トレント最後の事件



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初公開日(参考)1981年04月
分類

長編小説

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トレント最後の事件【新版】 (創元推理文庫)

2017年02月20日 トレント最後の事件【新版】 (創元推理文庫)

アメリカ実業界の大立者がイギリスの別邸で殺害された。世間を騒がすこの大事件の解決に赴いた画家にして名探偵のトレントは、重要容疑者である、被害者の美しき妻メイベルと出会う……。「名探偵が容疑者に恋をする」大胆な展開と見事な謎解きで、英米ミステリ黄金時代の先駆けとなった傑作長編。かの江戸川乱歩が名作ベストテンに選び、翻訳を試み、自作に影響をおよぼすほど惚れこんだ本格ミステリが、新カバー&新解説で登場!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

トレント最後の事件の総合評価:5.89/10点レビュー 18件。Cランク


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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(7pt)

古典の名作とされていますが

それほどではありませんでした。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

歴史的意義はあっても現代ならばごく普通の作品

ミステリ黄金期と呼ばれる1920年代から30年代にかけてはミステリプロパー以外の他分野の作家も積極的にミステリ作品を発表している。有名なところではフィルポッツの『赤毛のレドメイン家』、ミルンの『赤い館の秘密』などなど。そしてこのベントリーもその中の1人。
とはいえ、本作はその黎明期における1913年での発表であることから、厳密に云えば彼の作品は黄金期以前のものとなるが、それゆえに現在でもなおこの作品の歴史的意義が高いものとして評されていると推察される。

物語は自分の屋敷の庭で射殺体となって発見された財界の巨人と称される大物の死の真相と犯人を探偵トレントが探る物。
まず誰もが驚くのがそのタイトル。1作目にして「最後の事件」と冠されている事だ。現在のミステリファンならば「~最後の事件」とついた作品ならば誰もが名探偵の死を連想することだろう。これはネタバレにならないので敢えて述べるが、本作では探偵トレントが死ぬわけではない。この題名の由来は単純に作者ベントリーがこの作品を彼にとって最初で最後のミステリにしようと考えていたからに過ぎない。しかし現代も作品が残されていることからも解るように、望外の好評を以って作品は受け入れられ、結局ベントリーはその後も作品を著わし、結局3編創られた。

本書はミステリの歴史上、画期的な作品として評価されている。それはミステリに恋愛の要素を持ち込んだからだ。それまでの探偵は知的好奇心と探究心が突出した奇人・変人の類いのように描写され、ミステリ作家は読者に印象付けるためにその特異性のみを追求していた。それゆえ、「思考機械」と呼ばれるほどの無機質な人間までが登場することになった。しかしベントリーは探偵に恋をさせ、あまつさえ一度推理を見誤らせさえもする。つまり紙上の作り物めいたキャラクターから感情を持った、読者と変わらぬ1人の人間として描いたところにこの作品の歴史的価値がある。

しかし発表から既に100年近く経った21世紀の今、本書を読むと他の古典ミステリとの差異は見出せないかもしれない。私は大学生当時本書を読んだが、その時は幸いなことに上の事実には気づいた。おまけに古典ミステリにおいて初めて本書で感情を表す文章描写で犯人を絞り込むことが出来たくらいだ。
今あるミステリ、例えば後年クイーンがエラリーを悩める探偵にした萌芽がこの作品にあるとすれば確かに本書の歴史的意義は高いだろう。しかし、だからといってぜひとも読むべき作品であるとは声高には云えない。ミステリ好きが高じて、その源泉を辿る興味を持たれた方は読んでしかるべき作品だということに留めておこう。


Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

トレント最後の事件の感想

名探偵の存在を否定し、そんな名探偵が登場する探偵小説に対し一石を投じる風刺の効いた作品です。

トレント最後の事件というタイトルですが実はトレントは初登場だったりします。
これで思い出したのが「メルカトル鮎最後の事件」
これまでのミステリの概念をぶち壊す迷探偵メルカトル鮎。
アンチミステリを打ち出す麻耶雄嵩が描く作品の背景にはこの作品の思想がはっきりと浮かんでいる気がします。
私の場合、読んだ順序が逆ですし、今頃気付いたのと言われそうですが、何かこういう気付きって嬉しい。
読書の醍醐味の一つな気がしました。
ほぼ最低点を付けてしまった麻耶さんの「翼ある闇」ですが、もっと自身の経験値を上げてから読むべき作品でしたね。
再読したい気持ちになりました。


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梁山泊
MTNH2G0O
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未読の方はご注意ください

No.15:
(4pt)

恋愛小説?

真実を暴くにはどうしても、一つの疑いたくない事実が出てくる。微妙な恋愛の情。トリックに関しては根本的な疑問が残り、推理小説というよりは、恋愛小説。
トレント最後の事件 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:トレント最後の事件 (創元推理文庫)より
4488114016
No.14:
(4pt)

独創的な構想だが不自然さや強引さが否めない

若い頃に読んだ時は名作としての期待が高かったせいかあまり良い印象がなかった。今回はそれほど期待せずに名作と言われる所以を確かめるべく読んだがやはり評価は今一つであった。

前半は引き込まれるように快調に読めたが中盤の恋愛部分はやや興ざめであった。終盤の解決編は緊迫感にあふれており見事なサスペンスになっているがミステリとしては不満が残った。最後は蛇足であろう。推理小説への皮肉という作者の意図も取ってつけたようで中途半端という感じがした。

作品としての構想は独創的であり確かに従来のホームズ物と比較すると飛躍的な進歩がある。前半にトレントが見せる推理はアンフェアーな部分はあるが証拠から緻密に組み立てられており読み応えは十分であった。しかし後半を含めると作り事としての不自然さが否めない。現実の事件としては一歩間違えれば茶番劇におちいる内容であり動機の面からもここまでやるかという不自然さが残る。

人物描写では男性陣はうまく描き分けられているが、主人公の名探偵トレントが前半で見せる自惚れ屋ぶりが鼻に付く。これは中盤以降で苦悩する部分とのコントラスト、あるいはホームズ物における超然とした名探偵への皮肉といった作者の仕掛けなのであろうが、感情移入ができず本格謎解きミステリとしては興ざめであった。

冷酷な大富豪、マンダースンは不気味な男として見事に表現されているが結果としては表面的なものに留まっているのが残念である。誰も信用せず誰からも信頼されない孤独な男としてその内面をもっと掘り下げてほしいところであった。

マンダースン夫人は男性からみた女性の理想像として描かれているが、こちらは作りもので人間としての現実感がない。夫に対する態度も表面的な説明に留まっており実際にはこんな事では済まないと思われる。

緻密な本格推理、恋愛、サスペンス、探偵小説への皮肉といったものが融合されている点で独創的ではあるが、これらを混ぜ込もうとしたがためか強引さが目立ち全体的に作り事としての不自然さがあることは否めないと思われる。
トレント最後の事件 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:トレント最後の事件 (創元推理文庫)より
4488114016
No.13:
(4pt)

推理小説が進化する上で書かれなければならなかった力作

アメリカの実業家が殺され・・・というお話。

杉江氏の解説によると、この小説で著者のベントリーは陳腐化、形骸化しつつある推理小説を批判する目的で書いたとありますが、発表されたのは1913年ということで、今から100年以上前、まだ推理小説の創成期といっていい時代にその様な試みをした著者の慧眼ぶりには驚かされます。ただ批判するだけなら評論でも出来ますが、実際に小説を執筆してそれを行い、尚且つ推理小説としても完成度の高い物を創作出来たのも驚きです。

更に主人公で小説の先導役に容疑者を恋するという、恋愛小説を彷彿とさせる行動をとらせてみたりと、書かれた当時は相当画期的だった作品であったろう事は今読んでも判ります。著者はプロの作家ではないし、実作も少ないそうですが、そういう人だからこそ歴史に残る作品を物する事が出来たのかもしれないし、偶然そうなったかもしれないですが、どちらにしても推理小説が進化する過程で書かれなければならなかった重要作だという事は今回初めてこの作品を読んで理解出来ました。

叙述がこの時代特有というか、読者の集中力を考慮してくれないで、40~50ページくらい続く息の長い文章で読み難い事この上ないですが、それ以外では歴史的価値の高い作品という事で推理小説を好きな人は必読かと思います。☆の数は私の個人的な読後のカタルシスなのであまり気にしないでください。今の進化して成熟した推理小説を読んでいる者からすると、若干物足りなさを感じたので(刊行から100年も経ったらしょうがないですが)。

他のジャンル、例えばロックの世界でもロックを批評する目的で作成されたP.I.L.というバンドの「Second Edition」がその批評性故に永遠の問題作になっておりますが、問題作だからこそその後のそのジャンルに名を遺す名作扱いされる作品がありますが、この小説もそういう作品に該当する物なのでしょう。

推理小説の歴史に名を遺す偉業的作品。機会があったら是非。

蛇足ながら、チェット・ウィリアムソン氏の「ジレンマ」(1989年)が当時流行っていたハードボイルドを批判した作風の私立探偵小説なので本書を気に入った方はそちらも是非。
トレント最後の事件【新版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:トレント最後の事件【新版】 (創元推理文庫)より
4488114024
No.12:
(5pt)

今も鋭さを失わない、探偵小説への辛辣な風刺

1913年発表。近代的長編探偵小説の嚆矢として名高い作品だが、ミステリ初心者にはあまりお薦めは出来ない。実際に評者も中学生の頃に初めて読んだ際は何故それほど評価が高いのか不審だった。それもそのはず、これは自身もすれっからしのミステリファンだった著者がヴィクトリア期以来の探偵小説の定型を揶揄する目的で執筆したからだ。
愛すべきフィリップ・トレントの苦悩や逡巡はホームズに代表される超人的探偵へのアンチテーゼとして受け取れ、現代的ミステリにダイレクトに繋がる陰影深いキャラクター造形となっている。
作者が意図した、型通りのミステリへの辛辣な風刺の鋭さは今も失われず、唖然とする大胆な結末の着け方は未だ斬新に感じられる。また部分的なプロットが後の横溝正史の某長編を思わせるのも興味深い。
トレント最後の事件【新版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:トレント最後の事件【新版】 (創元推理文庫)より
4488114024
No.11:
(3pt)

探偵が事件関係者に恋をすると……

探偵小説と恋愛小説との融合であることに意味があったし、「最後の事件」であることにも意味があった。事件の状況づくりに工夫が凝らされているし、二転三転するストーリー運びも面白い。真相につながる証言が、さりげなく盛り込まれているのには感心した。
ただし、トレントの推理は、ある人物に特殊な能力があることを知らなければできないので、それを知らない読者には無理。その人物が最後に行う供述の一部は、判明している事実を無視したものなので、おかしいことに気づくのは容易。
アンチミステリーとしてみれば、面白い作品。
トレント最後の事件 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:トレント最後の事件 (創元推理文庫)より
4488114016



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