大忙しの蜜月旅行(忙しい蜜月旅行)



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初公開日(参考)1984年12月
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長編小説

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忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫 HM (305-1))

2005年06月23日 忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫 HM (305-1))

劇的な出会いを果たしたハリエットとピーター卿はようやく結婚にこぎつけた。記者やうるさい親族を遠ざけて、新婦の故郷近くへハネムーンにでかけたものの、滞在先の屋敷には鍵が掛かり、出迎えるはずの屋敷の主人の姿は見あたらない。やがて、主人が死体で見つかると、甘く楽しいはずの蜜月の旅は一転、犯人捜しの様相を呈し…本格ミステリ黄金時代を築き、後世の探偵小説に絶大なる影響を与えた著者の代表作。 (「BOOK」データベースより)




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大忙しの蜜月旅行(忙しい蜜月旅行)の総合評価:7.89/10点レビュー 19件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(10pt)

セイヤーズが英ミステリの大御所になった証拠がここにはある

前作『学寮祭の夜』でついに結ばれることとなったハリエットとピーター卿。
彼ら2人がハネムーンに選んだ先はハリエットの生まれ故郷パグルハムだった。そこでピーター卿はハネムーンに先駆けて「トールボーイズ」という名の屋敷を購入していたが、訪れてみると主であるウィリアム・ノークスが見当たらない。近所に住む家政婦のミセス・ラドルの話ではブロクスフォードへ行って不在だとの事だったが、彼女以外の世話人たちは誰もその予定を知らない。
ピーター卿も当初の取り決めと違う段取りに疑問を持ちながらも新しい生活をハリエットと始めて、ノークスの帰りを待つこととした。しかしいつまで経っても帰ってこないかつての主は地下室で死体となって発見される。甘いハネムーンが一転して、2人は事件解決に借り出されることになってしまった。

原題は“Busman’s Honeymoon”。直訳すれば『バス運転手のハネムーン』。この意味は作中に出てくる「バス運転手の休日」という成語をもじったもので、意味は「バスの運転手が休日もドライブして出かけるようないつもの仕事と同じような休日を過ごすこと」転じて「ピーター卿がハネムーン先でも事件に巻き込まれいつもと同じように捜査し、解決すること」となり、文豪セイヤーズの洒落っ気あふれた題名となっている。

さて今回の物語はピーター卿シリーズ後期物の例に漏れず、長大となっており、総ページ数は文庫で約630ページにも上る。実際、死体が発見され事件が事件として姿を現すのは185ページでそれまではハリエットとピーター卿の初々しいハネムーン―というよりも新婚生活―の顛末が面白おかしく語られる。
相変わらず一つの単純な事件でこれだけのページの話を引っ張るわけだが、今回はピーター卿自身が事件よりもハリエットとの夫婦生活について思考を向けたり、トールボーイズ屋敷を取り巻く人間たちの関係を描いたりでなかなか話が進まない部分があり、正直、中だるみする部分があるのは否めない(それでも今まで鉄面皮でピーター卿の忠実なる執事として振る舞い、どの人にも慇懃かつ紳士的に接していたバンターがピーター卿のヴィンテージ・ワインをミセス・ラドルが台無しにする一幕で物凄い剣幕で罵るシーンはかなり驚いたし、今までシリーズを一貫して読んだ身にとってはかなり笑えた)。
しかし、それを補って注目すべき点がある。今回セイヤーズはかなりの試みをこの作品で行っている。それは本格ミステリにおいて語られることのなかった「人が人を裁く」という意味についてかなり掘り下げて書いてあるのだ。

確かに誰かがかつて云ったように、本格ミステリとは読者と作者との知的ゲームであろう。事件が起き、それがどのように、誰が、どうして、何をして、いつ、どこで成されたのかを調べ、解き明かすことそのものを単純に愉しむだけであった。
ここでセイヤーズはその行為によって周囲の人間たちにどのような影響を与えるのかをハリエットとピーター卿の2人に考えさせる。これはミステリを書き続けるにあたり、セイヤーズがミステリを文学たらしめたいがために至ったどうしても避けられない必要事項だったのだろう。
前作『学寮祭の夜』では上流階級の物としてのミステリを市井の人々の抱く憤懣を描いたが本作においてもその傾向は継続されている。貸した40ポンドの金に執着する庭師が洩らすピーター卿への羨望、40ポンドのお金に自分の将来の自動車工場の夢を託す者もいれば、ワイン1ダースに10ポンドを費やす貴族もいるという現実を描く。

『学寮祭の夜』では2人が結婚するに至り、この上ない倖せな結末を提供してくれた。では本作でもこのハネムーンが同じく至福を与えてくれるのかといえば実はそうではない。
シリーズの掉尾を飾る本作がこのような重い結末となるとは露にも思わなかった。
今までは犯人が誰かを当てれば物語は閉じられた。しかし本作はそうではない。あえて犯人が処刑される日までを描いている。
貴族探偵として無邪気なまでに物語を縦横無尽に駆けずり回っていたピーター卿が最後に直面する苦痛。そこにヒーローたる探偵の姿はなかった。エピローグとでもいうべき最後の章「祝婚歌」の冒頭で語られる探偵作家ハリエット・ヴェインはそのままセイヤーズその人である。
つまり本作においてハリエット、ピーター卿は創造上の人物ではなく、現実レベルまでに引き上げられた生身の人間なのだ。

本作はシリーズの総決算であり、そのため色々なエピソードが語られる。読み応えある内容が満載である。
本作でシリーズは幕を閉じる。それは大団円というにはあまりに暗い余韻を残す。しかし文豪セイヤーズが本当に書きたかったテーマがここに来て結実したのは明らかだ。セイヤーズがなぜ21世紀の現代においても評価が高いのか、その証拠がこの作品に確かにある。


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Tetchy
WHOKS60S
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No.18:
(4pt)

ありがとうございました

無事に到着しています。
ピーター・ウィムジー卿ものは、学生の頃、"ホームズのライヴァルたち"シリーズで一冊ありましたが、今こんなに出てるんだな。と。
なんと恋愛ミステリ?
ハリエット・ヴェインってなんだ? アイリーン・アドラー?
相変わらず全く読んでないのでまちがってたらすみません。
大忙しの蜜月旅行 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:大忙しの蜜月旅行 (創元推理文庫)より
4488183131
No.17:
(4pt)

理想の愛の物語

『ナイン・テイラーズ』を読んだのは、もう何十年前になるでしょう?
あれでおしまいだと思っていたら、こんな“完結編"があったなんて! 何故今頃になって出す、創元さん!?
まあでも、ピーター卿とハリエットの愛が無事、大団円を迎えられて良かったです。
そう、本作は男女の愛というミステリーに挑んだ作品で、467頁の二人の会話が全てを物語っているのですね。変わり者だけど高潔なハリエットを丸ごと理解して受け入れられるピーターって、本当に素晴らしい男性だなぁ~ああ、羨ましい……
と言って、殺人事件の謎解きの方にも手抜きがないのは、流石セイヤーズですよねぇ。
唯一点、気になるのは、事件発生の翌朝にどこからともなく現れて、ピーターの肩の上に居座ってた“しょうが色の猫ちゃん"。カバーイラストにも登場していたので、てっきり二人の飼い猫になって、事件解決にも“猫の手"を貸してくれるのか、と思いきや…
それっきり何処かへ消えてしまったのは、何故?
猫好きとしては、あんまりだ! と思うのですけど…
大忙しの蜜月旅行 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:大忙しの蜜月旅行 (創元推理文庫)より
4488183131
No.16:
(3pt)

昔の教養がいっぱい

貴族探偵のピーター・ウィムジーが登場する最後の長編小説である。なんて書くとセイヤーズのファンみたいだけど、僕は短編集1冊と『ナイン・テイラーズ』しか読んだことがないので、そんな不熱心な読者にはやや不向きな本だった、というのが正直な感想だ。

文学作品や詩の引用、もじり、ラテン語などが頻出するのにもうんざりさせられた。僕はただ面白いミステリが読みたいだけで、100年近く前のイギリスの高等遊民の教養なんてどうでもいいのだ。セイヤーズが廃れた理由は、こういうところにあるのではないか?

何よりも肝心のミステリとして面白くない、というのが致命的だと思う。もともと戯曲を小説化したものらしいが、にしてもねえ…。犯人がわかったあとの後日談も無駄に長くて、くたびれた。よいところを探して感想を書こうと思ったのに、結局文句になってしまった。
忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫 HM (305-1))Amazon書評・レビュー:忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫 HM (305-1))より
4151754016
No.15:
(3pt)

軽業師的な手口。

※少しネタバレ
この同じ著者の、『毒を食らわば』や『五匹の赤い鰊』で、アクロバティックなやり方で殺人やアリバイ作りをしていて、この話もそうでした。……個人的に、犯行やアリバイ作りのトリックに、アクロバティックな離れ業を使うのは、推理小説としては、マイナスだと思います…。名作と言われる推理小説は、アクロバティックな要素は全く無く、ありきたりの手口、ありきたりのアリバイやトリックで、それが思わぬところから露見する……そういうものであって欲しい。……それが名作と言われる所以だと思う。
それと、この著者の小説はどれも、読者が、容疑者の中からいろんな条件を考慮して、犯人を推理するという話ではなく、話の筋として、この人が犯人で、手口はこうでした……という結果につながっていくだけです。
更に、この小説は、ピーター.ウィムジイ卿が主人公ですが、このピーター卿という人も、イギリスの貴族の中でも最も地位の高い公爵家の次男で、“それだけ高い地位にあるのに"気さくで、他人に配慮できる繊細な神経の持ち主ということになっていますが、なんだかこのキャラ設定そのものが、貴族の地位をひけらかしていて鼻につきます。
……いろんな意味で、消化不良になる話だった。
忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫 HM (305-1))Amazon書評・レビュー:忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫 HM (305-1))より
4151754016
No.14:
(3pt)

結婚後の後日談

探偵小説というよりも、ピーターとハリエットの結婚とその後日談のような様相の作品である。
事件は起こるのだけれど、些細なものに感じられて、バンターとの3人の物語も、特別サスペンスがあるわけでもない。
だから、論理的な推理の物語を期待する分には裏切られると思う。
大忙しの蜜月旅行 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:大忙しの蜜月旅行 (創元推理文庫)より
4488183131



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