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ポアロのクリスマス
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【この小説が収録されている参考書籍】
ポアロのクリスマスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全43件 1~20 1/3ページ
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「知らないのはあんただけだ!」と言われそうですが、これはアガサの凄すぎる作品群に埋もれた(?)、隠れた名作ではないでしょうか。小説の冒頭にシェークスピアの『マクベス』の一節が引用されています。この手のエピグラフってあまり意味がないことが多いのですが、これは読み終わるとなるほどなと思ってしまいます。 アガサ・クリスティには珍しく血の気の多い物語ですが、それは義兄の「もっと血にまみれた、思い切り凶暴な殺人」というリクエストに応える形で書かれたものだからです。「義兄さん!アガサの良いところはお洒落で洗練された物語を書くところなのですけどね」と言いたくなりますが……。これではまるで「遺産相続争いで血みどろの惨劇が起こる横溝正史」です。そのせいか、『アガサ・クリスティー完全攻略』の中で著者の霜月蒼さんがこう書かれています。「もしこれをジョン・ディクスン・カーや横溝正史あたりが書いたならば、ここで描写される〈ある条件〉を冒頭で示し、舞台たる邸宅に幽霊話を背負わせたりしただろうな」と……。だが、そうしなかったところがアガサの凄さなのです。ネタバレになるのであまり詳しく書けませんが、それを冒頭で示すと「ああ、これはあのトリックだな」と勘のいい読み手にはすぐに分かってしまいます。密室を否定した上でそれを後半に持ってくることで、読者に「ありえない!」と勘違い(?)させてしまい、ある意味別の密室が完成してしまうのです。冒頭では密室でないことが示されるので読者が後半までそのことを引き摺ってしまい、このような錯覚が起こるのだと思います(何を言っているのかよくわかりませんね。実際にお読みいただければ分かっていただけると思うのですが……)。この辺りのアガサの構成力というのは天才的と言わざるを得ません。 | ||||
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2023年11月発売の新訳版。 クリスティにはまってほとんど全部読破したのは前世紀の話で、 もう卒業したつもりでしたが、 新訳版なのでクリスマスに読もうと購入しました。 結局クリスマスに読む時間がなく、年を越してしまいましたが、 ストーリーにクリスマスはあまり絡んでいないので、 (単にひさしぶりに家族が集まる時期という程度) クリスマスの雰囲気に浸るという内容でもありません。 クリスティの生み出した主人公たちの中でも 特にクセがすごく、うっとうしさを感じていたポアロですが、 新訳のせいか、この本ではさっぱりとした性格です。 ただ、今回改めてポアロについて調べてみたら、初登場は1920年。 この「ポアロのクリスマス」の初版は1938年と、初登場からだいぶ経ち、 もしかしたら旧訳でもポアロのくどさは薄れていたのかも? また、この本は外国のことわざを知った想い出深い作品です。 「The mills of God grind slowly, but they grind exceeding small.」 (神のひき臼はゆっくりだが、細かくひく) ひさしぶりの翻訳小説でしたが、 かつては、こうして海外の文化や歴史に浸っていたと思い出しました。 それにしても、 インターネットもPCも携帯もスマホもない時代のストーリーなのに、 それがないことを意識せずに読了できてしまい、 やはりクリスティは素晴らしいストーリーテラーだと再認識しました。 | ||||
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タイトルから、ひょっとしてコメディ? と思ったが、とんでもない。ガチガチの本格ミステリーだった。聖夜に密室で血塗れの殺人が起きる趣向で、皆に嫌われてる偏屈者の金持ちが、クリスマスに家族を一同に集めるのは、まるで「クリスマスキャロル」みたい。 殺害動機のない方が珍しいキャラの中、意外な真犯人を設定したのは、さすがクリステイー。ポアロの謎解きで、かなり冒頭の箇所から、伏線が貼られていたとわかるのは快感。「血塗れ」の密室は、派手な演出だけど、そうなるよう仕向けた犯人の行動は理性的。犯人の意外性と、その人物の理性的な犯行が明らかになってゆく終盤は、正に本格ミステリーの味わいだった。 有名作ではないけれど、本格ミステリーの教科書みたいな傑作と評価したい。 | ||||
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富豪の老当主が殺害された事件をエルキュール・ポアロが解明。 事件解決後の、残された関係者の今後の幸せを匂わせるラストが良かった。 | ||||
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クランシー+スティーヴ・ピチェニック、パスカル・エングマンの著作を読み、ベン・アフレックが主演した映画「ドミノ」、監督:デヴィッド・フィンチャーの新作「ザ・キラー」を鑑賞後、ヴァイオレンスにほとほと疲れてしまった私は(笑)、クリスティーの「ポアロのクリスマス」の新訳がリリースされたことを知り、とにかく読んでみることにしました。なんのことはない。そこには血塗れの死体が横たわっていました(笑)。 クリスマス時期、12/22から始まる本格パズラー。しかも巻頭、「マクベス」からの引用で幕を開けます。由緒ある家柄とその屋敷、ゴーストン館。老獪な主、シメオン・リーはクリスマスに息子たちとそのそれぞれの妻たちを呼び寄せますが、クリスマス前夜、ゴーストン館では何かが破壊される音と共に奇妙な悲鳴が響き渡り、施錠された密室からシメオンが喉を掻き切られ、殺害されて発見されます。一体誰が?何故?ミドルシャー州警察の依頼を受け事件に巻き込まれるエルキュール・ポアロ。 入れ替わり立ち替わり現れる、シメオンの家族たち。家族以外の怪しげな人物たち。ばら撒かれるミス・ディレクションと容易ならざる伏線。中盤までは、そうは言っても自分が考え得る人物の中にきっと犯人はいると想定していましたが、ポアロの謎解きはその想定を遥かに凌駕して、<はなれわざ>が炸裂しました。勿論、パズラーですからこれ以上話すわけにはいきません。 タイトルから喚起されるクリスマスは例えば同じポアロによる「ハロウィーン・パーティ」のように華やかな雰囲気の中で繰り広げられるパズラーなのかと思っていましたが、これも意外なことに、地味な道具立てに終始し、まるで未来のクリスマスを迎えるための乗り越えなければいけないクリスマスを描写しているかのような筋書きに少し重苦しさを感じたりもしました。それは巻頭の「マクベス」からの引用が効いているからに他なりません。 内心は「ハロウィーン・パーティー」のような彩りのあるクリスマスを描いて欲しかったという気持ちもないではありませんが、しかしこれはこれで完全な「ポアロのクリスマス」なのかもしれません。 「そうは思いませんか? “Mon Ami”」 □「ポアロのクリスマス “Hercule Poirot’s Chiristmas”」(アガサ・クリスティー 早川書房) 2023/11/12。 | ||||
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作品の雰囲気はまずまずだったんですが、犯人が仕掛けたトリックにチープな印象を受けて、いまいちだったかなと。 犯人は予想外でしたね。ちっとも分かりませんでした。 ちょっとひどいなと思ったのは、訳文すね。この登場人物がこういう言葉遣いはしないだろうと、あちこちで感じました。なかでも、エルキュール・ポアロが相手に対して、「きみの意見では」というふうに〈きみ〉と言うんだけれど、ポアロが使う言葉として、私はこれがとても引っかかりました。 訳文に関して、もう一点。 〈ヘンリー・リー〉という名前が二回出てくるのですが(文庫本の159頁並びに169頁)、これは明らかに登場人物のひとりである〈ハリー・リー〉のことを指しています。おそらく、〈ハリー〉は愛称で〈ヘンリー〉が本名だと思ったんだけど、そのことがどこにも記されていません。巻頭の登場人物欄には〈ヘンリー・リー〉なる人物は見当たらないし、これ、不親切だなあと思いました。 文庫本の元となった単行本の訳文は1957年(昭和32年)と古いものですし、そろそろ新訳版が欲しいところっすね。 | ||||
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タイトルとは裏腹にクリスマスっぽさは皆無の、クリスティの作品では珍しい、本格派の密室殺人です。 あまり有名な作品ではないので期待せずに読みはじめたのですが、「アクロイド殺し」や「オリエント急行殺人事件」などの傑作に次ぐのではないかと思うほどに大変楽しめました。 何がそれほどまでに楽しめたのかといえば、犯人の意外性でした。 この作品の面白さは、犯人を暴く最終盤のシーンに凝縮されていると思います。 ええええええええええ!!???となったのは本当に久しぶりでした。 ただ、他のクリスティの作品ではよく提示されている幾つかの事象が、この作品で提示されていないため、少々ご都合主義な部分があるのは否めません。 また、終盤までいまひとつ盛り上がりに欠ける展開の弱さがあります。 この辺りが有名になれなかった原因なのかもしれません。 しかしそれらの欠点を補って余りあるほど、犯人があまりにも意外すぎて、細かいことは全部吹っ飛んでしまいました。 欠点はあれどポアロ物の中ではかなり質の高い作品ではないでしょうか。 ちなみに一部の女性陣は深みのある人間性が描かれているので、クリスティの巧みな人物描写がお好きな方にもおすすめしたいです。 | ||||
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コロナの自粛期間中にすっかりアガサクリスティ―にはまり、特にポアロシリーズが好きでコツコツと読んでいます。 この作品も、ポアロらしくあっという間に読み終わってしまいました。 ここ最近ポアロシリーズを読んでいるので後半部分で犯人がわかりました。 全くトリックなどはわからなかったので、ただの勘ですが。 アガサクリスティーの作品は登場人物が多く、海外の名前なのでなかなか覚えられず誰が誰だが途中でわからなくなるのですが、こちらの作品は比較的登場人物が夫婦が多くシンプルなのでわかりやすかったです。 初心者にもお勧めできると思います。 ただ個人的に翻訳があまり良くない気がします。今まで何冊かシリーズを読んできましたが一番しっくりきませんでした。新訳が出てくることを望みます。 その為星を四つにしました。 | ||||
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被害者の殺され方、密室のトリック、登場人物の性格、事件の真相等、とにかく全てが大げさである。 そのため、読んでいてわかりやすいものの、読み終わって心には何も残らない。 冒頭にも作者が述べているとおり、意図的に書いているのだろうけど、それにしてもね。 | ||||
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所々の日本語がおかしく、読んでいてイライラしました。 本当に日本語が翻訳したのか?と。 犯人も以外でしたが、なぜだか読んだ後モヤッとする気持ちが残りました。 あまりオススメはしません。 | ||||
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素晴らしい。本格 推理小説の面白さが詰まっている。 クリスティの突き放したような客観性は、舞台を見ているような俯瞰的な目線を与えてくれる。クリスマスのワクワク感と美味しい料理と殺人。 同じような読後感を持つものは有栖川有栖氏の「46番目の密室」があると私は思う。 | ||||
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アガサクリスティの文庫を全て所持してますがデジタル化に伴ってまた読み始めてます。 この作品はポアロシリーズの中でも好きな作品です。 それぞれの人間性をどの作品でもうまく表現しているのがアガサクリスティの好きなところなのですが、この作品の登場人物も本当うまく表現されていて楽しめます。 | ||||
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クリスマスイブに起こった密室殺人にポアロが挑みます。 劇中で起こる殺人は一件のみで、シリーズではお馴染みの捜査協力者、すなわちヘイスティングス大尉、ジャップ警部、秘書のミス・レモン、従僕のジョージといった面々は誰も登場しないため、一件地味な印象を受けますが、主要な登場人物全員に動機を持たせた上で、アリバイ=機会という部分に強く焦点をあて、そのためにトリックを駆使するという、ある意味、非常にミステリらしい構造を取っています。 クリスティといえば、“ミステリの女王”の異名がワンセットになっていますが、手がかりを読者にすべて披瀝して真っ向勝負の知恵比べを挑むという、いわゆる本格派タイプの作品はあまり多くありません。デビュー作『スタイルズ荘の怪事件』などは、その意識がかなり高い作品ですが、こうしたスタイルはクリスティの性に合わなかったのか、キャリア初期に早々と放棄されてしまいます。むしろ、こうした型を捨てたことで、『アクロイド殺し』『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』など、彼女の代表作とされ、ミステリ史においても高い評価と人気を誇る作品を生むことができたのだと思われます。 その意味で、本作はクリスティ作品としては珍しい部類に属し、一般的なミステリという意味では、オーソドックスな部類に属します。ミステリは好きだが、クリスティはあまり読んでいない、という方にはお薦めでしょう。 反面、本格志向が強いため、クリスティ最大の武器である文章によるミス・リードは控えめになっています。そのため、クリスティ作品を読み慣れている人や、本格派ミステリを充分に読んできた人は、すぐに犯人に気づいてしまうかもしれません。中盤以降の展開もやや弱く、クライマックスへの向けての盛り上がりがもうひとつ足りないのも惜しまれるところです。ただそれでも、密室物でとかく言われがちな、なぜ犯人は密室を作らなければならなかったのか、という問いにきちんと答えている点は評価されるべきでしょう。 なお、解説では、本書をクリスマスの雰囲気と趣向にあふれた作品であるかのごとく紹介していますが、これはちょっと無理があります。他のレビューの方も指摘しているように、クリスマスらしさはほとんどありません。あえて言うなら、事件をクリスマスシーズンに起こす必然性もありません。英国伝統のクリスマスらしさを求める方は、短編集『クリスマス・プディングの冒険』に収録されている同名の中編をお薦めします。 デヴィッド・スーシェが主演したTVシリーズの同名タイトル作品では、クリスマスムードという点をかなり補填しています。加えてジャップ主任警部を駆り出したり、シメオン・リーの南ア時代のエピソード、特に殺人の動機に繋がる女性との出会いなどの場面をオリジナルで作ってストーリーを補強していますが、これらの要素は原作にはありません。ポアロの謎解きも原作より丁寧に描かれているため、本書を読んでいまひとつ消化不良を感じた方は、TV版を鑑賞されてみるのもいいかもしれません。 *“クリスマスにはクリスティを”……? ―コアな読者向けの書誌情報― 本作のタイトルを聞くと、クリスティの発刊時期に関する著名なフレーズ、“クリスマスにはクリスティを”を思い出す方も多いと思います。が、そうした通念が出来上がるのは本書刊行から20年以上経った後のことです。 クリスティは多作で知られる作家ですが、年齢とともにさすがにペースがダウンし、自身が64歳になった1954年を境に、年間に1冊しか新作を発表しなくなります。ここから執筆順では最終作となる1973年の『運命の裏木戸』までに刊行された作品は合計20冊。内訳は長編が19、短編集が1で、長編をさらに分けるとポアロ物が7、マープル物が5、トミーとタペンス物が2、ノンシリーズが5となります。 この20冊の英国における初版発表月は、9月が1、10月が5、11月が14。10月も月の後半が多いので、概ね毎年11月になるとクリスティの新作が書店に並んでいることになります。こうした状態がある程度続くうち、習慣的に“クリスマスにはクリスティを”というフレーズが生まれてきたのでしょう。 ただ、1953年以前に刊行された作品の発行月を、長編45作に関して見てみると、次のようになります 1月……8 2月……1 3月……8 4月……0 5月……2 6月……6 7月……4 8月……1 9月……3 10月……1 11月……9 12月……2 注:英国での初版。第二次世界大戦中を中心に米版が先行している作品が11あります つまり、クリスティはもともと11月から1月、いわば冬の時期に新作を発表することが多かったのです。“クリスマスにはクリスティを”は、作品数が減ってきた事情に対して、せめてその少ない作品の売り上げは確保しようという、出版社側の苦肉の、そしてなかなかクレバーでセンスのいい宣伝文句だったと見るのが妥当でしょう。 【補足データ】 初版:1938[昭和13]年12月。著作権表記は1939年 初版刊行時点でのクリスティの満年齢:48歳 長編として:全66作(Mary Westmacott名義で刊行された非ミステリ長編6作を除く)中の24作目 ポアロ物の長編として:全33作中の17作目 | ||||
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邦題は原題の直訳で、「クリスマス」に彩られた充実した作品である。二大代表作の「アクロイド殺し」と「そして誰もいなくなった」との間に発表された最盛期の作品だけに読者を惹き込む力がある。物語は、シメオンという大富豪だが悪評の高い一族の老主人(支配者)が自身の館に家族・親族を集めて「クリスマス・パーティ」を開く所から始まる。この辺は、ディケンズ「クリスマス・キャロル」を意識している事が窺え、「スクルージ=シメオン」という見立てであろう。ところが、シメオンは「クリスマス」に際して改心するどころか、家族・親族を苛めるために皆を集めたという事が判明して、憎しみ・疑心暗鬼が広がるという展開。巻頭に、「マクベス」の引用を載せている他、作中の随所に聖書、ギリシャ神話からの引用を配している等、全編に余裕が漂っている。 シメオンが終生"女たらし"であり、若い頃は南アフリカのダイアモンドで荒稼ぎした事を受けて、それを反映する一組の男女をこの「クリスマス・パーティ」に参加させている点も上手いし、シメオンの息子達及びその妻各々に動機を持たせている点も上手い。何より感心したのは、登場人物の描写が非常に丹念なのである。クリスティのトリッキーな作品を読むと、「登場人物=記号」、であって、トリックを重視して人物造形は(意識して)類型的にしているとの私の印象は良い意味で裏切られた。ポワロの推理も、この登場人物達の心理・造形に基づいた堅実なもので、まるで、クィーンの(初期)作品を読んでいるかの様であった。その上で、"意外な犯人"を用意しているのだから、十全の出来である。 「ミステリにおける"暗黙のルール"」をギリギリの所で破った"破格の傑作"を除くと、クリスティの作品は、一応は読ませるが、ミステリ的には凡庸な作品が多いという昔から抱いていた印象を最近私は見直している。「人間ドラマ+ミステリ」として読ませる作品が着想外に多いのである。本作はその代表と言って良い秀作だと思った。 | ||||
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(ネタバレあり) かみさんがカバー絵を気に入って買ったはいいが、その後読もうとしないため私が読んだ。というのも解説で「先行する傑作群に勝るとも劣らないクオリティを備えている」と褒めていたからである。確かに読み進めるとぐいぐい引き寄せられるストーリーテラーの上手さはさすがと思ったが、肝心の犯人が警察官なのは反則。警察内部の組織犯罪にまつわる話ならありだが、普通のミステリー小説で司直や警察など犯人を捕まえる側に犯人がいるのはいかんでしょ。それを許したらなんでもありになる。あと、何でクリスマスの話にしたかというと、親戚一同を会するためなのだろうが、あまりクリスマス情緒を感じない。 | ||||
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読み終えたのは、13歳の時から数えて何度目かわからないくらいです | ||||
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クリスマスの予定を考えているポワロにシメオン・リーという老人から呼び出しがかかる。 シメオンは若い頃、南アフリカでダイヤモンドを見つけ財をなした。共同採掘者をぶっ殺し独り占めした極悪人だ。 シドニー・シェルダンの『ゲームの達人』みたいだ。 砂漠で倒れたシメオンを助けた女もあっさりすててしまう。まあ、冷酷で極悪な奴だ。 シメオンを殺してやりたいと思っている人がいっぱいだ! シメオンは殺される。保護を依頼されたポワロ、保護に失敗。 捜査するポワロ。でもこういうの犯人にしていいんですか? だめでしょ。 | ||||
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ミステリ界の女王と言えば、文句なしに本作品の著者、アガサ・クリスティーでしょう。 では、ミステリのジャンルでの王道は、と言われたら、「密室殺人」と「意外な犯人」が挙げられると思います。 本作品は、そんな2つの王道に、ミステリの女王が挑んだ作品です。 ロンドンの郊外、ゴーストン館に住む富豪の老人、シメオン・リーはクリスマスを家族で過ごそうと、息子夫婦たちや、リー家に縁のある人々を招待する。 果たしてクリスマス・イヴにシメオンの部屋から悲鳴が上がり、老人が密室状態で刺殺されているのが発見された。 たまたま現地を訪れていたエルキュール・ポアロは捜査を開始するが…といったお話。 大邸宅の富豪の死という設定は、作品発表の1930年代の本格ミステリではありがちですが、事件発生をクリスマス・イヴにして、発見された死体も、サンタクロースを思わせる真っ赤な血染めというところが、本作品の特徴です。 ただ、注目の「密室殺人」と「意外な犯人」についてはちょっとインパクトに欠けていたように思います。 作品の書かれた時代としては新鮮だったのかもしれませんが、こうした古典的な作品を踏まえたミステリを読んでいる21世紀の読者としては、常套手段の印象を拭えなかったのです。 とは言っても、真相に至るまでの手掛かりや伏線、また、最後のポアロの推理は、さすがミステリの女王と思わせるものがあります。 本格ミステリとしては、上質のレベルにあると言えます。 そのような訳で、著者の代表作と呼ばれる作品を読んだ方が、次は何を?と言われたら、オススメしたくなる、そんな作品でした。 | ||||
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犯人が意外な人で面白かった。 しかし、クリスティを何冊か読んでいくと、少しパターンが見えてくる気もする。 読むのに非常に苦労したのは、言いたくないのですが訳が非常につらくて話になかなか入り込めなかった。 ドアを叩いて「入れてください!」は「開けてください!」じゃなかろうか。英語ではLet me in! だろうけど……。 と、こんな感じで、「たぶん英語はこう書いてある」と想像してしまうぐらい、 もうちょっと日本語をどうにかしてもらいたかった。 | ||||
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ポワロ全作品集めています。この作品は短編集ですが、どれも読みごたえあります。NHKの番組で以前放送されているものでおなじみです。 | ||||
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