帝王死す



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

7.00pt (10max) / 2件

6.33pt (10max) / 6件

Amazon平均点

3.69pt ( 5max) / 13件

楽天平均点

0.00pt ( 5max) / 0件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
1pt
サイト内ランク []B総合:1266位
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

0.00pt

46.00pt

24.00pt

0.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1955年10月
分類

長編小説

閲覧回数3,620回
お気に入りにされた回数2
読書済みに登録された回数6

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)

1977年06月01日 帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)

ある島を買い取り、私設の陸海空軍を有するベンディゴ帝国に君臨する軍需工業界の怪物キング・ベンディゴ――彼のもとに舞いこんだ謎の脅迫状の調査を求められ、クイーン父子はニューヨークから拉致された……はたして脅迫状の正体とは?そして父子の眼前で起こった不可能犯罪の秘密!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

帝王死すの総合評価:7.33/10点レビュー 15件。Bランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

クイーンが語るキングの死

今までのクイーン作品の中で最も舞台設定が凝っており、後期クイーンの諸作で深みが増した人間ドラマの一面にさらに濃厚さが増した、リーダビリティ溢れる作品だ。

特に軍需産業で一財を成し、世界各国の政府要人らに絶大な影響力を与えるほどの権勢を誇るキングが君臨する通称ベンディゴ王国はハリウッド映画としても実に映える舞台だ。

しかもドラマチックな設定の中、密室で銃で撃たれるという不可能犯罪が起こる。
被害者のいた部屋は周囲を2フィートのコンクリート壁に囲まれた窓のない堅牢な部屋で弾丸などは通るはずもない。それなのに部屋の外から弾が入っていない状態で引鉄を引かれた銃の弾が被害者の胸から摘出されるというなんとも魅力的な謎が提示される。

しかしこの魅力的な謎の真相は正直期待外れの感は否めない。せっかく魅力的な不可能状況を提供してくれたのなら、読者の盲点を突いた誰もが納得の行くトリックを用意してもらいたいものだ。

しかし犯行の動機には考えさせられるものがある。

そして忘れてはならないのは今回の事件に翳を落としているのはあのライツヴィル。ベンディゴ一族のルーツは因縁の町ライツヴィルにあったのだ。エラリイはいざなわれるようにライツヴィルへ向かう。
正に後期のクイーンにとってライツヴィルはなくてはならない拠り所なのだろう。特に『十日間の不思議』に登場したヴァン・ホーンまでもがキングの被害者になっている件はさらにキングの凄みを彩る。

そして今回着目したいのは作者クイーンが物語に溶け込ました戦争批判。死の商人キングを糾弾するジュダの言葉はそのまま先の大戦に対する作者のメッセージだろう。
人の死という尊厳を大量虐殺で名もなき屍に変えてしまう戦争への怒りがここには込められている。さらに最後死んだ帝王キングの後を継ぐ者の言葉は第二次大戦が終わっても、第二のヒトラーは必ず生まれるのだという作者の警告とも読み取れる。

しかしなんとも暗喩に満ちた作品だ。
まずベンディゴ一族の名前。次弟の名ジュダはキリストの使徒の一人ユダを指し、末弟のエーベルは旧約聖書に出てくるアダムの次男アベルを指す。さらにキングの本名はアベルの兄カインを表すケインだ。
しかもライツヴィルで彼らのルーツを探ると彼らの名前は旧約聖書を辿るかのような運命から故意に名付けられていたことが解る。なんとも業の深い話だ。

しかし最大のメタファーは主人公クイーンに対して相手の名はキングだということだ。つまりチェスや王国ならばクイーンの上に立つ存在だ。
しかしタイトルにあるようにキングは死す。
盛者必衰。
頂点に立つ者はいつか倒れるのだ。この示唆は当時のアメリカのミステリシーンとの何か関係があるのだろうか?

クイーン作品で軍需産業の王の島に連れ去られた中での推理劇という“嵐の山荘物”でありながらも内容が戦争を扱っているだけに冒険小説やスパイ小説の色合いも感じさせる本格ミステリの“キング”であるクイーンならではの作品。
兄弟の生立ちが事件の因縁と繋がるというロスマクを髣髴させるこの路線は正直歓迎なのだが、もう少しカタルシスが欲しいところ。特に今回は部屋の壁をすり抜ける銃弾という謎が非常に魅力的だっただけにその真相に失望してしまったのが大きくマイナスになった。

しかしまだライツヴィルは続くのか。ライツヴィルとクイーンが行く着く果てに何があるのか、今後見ていきたい。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

帝王死すの感想

初のエラリィ・クイーン。

読みやすくて面白かったです

もう一歩踏み込めば完璧な推理が出来たのに……惜しい!

好きですね~

アンコウ
BKBVHN0W
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.13:
(4pt)

一部がライツヴィルもの

異色作。とだけ書いて筆をおいてもいいのだが、もう少し雑感を書いておこう。キングと呼ばれる軍需産業のドンが君臨する絶海の孤島。ここにニューヨークから強引に連れてこられてしまった、エラリイとクイーン警視。キングに対する脅迫状が次々と届く不穏な空気の中、やがて不可能犯罪が起こり…。

と、あらすじを書いても仕方ないのだが、面白かったような気もするし、そうでもなかったような気もするし、ビミョーだったというのが正直なところだ。訳者あとがきでも「緻密に計算されたこの筋立てがおもしろい」としながら「物語全体にやや緊迫感を欠いたために、その効果が減殺されたうらみはある」と煮え切らない評価がされている。

話が横道にそれるけれど、昔の解説の類には、手放しで褒めずにけっこう辛口なものも多かったのではないかという気がする。あと、巻末の寄稿にネタバレが多いのも昔の本の特徴で、本書でも訳者がさらりとトリックの一部をバラしている。なので、これからお読みになる方は、あとがきを先に読まれませんように。

閑話休題。本書は冒険小説風の展開の中に、なぜか一部だけ「ライツヴィルもの」が挟まれるところも異色だ。しかしそれがまたビミョーで、いささか中だるみの弊を免れていない。過去の人間関係に実は重要な手がかりが潜んでいて…というのは興味深いのだけれど、そういうのはクリスティーがやっぱりうまかったと思う。
帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)Amazon書評・レビュー:帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)より
415070113X
No.12:
(2pt)

肩すかし

期待していただけに肩すかしをくらった印象。
現実離れした環境やトリックのあっけなさ、最後の後味の悪さ、エラリイクイーンだから我慢できるのか。
ライツヴィルが出てるくのがせめてもの救いか。
帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)Amazon書評・レビュー:帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)より
415070113X
No.11:
(2pt)

・・・

ちょっと驚きの作品でした。犯人は十分想像できる内容ではありますが・・・規模?がブっ飛びすぎて・・・私的には、あまり好きではないストーリーでした。エラリーぽくないと思いました。
帝王死す (1955年) (Hayakawa Pocket Mystery 221)Amazon書評・レビュー:帝王死す (1955年) (Hayakawa Pocket Mystery 221)より
B000JB3CNM
No.10:
(3pt)

ある意味、時代の子とも言える、クイーンの異色作

クイーンの作品の設定には、ある種のとんでもなさがあり、驚かされることが少なくない。本作冒頭のクイーン父子の拉致にしても、ペンディゴ帝国にしても、驚きを通り越して、あきれるような部分がある。
さて、メインとなる殺人事件の“犯人”を当てるのは、さほど難しくない。そういった意味では、さほど面白くない。
ただ、事件の背景や旧約聖書やキリスト教が関わる兄弟たちの名前などは興味深い。アメリカの小説や映画は、「カインとアベル」をベースに屈折した兄弟関係を描いた作品が多いが、ある意味では、本作もその一つだろう。
なお、本作の2年後、クイーンはマッカーシズムに抗して『ガラスの村』(1954年)を書いたと言われているが、ベンディゴ兄弟が関わる軍需産業に関する記述を読んでいると、本作も当時の時代背景とは切り離せないと感じる。ちなみに、本作が書かれた1952年には、チャップリンの『殺人狂時代』が公開され、チャップリンがアメリカを追われた年でもある。
帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)Amazon書評・レビュー:帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)より
415070113X
No.9:
(3pt)

良いとか悪いで生きれたら誰だって良い方を選び続けるわな 落し穴にはまらんように

いきなり命数尽きた・・・・かと思われた1952年作。信じがたいほどの特権、日常の力学が崩れ去る。ニューヨークのアパートから
ほとんど拉致同然に軍需工業界の怪物キング・ベンディゴが独裁支配するベンディゴ島へと連れて来られたクイーン父子。
キング宛ての脅迫状の捜査は意外な展開へと発展して、なんの危険もからくりもないと確認され完全な密室と化した機密室のなかにいる
キングを射撃してみせるという予告不可能犯罪へと変わるんだね・・・神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」の
歌詞及び再録撮り直しの方のPVのなかにあるよ!・・・っとなんの前触れもなくまったく新しい次元からヒントを出してみる(笑)。
それはそれとして、現実から遊離するかのようなあの演出と、《あれ》に関する緻密に計算されたテクニックは最高だ。しかしこと密室ものと
なると作家クイーンの能力はそがれてしぼみがちなのも事実かもしれない。そう、もともと次元が衆人環視の驚異の大空間における論証の美学
にこそ芸術性を発揮してたんだから。
また物語は意外な広がりをみせ、ケイン(カイン)、ジュダ(ユダ)、エーベル(アベル)という呪われた名前を付けられたベンディゴ兄弟の
生い立ちを探るために彼らの出生地であるライツヴィルへと向かうエラリー。魂の故郷。。ひとり残されるクイーン警視のやるせなさ(泣笑)。
そしてこのエピソードと第二次世界大戦前後の政治情勢とが関連しあって更なる広がりが付与されるところが面白かったりするんだな。
ひとつの優位意識が再起不能になってもユートピアは願望され続ける・・・皮肉を内蔵したラストも感慨深い。

それにしても人を人だと思わずモノのように扱うなんてのは当然批判ということになる訳だけど、その行き着く先が人間をいかに部品のように
効率よく扱うかということだとするとこれもまた困った、とね。なんだろうほとんど民主主義という理念を体良く利用した完全犯罪だからなあ。
幻想なんだ。でもだからこそなんだ。
「実際のところ、民主制は最悪の政治形態だと言うことが出来る。これまでに試みられてきた他のあらゆる政治形態を除けば、だが」とは
ウィンストン・チャーチルの言葉だけど、結局はだからこそそれぞれが高い自覚と認識があってこそ成立する。それがすっぽり抜け落ちても
当然のごとく唯一無二の絶対として神聖視するんだから神学の世界の決め付けの御話し。
それが現実だよと誰かが言う。でもそれをわざわざ言葉に出すセンスのなさが一番信じられないのかもしれないけど。たんたんと怜悧なまでに
こなしてゆく。感傷に浸れば、情感に溺れれば取り残されてしまうだろう。だが無害だから平和。そのしょせん肉体的健康自慢な目線。
しかしそれこそがじゃないかと真顔で尋ねられれば、もう特になにも返す気もしないだろう誰も。と、ウダウダしてると結局何が言いたいのか
分からなくなるという毎度のパターンなんだけど(苦笑)、どっちにしろ人間の心はプラスチックで出来てるわけじゃないんだから、
ありとあらゆる高級なサプリメントよりも、決して鳴りやまないたった数分間の衝動を、ということになる。
帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)Amazon書評・レビュー:帝王死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-13)より
415070113X



その他、Amazon書評・レビューが 13件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク