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トレント最後の事件



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トレント最後の事件の評価: 6.00/10点 レビュー 3件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(7pt)

古典の名作とされていますが

それほどではありませんでした。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

歴史的意義はあっても現代ならばごく普通の作品

ミステリ黄金期と呼ばれる1920年代から30年代にかけてはミステリプロパー以外の他分野の作家も積極的にミステリ作品を発表している。有名なところではフィルポッツの『赤毛のレドメイン家』、ミルンの『赤い館の秘密』などなど。そしてこのベントリーもその中の1人。
とはいえ、本作はその黎明期における1913年での発表であることから、厳密に云えば彼の作品は黄金期以前のものとなるが、それゆえに現在でもなおこの作品の歴史的意義が高いものとして評されていると推察される。

物語は自分の屋敷の庭で射殺体となって発見された財界の巨人と称される大物の死の真相と犯人を探偵トレントが探る物。
まず誰もが驚くのがそのタイトル。1作目にして「最後の事件」と冠されている事だ。現在のミステリファンならば「~最後の事件」とついた作品ならば誰もが名探偵の死を連想することだろう。これはネタバレにならないので敢えて述べるが、本作では探偵トレントが死ぬわけではない。この題名の由来は単純に作者ベントリーがこの作品を彼にとって最初で最後のミステリにしようと考えていたからに過ぎない。しかし現代も作品が残されていることからも解るように、望外の好評を以って作品は受け入れられ、結局ベントリーはその後も作品を著わし、結局3編創られた。

本書はミステリの歴史上、画期的な作品として評価されている。それはミステリに恋愛の要素を持ち込んだからだ。それまでの探偵は知的好奇心と探究心が突出した奇人・変人の類いのように描写され、ミステリ作家は読者に印象付けるためにその特異性のみを追求していた。それゆえ、「思考機械」と呼ばれるほどの無機質な人間までが登場することになった。しかしベントリーは探偵に恋をさせ、あまつさえ一度推理を見誤らせさえもする。つまり紙上の作り物めいたキャラクターから感情を持った、読者と変わらぬ1人の人間として描いたところにこの作品の歴史的価値がある。

しかし発表から既に100年近く経った21世紀の今、本書を読むと他の古典ミステリとの差異は見出せないかもしれない。私は大学生当時本書を読んだが、その時は幸いなことに上の事実には気づいた。おまけに古典ミステリにおいて初めて本書で感情を表す文章描写で犯人を絞り込むことが出来たくらいだ。
今あるミステリ、例えば後年クイーンがエラリーを悩める探偵にした萌芽がこの作品にあるとすれば確かに本書の歴史的意義は高いだろう。しかし、だからといってぜひとも読むべき作品であるとは声高には云えない。ミステリ好きが高じて、その源泉を辿る興味を持たれた方は読んでしかるべき作品だということに留めておこう。


Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

トレント最後の事件の感想

名探偵の存在を否定し、そんな名探偵が登場する探偵小説に対し一石を投じる風刺の効いた作品です。

トレント最後の事件というタイトルですが実はトレントは初登場だったりします。
これで思い出したのが「メルカトル鮎最後の事件」
これまでのミステリの概念をぶち壊す迷探偵メルカトル鮎。
アンチミステリを打ち出す麻耶雄嵩が描く作品の背景にはこの作品の思想がはっきりと浮かんでいる気がします。
私の場合、読んだ順序が逆ですし、今頃気付いたのと言われそうですが、何かこういう気付きって嬉しい。
読書の醍醐味の一つな気がしました。
ほぼ最低点を付けてしまった麻耶さんの「翼ある闇」ですが、もっと自身の経験値を上げてから読むべき作品でしたね。
再読したい気持ちになりました。


▼以下、ネタバレ感想

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梁山泊
MTNH2G0O

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