フォックス家の殺人



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初公開日(参考)1981年05月
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長編小説

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フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

2020年12月17日 フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

故郷ライツヴィルに帰還した戦争の英雄デイヴィー・フォックス。激戦による心の傷で病んだ彼は妻を手に掛ける寸前にまで至ってしまう。その心理には過去に父ベイヤードが母を毒殺した事件が影響していると思われた。彼を救うには父の無実を証明するほかない。相談を受けたエラリイは再調査を請け負うも、当時の状況はことごとくベイヤードを犯人だと指し示していた…名探偵エラリイが十二年前の事件に挑む。新訳決定版。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

フォックス家の殺人の総合評価:8.28/10点レビュー 29件。Bランク


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(7pt)

フォックス家の殺人の感想


▼以下、ネタバレ感想

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氣學師
S90TRJAH
No.1:
(7pt)

強く復刊求む!

クイーン中期において重要な位置づけとされるライツヴィルシリーズ。本書はその3作目にあたる。

戦争後遺症で神経を病み、ついに妻をその手にかける寸前にまでなったライツヴィルの英雄デイヴィー・フォックスの、自らを“生まれながらの殺人者”という烙印を無くすため、過去に起きたデイヴィーの父親の妻殺しの罪を晴らすのが今回のエラリイ・クイーンの謎解き。
しかしそのことは当時の事件に隠された真実を解き明かすことになり、フォックス家の忌まわしい過去を掘り起こすことになる。

さらにベイアードの冤罪を晴らそうと躍起になるエラリイだが、調べれば調べるほど被告側に不利になることばかり。
ベイアードの妻ジェシカが服毒したジギタリスは彼が供したグレープ・ジュースの中に入っており、それに触った物は彼以外いないのだ。エラリイは水道の蛇口、製氷皿に至るまで毒を盛った可能性を追求するがそれらは全て過去の捜査で立証されたものばかり。すなわち全ての状況がベイアードを犯人と示している。

これはなかなかに手強い謎だと痛感した。ものすごくハードルを挙げている。
読みながらこんな堅牢無比な謎をカタルシスを伴って解決してくれるのかと期待と不安が入り混じった気持ちを持っていた。

いやあ後半の二転三転する展開の読み応えといったら、数あるクイーン作品の中でもトップクラスではないか。地味な展開なのに読ませる。
エラリイが捜査を進めるたびに出くわす新たな証拠、それが逆にベイアードを有罪へと追い詰める物になったり、はたまた関係ないと既に証拠から除外されていた物がベイアードの運命のカギを握っていたり、実に読ませる。

そして二転三転する捜査の末、明らかになる真相とはなんとも云えない後味を残す。
世の中には知らなくてもよい真相もある。本書の真相はまさにそうだし、またこれはクイーン自身の手によるあの名作の変奏曲でもあると解釈できる。
さらに当初の問題であったデイヴィーの戦争後遺症が解消されるかどうかもまた不明である。色々なことが解決せずに残った作品だと云えよう。

帰還兵の戦争後遺症を扱った、クイーン作品の中でも珍しく社会的テーマを扱った作品だ。戦争後遺症は特にヴェトナム戦争でその問題が明るみに出たが、本書は同戦争が起こる前の1945年の作品(ヴェトナム戦争は1960年から1975年)。第二次世界大戦終結の年に発表されている。
従ってここで語られる戦争とはすなわち第二次大戦を指す。

この社会問題に本格ミステリを融合させる、つまり人間描写が欠点だった本格ミステリに人物像へ深みを持たせるために用いたファクターがこの戦争後遺症であったわけだが、それをさらにフォックス家という一家庭への悲劇へと昇華させる。
ライツヴィルシリーズは『災厄の町』でライト家の悲劇を、『靴に棲む老婆』ではポッツ家の悲劇を扱い、今回はフォックス家。この後の『十日間の不思議』ではヴァン・ホーン家の悲劇(悪夢と云った方が正解か)をと、一家庭をクローズアップした事件が特徴的だ。

しかし家庭内の悲劇というテーマはロスマク一連の作品を想起させる。しかしロス・マクドナルドが第1長編の『暗いトンネル』を書いたのが1944年、リュウ・アーチャーシリーズ第1作『動く標的』を著したのが1949年。全然クイーンの方が先なのだ。
どちらかと云えばチャンドラーの影響の方があったのかもしれない。つまりそれは街を描き、人を描くということだ。

読中しばしば感じたのは作中に現れるライツヴィルの住人達の面々と彼ら彼女らへ挨拶をし、思いを馳せるエラリイの姿。その快活な筆致はこれこそ作者クイーンが書きたかったことなのだろうと感じた。

そんな中でも今回悪辣ぶりが目立ったベイアードのお目付け役であるハウイー刑事とアルヴィン・ケインという薬剤師。
前者は事あるごとにエラリイの捜査を無駄なことを鼻で笑い、ベイアードに聞くに堪えない悪態、罵詈雑言の限りを吐き、更には自身の自由時間を確保するためにベイアードをベッドに手錠で縛りつけるという所業を行う。ベイアードを罪人として蔑み、エラリイを余計なことをしに来た余所者として面倒がる。
クイーン作品の中でもこれほどひどい刑事は見たことがない。何かこの頃クイーンの身辺で警察にまつわる不愉快事があったのだろうか?

そして後者は女たらしで自分こそがライツヴィル一のプレイボーイでダンディだと勘違いしている輩。人妻リンダを手籠めにするために旦那デイヴィーと別れさせるために偽の証拠をでっち上げることまでする卑劣漢。本書ではことさらこの2人の卑怯ぶりが目立った。

しかし問題はこの作品が絶版で手に入らないことだ。これほど読ませる作品なのに。戦争後遺症に冤罪といった社会的テーマに、人間ドラマが加わり、更には本格ミステリとしてのロジックの面白さも味わえるという作品。ライツヴィルシリーズにおける家庭内悲劇を扱った作品としてぜひとも外せない作品だと思った。
今回偶々、市の図書館にあったので読むことができたが自分の手元に置いておきたい作品だ。近い将来の復刊を期待してこの感想を終えることにしよう。


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Tetchy
WHOKS60S
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未読の方はご注意ください

No.27:
(5pt)

回想の殺人

すでに犯人が確定した過去の殺人事件を、エラリイが依頼を受けて解き明かす―。あれ、似てない? と、わたしが思い出したのはクリスティーの『五匹の子豚』だ。五匹の~が1942年で、本作が1945年だから、クイーンは絶対意識して書いたはずである。

しかし読んでみるとわかるが、両者はまったく似て非なるものだ。クリスティーがプロットや語りのうまさで読ませるのに対して、クイーンはやはりロジックで読ませる。同じような「回想の殺人」という設定のミステリでも、こんなに味わいが違うのか、と面白い。

このたび越前敏弥氏による新訳版というのを初めて読んだが、旧訳に比べてはるかに読みやすく、ストレスなく楽しめたのは大きかった。クイーン中期の作品群は古書でしか手に入らない時期がしばらくあったが、こうして新訳が続々と出ているのはよいことだと思う。
フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701539
No.26:
(4pt)

エラリーの優しさを感じる推理展開

初のエラリー作品読んだ若者です。
ミステリーとしての謎の深さは浅かった印象ですが、人間味もあり真実を白日の元に晒すことだけではない展開にエラリーらしい探偵性を感じました。

他の作品も読んでみます!
フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701539
No.25:
(5pt)

対決

過去 VS エラリー
フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701539
No.24:
(5pt)

夫婦愛、家族愛に溢れているので読後感は良い。

前回の「災厄の町」の事件から12年後のライツヴィルが舞台です。今回はエラリイ・クイーンは最初から出てきません。幼少期の父の殺人と、戦争体験を経て、愛する若妻を殺したくなる神経症にかかった若い夫が主人公です。エラリイ・クイーンは若夫婦に依頼され、過去に父親が犯したとされる殺人事件の再調査に乗りだします。ライツヴィルの事件現場である空き家に関係者を集めて事件当日の再現をしていきます。そこで沈黙を続けてきた父親ベイヤードの語る衝撃の真実!その日の晩に強盗が侵入します。強盗が何を盗んでいったのかベイヤードは答えられません。エラリイは父親の無実を証明し、真犯人を挙げられるのか?前回登場した個性的な町の人たちも再登場して楽しめます。肝心のパトリシアとの再会だけは描かれずに終わりました。戦争の暗い影も感じるけど、それ以上に3組の夫婦愛、親子愛が溢れていて、読後感は良かったです。
フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701539
No.23:
(4pt)

人間心理を不自然に歪めない謎解きミステリの達成

遥か昔に青田勝訳で読んだ際よりは格段に面白く読めた。さすがに解説曰くのクイーンの裏ベストとまで評価するのは過大だが、中期クイーン、特にライツヴィルものに顕著なテーマである、人間心理を不自然に歪めたりすることのない、モダンな謎解きミステリを達成しようという試みは成功している。登場人物も少なく結末は勘の良い読者なら容易に想像がつくが、第四部におけるエラリイの推論はこの作家を読む醍醐味そのもの。
フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701539



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