(短編集)

ブラウン神父の不信



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短編集

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ブラウン神父の不信【新版】 (創元推理文庫)

2017年05月22日 ブラウン神父の不信【新版】 (創元推理文庫)

名作揃いのブラウン神父シリーズでも特に傑作が集まっている第三集が、読みやすくなって、新しいカバーでリニューアル! これを読まずしてはブラウン神父は語れないほどの傑作「犬のお告げ」、チェスタトンならではの大胆で奇想天外な密室トリックの名作「ムーン・クレサントの奇跡」、色濃いオカルティズムで後世に多大な影響を及ぼした「金の十字架の呪い」、トリッキーさではシリーズ随一の「翼ある剣」など、珠玉の八編を収録。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.50pt

ブラウン神父の不信の総合評価:9.32/10点レビュー 19件。Aランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

実はシリーズ復活作

さて第3短編集である。
本作はいきなり「ブラウン神父の復活」というセンセーショナルな題名の短編で幕を開ける。本稿を著すために色々調べた際に知ったのだが、前作『~知恵』からなんと12年のブランクを経ての刊行だったようだ。そういう背景を知るとこの短編の意味するところも解る。2作で辞めるつもりだったチェスタトンの復活宣言だったのだろう。
で、その「ブラウン神父の復活」だが、いきなり神父が死ぬという展開が衝撃的だ。短編集の初頭にいきなり主人公が死ぬ話である。とはいえ、結局は単なるファース(笑劇)に終わってしまうのだが。この趣向からも作者が愉しんで書いていこうという姿勢が現れている。

本作で個人的ベストを挙げるとすれば続く「天の矢」と「犬のお告げ」となる。
しかし「天の矢」はカーも某作で使っているトリックであり、日本作家の作品でも見られるほど有名なトリックだ。私は確かこのトリックを藤原宰太郎氏の推理クイズ本(綾辻氏も云っていたが、本当にこの本の犯した罪は重い。今は全て絶版になっているようだが)で知っていたという前知識があったので看破したが、それでもなお面白いのはトリックを彩る物語・設定の妙だろう。
「犬のお告げ」は最初意味が解らなかった。特定の出入り口しかない建物で起きた密室殺人を扱っているが、その犯行が犬のお告げとも云うべき鳴き声で暴かれてしまうという内容。しかし再読してみて、この重層的な構成の面白さがじわじわとこみ上げてきた。偶然に頼った部分も大きいが、こんな事を考えるのはやはりチェスタトンぐらいだろう。

名高い「ムーンクレサントの奇跡」は複層階の最上階で起きた人間消失と全く違う場所で見つかった消失した人間の死体というすこぶる魅力的な謎だが、前述の推理クイズ本に図解で解説されていた記憶があり、その時点でもう興趣は削がれるが、全く知らないとなると案外楽しめるのではないか。今でも記憶に鮮明に残っている作品だし。しかしこの真相に納得できるかどうかは別だが。

「金の十字架の呪い」はその題名の示すとおり、オカルティックなムードが横溢しているが、真相はなんとも子供騙しといった感じ。

「翼ある剣」はもう1つの「シーザーの頭」とも云える作品。ある資産家に養子として迎えられた男がその後その夫婦に3人の子供が生まれたため、追い出され、遺産相続できなくなった恨みを3人兄弟のたった1人の生き残りの兄弟を殺して晴らし、遺産を手に入れようとする話。この作者ならではの逆説的解明が成されるが、かなり犯行は際どい。

7代ごとの当主は午後7時に自殺する呪いがあるというカーの諸作を思わせる「ダーナウェイ家の呪い」。そして午後7時に当主が死ぬのも定石どおり。明かされる真相はなかなか心理的錯覚を利用していて面白い。

最後の「ギデオン・ワイズの亡霊」は死んだと目されていたギデオン・ワイズをその後街で見かけたという男が現れ、その男は亡霊に悩まされるならばということで自分が殺したと自白する。しかしその後、当のワイズが転落した崖の裂け目から現れ、その男を許すといい、事態は一件落着かと思われたが・・・という話。明かされる裏側のストーリーはけっこう複雑だ。

さて本作は全般的に奇抜なトリックが目立つが、理論派のチェスタトンらしからぬ実現性の低い物が散見される。代表作とされる「ムーンクレサントの奇跡」をはじめ、「翼ある剣」、「ダーナウェイ家の呪い」など。
とはいえ、「犬のお告げ」や「天の矢」といった名実ともに傑作と云える作品も収録されており、全体的に観て水準以上の短編集となっている。すなわちチェスタトンの復活は成功したと云えるだろう。

率直に云えば、この3作を通じて解ってくるのはチェスタトンのミステリというのは与えられた状況を読者が推理して真相を云い当てることは出来ない。クイーンに代表される知恵比べの要素よりも、異様な舞台設定で起こる事件を解き明かすチェスタトン独特の理論を愉しむところにある。それは恐怖の対象である闇をチェスタトンが知性の光で照らし、白日の下に晒してくれるような効果がある。そして私自身、こうしたチェスタトン独特のロジックに対する渇望感が芽生え、そのロジックと独特な世界観に浸れる事自体が楽しい。だから私の評価はもしかしたら偏愛が篭もっているのかもしれず、正当な評価に成りえていないのかもと思ったりもする。従って合わない人もいるかもしれない。しかしこのシリーズを読むことなく、一生終えるのは勿体なぁと思う。是非とも1冊は手にして欲しい。

Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

奇想天外なトリック!

ブラウン神父ものの中でも傑作とされる「犬のお告げ」を含む短編集。密室ものが多く、またオカルティズム色の強い、しかも理路整然と解き明かされる過程は、ここからカーがヒントを得たんじゃないかと思わせる。
中でも「ムーン・クレサントの奇跡」のこのトリック。ぶったまげです。

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No.17:
(5pt)

おもしろい

おもしろかった!
ブラウン神父の不信 (1959年) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の不信 (1959年) (創元推理文庫)より
B000JAR69E
No.16:
(4pt)

読みにくい

『新版』と書いてあったのを、勝手に『新訳』と勘違いして読み始めたのだが、とにかく読みにくい。
昭和ひとケタ生まれの東大出の英文学者のセンセイの翻訳で1982年に発行されたまんまのもの。
その当時なら中学生くらいだったが、夏目漱石やら森鴎外、創元や早川のSFやミステリーに
挑戦してはよく挫折してたのを思い出した。
ストーリー的にはホラー要素の強いミステリーが集められていて大変面白いのだが
今の若者はそもそも読破できるかどうか分からない本なんてのは読んだことないだろうから
ちと、キビしいと感じるヒトが多いのではないかと思う。
ブラウン神父の不信【新版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の不信【新版】 (創元推理文庫)より
4488110150
No.15:
(4pt)

やはりブラウン神父の芯の精神が好み

「童心」「知恵」に続いて読んで見たが、それらより読みにくくて時間がかかった。でも何故だか嫌いになれないんだなぁ。

読みにくい藪のような言葉を分入って、ブラウン神父の言わんとする「真実」が見えた時に「あー、わかる〜。そういう人間性、現代でも往々にあるよねー」という納得があるからだと思う。

読みにくさの原因を考えると、改行が少なくて周辺の情報描写が膨大なせいかな。“ある人物がいかに壮大な重要人物だったか”を説明する際(ブラウン神父においてはよくある件)、歴史を遡るが如くの情報が羅列される。このへん、お年寄りの話を聞くがごとくピントを抜き差ししながら読むのがコツ、かなぁ。

合間に読んだ他作家の上下巻ミステリーで、描写量の差を感じた。荒く整理されたドット画像と緻密な遠近画法、どちらもアリだとは思うけど、ブラウン神父には乾物の如き凝縮さがあるので、多分はまれば読み返してもジワジワ楽しめるんじゃないかな。
ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)より
4488110037
No.14:
(5pt)

少額でありますから、これ☝こそ、万人に推挙したいと思います。

いい本であると思います。迅速、正確、安価であることは、嬉しいことです。みんなに進めたいと思います。
ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)より
4488110037
No.13:
(5pt)

二つの密室、凶器の消失、人間消失…

「ムーン・クレサントの奇跡」は密室を取り扱っていますが、

 有名な「犬のお告げ」も、生きている被害者が最後に目撃されてから、死体が発見されるまでの間、
その部屋に誰も出入りしなかったという秘書の証言があるという密室殺人です。
 また、同時に、凶器が見つからないという謎も含みます。
 神父による(短い)密室論議に絡めて「黄色い部屋の謎」の名前や、また、ホームズまで
出てきます。最後に神父による(神を信じない人の陥る傾向についての)ショートメッセージが読めます。

 「ムーン・クレサントの奇跡」はクリスティの長編に使われているトリックを
思い出させる密室殺人事件ですが、人間消失の謎でもあります。
 ただこれが実行できるかどうかは甚だ疑問ですが…
 犯行の動機について考えさせられますが、これまた神父によるコメントが読めます。

 本書に収録の「天の矢(The Arrow of Heaven )」(矢はどこから飛んで来たのかという謎)
や「犬のお告げ(The Oracle of the Dog)」は、
 Kenneth More主演の「The Complete Father Brown [Import anglais]」
での映像化されています。

 英文に興味のある方には、
「ムーン・クレサントの奇跡」と「犬のお告げ(The Oracle of the Dog)」は
「ブラウン神父の名推理・ベスト5 (講談社ルビー・ブックス)」にも収録されています。
 「ムーン…」はトリックは仰天物ですが、宗教や人物描写やらの周辺の会話が多く、
読み進む(忍耐強く会話を聴く…)のが大変です。呼吸の大切さとか…語っていますが…

 ブラウン神父は読み進む(推理小説のプロットを掴む)のがけっこう厄介な部類かもしれません。
 ブラウン神父や登場人物の饒舌さ(やたらしゃべりまくること…)、状況の神秘的な描写、
意味の取りにくい文章、宗教的話題など、読みにくさもナンバーワンだと思います。
 また、登場人物が話の中に唐突に現れたりして、人間関係や、唖然とするトリックも含めて、
話の進行が把握しにくいのですが、その中に謎解きの重要なヒントがさりげなく隠されています。

 長編のような登場人物一覧が冒頭にあるといいのですが…

 この短編集も繰り返し読める傑作揃いですので、楽しみながらゆっくり読めると思います。

ブラウン神父の不信【新版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ブラウン神父の不信【新版】 (創元推理文庫)より
4488110150



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