盤面の敵
- 第四期エラリー・クイーン (10)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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犯人との推理合戦とでも云おうか、連続殺人事件を画策する「Y」なる人物とエラリイの推理の闘いという原点回帰の作品だ。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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1963年のエラリイ・クイーン作品。盤面の敵とは、つまり犯人のことである。この辺の時代になってくると、名探偵というものが何だか浮世離れした存在に思えてくる。そこで「現実的」に名探偵が成立する世界観を模索してみた、というのが本作なのだろう。 しかし、これがあんまり面白くない。最後になって少し読ませる感じはあるが、おしなべて退屈だった。クイーンらしいロジックの妙も、「親指の指紋がなぜ手紙の上の隅に集中しているのか」という謎の解明において少し感じられる程度で、物足りない。 何より、作中でエラリイ自身が居心地のわるさを訴えている。「すべてが、どこかのまったく頭のわるい見知らぬ他人に起こったように思えてくる。その知らない他人というのは、科学技術が彼からゲームの相手を奪ってしまったために、なにかほかのものを相手にしなければならなくなった人間なのだ」(P371) 「探偵小説を『お化け屋敷』の掛小屋からリアリズムの外に出したかった」と言ったのは松本清張だが、本作にもそんな試みがあるように思う。今となっては「みんなちがって、みんないい」だが、本作は同じ作家による同じ主人公のシリーズにおいて追求された多様性としては、異彩を放っているかもしれない。 | ||||
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読み終わるのに時間がかかりました。 …と言うことは、私的にはそんなに面白くはなかったのかな。 。 。 確かにこの時代では犯人の性質?が珍しかったというのもあったかと思いますが、今では結構ある話しなので、新鮮さが損なわれた感があり残念でした。 | ||||
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そして、打ち手が頭に浮かんだ。 彼は即座にそれを打ち消した。そんなバカな打ち手はない、ナイトを取られてしまうじゃないか・・・・・・どの駒にどの頭がついていたのか 思いだせさえしたら!特に・・・・・・その打ち手が、忍びよるようにまた頭に浮かんだ。彼はすぐにそれを踏みつぶした。そして別の打ち手を 考えた。それでもさっきの打ち手はつぶされずに、そのあたたかい頭を彼のくるぶしにもたせかけて、満足そうにごろごろとのどを鳴らした。 彼はそれを蹴とばそうとした。だがそれはもうしっかりと彼に爪をたてていた。彼はとうとう降参して、それを膝に抱きあげた。そして特に 念入りになでてやりながらいった。どれ、それではおまえを見てやろうか・・・・・・ 1963年の作品。四つの城と庭園を持つヨーク館における莫大な遺産をめぐる連続殺人事件。始まりはヨーク家の下男、ヘンリー・ウォルトに Yと名乗る人物から届いた手紙だったんだね。その終始一貫した、神とも見紛うほどのYの人格、その希求するもの、それに感化され神話作りに 手を貸すウォルト。。このジャンルにおける新機軸、操り殺人をテーマにした一冊なんだな。 科学技術の高度の発展によって、名探偵は忘却の彼方へと追いやられている・・・と、ぼやくエラリー。それはつまり作者のぼやきでもあるわけ なんだけど、ぼやきながらもそれを覆すものを創成してしまう熱意!ある意味誰もが普通に思えることを本当の意味で普通にやってしまう神秘 だったりする。決して意図して創造したとは思えないその神秘。歴史と時代経験の隔たり、今からみれば先駆的だが、当時はひとつの神秘。 表現の神秘じゃなしに、表現をするという行為の神秘。無私でありながら、しのぎを削りつつ進歩を目指すという空間がある。エモーションが。 なんだろう・・・その愛すべき空間ってのがいつの間にかなくなってしまったんだなあ。。それに逸早く気づいてのは黒澤明だと思うが、つまり その空間内における育てるという行為を放棄したということに気づいたという意味だが。愛すべき空間の削除、取り除き。 しかし物事の面白さってやつはやっぱり二律背反になっていて、それによってめまぐるしいまでの独創性と斬新さが生まれるのは事実なんだ。 こう・・・説明するのがめんどくさくて(笑)、一言でいってしまえばダウンタウン以降のお笑いの流れってことになるんだけど、これは結局、 似ているということはつまり口実にすぎなくて、斬新な表現に固執するね。それ自体が様式に従属させられる、符号として構成させられる、 空気を読めの空気的な様式化、そんな高度な様式化を遂げたんだね。完璧な制御。 だが失ってはじめて気づくこともあり、もはやそこでジャズの即興演奏的に勝負するとなるとあまりに儚いんだね。一瞬だけの帝王。しかし マイルス・デイヴィスがジミ・ヘンドリックスを認めたように、つまりロックな感覚も認めながら、それでさえまだ斬新なジャズの帝王で いられるという・・・そこにこそ面白さがあるはずなんだ。何が一番滑稽かって、1+1=2という風に信じられないスピードで社会を成熟させる ことは結構なんだが、なにも人間関係まで1+1=2にする必要はなくて(笑)、それは6にでも7にでもなるものなのに!愛すべき偏愛の必然性。 黒澤が三船敏郎を見い出したようにね。これは今の世の中の風潮でも同じことだけど、ただ批判しても意味がなくて、なぜならそれ自体は 斬新であり素晴らしいんだから。批判ができない、ゆえに進歩しないブルジョア的なれ合い。必要なのは表現に対する再分配ではなしに、 表現するという行為に対する再分配なんだ。出来た表現ではなく、まずエモーションから。若者が駄目だとか、良い人材がいないだとかいうのは 幻想。機会を与えずいいように操ろうとしている大人の下品さ。。自己嫌悪で終わり(笑)。おっと、今回のヒントはPERIDOTSのオールライト! | ||||
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ヨーク家の莫大な遺産の相続権をもつ四人の相続人のもとに、 アルファベット一文字が記された奇妙な形のカードが次々と送られ、 そのたびに、送られた人間が殺されていく連続殺人事件が発生した。 のちに、カードを送っていたのは、“Y”と名乗る者から手紙で指示を 受けた、ヨーク家の下男ウォルトであることが、判明するのだが……。 果たして、“Y”とは何者なのか? 本作は、《操り》テーマの新機軸を打ち立てたといえる作品で、 のちに、本作の趣向を導入した作品が、山ほど作られました。 そのため、現在の目から見ると驚きはありませんが、 当時の読者には、かなり衝撃的だったと思います。 冒頭ではエラリイが、科学捜査が発達したことにより、自分のような探偵は、 不要になったと嘆いているのですが、“Y”という科学捜査を無効化する、 新しい犯人像(「神」!)をつくり出すことで、作者が本作で、“名探偵” 延命の可能性を懸命に模索している様子が伝わってきます。 | ||||
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ヨーク家の莫大な遺産の相続権をもつ四人の相続人のもとに、 アルファベット一文字が記された奇妙な形のカードが次々と送られ、 そのたびに、送られた人間が殺されていく連続殺人事件が発生した。 のちに、カードを送っていたのは、“Y”と名乗る者から手紙で指示を 受けた、ヨーク家の下男ウォルトであることが、判明するのだが……。 果たして、“Y”とは何者なのか? 本作は、《操り》テーマの新機軸を打ち立てたといえる作品で、 のちに、本作の趣向を導入した作品が、山ほど作られました。 そのため、現在の目から見ると驚きはありませんが、 当時の読者には、かなり衝撃的だったと思います。 冒頭ではエラリイが、科学捜査が発達したことにより、自分のような探偵は、 不要になったと嘆いているのですが、“Y”という科学捜査を無効化する、 新しい犯人像(「神」!)をつくり出すことで、作者が本作で、“名探偵” 延命の可能性を懸命に模索している様子が伝わってきます。 | ||||
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