(短編集)
魔術師を探せ!
- ファンタジーミステリ (52)
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新訳版である。1978年の風見潤訳から全面的に変えたわけで、たしかに読みやすくなっている。ただ、微妙にぎこちなさを感じる箇所もあちこちあった。 「その眼は見た」「シェルブールの呪い」「青い死体」の3中編を収めている。古典的な名作だが、改めて読むと、この特殊な世界をギャレットがいかに最新の注意を払って構成しているかが理解でき、よりいっそうのおもしろみが感じられた。 そしてけっこう体制寄りな描き方がなされていることも。 「魔法」による設定だけではなく、さらにひとひねりあることで探偵小説的な驚きが強まっている。 | ||||
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パラレル・ワールドの英仏帝国を舞台に第1級の名探偵・捜査官ダーシー卿と魔術師マスター・ショーン・オロックリンの息の合った活躍と名推理を描く異世界魔術ミステリー中編集の復刊です。本書の初刊の1978年当時にはどうも怪しい際物的な内容を予想してか買うのを躊躇い今回の新訳復刊まで長らく未読でしたが、実際に読んでみて異端派かと思っていたのが意外にも実はガチガチの正統派だったとわかって正直びっくりしました。「科学的魔術」などと言う普通は相容れない2つの言葉が同じ文脈で使われている事のけったいさや、どうやら科学の発達がストップしたみたいで自動車やラジオ・テレビもなさそうで僅かに電話に似たテレソンという不完全な通信手段しかないという遙かに進歩が遅れた中世の時代感覚の物語を読んでいると、この作品をSFと呼ぶのにはどうしても抵抗を感じまして寧ろファンタジーの方が相応しいと思いますね。本書には著者の魔術ミステリーで何でもありだからと言っても絶対にアンフェアとは言わせない!という並々ならぬ決意が感じられて推理ファンとしては喜ばしい美点なのですが、でも滅多にない珍しい素材だけに逆にもうちょっとハチャメチャな部分があっても良かったかなと思いましたね。本筋の感想からはやや外れますが、現実の歴史では魔術師は「魔女狩り」等で忌み嫌われ排除されたのが、この世界ではこうして堂々と認められて尊敬されているのは心が休まりますし、そうかと言って偉ぶって強大な権力を持とうとせず割合に控え目なのも平和な雰囲気で好ましいと思いますね。 『その眼は見た』陰で女たらしと囁かれていたデヴルー伯爵が何者かによって殺害され、ノルマンディ公爵の主任捜査官ダーシー卿と魔術師マスター・ショーン・オロックリンが派遣され捜査に乗り出すのだった。容疑者は少なく限られている中での意表を突く犯人とその動機の趣向が面白いです。また魔術師の使う魔法によって得られた「被害者の眼が見た犯人の姿」が必ずしも真実とは限らなくて裁判の証拠としては認められないという皮肉なこの世界の法則が愉快でしたね。ダーシー卿はあくまで鋭い心理分析と推理によって犯人を見破り魔法はその裏付けに利用しているのが流石ですね。『シェルブールの呪い』シェルブールの海岸道路をふらふらと歩く男が憲兵隊員の目前で倒れ伏し死んだ事件が起きる。同じ頃にシェルブール公爵が謎の失踪を遂げた事件の調査が彼の兄の司教からダーシー卿へと依頼されるのだった。この作品では英仏帝国に敵対するポーランドのスパイ工作員との戦いが興味の中心で、偽装トリックや意外な犯人の趣向がちりばめられ派手な活劇シーンは盛り上がります。本編の目玉と言って良い、生まれつきの無慈悲な殺人者とは言え他人の意のままに行動をコントロールされ続けたシーガー卿の悲運な最期にはどうにも憐憫の情が込み上げて来ましたね。『青い死体』ケント公爵の逝去に伴って用意されていた棺の中から何と公の主任捜査官キャンバートン卿の全身を青く染められた死体が見つかる。恐れ多くも英仏帝国の国王ジョン四世から直々に命令を受けたダーシー卿は魔術師マスター・ショーンと共に早速捜査に乗り出して行く。本編の中で語られる特異な魔法は希少価値で高価だという嘆きの声にはやはり何時の世も金が物を言うのだなという可笑しさがありましたね。本作もポーランドのスパイ工作員が関係しているのか?と思わせて、それだけでない複雑な人間関係を織り込んだ波乱万丈の物語を著者は仕掛けていましたね。魔術師マスター・ショーン・オロックリンは愚かなワトスン役ではなく一級の職人と呼べる人物ですがでも頭脳明晰とは思えず、卓越した推理力という点ではやはりダーシー卿に一日の長がありまして、何れにしても二人の息の合った対等で良好な友人関係はとても気持ち良く誠に微笑ましいですよね。 | ||||
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ここに収録された作品はミステリ・マガジンに訳載されたもの。 ほかの短編はSF関係の雑誌やアンソロジーに載ったものが多いのでミステリの読者は読みのがしている人がいるのではないか。 ダーシー卿とマスター・ショーンの出会いを描いたThe Spell of War (どちらも卿でないし、マスターでない)を加えた短編集はぜひ出してほしいところ。 | ||||
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収録作品 「その眼は見た」 「シェルブールの呪い」 「青い死体」 獅子心王リチャード一世を祖とする架空の英仏帝国を舞台に、科学の代わりに魔力が発達したパラレル・ワールドにおける捜査官ダーシー卿と上級魔術師ショーンの活躍を描いたシリーズ(1964〜65年発表)を日本独自に編集した中篇集の新訳版。 基本的設定が把握出来る前は読み辛いかもしれないが、それを乗り越えれば無類の面白さ。 巷間SFと本格ミステリを融合したシリーズとして評価が高い作品だが、本書においてはダーシー卿とポーランド王国(本作品の設定ではロシアを併合している!)の秘密警察との死闘を描いた冒険小説やスパイスリラーの色合いが濃い。作者がアメリカ人とは思えない程、ハガードやドイルの伝統を踏まえた伝奇的で波瀾万丈の物語世界が愉しめる。「シェルブールの呪い」はその好例。 本格ミステリとしても意外な犯人の冒頭作、何故死体は青く塗られていたのか?という強烈なホワイダニットの「青い死体」など秀逸。 ダーシー卿の凛々しさもヒーローとしてすこぶる魅力的。密室殺人を扱った名作長編『魔術師が多すぎる』(1966年)の新訳も待たれる。 | ||||
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ダーシー卿シリーズの第2弾。「その眼は見た」、「シェルブールの呪い」、「藍色の死体」の3篇が収められている。1978年の初版のあと、2005年に久々に復刊された。 なかばSFのパラレル・ワールドもので、この世界には魔法が存在し、英仏帝国とポーランドがヨーロッパを二分している。しかし、魔法にもきちんと制約がかけられており、ミステリの範疇は逸脱していない。 ミステリとしての出来はまあまあ。魔法、異世界の雰囲気が巧みに織り込まれていて、楽しめる。 この世界での魔法は、現実世界の科学と重ねられるものである。しかし、微妙にずれているところもある。そのあたりをじっくり読むと面白いだろう。 | ||||
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