スペイン岬の謎



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初公開日(参考)1959年10月
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長編小説

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スペイン岬の秘密 (海外)

2015年04月25日 スペイン岬の秘密 (海外)

北大西洋に突き出したスペイン岬にあるゴドフリー家の別荘で殺人事件が起きた。殺されたのは、ゴドフリー氏の客人。マントにステッキといういでたちで発見されたが、マントの下は全裸だった。休暇中のマクリン判事のもとに遊びに来ていたエラリーはその捜査に付き合わされることに。さらに、同時に起きていたゴドフリー家の娘・ローザの誘拐事件との関係とは…?不可解で魅力的な謎にエラリーが挑む、国名シリーズ第9弾。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

スペイン岬の謎の総合評価:7.65/10点レビュー 20件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

後期クイーン作品の萌芽

国名シリーズ9作目の本作は非常にオーソドックスな作品と云っていいだろう。
岬の突端に建てられた館。そこには1人のジゴロを中心に愛憎交じり合う娘と母親、そして来客者達。
それぞれに何か胸に秘める複雑な感情が渦巻く中、そのジゴロが殺される。そして捜査が進むうちに判明するのはそのプレイボーイが恐喝屋で、わざと不倫を唆して、その証拠を押さえ、金銭を強請っていたという、古式ゆかしい本格推理小説の典型とも云える作品だ。
しかし、今までのクイーンの国名シリーズではどんな作品でさえ殺人舞台の見取り図が添付されていた物だが、本作ではスペイン岬に立つ屋敷を舞台にした犯行を扱いながら、屋敷の見取り図が一切ない。つまり本書の謎とは屋敷の住人の配置とは関係なく、またそれぞれの部屋に特殊な仕掛けがあるわけでもない、トリックではなくロジックに重心が置かれた作品だと云える。

そんな話だから登場人物の相関関係を調べていくうちに自然と犯行の動機も解り、どのように犯行が成されたのかも解っていく。この辺は何の奇の衒いもなく、半ばで地元警視が開陳する推理と同様に私も考えていた。
しかしその流れにどうしても当てはまらない奇妙な1つの事実が歴然として存在する。それは被害者が全裸という状態で殺されていた事。捜査が進むにつれて関係者それぞれの思惑、関わりからパズルはどんどん完成していくのだが、この奇妙なピース1つだけがどこにも当て嵌まらない。本作の鍵は正にこの1点にあるといっていい。

この動機、犯行の流れが物語が進行するに連れ、徐々に整然と説明が付いていくのだが、どこか奇妙に食い違う箇所があるという味わいはセイヤーズの諸作によくみられる物だ。このプロットに介在する奇妙なピースが当て嵌まる事でガラリと変わる真実こそクイーンが本書で狙ったミスディレクションの妙だと思う。

そうミスディレクションこそ本書でクイーンが試したかったことだろう。

まず冒頭の誤認誘拐事件を仕組んだのは誰かというのはミステリを読み慣れた読者ならば容易に察する事が出来る。しかしこれが実に巧妙なミスディレクションだろうとこなれたミステリ読者ならば深読みしなければならない。
思えば本書の皮切りに神の視点である物語の記述者の手によって誤認誘拐事件の失敗が示唆されているが実はここから作者の巧妙なミスディレクションが始まっていた事に気付かされる。

そして明かされる死体が全裸だった理由はなかなかに興味深い。この奇妙なパズルピースこそ犯人を決定する唯一の糸口だったと云える。

もうお分かりだと思うが、今回の私の挑戦も敗北だった。
私が理論立てられなかった推理を鮮やかにロジックで解き明かすエラリイにここは素直に降参するしかない。逆にオーソドックスだと思われた本作もこの推理で流石はクイーンというべき作品になった。『アメリカ銃~』以降、立て続けに失望させられただけに、ようやく満足の行く作品が出たと安堵した。

しかし不満が残るのは結局のところ、犯人が捕まるのに決定的な証拠が無かったことだ。犯人が誠実な男であったために、自ら非を認め、逮捕に至っただけで、実はエラリイは状況証拠を並べただけに過ぎない。ここに本作の詰めの甘さがある。

また本作では珍しく指紋に関して注意が払われるが、それでもまだ認識が甘い。なぜなら犯行現場であるウェアリング邸でエラリイは所構わず触れるし、あまつさえ犯人が使用した電話をそのまま素手で扱うという不注意な行動を取る。
元々指紋、血痕、唾液といった人物を特定する証拠を基にロジックを組み立てる作品ではないと解ってはいるが、それでもこういう無頓着さにはどうしても嫌悪感を抱いてしまう。

今回、興味深かったのは今回エラリイは犯人を明かした後、後悔の念を示すことだ。なぜならば被害者は悪質な恐喝者であり、彼の死は賞賛されるべきことだった。そして犯人こそ正義があったからだ。
「わたしは人間の公平なんてどうでもいいと公言してきました。だけどそうじゃない、実に大事です!」
泰然自若とする犯人の誠実さにクイーンが初めて見せた苦悩。作品を重ねるにつれて単なる頭脳ゲーム、ロジックパズルゲームとしての推理小説から人を裁く事に対する意味への移り変わりの萌芽がここに見られる。


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No.19:
(5pt)

難解さを廃し、読者に謎解きへの参加を促す、本格ミステリ

「国名シリーズ」ラスト作らしいが、実はあまり期待していなかった。父親のクイーン警視を始め、お馴染みのキャラが誰も登場せず、クイーン自身も基本傍観者の立場で、一見地味な内容に思える。
 が、読み進めるに連れて、どんどん面白くなり、内容に引き込まれた。今作の謎は、殺された男がなぜか全裸であった、というものだが、その理由が解明されて、すんなり納得。複雑で一般人には理解不能なトリックが使われているわけではないが、それがいい。犯人は意外と言えば意外だが、私でも推理出来そうで、読者への挑戦状に真剣に取り組もうと言う気になった。
 難解さを廃し、読者に謎解きへの参加を促す、本格ミステリとして高く評価したい。
スペイン岬の秘密 (海外)Amazon書評・レビュー:スペイン岬の秘密 (海外)より
4041014565
No.18:
(4pt)

書店では入手困難

この作品は書店では入手困難です。
エラリークイーンの外国シリーズは、「アメリカ銃の秘密」までは、複数出版されていますが、「シャム双子の秘密」以降は角川文庫のみなので入手困難です。
内容としては、初めてエラリークイーンの父リチャードクイーン警視が登場しません。
犯人は、、「エジプト十字架の秘密」「アメリカ銃の秘密」を読んでいれば推定出来ます。ただ「エジプト十字架の秘密」の時ほどの衝撃が無かったので評価は星4つ
スペイン岬の秘密 (海外)Amazon書評・レビュー:スペイン岬の秘密 (海外)より
4041014565
No.17:
(3pt)

翻訳者の感性にがっかり

読んで間もなく、ロマが手相占いをする話が出てきたが、この訳語で読む意欲が失せてしまった。ジプシーの訳であるが、ジプシーなら手相占いのイメージがわくというもの。世上の評価の高い翻訳者ではあるが、イメージを大事にせずに、表現を自己規制する感性と姿勢に失望した。
スペイン岬の秘密 (海外)Amazon書評・レビュー:スペイン岬の秘密 (海外)より
4041014565
No.16:
(1pt)

読むのを挫折しました

日本語訳が読み辛いのか、合わないのか、序盤で読むのを挫折しました。
スペイン岬の秘密 (海外)Amazon書評・レビュー:スペイン岬の秘密 (海外)より
4041014565
No.15:
(5pt)

遂に国名シリーズ最終作に到達

2012年10月から刊行が始まった、この角川文庫の国名シリーズの新訳版も、遂に最終の第9作目「スペイン岬の秘密」が2015年4月に刊行され、一つの区切りがついたところです。

小学生の頃、エラリー・クイーンやアガサ・クリスティのジュブナイルを読んだのち、高学年になってからは、大人と同じ文庫で海外ミステリを楽しみ出した私にとって、クイーンの国名シリーズは、「あの<読者への挑戦状>のあるミステリ」として、強く心に残っていました。

それから数十年、多くのミステリを読んできましたが、国名シリーズも細部は忘れてしまい、本棚から、古い文庫を取り出して、再読しようとした矢先、この新訳版が発表順に刊行され初めていることを知り、さっそく第1作「ローマ帽子の秘密」を買って読んだのが、2013年7月のこと。
あれから、新訳が発行されるたびに、読み続けてきました。

じつは、私は国名シリーズを完読していたわけでなく、一部読み落としていました。
この「スペイン岬の秘密」もそのひとつで、全く初めての読書となりました。

アメリカの北大西洋に面したスペイン岬に立つ別荘。
この建物のテラスで、男の絞殺死体が発見される。
男はマントで覆われていたが、その下は、「全裸」。
一体なぜ衣服をはぎ取られていたのか?

本作品は、このホワイ・ダニットをエラリー・クイーンが解き明かすというものですが、このシリーズの命とも言える、「ロジックによる真相解明」の妙味が楽しめる一作となっています。

9作を読み通して思ったことは、国名シリーズは傑作揃いだということ。
一部「読者への挑戦」のない作品もありますが、フェアプレーの精神と、各作品に凝らされた工夫は、今後もミステリの古典として、不動の地位を保っていくことでしょう。

シリーズものは第1作から順番に──が原則ですが、このシリーズは、どこから手をつけても問題ないと思います。
各種ミステリランキングで上位に食い込む、「エジプト十字架」や「ギリシア棺」からでも良いし、もちろん本作からでも構わないと思います。

なお、この角川文庫の新訳は、各作品とも充実した巻末解説があり、読み落としてしまいそうな、著者の工夫やロジックの面白さなどが説明されているので、本編読了後もお楽しみが待っているのも、オススメのひとつです。
スペイン岬の秘密 (海外)Amazon書評・レビュー:スペイン岬の秘密 (海外)より
4041014565



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