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ポアロのクリスマス



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ポアロのクリスマスの評価: 4.07/5点 レビュー 43件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.07pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 1~20 1/2ページ
12>>
No.28:
(5pt)

すごすぎる作品群に埋もれた、隠れた名作

「知らないのはあんただけだ!」と言われそうですが、これはアガサの凄すぎる作品群に埋もれた(?)、隠れた名作ではないでしょうか。小説の冒頭にシェークスピアの『マクベス』の一節が引用されています。この手のエピグラフってあまり意味がないことが多いのですが、これは読み終わるとなるほどなと思ってしまいます。
 アガサ・クリスティには珍しく血の気の多い物語ですが、それは義兄の「もっと血にまみれた、思い切り凶暴な殺人」というリクエストに応える形で書かれたものだからです。「義兄さん!アガサの良いところはお洒落で洗練された物語を書くところなのですけどね」と言いたくなりますが……。これではまるで「遺産相続争いで血みどろの惨劇が起こる横溝正史」です。そのせいか、『アガサ・クリスティー完全攻略』の中で著者の霜月蒼さんがこう書かれています。「もしこれをジョン・ディクスン・カーや横溝正史あたりが書いたならば、ここで描写される〈ある条件〉を冒頭で示し、舞台たる邸宅に幽霊話を背負わせたりしただろうな」と……。だが、そうしなかったところがアガサの凄さなのです。ネタバレになるのであまり詳しく書けませんが、それを冒頭で示すと「ああ、これはあのトリックだな」と勘のいい読み手にはすぐに分かってしまいます。密室を否定した上でそれを後半に持ってくることで、読者に「ありえない!」と勘違い(?)させてしまい、ある意味別の密室が完成してしまうのです。冒頭では密室でないことが示されるので読者が後半までそのことを引き摺ってしまい、このような錯覚が起こるのだと思います(何を言っているのかよくわかりませんね。実際にお読みいただければ分かっていただけると思うのですが……)。この辺りのアガサの構成力というのは天才的と言わざるを得ません。
ポアロのクリスマス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)より
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No.27:
(5pt)

ポアロのアクの強さが薄れて読みやすかった

2023年11月発売の新訳版。
クリスティにはまってほとんど全部読破したのは前世紀の話で、
もう卒業したつもりでしたが、
新訳版なのでクリスマスに読もうと購入しました。
 
結局クリスマスに読む時間がなく、年を越してしまいましたが、
ストーリーにクリスマスはあまり絡んでいないので、
(単にひさしぶりに家族が集まる時期という程度)
クリスマスの雰囲気に浸るという内容でもありません。
 
クリスティの生み出した主人公たちの中でも
特にクセがすごく、うっとうしさを感じていたポアロですが、
新訳のせいか、この本ではさっぱりとした性格です。
 
ただ、今回改めてポアロについて調べてみたら、初登場は1920年。
この「ポアロのクリスマス」の初版は1938年と、初登場からだいぶ経ち、
もしかしたら旧訳でもポアロのくどさは薄れていたのかも?

また、この本は外国のことわざを知った想い出深い作品です。
「The mills of God grind slowly, but they grind exceeding small.」
(神のひき臼はゆっくりだが、細かくひく)

ひさしぶりの翻訳小説でしたが、
かつては、こうして海外の文化や歴史に浸っていたと思い出しました。
 
それにしても、
インターネットもPCも携帯もスマホもない時代のストーリーなのに、
それがないことを意識せずに読了できてしまい、
やはりクリスティは素晴らしいストーリーテラーだと再認識しました。
ポアロのクリスマス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)より
4151310177
No.26:
(5pt)

本格ミステリーの教科書みたいな傑作。

タイトルから、ひょっとしてコメディ? と思ったが、とんでもない。ガチガチの本格ミステリーだった。聖夜に密室で血塗れの殺人が起きる趣向で、皆に嫌われてる偏屈者の金持ちが、クリスマスに家族を一同に集めるのは、まるで「クリスマスキャロル」みたい。

  殺害動機のない方が珍しいキャラの中、意外な真犯人を設定したのは、さすがクリステイー。ポアロの謎解きで、かなり冒頭の箇所から、伏線が貼られていたとわかるのは快感。「血塗れ」の密室は、派手な演出だけど、そうなるよう仕向けた犯人の行動は理性的。犯人の意外性と、その人物の理性的な犯行が明らかになってゆく終盤は、正に本格ミステリーの味わいだった。

  有名作ではないけれど、本格ミステリーの教科書みたいな傑作と評価したい。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
415070015X
No.25:
(5pt)

良かった

富豪の老当主が殺害された事件をエルキュール・ポアロが解明。
事件解決後の、残された関係者の今後の幸せを匂わせるラストが良かった。
ポアロのクリスマス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)より
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No.24:
(4pt)

ポアロの完全なクリスマス

クランシー+スティーヴ・ピチェニック、パスカル・エングマンの著作を読み、ベン・アフレックが主演した映画「ドミノ」、監督:デヴィッド・フィンチャーの新作「ザ・キラー」を鑑賞後、ヴァイオレンスにほとほと疲れてしまった私は(笑)、クリスティーの「ポアロのクリスマス」の新訳がリリースされたことを知り、とにかく読んでみることにしました。なんのことはない。そこには血塗れの死体が横たわっていました(笑)。
 クリスマス時期、12/22から始まる本格パズラー。しかも巻頭、「マクベス」からの引用で幕を開けます。由緒ある家柄とその屋敷、ゴーストン館。老獪な主、シメオン・リーはクリスマスに息子たちとそのそれぞれの妻たちを呼び寄せますが、クリスマス前夜、ゴーストン館では何かが破壊される音と共に奇妙な悲鳴が響き渡り、施錠された密室からシメオンが喉を掻き切られ、殺害されて発見されます。一体誰が?何故?ミドルシャー州警察の依頼を受け事件に巻き込まれるエルキュール・ポアロ。
 入れ替わり立ち替わり現れる、シメオンの家族たち。家族以外の怪しげな人物たち。ばら撒かれるミス・ディレクションと容易ならざる伏線。中盤までは、そうは言っても自分が考え得る人物の中にきっと犯人はいると想定していましたが、ポアロの謎解きはその想定を遥かに凌駕して、<はなれわざ>が炸裂しました。勿論、パズラーですからこれ以上話すわけにはいきません。
 タイトルから喚起されるクリスマスは例えば同じポアロによる「ハロウィーン・パーティ」のように華やかな雰囲気の中で繰り広げられるパズラーなのかと思っていましたが、これも意外なことに、地味な道具立てに終始し、まるで未来のクリスマスを迎えるための乗り越えなければいけないクリスマスを描写しているかのような筋書きに少し重苦しさを感じたりもしました。それは巻頭の「マクベス」からの引用が効いているからに他なりません。
 内心は「ハロウィーン・パーティー」のような彩りのあるクリスマスを描いて欲しかったという気持ちもないではありませんが、しかしこれはこれで完全な「ポアロのクリスマス」なのかもしれません。
 「そうは思いませんか? “Mon Ami”」
 □「ポアロのクリスマス “Hercule Poirot’s Chiristmas”」(アガサ・クリスティー 早川書房) 2023/11/12。
ポアロのクリスマス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)より
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No.23:
(5pt)

クリスティの傑作に次ぐ大変優れた作品

タイトルとは裏腹にクリスマスっぽさは皆無の、クリスティの作品では珍しい、本格派の密室殺人です。
あまり有名な作品ではないので期待せずに読みはじめたのですが、「アクロイド殺し」や「オリエント急行殺人事件」などの傑作に次ぐのではないかと思うほどに大変楽しめました。
何がそれほどまでに楽しめたのかといえば、犯人の意外性でした。
この作品の面白さは、犯人を暴く最終盤のシーンに凝縮されていると思います。
ええええええええええ!!???となったのは本当に久しぶりでした。

ただ、他のクリスティの作品ではよく提示されている幾つかの事象が、この作品で提示されていないため、少々ご都合主義な部分があるのは否めません。
また、終盤までいまひとつ盛り上がりに欠ける展開の弱さがあります。
この辺りが有名になれなかった原因なのかもしれません。
しかしそれらの欠点を補って余りあるほど、犯人があまりにも意外すぎて、細かいことは全部吹っ飛んでしまいました。
欠点はあれどポアロ物の中ではかなり質の高い作品ではないでしょうか。

ちなみに一部の女性陣は深みのある人間性が描かれているので、クリスティの巧みな人物描写がお好きな方にもおすすめしたいです。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.22:
(4pt)

ポアロ初心者にもお勧め。犯人を当てられてうれしかったです。

コロナの自粛期間中にすっかりアガサクリスティ―にはまり、特にポアロシリーズが好きでコツコツと読んでいます。
この作品も、ポアロらしくあっという間に読み終わってしまいました。
ここ最近ポアロシリーズを読んでいるので後半部分で犯人がわかりました。
全くトリックなどはわからなかったので、ただの勘ですが。

アガサクリスティーの作品は登場人物が多く、海外の名前なのでなかなか覚えられず誰が誰だが途中でわからなくなるのですが、こちらの作品は比較的登場人物が夫婦が多くシンプルなのでわかりやすかったです。
初心者にもお勧めできると思います。

ただ個人的に翻訳があまり良くない気がします。今まで何冊かシリーズを読んできましたが一番しっくりきませんでした。新訳が出てくることを望みます。
その為星を四つにしました。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.21:
(5pt)

何年経って読んでも

素晴らしい。本格
推理小説の面白さが詰まっている。
クリスティの突き放したような客観性は、舞台を見ているような俯瞰的な目線を与えてくれる。クリスマスのワクワク感と美味しい料理と殺人。
同じような読後感を持つものは有栖川有栖氏の「46番目の密室」があると私は思う。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.20:
(5pt)

大好きな作品です

アガサクリスティの文庫を全て所持してますがデジタル化に伴ってまた読み始めてます。
この作品はポアロシリーズの中でも好きな作品です。
それぞれの人間性をどの作品でもうまく表現しているのがアガサクリスティの好きなところなのですが、この作品の登場人物も本当うまく表現されていて楽しめます。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.19:
(4pt)

クリスティの中では数少ない本格志向の作品。ただし、クリスマスムードには乏しい

クリスマスイブに起こった密室殺人にポアロが挑みます。

劇中で起こる殺人は一件のみで、シリーズではお馴染みの捜査協力者、すなわちヘイスティングス大尉、ジャップ警部、秘書のミス・レモン、従僕のジョージといった面々は誰も登場しないため、一件地味な印象を受けますが、主要な登場人物全員に動機を持たせた上で、アリバイ=機会という部分に強く焦点をあて、そのためにトリックを駆使するという、ある意味、非常にミステリらしい構造を取っています。

クリスティといえば、“ミステリの女王”の異名がワンセットになっていますが、手がかりを読者にすべて披瀝して真っ向勝負の知恵比べを挑むという、いわゆる本格派タイプの作品はあまり多くありません。デビュー作『スタイルズ荘の怪事件』などは、その意識がかなり高い作品ですが、こうしたスタイルはクリスティの性に合わなかったのか、キャリア初期に早々と放棄されてしまいます。むしろ、こうした型を捨てたことで、『アクロイド殺し』『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』など、彼女の代表作とされ、ミステリ史においても高い評価と人気を誇る作品を生むことができたのだと思われます。

その意味で、本作はクリスティ作品としては珍しい部類に属し、一般的なミステリという意味では、オーソドックスな部類に属します。ミステリは好きだが、クリスティはあまり読んでいない、という方にはお薦めでしょう。

反面、本格志向が強いため、クリスティ最大の武器である文章によるミス・リードは控えめになっています。そのため、クリスティ作品を読み慣れている人や、本格派ミステリを充分に読んできた人は、すぐに犯人に気づいてしまうかもしれません。中盤以降の展開もやや弱く、クライマックスへの向けての盛り上がりがもうひとつ足りないのも惜しまれるところです。ただそれでも、密室物でとかく言われがちな、なぜ犯人は密室を作らなければならなかったのか、という問いにきちんと答えている点は評価されるべきでしょう。

なお、解説では、本書をクリスマスの雰囲気と趣向にあふれた作品であるかのごとく紹介していますが、これはちょっと無理があります。他のレビューの方も指摘しているように、クリスマスらしさはほとんどありません。あえて言うなら、事件をクリスマスシーズンに起こす必然性もありません。英国伝統のクリスマスらしさを求める方は、短編集『クリスマス・プディングの冒険』に収録されている同名の中編をお薦めします。

デヴィッド・スーシェが主演したTVシリーズの同名タイトル作品では、クリスマスムードという点をかなり補填しています。加えてジャップ主任警部を駆り出したり、シメオン・リーの南ア時代のエピソード、特に殺人の動機に繋がる女性との出会いなどの場面をオリジナルで作ってストーリーを補強していますが、これらの要素は原作にはありません。ポアロの謎解きも原作より丁寧に描かれているため、本書を読んでいまひとつ消化不良を感じた方は、TV版を鑑賞されてみるのもいいかもしれません。

*“クリスマスにはクリスティを”……?
―コアな読者向けの書誌情報―

本作のタイトルを聞くと、クリスティの発刊時期に関する著名なフレーズ、“クリスマスにはクリスティを”を思い出す方も多いと思います。が、そうした通念が出来上がるのは本書刊行から20年以上経った後のことです。

クリスティは多作で知られる作家ですが、年齢とともにさすがにペースがダウンし、自身が64歳になった1954年を境に、年間に1冊しか新作を発表しなくなります。ここから執筆順では最終作となる1973年の『運命の裏木戸』までに刊行された作品は合計20冊。内訳は長編が19、短編集が1で、長編をさらに分けるとポアロ物が7、マープル物が5、トミーとタペンス物が2、ノンシリーズが5となります。

この20冊の英国における初版発表月は、9月が1、10月が5、11月が14。10月も月の後半が多いので、概ね毎年11月になるとクリスティの新作が書店に並んでいることになります。こうした状態がある程度続くうち、習慣的に“クリスマスにはクリスティを”というフレーズが生まれてきたのでしょう。

ただ、1953年以前に刊行された作品の発行月を、長編45作に関して見てみると、次のようになります
1月……8
2月……1
3月……8
4月……0
5月……2
6月……6
7月……4
8月……1
9月……3
10月……1
11月……9
12月……2
注:英国での初版。第二次世界大戦中を中心に米版が先行している作品が11あります

つまり、クリスティはもともと11月から1月、いわば冬の時期に新作を発表することが多かったのです。“クリスマスにはクリスティを”は、作品数が減ってきた事情に対して、せめてその少ない作品の売り上げは確保しようという、出版社側の苦肉の、そしてなかなかクレバーでセンスのいい宣伝文句だったと見るのが妥当でしょう。

【補足データ】
初版:1938[昭和13]年12月。著作権表記は1939年
初版刊行時点でのクリスティの満年齢:48歳
長編として:全66作(Mary Westmacott名義で刊行された非ミステリ長編6作を除く)中の24作目
ポアロ物の長編として:全33作中の17作目
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.18:
(4pt)

登場人物の描写が非常に丹念で、「人間ドラマ+ミステリ」として読ませる「クリスマス」に彩られた充実した秀作

邦題は原題の直訳で、「クリスマス」に彩られた充実した作品である。二大代表作の「アクロイド殺し」と「そして誰もいなくなった」との間に発表された最盛期の作品だけに読者を惹き込む力がある。物語は、シメオンという大富豪だが悪評の高い一族の老主人(支配者)が自身の館に家族・親族を集めて「クリスマス・パーティ」を開く所から始まる。この辺は、ディケンズ「クリスマス・キャロル」を意識している事が窺え、「スクルージ=シメオン」という見立てであろう。ところが、シメオンは「クリスマス」に際して改心するどころか、家族・親族を苛めるために皆を集めたという事が判明して、憎しみ・疑心暗鬼が広がるという展開。巻頭に、「マクベス」の引用を載せている他、作中の随所に聖書、ギリシャ神話からの引用を配している等、全編に余裕が漂っている。

シメオンが終生"女たらし"であり、若い頃は南アフリカのダイアモンドで荒稼ぎした事を受けて、それを反映する一組の男女をこの「クリスマス・パーティ」に参加させている点も上手いし、シメオンの息子達及びその妻各々に動機を持たせている点も上手い。何より感心したのは、登場人物の描写が非常に丹念なのである。クリスティのトリッキーな作品を読むと、「登場人物=記号」、であって、トリックを重視して人物造形は(意識して)類型的にしているとの私の印象は良い意味で裏切られた。ポワロの推理も、この登場人物達の心理・造形に基づいた堅実なもので、まるで、クィーンの(初期)作品を読んでいるかの様であった。その上で、"意外な犯人"を用意しているのだから、十全の出来である。

「ミステリにおける"暗黙のルール"」をギリギリの所で破った"破格の傑作"を除くと、クリスティの作品は、一応は読ませるが、ミステリ的には凡庸な作品が多いという昔から抱いていた印象を最近私は見直している。「人間ドラマ+ミステリ」として読ませる作品が着想外に多いのである。本作はその代表と言って良い秀作だと思った。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.17:
(5pt)

いつもながら素晴らしい

読み終えたのは、13歳の時から数えて何度目かわからないくらいです
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.16:
(4pt)

「密室殺人」と「意外な犯人」

ミステリ界の女王と言えば、文句なしに本作品の著者、アガサ・クリスティーでしょう。
では、ミステリのジャンルでの王道は、と言われたら、「密室殺人」と「意外な犯人」が挙げられると思います。
本作品は、そんな2つの王道に、ミステリの女王が挑んだ作品です。

ロンドンの郊外、ゴーストン館に住む富豪の老人、シメオン・リーはクリスマスを家族で過ごそうと、息子夫婦たちや、リー家に縁のある人々を招待する。
果たしてクリスマス・イヴにシメオンの部屋から悲鳴が上がり、老人が密室状態で刺殺されているのが発見された。
たまたま現地を訪れていたエルキュール・ポアロは捜査を開始するが…といったお話。

大邸宅の富豪の死という設定は、作品発表の1930年代の本格ミステリではありがちですが、事件発生をクリスマス・イヴにして、発見された死体も、サンタクロースを思わせる真っ赤な血染めというところが、本作品の特徴です。

ただ、注目の「密室殺人」と「意外な犯人」についてはちょっとインパクトに欠けていたように思います。
作品の書かれた時代としては新鮮だったのかもしれませんが、こうした古典的な作品を踏まえたミステリを読んでいる21世紀の読者としては、常套手段の印象を拭えなかったのです。

とは言っても、真相に至るまでの手掛かりや伏線、また、最後のポアロの推理は、さすがミステリの女王と思わせるものがあります。
本格ミステリとしては、上質のレベルにあると言えます。

そのような訳で、著者の代表作と呼ばれる作品を読んだ方が、次は何を?と言われたら、オススメしたくなる、そんな作品でした。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.15:
(5pt)

ポワロシリーズ

ポワロ全作品集めています。この作品は短編集ですが、どれも読みごたえあります。NHKの番組で以前放送されているものでおなじみです。
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No.14:
(5pt)

犯人の意外性はポワロ作品中屈指!

本作は、クリスマスの3日前から物語が始まり、クリスマス・イヴに惨劇が起き、クリスマスの3日後に事件が解決するという、クリスマスを挟んだ一週間に亘る殺人事件です。
 他のレヴュアーさんも書かれていますが、タイトルから期待する程には本作は「クリスマスならでは!」という雰囲気の中で起こる事件ではありません。靴下をベッドに掛けながらプレゼントを期待する子供達も、ヤドリギも、七面鳥も、プティングさえも出てきません(ヒイラギは少し出てきたかな?)。
 ぼくらの友ヘイスティングス大尉は未登場で、ジョンスン大佐(警察部長)、サグデン警視の二人がポワロと共に、血まみれの状態で亡くなっていた資産家老人シメオン・リー殺害の犯人を探ります。

 今回は久しぶりに−嬉しいことに−犯人が全く意外な人物でした!!犯人が指名された一行を読んだ瞬間思わず『うええええあ!!?』と意味不明な奇音を発してしまったほどです。電車で読まれる方は気をつけてください(笑)。この意外性は、個人的には『アクロイド殺し』『オリエント急行』『メソポタミア』に次ぐのではないかと思います。犯人を当てるためには一行たりとも読み逃さない観察力と「立っているものは全て疑いたまえ、モナーミ」の精神、そして想像力が必要とされる秀作です。
 殺害トリックは実際あれだけのヒントではなかなか予想できない類のものではあるのですが、許容範囲内だと思います。
 
 この作品は、遺産相続が絡むある屋敷内での密室殺人という王道ものでありながら、ミスリードやダミーの仕込みが巧みですし、読者の死角や思い込みを突いてきますので、推理好きにはツボの一冊ですね!!クリスティによくある毒殺パターンでもない点もいい。犯人を特定するためのヒントも、よく読めばちゃんと示されていますので、未読の方頑張って推理してください(私はちょっと怪しいと思いながらも考えすぎかと思い、ヒントを流してしまいました)!!

ポワロものの中でも、お勧めできる一冊です!

ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.13:
(4pt)

ここにも本格が

のどかそうなタイトルからは想像できない“本格”です。
殺人が起こり、容疑者の証言を集め、その中にはもちろん虚言や語られていないことがあるわけで、それを見極めながら一つの結論に至る。ミステリーかくあるべし、という王道の運びです。
比較的初期の作品ということもあるのでしょう。
☆を一つ減らしたのは、犯人が良くも悪くも意外すぎ、というところで。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
415070015X
No.12:
(4pt)

ここにも本格が

のどかそうなタイトルからは想像できない“本格”です。
殺人が起こり、容疑者の証言を集め、その中にはもちろん虚言や語られていないことがあるわけで、それを見極めながら一つの結論に至る。ミステリーかくあるべし、という王道の運びです。
比較的初期の作品ということもあるのでしょう。
☆を一つ減らしたのは、犯人が良くも悪くも意外すぎ、というところで。
ポアロのクリスマス (1976年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (1976年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.11:
(5pt)

作者ベスト3はこれに決定!

富豪のシメオン・リーとその家族たちがクリスマスに集う。愛憎渦巻く中、格闘の物音や声などの大音響に皆が駆けつけると、シメオン老人が大量に血にまみれて殺されている、という本書だが、こいつはビックリ、驚いた。大して有名でない作品なのに、こんなトリッキーな作品があったのか。
トリックの切れ味は、作者作品では「ナイルに死す」と双璧をなすだろう。
さらに、ラストでポアロが容疑者たちを集めて一人ずつ犯行シミュレーションを説明しては消去してゆくのだが、最後の最後で名指しする犯人の意外性が抜群で、「アクロイド殺し」に次ぐものではないかと思う。
どうしてこの作品があまり傑作と評されていないのかよくわからないが、「そして誰もいなくなった」と「アクロイド殺し」、そして本書がベスト3に間違いないね。
もっとも、1ヶ所ピラールが拾ったものの説明で「あれれ?」と思えば、そしてそこで深くツッコムかどうかにもよるかも知れない。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-15)より
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No.10:
(5pt)

作者ベスト3はこれに決定!

富豪のシメオン・リーとその家族たちがクリスマスに集う。愛憎渦巻く中、格闘の物音や声などの大音響に皆が駆けつけると、シメオン老人が大量に血にまみれて殺されている、という本書だが、こいつはビックリ、驚いた。大して有名でない作品なのに、こんなトリッキーな作品があったのか。

トリックの切れ味は、作者作品では「ナイルに死す」と双璧をなすだろう。

さらに、ラストでポアロが容疑者たちを集めて一人ずつ犯行シミュレーションを説明しては消去してゆくのだが、最後の最後で名指しする犯人の意外性が抜群で、「アクロイド殺し」に次ぐものではないかと思う。

どうしてこの作品があまり傑作と評されていないのかよくわからないが、「そして誰もいなくなった」と「アクロイド殺し」、そして本書がベスト3に間違いないね。

もっとも、1ヶ所ピラールが拾ったものの説明で「あれれ?」と思えば、そしてそこで深くツッコムかどうかにもよるかも知れない。
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B000J952WI
No.9:
(5pt)

意外でした。

あまり話題にならない作品ですが、結構意外で、トリックもいいと思います。伏線が絶妙でやられました。物語としても面白く、しかもクリスティーの密室物、一読の価値あります。
ポアロのクリスマス (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ポアロのクリスマス (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300171

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