ポアロのクリスマス
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「知らないのはあんただけだ!」と言われそうですが、これはアガサの凄すぎる作品群に埋もれた(?)、隠れた名作ではないでしょうか。小説の冒頭にシェークスピアの『マクベス』の一節が引用されています。この手のエピグラフってあまり意味がないことが多いのですが、これは読み終わるとなるほどなと思ってしまいます。 アガサ・クリスティには珍しく血の気の多い物語ですが、それは義兄の「もっと血にまみれた、思い切り凶暴な殺人」というリクエストに応える形で書かれたものだからです。「義兄さん!アガサの良いところはお洒落で洗練された物語を書くところなのですけどね」と言いたくなりますが……。これではまるで「遺産相続争いで血みどろの惨劇が起こる横溝正史」です。そのせいか、『アガサ・クリスティー完全攻略』の中で著者の霜月蒼さんがこう書かれています。「もしこれをジョン・ディクスン・カーや横溝正史あたりが書いたならば、ここで描写される〈ある条件〉を冒頭で示し、舞台たる邸宅に幽霊話を背負わせたりしただろうな」と……。だが、そうしなかったところがアガサの凄さなのです。ネタバレになるのであまり詳しく書けませんが、それを冒頭で示すと「ああ、これはあのトリックだな」と勘のいい読み手にはすぐに分かってしまいます。密室を否定した上でそれを後半に持ってくることで、読者に「ありえない!」と勘違い(?)させてしまい、ある意味別の密室が完成してしまうのです。冒頭では密室でないことが示されるので読者が後半までそのことを引き摺ってしまい、このような錯覚が起こるのだと思います(何を言っているのかよくわかりませんね。実際にお読みいただければ分かっていただけると思うのですが……)。この辺りのアガサの構成力というのは天才的と言わざるを得ません。 | ||||
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2023年11月発売の新訳版。 クリスティにはまってほとんど全部読破したのは前世紀の話で、 もう卒業したつもりでしたが、 新訳版なのでクリスマスに読もうと購入しました。 結局クリスマスに読む時間がなく、年を越してしまいましたが、 ストーリーにクリスマスはあまり絡んでいないので、 (単にひさしぶりに家族が集まる時期という程度) クリスマスの雰囲気に浸るという内容でもありません。 クリスティの生み出した主人公たちの中でも 特にクセがすごく、うっとうしさを感じていたポアロですが、 新訳のせいか、この本ではさっぱりとした性格です。 ただ、今回改めてポアロについて調べてみたら、初登場は1920年。 この「ポアロのクリスマス」の初版は1938年と、初登場からだいぶ経ち、 もしかしたら旧訳でもポアロのくどさは薄れていたのかも? また、この本は外国のことわざを知った想い出深い作品です。 「The mills of God grind slowly, but they grind exceeding small.」 (神のひき臼はゆっくりだが、細かくひく) ひさしぶりの翻訳小説でしたが、 かつては、こうして海外の文化や歴史に浸っていたと思い出しました。 それにしても、 インターネットもPCも携帯もスマホもない時代のストーリーなのに、 それがないことを意識せずに読了できてしまい、 やはりクリスティは素晴らしいストーリーテラーだと再認識しました。 | ||||
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タイトルから、ひょっとしてコメディ? と思ったが、とんでもない。ガチガチの本格ミステリーだった。聖夜に密室で血塗れの殺人が起きる趣向で、皆に嫌われてる偏屈者の金持ちが、クリスマスに家族を一同に集めるのは、まるで「クリスマスキャロル」みたい。 殺害動機のない方が珍しいキャラの中、意外な真犯人を設定したのは、さすがクリステイー。ポアロの謎解きで、かなり冒頭の箇所から、伏線が貼られていたとわかるのは快感。「血塗れ」の密室は、派手な演出だけど、そうなるよう仕向けた犯人の行動は理性的。犯人の意外性と、その人物の理性的な犯行が明らかになってゆく終盤は、正に本格ミステリーの味わいだった。 有名作ではないけれど、本格ミステリーの教科書みたいな傑作と評価したい。 | ||||
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富豪の老当主が殺害された事件をエルキュール・ポアロが解明。 事件解決後の、残された関係者の今後の幸せを匂わせるラストが良かった。 | ||||
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クランシー+スティーヴ・ピチェニック、パスカル・エングマンの著作を読み、ベン・アフレックが主演した映画「ドミノ」、監督:デヴィッド・フィンチャーの新作「ザ・キラー」を鑑賞後、ヴァイオレンスにほとほと疲れてしまった私は(笑)、クリスティーの「ポアロのクリスマス」の新訳がリリースされたことを知り、とにかく読んでみることにしました。なんのことはない。そこには血塗れの死体が横たわっていました(笑)。 クリスマス時期、12/22から始まる本格パズラー。しかも巻頭、「マクベス」からの引用で幕を開けます。由緒ある家柄とその屋敷、ゴーストン館。老獪な主、シメオン・リーはクリスマスに息子たちとそのそれぞれの妻たちを呼び寄せますが、クリスマス前夜、ゴーストン館では何かが破壊される音と共に奇妙な悲鳴が響き渡り、施錠された密室からシメオンが喉を掻き切られ、殺害されて発見されます。一体誰が?何故?ミドルシャー州警察の依頼を受け事件に巻き込まれるエルキュール・ポアロ。 入れ替わり立ち替わり現れる、シメオンの家族たち。家族以外の怪しげな人物たち。ばら撒かれるミス・ディレクションと容易ならざる伏線。中盤までは、そうは言っても自分が考え得る人物の中にきっと犯人はいると想定していましたが、ポアロの謎解きはその想定を遥かに凌駕して、<はなれわざ>が炸裂しました。勿論、パズラーですからこれ以上話すわけにはいきません。 タイトルから喚起されるクリスマスは例えば同じポアロによる「ハロウィーン・パーティ」のように華やかな雰囲気の中で繰り広げられるパズラーなのかと思っていましたが、これも意外なことに、地味な道具立てに終始し、まるで未来のクリスマスを迎えるための乗り越えなければいけないクリスマスを描写しているかのような筋書きに少し重苦しさを感じたりもしました。それは巻頭の「マクベス」からの引用が効いているからに他なりません。 内心は「ハロウィーン・パーティー」のような彩りのあるクリスマスを描いて欲しかったという気持ちもないではありませんが、しかしこれはこれで完全な「ポアロのクリスマス」なのかもしれません。 「そうは思いませんか? “Mon Ami”」 □「ポアロのクリスマス “Hercule Poirot’s Chiristmas”」(アガサ・クリスティー 早川書房) 2023/11/12。 | ||||
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