(短編集)

マックス・カラドスの事件簿



    ※タグの編集はログイン後行えます

    【この小説が収録されている参考書籍】
    オスダメ平均点

    0.00pt (10max) / 0件

    5.00pt (10max) / 1件

    Amazon平均点

    3.00pt ( 5max) / 2件

    みんなの オススメpt
      自由に投票してください!!
    0pt
    サイト内ランク []-
    ミステリ成分 []
      この作品はミステリ?
      自由に投票してください!!

    0.00pt

    0.00pt

    0.00pt

    0.00pt

    ←非ミステリ

    ミステリ→

    ↑現実的

    ↓幻想的

    初公開日(参考)1978年04月
    分類

    短編集

    閲覧回数2,003回
    お気に入りにされた回数0
    読書済みに登録された回数1

    ■このページのURL

    ■報告関係
    ※気になる点がありましたらお知らせください。

    マックス・カラドスの事件簿

    1978年04月10日 マックス・カラドスの事件簿

    ※あらすじは登録されていません



    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点0.00pt

    マックス・カラドスの事件簿の総合評価:6.00/10点レビュー 2件。-ランク


    ■スポンサードリンク


    サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

    現在レビューがありません


    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.2:
    (3pt)

    ミステリ仕立ての荒唐無稽なお話、でも・・・

    本書は、イギリスの作家アーネスト・ブラマが生んだ盲人探偵マックス・カラドスが活躍する日本のオリジナル短編集。1914年から1927年にかけてイギリスで出版された3つの短編集から、カラドス初登場の「ディオニュシオスの銀貨」を含め計八篇がセレクトされています。
    カラドスは、莫大な遺産を従兄弟から贈られ悠々自適の生活を送っている男性。23歳の時に、森の中を乗馬中、小枝が目にぶつかったのが原因で失明しましたが、努力で視覚以外の感覚を研ぎ澄まします。そして35歳の時に、興信所の仕事を始めた旧友との再会をきっかけに、「趣味的に」謎解きに係わっていきます。
    視覚的情報を得られない探偵がどのような手段で謎を解明するだろうという点がとても魅惑的な設定なのですが、私が約30年間、視覚に障害のある方と交流させていただいた経験から言わせていただければ、カラドスが指先で手紙や新聞のインクの後の凹凸をたどって字を読んだり、杖も使わず初めての土地を独りで歩いたりするのは、現実には有り得ません。従って、そこに拘ると、カラドスの探偵談はまったく面白くなくなってしまうのでその点は無視して読みました。
    一読しての感想ですが、本作は「荒唐無稽なお話としか言いようがないけれど、面白かった」。雰囲気の違う様々な事件・・・殺人事件ばかりでなく、銀貨の真偽、消えたネックレスや銀器の行方、アパートの幽霊談、第一次世界大戦前夜のスパイ物、記憶喪失の謎・・・と謎の趣向がバラエティですし、カラドスは能力的には特異人物ですが、性格は慎ましく嫌味がなくて好感が持てました。登場人物としては、むしろカラドス以外の人物達の印象が強く、愛すべき夫婦あり、困った恋人達あり、一癖二癖あるエキセントリックな人物(現実にはありえないだろうという人物も含め)ありと楽しめます。そして結末も、ホッとするのもあり、ああそういうことかと(少し)納得するのもあり、その謎解きはないでしょ!と天を仰ぎたくなるのもあり(笑)。
    本格ミステリとしてではなく、「ミステリ仕立ての荒唐無稽なお話」と割り切って読むと意外と楽しめるのではないでしょうか。
    (追記)
    視覚的ハンデを負ったリアルな主人公の探偵物としては、英国史に残る全盲の治安判事ジョン・フィールディング(1722~1780)を主人公にしたブルース・アレグザンダーの『グッドホープ邸の殺人』『グラブ街の殺人』がお勧めです。
    マックス・カラドスの事件簿Amazon書評・レビュー:マックス・カラドスの事件簿より
    4488180019
    No.1:
    (3pt)

    ホームズと並べるのは躊躇する

    本書は、東京創元社より刊行されている『シャーロック・ホームズのライヴァルたち』シリーズの一作として刊行された作品である。アーネスト・ブラマの創造した、盲目のディレッタント探偵マックス・カラドスの活躍する26編の短編の中から、8編を抜き出して編まれた日本独自の短編集となっている。ちなみに、カラドスものの代表作に選ばれやすい「ブルックベンド荘の悲劇」は、江戸川乱歩編纂のアンソロジー『世界短篇傑作集2』に収められているため、本書には未収録である。

    マックス・カラドスものの最大の特徴は、作者のブラマが類型を嫌うという性格が反映されているのか、発表当時の探偵小説の主流から、ことごとくはみ出していることが挙げられる。つまり傍流なんである。

    探偵の造形からして然りで、盲目の探偵という設定自体、当時の他のライヴァルたちとの個性の差別化を計ったのは間違いない。ただ、この設定だが、いささかやり過ぎの感もある。余りにもカラドスの能力がずば抜けているからだ。例えば、カラドスは、指で触っただけでインクで書かれた文字を読み取ってしまう。その為か、読んでいると、探偵が目に障害があることを感じさせないので、一般的な探偵役と印象が変わらなくなってしまっている。当時からこの点を指摘する声はあったようである。また、ホームズは、そのエキセントリックなキャラクターが大ウケし、今に至るまで100年以上命脈を保つ古今稀な名キャラクターとなったが、それに比してカラドスは完璧すぎて面白味に欠ける。フォロワーが生まれないのも道理だと思う。

    類型を嫌うという面では、作品も類型化していない。しかし、それは、作品ごとに趣向や傾向が違い、シリーズとして一定のイメージを捉え難くなっているとも言える。謎解き面での短所として、隅の老人などの鋭い切れ味の解決とは真逆で、解決での切れ味が鈍い。解決部でスカッとした読後感にならず、せっかくの意外な真相も、ダラダラした説明で効果が半減している作品も見受けられる。書き方が下手なのかもしれないが、カラドスものは全体に重厚な作風であり、その重厚さが解決編にまで及んでしまったということか。カラドスらしさを押し出せば探偵小説らしさが薄まり、逆に、探偵小説らしく書けばカラドスものとしての魅力が薄れる。そういうジレンマに陥ってしまっているのではないか。

    本書の他のライヴァルたちの作品には、多かれ少なかれレビューが書かれていたが、本書には今の今まで書かれていなかった。余りにカラドスやブラマが不憫であったので、筆を執ったのだが、結局フォローにはなっていない。これなら書かなかった方が良かったか?

    それに、本書は平成26(2014)年の東京創元社の復刊フェアの一冊として復刊されている。このセレクトも謎だ。カラドス以外のライヴァルたちは、はっきり言ってカラドス以上に知名度があり、カラドスもの以上に探偵小説として面白いものが多い。マーチン・ヒューイットとか、フォーチュン氏とか、あの辺を復刊した方が良かったと思う。いや、ホントに。
    マックス・カラドスの事件簿Amazon書評・レビュー:マックス・カラドスの事件簿より
    4488180019



    その他、Amazon書評・レビューが 2件あります。
    Amazon書評・レビューを見る     


    スポンサードリンク