ゼロ時間へ



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初公開日(参考)2004年05月
分類

長編小説

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ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

2004年05月14日 ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。殺されたのは金持ちの老婦人。金目的の犯行かと思われたが、それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかった―人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?ミステリの常識を覆したと評価の高い画期的な野心作を新訳で贈る。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

ゼロ時間への総合評価:8.97/10点レビュー 59件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

ゼロ時間への感想

クリスティの作品の中でも高評価の本作は、さすがの面白さでした。序盤からの伏線が回収され、終盤のどんでん返しに見事に集約されて行きます。事件がなかなか起きず、その後トリックも犯人も良く分からず読んでましたが、人間ドラマがメインにある感じでしょうか退屈しませんでした。犯人像は現代的ともいうべき物で、いつの時代にもこんな奴いたんでしょうね。ラストも個人的には好きな終わり方。ミステリーの女王の名に恥じない作品でありました。

なおひろ
R1UV05YV
No.1:
(7pt)

ゼロ時間への感想

すべての事件は「ゼロ事件」へ!傑作です!

ジャム
RXFFIEA1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.57:
(5pt)

すべては起こる以前に、すでに起こっていた

「ゼロ時間」という概念が好きです。
多くのミステリーやサスペンスでは物語の序盤で「殺人事件」が起きますが、この物語では「殺人事件」へ向かう物語が半分を占める構成になっています。それこそがこの「ゼロ時間」という物語の革新的な真髄でもあります。つまり”起こる以前から起こっていた”ということです。”今は過去であり未来でもある”ということでしょうか。それを知っていて読むとわくわくしながら読むことができます。事件が起こるまでの1つ1つの出来事に、登場人物の1つ1つの言動に、何か重要な意味があるのではないか…重要なヒントが隠れているのではないか…と猜疑心と洞察力が研ぎ澄まされた緊張感のある心理状態で読み進めることができます。この心理状態を好む人もいれば、少々疲れる人もいるかもしれません。

私がこの物語で好きなのは、序盤の”ある男と看護師”の会話です。
ー「あなたはそこにいるだけで、それだけで重要な役割を果たすかもしれない。あなた自身は気づかずに」ー
毎日、良いことなんか見つけられなくてもそこにいるだけで誰かや何かの役にたっているのかもしれない、と思えます。時代を超えてもこのなんとも言えないフワフワした不安って共通だったんだな、と感じます。

この作品はアガサ・クリスティーがミステリー小説の”お決まり事”を破った作品の1つだといえます。しかし私はこういった「過去に多くの人が通って道となった道、さらにそこに築かれた石畳を歩く」よりも「自身で、道を創造する」ことこそ希望ある未来への分岐点を作ることだと思っています。この「ゼロ時間」は物語ですから完結しますが、現実や歴史は完結せず、ゼロ時間は「分岐点」にしかなりません。彼女の書いたこの「ゼロ時間」が、まさに彼女が多くの読者をひきつけるような「今」へ導いている彼女自身の『ゼロ時間』だったのだと思うのです。
ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300821
No.56:
(4pt)

人物描写がさすがです

なかなか事件は起こりませんが、若い人たちの人物描写が興味深かった。
若い時と異なり、年配の人々の気持ちに共感した。
殺人事件の犯人は予想と異なった。アガサ・クリスティーは寒い季節に良いですね。
ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300821
No.55:
(3pt)

伏線不足

動機に関する非常に重要な事実が伏線もなく、終盤で唐突に出てくるのに醒めた。
犯人の狂気や、それに関する伏線はよかっただけに、いろいろ惜しい。
あとは最後のめでたしめでたし感を出すためとしか思えなかったカップル成立もちょっとなあ……と微妙な読後感に。キャラブレひどすぎないですか?
バトルがポアロに言及するところはファンサービスかな。
ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300821
No.54:
(4pt)

人間ドラマは秀逸

半分くらい読み進めないと殺人事件が起きません。
それまでは有名テニス選手の男と、その前妻と後妻、そして前後妻それぞれに横恋慕する男たちと、それを取り巻く人々の人間ドラマが繰り広げられます。
なかなか事件が起きないので序盤はもやもやしましたが、クリスティーは人物描写が大変上手いので、途中からはこのまま恋愛小説として終わってもいいんじゃないか?とまで思ってしまうくらい楽しめました。

そして肝心の殺人事件に関してですが、推理の決め手となる重要な情報に関する伏線が一切なく、終盤になって突然でてきたのには拍子抜けしました。
トリックは見事ですし、真犯人の心理と殺人の動機には戦慄しましたが、上記が引っかかって少々残念な出来だったなと思いました。

クリスティーはポアロやマープルのようなシリーズ物以外になると、彼女の趣味や描きたい内容が色濃く出るように感じます。
こちらは恋愛小説を描きたかったのかなと思えるほどに、そちらはよく出来ていたので、クリスティーの描く人間模様などがお好きな方にはおすすめしたい作品でした。
ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300821
No.53:
(5pt)

クリスティの本質は、近所の噂好きおばさん&奇想作家じゃなかろうか

ポワロもマーブルも、アガサ・クリスティはそれがシリーズものとして人気を博すようになったあとは、そこはそれあるていどビジネスとして適当なクオリティを安定して出す、という営業を考えて作品を設計していたと思う(それはそれ職業作家なのだから当然である)
しかしエルキュールもジェーンも出ない、シリーズものではない単発もののときは、女王様が「そんなに売れないかもしれないけど、ここぞとばかり好み」をこれでもかと炸裂させた彼女の本質がくっきりと表れた作品となるのではないだろうか。
 その証拠に見よ!「ナイルに死す」でも「ABC殺人事件」でもなく、「そして誰もいなくなった」が彼女で一番の有名作ではないか。
 などとエラそうなことを申してますが、クリスティをかつて読んでいた当時、シリーズものの安定の快楽に身を委ねて、「そして誰もいなくなった」もそしてこの「ゼロ時間へ」も未読でしたが(笑)
 しかし、日本のクリスティファンによるベストテンでも、クリスティ本人によるたわむれの自作ベストテンでも「そして誰も」「アクロイド」「オリエント」「予告殺人」そしてこの「ゼロ時間へ」の5作が期せずして一致していた(他の5作はそれぞれ一致せず)
 ということは、もしかしたらクリスティは、本格的なミステリ作家であるより、現代風に言えばもともとが「奇想」「変格」そのものが意識の本質にあり、現代日本で言えば高村薫や松本清張のような「真面目」な作家であるより、人間心理がかもし出す「偏差」「異常」を、そこはそれ世間知と人生を受け入れて楽しむおばさん感性でもあったために根底にある「常識性」で日常的に読みやすく気軽で手軽でそれでいて印象にのこるような展開で、しかもわかりやすい文章でサラッと書きこなす、という異常性と常識性を併せ持つ、というのが彼女の本質だったのではないだろうか。

 「ゼロ時間へ」に次々と出てくる容疑者たちの展開は異常で、犯人ならまさかそんなバカなことはないだろう、と思わせる物で常識人なら憤然と退けるようなものである。
 しかし最後に出てくる犯人の姿は、周囲の人に意外な変質と影響をもたらしていた、という点でも「なるほど」と思わせる。
 それはのちに同じ英国のヘイモン「聖堂の殺人」に出てくるような、あるいはクリスティ自身の「ポケットにライ麦を」をも彷彿とさせるような意外性を備えており、こうした人物像を造形できるという所は、人間関係のゴシップを楽しむ明るく楽しく小うるさいおばさん体質で覆い隠されているが、クリスティの本質は、それが単体で出た時は、スティーヴン・キングよりも恐ろしいホラーであり、あるいは現代小説に出てくるサイコパスよりも異様な作家ではあるまいか。
 だがしかし、最後にこの作品はロマンス作家としてのクリスティの本質をもとらえており、ラストシーンは同じく異色作にして彼女のトリック作家としての一面を衝いている、なんとエジプト中王国を舞台とした「死が最後にやってくる」とも共鳴する楽しい結末となる。
 こういったロマンの側面は、彼女から見れば晦渋で深刻であるP・D・ジェイムズにも共通するところで(ジェイムズは具体的にはその行為や展開を作品の中には取り込まないが、クリスティよりはるかに大人の関係性や性そのものの性質も書きこなすけれども)この大いなる常識人としての側面に助けられ、かくしてアガサ・クリスティは没後半世紀が経過してなお、一億部を超える大作家として君臨し愛されている。
 …が、この読みやすさと楽しいロマンスと人間関係のおばさん小説の側面に騙されてはいけない。彼女の本質は、人間心理の蘊奥から生み出される恐るべき脅威にあり、その本質は描かれないが人が人を支配するサイコパスの人心収攬術にある。或いは彼女の最大のトリックは、その世間知とおばさんのお喋りで「また始まった」と思わせながら、その人間精神の深い洞察と恐怖を、楽しく明るく面白く、の隠れ蓑で、プレーンな外観のもとで、その人格にひそむ異常性をみごとに隠しおおせたテクニックにあるのかもしれない。
 思春期に読んだら、それは判らなかったことだろう。
 と中年になってクリスティを何の気なしに手に取って、その恐ろしい正体を楽しみながら推し量ったことであった。
ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300821



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