicですね。 La nome della Rosaは原作も映画も両方読んで、観たのですが、エーコのその昔のcatholic批判がそこここに散見されます。 なぜ、Martin Lutherによる宗教改革が起きたかと言うと、教皇庁が発行していた、「免罪符」に大きい批判があったと思います。 おカネ出せば、殺人ですら赦されてしまうというものだったので、「汝殺すなかれ」のイエスが説いた教えに 思いきり反している。ただ、殺人ですら赦されるのはカネ持ちたちだけです。ビンボー人には処刑です。 このエーコの傑作を読んで、イギリスでの宗教改革に置き換えて書かれたんでしょう。 ただ、イギリスの宗教改革は、Lutherのものとは別物ですよね。ハッキリ言うと。 その当時国王だったHenry VIIIが王子が生まれないことから兄王子だったArtherに嫁いで来たSpain王女のCatharin of Aragonと離婚し、 後のElizabethIを生んだAnn Burinと結婚したくてバチカンと対立して、アングリカンchurchを発足するという極めて強引で、 身勝手と思える行動に端を発しています。しかも、王妃になったAnn Burinをたったの3年でLondon tower送りにしちゃった。 別にcatholicであることを止めることは問題無いと思います。でも王子を生んで無いから冤罪で処刑というのはニンゲンとしてどうなんでしょうか。 結局、生まれた王子のEdward Vは若くして亡くなったし、代わりに女王として即位したのは、 結婚を無効としてもらったCatharin of AragonとのPrincessであるMaryIだったし、Mary Iが子供を持たずに亡くなった跡を継いだのは 処刑したAnn Burinが生んだElizabethIですよね。 なぜPrinceに恵まれなかったのかは医学的な事由によるところが大きいですが、面白いのは、もし、Catharin of Aragonでも良いし、 Ann Burinでも良いですがPrinceが生まれていたら、今日のアングリカンchurchというのは無かったのではないかということです。 たまたまPrinceがなかなか生まれて来なくて、Henry VIIIはcatholicを止めることにしたってだけのことですよ。 この作品では、イギリスが宗教改革に舵を切ったことの「正当性」をこじつけたい主旨があるのは否めませんねー。 修道院の財産が富裕であったことを、さもキリスト教への背信であるかのように意図的に書いている。 まー、修道院が財産を持っていたというのは、ある意味いただけない話しではありますけど、 Henry VIIIはそれらの修道院解体で得た金品を国庫に組み入れて、あまり誉められたことではないことに国費を投入しました。 現在のイギリスでは全ての国民がアングリカンchurchの信者であるかというと、そうでもありません、 少しはcatholicの信者もいるんですよねー。 それらのイギリスに住むcatholicの信者たちへの牽制?とも思えてしまう。 しかしながら、歴史ものとしてはそこそこ楽しめる作品でした。 | ||||
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シャードレイクは脊柱後湾症をかかえた弁護士。 背中の障害のことはまだ完全に受け入れきれず、少々卑屈に生きているようです。そんな彼の自尊心を救っているのが、クロムウェルのお気に入りの存在だということ。障害をかかえ、激動の時代に知識と才覚のみで生きていくうえでこのことは非常に重要なことでした。 クロムウェルから修道院で起きた殺人事件の早期解決を望まれ、シャードレイクは助手のマークとともに現地に向かいます。宗教改革のなかで行われた修道院の強引な解散の最中であり、残忍な殺人事件とかさなり、現地は大混乱でした。 ここでのシャードレイクは時おり傲慢な一面をのぞかせ(特に助手のマークに対して)、重い劣等感も持ち、決して正義感あふるる好漢という人物ではないのですが、宗教や政治が複雑にからまるこの時代、中年の弁護士の男性ならこんな感じかなとも思います。決して好印象ではないのですが(クロムウェルの威を借る感もあり)、作者の物語作りが細部までしっかりしていて非常に読み応えがあります。 犯人がすぐにわかったというレビューがありましたが、私は?でした。殺害理由もクロムウェルの陰謀から派生してきたものですが、謎でした。 私にとって、何度も再読している手放せない物語です。次回作もお薦めです。 | ||||
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