ダブル・ダブル



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初公開日(参考)1957年01月
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長編小説

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ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

2022年08月17日 ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

エラリイに匿名の手紙が届く。そこには最近ライツヴィルで起きた事件を記した新聞記事ーー“町の隠者″の病死、富豪の自殺、“町の物乞い″の失踪ーーの切り抜きが。そして、父親の失踪の真相を探ってほしいという妖精のように魅力的な娘・リーマに導かれ、エラリイは四度ライツヴィルを訪れる。そこで待ち受けていたのは、さらなる不審死の連続だった……本格ミステリの巨匠、円熟期の傑作が新訳で登場。解説/飯城勇三(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

ダブル・ダブルの総合評価:7.44/10点レビュー 18件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(4pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

ダブルで愉しめるとよかったのだが

実に摑みどころの無い事件である。
最初に心臓病で死んだ隠遁生活を送っていた老人に端を発した事件はその後、実業家の自殺へと続き、“町の乞食”もしくは“町の呑んだくれ”と称されていた男は行方不明になっているが、追いはぎに殺された可能性が高い。“町の泥棒”と呼ばれた男は揉み合ううちに銃の暴発により死亡する。そして“町の聖者”とも呼ばれる清貧の医者は交通事故で死んでしまう。
これら自殺を除けば、不運な事故の遭遇もしくは人命を全うしたとしか思えない連続する死亡事件。また雇われる先々で雇い主が奇妙な死を迎える“町の哲人”ハリイ・トイフェルの存在もオカルト風味をもたらしている。つまりこれら殺人事件とも思えない連続的な事故に対し、エラリイは誰かの作為が介在して意図的に起こされた殺人なのだと固執して事件の関連性を調査するというのが、本作の主眼なのだが、上に書いたようになんとも地味な内容なのだ。
そしてエラリイが周囲の反対を押し切って捜査を続ける理由が、“金持ち、貧乏人、乞食に泥棒・・・”と歌われる童謡どおりに事件が起きている事実、それのみ。

人智を超えたところで作用する避けられない巨大な意図が今回のエラリイの敵、それがテーマなのだろうか?
つまり偶発的に連続する死亡事故にも実は論理の槍を付きたてて事件性を見出すというのが作者クイーンが語りたかったことなのだろうか。

話は変わるが、本書はクイーン作品としては珍しく素っ気無い題名だ。これは事件に纏わる二という数字から来ている。

まずはエラリイが述べる「物事には二通りの見方がある」という台詞から端を発している。
その後、この二の符号は広がり、上に述べた童謡には二通りの文句が存在すること―“金持ち、貧乏人、乞食に泥棒。お医者に弁護士、インディアンの酋長”と“金持ち、貧乏人、乞食に泥棒。お医者に弁護士、商人のかしら”―、さらにその二つ目の文句には句点の入れ方で二通りの解釈が出来ること、などなど。
二が二を生み、どんどん拡散していく。その他にも二に纏わる符号は出てくるが、それは本書を読んで確認して欲しい。

今回、エラリイは明敏な探偵ではなく、迷える名探偵という位置づけだ。この作品の前の作品に当たる『九尾の猫』でもリアルタイムで起こる無差別殺人に手をこまねいていたエラリイだったが、本書でもそのスタンスは変わらない。

しかし後期作品のエラリイは事件に翻弄される役回りばかりだ。初期のエラリイは事件を高みから眺め、全てを見抜く、全知全能の神のごとく振舞う存在だったのがはるか昔のことのように感じる。
唯一の救いは今までの作品では真実を知ることで失う代価の多さから打ちひしがれる姿が多かったのが、本書では清々しく閉じられていることだ。
前作のエラリイの探偵廃業を決意するまでに絶望に落ち込んだ彼は一体何だったんだと叫びたいくらい、立ち直りが早い。まあ、これはよしとして次作がもっと面白いであろうことを期待しよう。


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No.17:
(3pt)

推理小説というより、探偵を主人公にした小説

他作品と比べて、エラリーが物的証拠や論理的思考でなく直感に頼っている感じがする。犯罪現場や遺体の描写なども最小限で、(ミスリードも含めて)読者が推理する余地が少ない。それだけ「痕跡を残さない優れた犯罪者」なのかもしれないが。
読む人はそれを理解したうえで割りきったほうが良いです。
ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701555
No.16:
(2pt)

クイーンファン以外は読まなくていい

後期エラライ・クイーンの作品は「9匹の猫」以外は冗長で、これもそう。クイーンはX4部作があまりに素晴らしく、それとの差が大きすぎる。
ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701555
No.15:
(4pt)

二面性、二元論が統合されてパズラーの「論理」を凌駕する時

この期に及んでエラリイ・クイーンを読もうなどとは思いませんでしたが、越前敏弥さんによる新訳が出たと知って、「ダブル・ダブル "Double, Double"」(エラリイ・クイーン ハヤカワ・ミステリ文庫)を読むことになりました。
 1950年リリースの古典。舞台は、ライツヴィル。古典とは言えパズラーですからネタバレを控えて、ライツヴィルの住人たちの中、金持ちが亡くなり、貧乏人が死に、物乞いが行方不明になり、泥棒が殺害され、それは何かの思し召しかと疑うエラリイ・クイーンがいて、そして幾人かが犠牲になる連続殺人事件が展開されます。<Who-Done-It>以上に<Why-Done-It>がすこぶる魅力的な一篇だと思います。その論理は堅固きわまりなく、パズラーに付き纏う違和感の少なさには驚きを禁じえない。
 周辺の話をしましょう。
 クイーンと物乞いの娘・リーマの会話の中、チャンドラー、ケイン、ガードナーが言及されています。篇中、新聞社社主のマルヴィーナは、このパズラーの中では浮き上がった存在として登場しますが、そのことについてクイーンが意図したことは何だったのか?これもまた、私にとってはダブル・ダブルでした(笑)。
 そして、このミステリの最大の魅力は、自然児でありながら教養人でもあるリーマの存在にあります。「緑の館」、「ピュグマリオン」(「マイ・フェア・レディ」と言ってもいい)、加えてそのリーマの姿は「ザリガニの鳴くところ」のカイアのキャラクターに継承されているような気さえします。
 様々な二面性、二元論が統合されてパズラーの「論理」を凌駕する時、物語はジャンルを越えてこの世の<善きもの>を私たちに与えてくれるようです。
ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701555
No.14:
(3pt)

ネタバレあります。最初は単純に犯人はこの人しかいないと思わせられたが、どんでん返しありです。

今回のヒロイン、リーマは、野性的に育ったため、ピュアで世間知らず、森の妖精のような女性です。けれど、美しさと知性は備わっており、エラリーを悩ましくさせます。ライツヴィルで起きる連続死亡事件の捜査に乗り出したエラリーは、病院内にリーマを潜入させ、院長の秘密を探らせるのでした。最初は、「ん?この殺人での受益者ってこの人しかいないよね?単純な事件?」と思いましたが、そこはどんでん返しありです。童謠にもとづく連続殺人だとエラリーは推理しますが、当初から計画された殺人ではなく、真犯人が途中から乗っかったものでした。
ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ダブル・ダブル〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701555
No.13:
(4pt)

なぜ童謡を用いるのか?

ライツヴィルという架空の町を舞台に、名探偵エラリイ・クイーンが四たび難事件に挑む。今回は、無秩序に起きた変事が、いかにも互いに関連があるように匂わせた匿名の手紙が送られてくるところから幕を開ける。その相関関係はけっこうややこしく、まずは読者は状況設定をしっかり頭に入れておく必要がある。

話が進むに従って、毛玉がほぐれるように童謡殺人というテーマが浮き彫りになっていく。しかしすべては偶然なのか? それともやはり殺人なのか? 茫としたまま物語はクライマックスへとなだれ込み、九死に一生を得たエラリイは意外な犯人を追い詰める。そして一連の事件の全容が明らかになるのであった…。

と、あらすじばかり書いても仕方ないけれど、個人的にはちょっと盛り上がりポイントがつかめず、乗り切れないまま読み終わったのが正直なところだ。しかしこれはあくまでほかの童謡殺人ものと比べてみて…ということに、後になって気づいた。そうなのだ、本作にはサスペンスがほとんどないのである。

実は、これこそが本作の特徴なのかもしれない。本来、童謡殺人はサスペンスの醸成が主なねらいだと思うが、論理派のクイーンはそれをあっさり捨てている。代わりにクイーンが挑んだのは、童謡殺人の必然性の追求だ。そして犯人の意図が予期せぬ自然の法則に乗っ取られる不思議を描くことで、作品世界に広がりを持たせようと試みている。
ダブル・ダブル (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-5)Amazon書評・レビュー:ダブル・ダブル (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-5)より
4150701059



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