(短編集)
ハーリー・クィンの事件簿
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邦訳タイトルが、「~事件簿」となっているので、ハーリー・クインが探偵役で謎を解明していくのかと思いきや、だいぶ違う。60過ぎの初老の紳士サタスウェイトが、どこからともなく現れるクインの示唆によって、謎を解明していくという話。クインは、サタスウェイトの霊的な存在であるかのようにも思える。独身で悠々自適の生活を送るサタスウェイトではあるが、他人の人生の傍観者のように生きている自分の人生に、60を過ぎて懐疑的になっているようにもみえる。そこのところは、はっきりと書かれているわけではないが、この短篇集を読み進んでいくとサタスウェイトの心境の変化が感じとれるようで、たいへん面白かった。短いもので30頁くらいの短篇が12編収録されている。わたしは、ミステリーとして読むよりは、ミステリー風の人間ドラマとして楽しんだ。人間ドラマというと大げさだが、軽快な短い話の中に滋味深い人間を感じることができた。アガサ・クリスティ=ミステリーという枠組みをはずして、読んだほうがより楽しめるのではないかと思った。好短篇集だと思います。ちなみに、クリスティのお気に入りは、「世界の果て」「海から来た男」「ハーリークインの小径」と、まえがきで書かれている。わたしのお気に入りは、余韻がなんともいえない「海から来た男」と軽い話だがオチにあたるクインのセリフが楽しい「クルピエの心情」。解説によると、ここに収録されたもの以外にクインもの2編が、ハヤカワ文庫の短編集「愛の探偵たち」「マン島の黄金」に収録されているとのこと。是非、そちらも読んでみたい。 | ||||
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アガサ・クリスティと言えば、ポアロやミス・マープルが有名ですが、他にも色々とあり、その中の1つの短編集です。 事件に関する以外の会話や場面描写が面白く、その中にこっそり伏線を忍ばせていて、また前に戻って確認する位、巧みです。 ただ、作品の順番がばらばらなので、前の話と合わないところがあるのが、少し残念です。 | ||||
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クィン氏物語のうちで、『海から来た男』は何回も繰り返し読んでいるが、全12話を最初から最後まで読むのは、これが三回目ではないかと思う。過去の二回は20世紀のことなので、たぶん数十年ぶり。新訳の新しいきれいな本で、楽しく読むことができた。 私的感想 〇昔の翻訳本を発見できないので、旧訳と比較できないが、読みやすいよい訳と思う。 〇数十年ぶりに読んでみて、事件も犯人もすっかり忘れているのに我ながら感心した。 〇ストーリーとトリックをほぼ記憶していたのは、共鳴トリックの『ヘレネの顔』(1927年発表)だけ。このトリックの印象が強烈だったということだろう。このトリックがクリスティのオリジナルか先例があるのか分からない。乱歩の『続・幻影城』の『類別トリック集成』を調べてみたが、共鳴トリックは見当たらなかった。日本の共鳴トリックの名作の海野十三『振動魔』(1931年)よりは古い。 〇以下、傲慢不遜の極みながら、偉大なクリスティの短編にコメントを付し、5点で私的評価する。 〇『ミスター・クィン登場』・・本格ミステリー、事件は過去。パターン確立。3点 〇『ガラスに映る影』・・本格ミステリー、事件は現在。面白いが、大胆すぎる犯罪構成。4点。 〇『鈴と道化服亭にて』・・本格ミステリー、事件は過去。面白いが、ちょっと無理感。4点。 〇『空に描かれたしるし』・・本格ミステリー、事件は過去。過去の事件をリミットまでに解き直すという元来のクィンパターンの一番の傑作。5点。 〇『クルピエの真情』・・ミステリー風味の人情話。ちょっと手を抜いた感じ。2点。 〇『闇の中の声』・・怪談味付けのミステリー。平凡。2点。 〇『ヘレネの顔』・・本格ミステリー、事件は現在。パターンから外れるが、トリックの冴える傑作。5点。 〇『死せる道化師』・・本格ミステリー、事件は過去。ちょっと面白い。3点。 〇『翼の折れた鳥』・・何ともいえない短編。被害者があまりに悲惨なのに、作者は無茶な救済をする。1点。 〇『世界の果て』・・「世界の果て」短編。ミステリーはほんの味付け。ストーリー性も希薄。目的は、世界の果てに連れて行くことだけのよう。しかし、いい味だった。4点。 〇『ハーリクィンの小径』・・これも『世界の果て」風味の話。ミステリー味もあり、なかなかいい展開と思ったが、結末にげっそりした。3点。 〇『南から来た男』・・ミステリー要素の少ない普通小説。「世界の果て」風味。物語性豊かで、説得力あり、後味よい。傑作。5点。 〇ベスト3は第一位『海から来た男』、第二位『空に描かれたしるし』、第三位『ヘレネの顔』となる。 私的結論 前半は設定の一部はスピリチュアルでも、内容は本格論理。後半は全体にスピリチュアルな色が濃くなる。それがよい方向に働くと『南から来た男』のような傑作となる。 | ||||
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