(短編集)
孔雀屋敷
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孔雀屋敷の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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巨匠の短編代表作であり、動機が皆目不明な忠実な主従で結ばれた三人の死体、秀逸な真相の「三人の死体」、犯罪心理小説の「鉄のパイナップル」、鉄道ミステリ風な「フライングスコット号での冒険」等、巨匠の隠れた名品が堪能できる贅沢な短編集。是非ご賞味あれ。 | ||||
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「孔雀屋敷」、「ステパン・トロフィミッチ」「初めての殺人事件」「三人の死体」「鉄のパイナップル」「フライング・スコッツマン号での冒険」。全部新訳または初訳。クリスマスに読むつもりだったが、1日前に読み終えてしまった。 で、あれこれ書いてみよう。 一、生涯 ◯フィルポッツは1862年生まれ、1960年没。享年98歳。ずいぶん長寿である。作品の数も多い。 二、三大長編ミステリー ◯『赤毛のレドメイン家』が1922年(59歳)『だれがコマドリを殺したか』が1924年(61歳)『闇からの声』が1925年(62歳)。 三、6短編の発表年度 ◯「フライング・スコッツマン号での冒険」が1888年(25歳)に小冊子発表、「三人の死体」と「初めての殺人事件」1921年6月(58歳)に雑誌発表、。「孔雀屋敷」と「ステパン・トロフィミッチ」と「鉄のパイナップル」は1926年(61歳)の短編集収録。 四、6短編の収録短編集 ◯『フライング・スコッツマン号での冒険』・・1888年。「フライング・スコッツマン号での冒険」だけを集録した小冊子。 『Black,White,and Brindled』・・1923年。「三人の死体」ほか10編を収録する。表題作に該当する短編はないようだが、表題はそのまま訳せば「黒、白、まだら」だから、三人の死体を意味しているのかもしれない。 『孔雀屋敷』・・1926年。「孔雀屋敷」「ステパン・トロフィミッチ」「鉄のパイナップル」ほか12編を収録する。 五、6短編の既訳。 ◯「孔雀屋敷」、「三人の死体」「鉄のパイナップル」には既訳がある。「ステパン・トロフィミッチ」「初めての殺人事件」「フライング・スコッツマン号での冒険」は本邦初訳のよう。 六、6短編の評判。 ◯「三人の死体」「孔雀屋敷」は代表作として、世評高い。「鉄のパイナップル」も人気作で、各種アンソロジーに収録されている。「フライング・スコッツマン号での冒険」小冊子はクイーンの定員の13番目に選ばれた。 七、6短編の私的感想 ◯6短編ともよくできていると思う。 ◯強引にレッテルを貼ってしまうと、。「孔雀屋敷」は幻想ホラー味のミステリー、「ステパン・トロフィミッチ」は残酷ロシアもの、「初めての殺人事件」は現場警官ミステリー、「三人の死体」は安楽椅子味の心理本格ミステリー、「鉄のパイナップル」はこだわりを最大限に拡大したホラーサスペンス、「フライング・スコッツマン号での冒険」は鉄道ミステリ風味の遺産相続サスペンスとなる。 ◯巨匠に対してたいへん失礼ではあるが、6短編を偶然、こだわり、恐怖、幻想、論理、心理、サスペンス、意外性、アクションの9個の要素から採点してみよう。なお、偶然はたいへん重要な要素なので、10点満点とし、他は5点満点として、計50点満点とした。なお、採点の基準は「偶然」の場合、「偶然」をいかにうまく使っているかである。 ◯結果 ☆「孔雀屋敷」・・偶然8点、こだわり2点、恐怖4点、幻想5点、論理4点、心理4点、サスペンス4点、意外性4点、アクション3点の計38点。 ☆「ステパン・トロフィミッチ」・・偶然6点、こだわり3点、恐怖4点、幻想2点、論理3点、心理3点、サスペンス4点、意外性4点、アクション4点の計33点。 ☆「初めての殺人事件」・・偶然7点、こだわり3点、恐怖3点、幻想2点、論理3点、心理3点、サスペンス4点、意外性4点、アクション4点で33点になるが、ユーモアを評価して1点プラスし、計34点。 ☆「三人の死体」・・偶然9点、こだわり3点、恐怖3点、幻想2点、論理5点、心理5点、サスペンス3点、意外性4点、アクション2点の計36点。 ☆「鉄のパイナップル」・・偶然7点、こだわり5点、恐怖3点、幻想3点、論理3点、心理3点、サスペンス4点、意外性3点、アクション3点の計34点。 ☆「フライング・スコッツマン号での冒険」・・偶然6点、こだわり2点、恐怖4点、幻想1点、論理3点、心理4点、サスペンス4点、意外性4点、アクション4点の32点だが、作品の若々しさに1点、鉄道ミステリーであることに1点を付加し、計34点。 ◯それで、私的順位は、第一位「孔雀屋敷」38点、第二位「三人の死体」36点、第三位「フライング・スコッツマン号での冒険」34点、同じく第三位「鉄のパイナップル」34点、同じく第三位「初めての殺人事件」34点、第六位「ステパン・トロフィミッチ」33点となった。 八、蛇足 ◯調べ間違い書き間違い計算間違い独断ご容赦。 | ||||
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イーデン・フィルポッツが好きだが、あまり人気がないようだし、新訳や再版はもうないものと思っていました。書店の新刊コーナーに置いてあるのをみて、こおどりしてさっそくキンドルで購入。私の好きな、非情な知性高いサイコパスキャラクターは出てこなかったが、趣向の異なる6つの物語を楽しめました。①孔雀屋敷、④3人の死体、⑤鉄のパイナップルが良かった。「鉄のパイナップル」は、江戸川乱歩の短編に出てきそうな奇人変人の、狂人一歩手前の男が主人公である。ラストは意外にもスッキリしている。 | ||||
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『孔雀屋敷』は、ダートムアを訪れた主人公が、その美しい自然の風景のなかに立ちあがった“孔雀屋敷”と呼ばれる館で起こった昔日の事件を幻視するという、不思議な幻想小説風の前半から、ロジックとツイストが効いた本格ミステリらしい後半へと展開する。田園小説作家ともいわれた著者と、ミステリ作家としてのフィルポッツの両面が生かされた、表題作にふさわしい秀作だ。ヴァン・ダインやエラリー・クイーンが、フィルポッツの短編代表作として推したという『三人の死体』は、発見された三つの死体が、物理的にも心理的にも繋がった一つの事件として、合理的に説明できない不可解が鮮やかに謎解かれる、本格推理としては収録作中いちばんの秀作。 その他、残忍で強権的な領主と、その抑圧に抵抗する青年運動家の悲劇を描いた『ステパン・トロフィミッチ』、新米警察官の奮闘を描く『初めての殺人事件』、一つのものに異常な偏愛をもって執着する人物像を描いた『鉄のパイナップル』、思いがけなく遺産相続者となった男の幸運と悲運がスリリングに展開する『フライング・スコッツマン号での冒険』と、それぞれタイプの違った6つの短編が収録されている。 ただ、全作に共通して思えたのは、フィルポッツという作家は、トリックやロジックよりも、何より人間そのものにミステリを見て、人間を描こうとした作家であったこと。『医者よ自らを癒やせ』や『極悪人の肖像』などの倒叙形式で犯罪者像を描き込んだ長編は無論のこと、謎解き捜査形式の代表作『赤毛のレドメイン家』でも、犯人の人間像が強く前面に押し出されて書かれている。『赤毛のレドメイン家』の名探偵は心理学的探偵法なるものを提唱し、『孔雀屋敷』や『三人の死体』でも、被害者や容疑者の性格分析の重要性が執拗に説かれている。 それは、心理学だの性格分析というよりも、フィルポッツ自身が創作活動のなかで追求した、人間学のようなものではなかったかと筆者は理解している。 | ||||
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