カリブ海の秘密
- ミス・マープル・シリーズ (17)
- 安楽椅子探偵 (187)
※タグの編集はログイン後行えます
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
カリブ海の秘密の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ミス・マープルは言わずもがな、登場人物にもうひとり、とても印象に残る人物がいました。 えらい年寄りで偏屈、身体の自由は利かないけれど、頭脳明晰の富豪、ラフィール氏。棺桶に片足突っ込んだようなこの年寄りと、我らがヒーロー、ミス・マープルのやり取り、お互いに敬意を払うふたりの関係に、ぐっと来ました。ラストの台詞なんか、思わずこちらも〝敬礼〟したくなりましたよ。 永井 淳(ながい じゅん)の訳文は、まずまず読みやすかったです。訳文の初出は1971年(昭和46年)と古いにも関わらず、ほとんど違和感なく読み通すことができました。 それと、何かの儀式を行っているみたいなシルエット姿のカバー写真が、なかなかにインパクトがあって良いなと。 登場人物が見かけとは異なり、その陰に邪悪なものを潜ませている‥‥。本篇で醸成されてゆくその不吉な雰囲気とイメージが重なるところがあって、このカバー写真の選択は、グッジョブや!思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「カリブ海の秘密」とは? 直接、この「秘密」を解く鍵となる言葉は、何なのか? 見つかりませんでした。 「カリブ海の秘密」は、誰かの秘密です。 噂話でばらまかれます。いつまでたっても消えません。 特に未解決の殺人事件はいつまでも、あちらこちらで噂されるものです。 なので、脅迫されないように、おしゃべりなヤツの口は封じなければ・・・ これが、次の殺人事件を呼び込むのです。 本書の舞台は、カリブ海の西インド諸島のひとつ、サン・トレノ島にあるホテル。 ホテルの名前は、 ゴールデン・パーム・ホテル(表紙カバーのソデ、登場人物、15頁、27頁) ゴールデン・パーム(32頁) ゴールデン・パーム・トリー・ホテル(267頁) 「パーム・トリー」は、 「しゅろの樹」(16頁)、椰子の木、または「ココナッツの木」(230頁) 厳密には、どう訳すべき木でしょうか? 冒頭の「登場人物」では、 「ゴールデン・パーム・ホテルの滞在客」としか紹介されていない人たち。 なぜでしょう? 本文の中では、詳しく書かれているのに。謎です。 というわけで、読者は著者に成り代わって、紹介してみます。 ・パルグレイヴ少佐: 懐古談にふける醜(ぶ)男老人(9頁)。なぜか殺された(197頁) ・ラフィール: 老人(32頁)。体の自由がほとんどきかない(33頁)。お金持ち(212頁) ・エスター・ウォルターズ: ラフィール氏の秘書。娘がいる(226頁)。 ・アーサー・ジャクスン: ラフィール氏のマッサージ師。看護係(33頁) ・ジェレミー・プレスコット: 兄。聖堂参事会員(16頁) ・ジョーン・プレスコット: 妹 ・グレゴリー・ダイスン: アメリカ人(34頁)。夫。ラッキーと再婚(102頁) ・ラッキー・ダイソン: アメリカ人(34頁)。妻。前の奥さんの親戚(103頁) ・エドワード・ヒリンドン: 夫。背が高く痩せた植物学者(34頁)。大佐(34頁) ・イーヴリン・ヒリンドン: 妻。日に焼けた植物学者(34頁) ・グレアム: 年配の博士(16頁)、医師(119頁) 心に残った文章。 「探偵小説の被害者はどんなタイプかね? 大金持ちの老人だよ」(223頁) 「大金持ちの老人」ラフィール氏と、ミス・マープルとの老成した推理の会話が興味深い。 特に、第17章の「ラフィール氏、活動を開始する」が面白かったです。 本書『カリブ海の秘密』は、1964年の作品。アガサ、74歳の時の作品。 古い作品なのに、面白さは変わりません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
犯人はすぐ想像ついたのですが、確信できないまま、ぐいぐい引っ張っていかれました。 犯人が当たっていたとわかったときは正直少し拍子抜けしましたが、引っ張る作者の力量がすごいのだと思います。 他のレビュアーも指摘されているように、老ワトソン訳が魅力的で、傑作のひとつだと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
リゾート地で殺人事件が起きて、いろんな噂話が飛び交い、老婦人が犯人に立ち向かってゆくという、この世界観がなんとも心地良いのです。正直、そんな大ネタでは無かったし、高い点数はつけてませんが、いつもと変わらぬ、これぞクリスティ!という肌触りが最高でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
クリスティの作品はどれも人物造形に秀でていますが、今回はマープルの捜査に協力するラフィール氏が特に優れていると感じました。 最初は「なんだこの嫌味を体現したかのような爺さんは!」と不快に思ったのですが、その爺さんが「あの婆さん(マープル)のことを見誤っておった!」と言った頃には、私も「あんたのこと見誤っておったよ!」となりました(笑) このラフィール氏とマープルのやりとりが夫婦漫才のように軽快で面白く、数ある登場人物の中でも、彼らお年寄りコンビが一番若々しくてエネルギッシュに感じました。 ストーリーですが、どの人物も怪しく描かれていて、ミスリードも巧みで期待を裏切らない出来でした。 ただ、クリスティの作品をよく読まれる方であれば、どこかで見たことのあるようなパターンなので、比較的犯人がわかりやすい方かなと思います。 トリックも凝ったものではなく、ミステリーとして見ると少々物足りなさはあるのですが、全体的にテンポが良くスラスラ読めたのでとても楽しめました。 でも楽しめた理由の大半は、上述したお年寄りコンビのおかげかなと思います。 これがもしポアロ物であれば、変わった爺さんがいるだけのあまり印象に残らない作品になっていたかもしれません。 それだけマープルとラフィール氏のコンビがとても素晴らしかったです。 クリスティの人物描写が好きな方であれば、この2人のやりとりを読むだけでも価値のある作品ではないかと思います。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 39件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|