知りすぎた男 ホーン・フィッシャーの事件簿
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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数あるチェスタトンのシリーズキャラクターにまた1人奇妙な人物が加わった―というよりも彼の描くシリーズキャラクターは全て奇妙奇天烈なのだが―。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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20世紀初頭の英国を舞台にホーン・フィッシャーを探偵役とする約270ページの連作短編推理小説集。 年の割に禿げ上がったフィッシャーは温和でありながらもつかみどころのない人物である。高級官僚のフィッシャーは庶民ではなく、首相や大臣をはじめとした多数の政府関係者を親類や知人にもつ。第一篇「標的の顔」で語り手として登場する新進気鋭のジャーナリスト、ハロルド・マーチがワトスン役かと思いきやそうでもない。事件そのものには関わらず過去の出来事の聞き手を務めたり、作品によっては出番もなく、フィッシャーの行動に立ち会う傍観者に近い。 推理小説を含め一般的なエンタメ作品であれば権力者の不正を暴いて読者の溜飲をさげるといった結末は常套だ。しかし本作のフィッシャーは事件の真相を解明しながらも、その後の振る舞いは普通の名探偵と違う。第一篇「標的の顔」の登場シーンでフィッシャーが口にする比喩が体制の側にいる彼のスタンスを端的に表している。「つかまえたら、もどしてやらなきゃいけません。ことに大きい魚はね」 連作短編だが第七話ではフィッシャーの意外な過去が明かされ、後年の若さとはうらはらに老成したフィッシャーとは異なった一面がみられる。最終の第八話ではシリーズものとしての終局となるエピソードが描かれている。そのため、少なくとも第七・八話は順番通り最後に読むことをおすすめする。 各篇が濃密なミステリ小説で、サクサクというより、一篇ずつ噛みしめるように楽しんだ。ミステリの傾向としては複雑なトリックを利用するというより心理的な盲点を突くケースがほとんどである。「底なしの井戸」など、フィッシャーが真相を導き出す根拠をシンプルでありながら鮮やかで、作品のいくつかは推理小説に限らない物事の見方として参考になる気すらする。そして、ミステリでありながらフィッシャーのセリフの端々に印象的な警句や教訓が含まれていることも大きな魅力である。 「新しく来た者には一番多くのものが見えるし、その場にいる人間は多くを知りすぎて何もわからないという、あいつの考えには一理あるよ」 「人間は商売でずるをしても、趣味ではしません」 「物事は異常すぎると記憶されない場合があるものだ」 「あれが初端から引っかかっていたんだ。この事件に関係があったからじゃない。何も関係がなかったからなんだ」 「人間四十歳を過ぎると、それまで生きてきたようにして死にたいという潜在意識的な願望があるのかもしれない」 「狂気には、ほとんどつねに秩序があるんだ。秩序を持つということが人を狂わせるのさ」 | ||||
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訳に問題がある、というレビューが二つほどあるが、自分はまったくそうは感じなかった。 論創海外ミステリで出た訳とくらべると、こちらのほうがはるかに解像度があがっていて、文学的にも豊かだと感じる。訳者の南條竹則氏はひきつづき創元推理文庫でチェスタトンを出すらしい。非常に楽しみだ。願わくばちくま文庫で2冊出たままでストップしているブラウン神父のほうも進めてほしいと思う。 この短編集は他の作品よりチェスタトンの政治思想があらわに出ていて、そこが一番興味深かった。もちろんトリック・メーカーとしてのチェスタトンも健在で、「あのトリックの源流はここにあったのか!」という驚きもある。 ただ解説にはやや疑問がある。この解説者は隅の老人最後の事件を知らないのだろうか。 | ||||
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ブラウン神父シリーズくらいの長さの短編こそ、チェスタトンの本領だと思う。本作は短編とはいえやや長めでシチュエーションを理解するのが面倒な印象を受けた。 | ||||
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原文で読めない我々には訳がとても大事。本書の訳は絶望的に理解困難。読めたものではない。残念。 | ||||
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作者に惹かれて購入したが、語られる舞台が20世紀初頭の英国の上流社会且つ主人公以下の登場人物の振る舞いもそれなりで、なかなか直ぐに腑に落ちない事が多い。その上、訳者がその辺の事情に精通しているのか、余り親切とは言えないようで、余り読んでいて楽しくありませんでした。 | ||||
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