緋文字



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初公開日(参考)1976年04月
分類

長編小説

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緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)

1976年04月01日 緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)

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書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

緋文字の総合評価:6.13/10点レビュー 8件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

浮気調査でさえクイーンは本格ミステリにする

本書は短編では名(迷?)コンビとして数々の事件を解決しているニッキー・ポーターがパートナーとして登場し、エラリイの助手を務めた初めての長編作品である。
そしてそのコンビが挑む事件はなんと浮気調査。本格ミステリの探偵らしからぬ事件である。浮気調査というのは私立探偵、つまりクイーンの対極にあるハードボイルド小説やプライヴェート・アイ小説で取り上げられる題材だ。

そんなエラリイの前に立ちふさがるのが女心。
稀代のジゴロとして女性を食い物にするハイエナのような男ヴァン・ハリスンの魔手から依頼人を救うべく、エラリイはハリスンが過去に食い物にした女性を探し出し、過去の被害について彼を告発するようにお願いするのだが、そのいずれもがハリスンと過ごした楽しい思い出を語るだけで、エラリイに協力しようとしない。
今までしばしば本格ミステリではありがちなように、クイーンの作品でも描かれた女性像とは典型的な男性願望が具現化したような存在だったが、本書では男性が理解しがたい女性像を見事に捉えているのではないだろうか?

おしどり夫婦として知られていたダークとマーサのローレンス夫妻の間に、売れない探偵小説家であるダークの癇癪と嫉妬が顕著になってきたことから、マーサは彼をどうにか以前のようにまともな性格に治してほしいと依頼するが、事件の焦点はその依頼人であるマーサが落ちぶれた俳優と浮気をしていることが発覚し、エラリイとニッキーは手遅れにならないうちに彼女を正気に返らせるというのが本書の粗筋。

そして物語はエラリイとニッキーの努力虚しく、2人の逢瀬は重ねられ、やがて嫉妬深い夫にその事実が発覚する。そして夫は浮気の現場に拳銃を携え訪れる、と起こりうるべくして起こる事件の方向へ進む。
後期のクイーン作品には本書のようにどこに推理の余地があるのか、本格としてのサプライズとクイーンのロジックが入り込む箇所はあるのか、実に判断しにくい題材と事件が多い。特に本書は最たるものだろう。
つまり一見普通の事件に見える事象にも論理の光を当てることでサプライズを引き起こすことが出来ることをクイーンはこの時期に試みたのではないだろうか。

もしそうだとすれば、成功していると個人的には思う。観たまま読んだままの明白な事件を全体に散りばめられた色々な手掛かりを検証することで事件を180度引っくり返すことになる。
しかし一読者の立場で云わせてもらえば、クイーン=本格ミステリという頭があるため、対等に推理をするには証拠や手がかりが解りにくすぎて、どうにも後出しジャンケンのようなずるさを感じてしまう。

本書のタイトルはナサニエル・ホーソンの有名な作品と全く一緒である。そして作者はそれをあえて意識して同作品と同じ姦通罪を取り扱っているのだ。しかもホーソンの作品の題名は姦通罪に問われた女主人公が姦淫(Adultry)を示す文字Aを胸に付けられ、これが緋文字であったことに由来しているが、本書も原典に倣い、浮気のきっかけはAの文字で始まる。そしてクイーンの作品では緋文字は逢瀬の予定を知らせる手紙が赤文字で書かれていること、逢瀬の場所を知らせる手がかりが赤文字でマークされていること、そしてダイイング・メッセージが血で書かれていることで使われる。文学マニアのクイーンならではの遊び心だ。

今回重要な役割を果たすのが、ハリスンからマーサに送られるAからZまでの暗号を使った手紙である。これが事件の解明に大きく関わるわけだが、その内容には既出の作品に同様のトリックがあり、既視感を覚えた。よほど作者はこの小道具をお気に入りのようだ。
また俳優が物語に関ってくるのもハリウッドを経験した後のクイーンの作品には共通する事項だ。しかも今回は落ちぶれた俳優で50代でありながらも身なりと風貌はまだ若さを感じさせ、世のマダム連中をとろけさせる魅力を備えているが、彼がカツラを愛用し、若く見せようとしているという件がある。これも既出作品に同じような効果で用いられていた。
見た目を偽ることで本来の自分よりも若く、威厳があるように見せる者たちをクイーンはハリウッドで多く観てきたに違いない。これも映画という虚構を生み出すハリウッドでクイーンが見た光と影なのかもしれない。

最後に蛇足めいた不満を。
間男ヴァン・ハリスンの召使いが日本人という設定なのだが、その名前がタマ・マユコ。しかもこの人物は男性。
西洋人にとって日本人の名前は解りにくいかと思うが、この辺は親交深い日本の出版社に訪ねて、その妥当性を検証してほしかった。苦笑いするしかない不手際である。

本格ミステリの方向と可能性を追求し続けた作者のチャレンジ精神は上に述べたように非常に素晴らしいと感じる。
しかし読後にそれは気付かされる文学的業績と創作アイデアなのであって、必ずしもそれが物語としてミステリとしての面白さに通じているかはまた別の話である。
ただ本書はニッキー長編初登場ということもあり、今までのロートル親父と30を越えた放蕩息子に、筋肉バカの父親の部下というありきたりでなんとも色気のない取合せで進められていた物語に爽やかな新風をもたらした。浮気調査という特に女性が忌み嫌う題材にスパイとして遣われたニッキーが当然の如くながらいつもよりも元気がなかったのが残念だが、今後の登場作で本来のコメディエンヌ振りを発揮して大いに愉しませてほしい。


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No.7:
(3pt)

いまいちかな

珍しく、ベタな浮気問題から発展していくストーリーでした。 まぁ最後にいつもの一捻り?があったから☆3にしましたが、本当は☆2.5くらいかな~。 う~~~~ん・・・イマイチ・・
緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)Amazon書評・レビュー:緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)より
4150701024
No.6:
(3pt)

真髄

今までに無い内容に感動 是非ご一読を。
エラリークイーンの真髄
緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)Amazon書評・レビュー:緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)より
4150701024
No.5:
(3pt)

記録として塗り込められる芸術家の仮面 植え付けられた倫理的弁明

1953年の作品。およそ100年前に発表されたナサニエル・ホーソーンの代表作『緋文字』を下敷きにして、ある推理作家と女流演出家の夫婦を
テーマに据えた異色作。君と好きな人が百年続きますようにってなわけだ。
まあ全然関係なかったとして(笑)、さて、構築物の素材となるのはアルファベット26文字ということで、それぞれのアルファベットで始まる
ニューヨーク中の地名をメロドラマな三角関係の尾行劇として奔走しなきゃならぬエラリーに同情したくなる一冊だわなあ(笑)。
まあ地味だわな。しかし作者お得意の偏愛対象ダイイング・メッセージを解き明かしたとき、それまでの風景が一変する衝撃へと導かれるんだ。
でもこのダイイング・メッセージが日本人読者にはなんともピンとこないところがあれだけども。。ってなことで、今回もヒントだ!
suzumokuの『真面目な人』の歌詞及びPVのなかにあるよ!
さて、それはそれとして、地味とは言ったが、実はこの地味っぷりに野心的な主張が織り込まれているのも確かなんであって、奇抜なテーマを
扱った作品とは異なり、身近な領域に属するんだね。つまりパズル空間における論理劇から、より人間心理としての悲劇を重視したスタイルに
移行し、その流れをさらに推し進めてより普通小説的体裁をとっているんであって、つまるところ今現在メインで評価されているミステリの形、
ドラマとしての日常の流れと社会的テーマ、そこに本格推理の要素が加味されているというタイプの原型ともいえるものなんだね。
そしてそれはもはやミステリや小説に限らず、あらゆる媒体で使われている手法なんだから。
結局のところ作家クイーンが、「探偵小説は、しばしば純文学より直截的に時代を反映する」と語ってる通りのことが、変幻自在になっただけ
であり、恐ろしく筋が通っていたんだ。そして後からわかるんだねその凄さも。このジャンルにおける伝統と慣習をいかに変幻自在な芸術性で
ぶっ壊したのかと。歴史と時代経験の隔たり。でもあんま優劣の問題じゃないところもあって、ここ何十年かの流れってのは、いうならば
その歴史と時代経験の隔たりをいかにしてなくすかってことがかっこよかったんであって間違いなく。
しかしその行き着く果てに創造の余地がないのも事実。つまり性質上、説明し過ぎの説明余りなんだね。評論が機能してないともとれるけど、
そもそも誰が見ても、誰が聴いても、誰が読んでも同じような感想しか抱けないなら評論する必要がないんだから。
それでも小説は想像次第であり、音楽もいくら聴き込んだかとゆう愛着の部分があるが、見くびられているのは映像なんだね、視覚言語!
けどその揺り戻し運動だってしっかり存在していて、黒澤明監督がなぜ初期のたけしの映画を評価したかとゆうと、説明がましくないって
ことであり、結局すごく先見の明があったんだ。それはデヴィッド・リンチ的な観客の反応を愉しむ手法と同じ質のもの。
しかしそれすらもう甘っちょろくなっていて、なぜなら反応してくれるという忍耐力すら期待できないんだから有無を言わさず一体化させなきゃ
駄目だったりする。だから音楽におけるジミヘン的手法とディラン的エモーションでもってして映画を撮ったゴダールの作品がもはや一周回って
新しく感じるんだね(笑)。その説明しないのに納得させれる知性としての感覚ってのが一番なかったんであって。。
そして実はその知性としての感覚がないってのが個人主義の行き着く果てなんだ。本当はただ同じことなんだ。全体主義に内在する個を批判する
のと同じように個人主義に内在する全体を批判しなければ時代遅れ。独立する主張、しかし主張の為の主張、逆にいえば何も主張しないって事が
流行っているんであり、よしんばそれを主張として汲み取ろうとしても誰にも判断できないんだ。なぜなら本人がそう言ってるだけなんだから。
もはやその妄想的個人主義においては、普通のことを投げ掛けれる人間が一番新しいという皮肉。。だから『真面目な人』は沁みるんだね。
なんのレビューなんだ(笑)。毎度のことだけど(笑)。でもまあ、、、、さむかぜに沁みるよ君
緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)Amazon書評・レビュー:緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)より
4150701024
No.4:
(1pt)

ダメでした・・・

後期のクイーンは、人間の内面を重視したミステリーが多くなっていくようで。前期のロジカル一徹のミステリーが好きな者にとっては後期のはパッとしない。それでこの作品もそんな後期に書かれた作品で、てんでパッとしない。エラリイが友人の妻が不倫してるかどうかを尾行して調べるという話で、もうほとんどがこの尾行シーンで埋まってる。すごくかったるかったです。まるっきり面白くない。最後にちょっとビックリな深層が用意されてるけど、ダメですよー。もうこの頃は巨匠もネタが無かったのかしらんと思われますね
緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)Amazon書評・レビュー:緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)より
4150701024
No.3:
(3pt)

エラリイと共にAからZまで駆け抜ける

エラリイ・クイーンものといえば見た目良し、家柄良し、頭良しのエラリイが鮮やかに事件を解決するタイプのものが多くて、結構主人公の完璧さが鼻につく感じもあった。ケド、本作では、秘書のミス・ポーターの意志の強さに振り回され、犯人の跡を追うのにえらい手数をかけさせられ、あまつさえ、手がかりをもらえそうな人物には待ちぼうけを食らわされと、ほぼ最初から最後まで翻弄されまくる様が新鮮である。そして、それがあればこそ、最後の謎解きの歯切れのよさにカタルシスを感じることができたのだと思う。
緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)Amazon書評・レビュー:緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)より
4150701024



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