悪の起源



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初公開日(参考)1959年01月
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長編小説

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悪の起源 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-9)

1976年10月01日 悪の起源 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-9)

玄関先に送りつけられた犬の死体と脅迫状が宝石商のヒルを殺した?そして共同経営者のプライアムにも意味不明の脅迫が続く。二人を死ぬほどおびえさせるものは何か?プライアムが頑として語ろうとしない二人の過去とは……?題名を『種の起源』になぞらえ、ハリウッドを舞台に展開する本格推理大作。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

悪の起源の総合評価:6.43/10点レビュー 7件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

「謎」への執念を感じさせる

エラリイ、再びハリウッドの土を踏む。
国名シリーズとライツヴィルシリーズの架け橋的な存在だったいわゆるハリウッドシリーズと云われている『悪魔の報酬』、『ハートの4』、『ドラゴンの歯』以来、実に約12年ぶりにハリウッドを舞台にしたのが本書。ロジックとパズルに徹した国名シリーズからの転換期で方向性を暗中模索していた頃の上の3作と違い、ライツヴィルを経た本作ではやはりロマンスやエンタテインメント性よりも人の心理に踏み込み、ドラマ性を重視した内容になっている。

今回も宝石商を営む裕福な家庭に隠された悪意について語るその内容はロスマクを思わせ、なかなか読ませる。
半身不随の夫に美人の妻、そして好男子の秘書、そして裸で樹上に設えた小屋に住む巨人ほどの体躯を持つ息子に自然と戯れる妻の父と、明らかに何か含みがありそうな一家が登場する。しかしロスマクと違うのは、事件は毒殺未遂に蛙の死骸散布と、本格のコードを踏襲した奇想で、ぐいぐいと読者を引っ張っていくところだ。

特に今回は作者クイーンのなみなみならぬ謎に対する異常なまでの迫力を感じた。

犬の死骸、砒素の混じったマグロのサラダ、何百匹もの蛙の死骸、札入れ、焼き捨てられた本、無用になった株券、見えない脅迫者から送られてくる箱の中身は脈絡のないものばかり。
これだけの材料を与えられながら、読者は犯人の正体とその意図を推理することは出来ないだろう。逆に混乱を招いてしまって一つの筋道を見つけることが困難になっていると云った方が適切か。

つまり本書もまた『九尾の猫』との類似性を感じるのだ。
『九尾の猫』は連続して殺されていく被害者を結ぶ手がかり、つまりミッシングリンクを探る物語だった。翻って本書は被脅迫者へ脅迫者が次々と送ってくる品々が意味するところを推理する物語である。つまりこれもミッシングリンクを探る物語なのだ。
つまり『ダブル・ダブル』と本書は『九尾の猫』を要の位置としてそれぞれ連続殺人物、ミッシングリンク物と『九尾の猫』が備えているエッセンスを解体して、別の手法で作り上げた作品のように感じられた。

また本書では今までクイーン作品ではあまり語られることのなかった当時の世情についても触れられている。エルロイ作品で有名なブラック・ダリア事件に朝鮮戦争の勃発と、暗い世の中の状況が出てくるのが意外だった。
そして特に朝鮮戦争では明白に大量殺人の中で名もなく埋もれてしまう何万人もの人間の死に対する憤りを感じた。1人の死に対して推理に推理を重ねて苦労する一方で、兵器によって簡単に何百人もの人間が殺されていくことの不合理さ。
笠井潔氏が現在もなお揺るがない「大量死と密室」論が本書でも同等の意味で語られている。寧ろ1990年代に至るまでなぜこのエラリイの述懐に気付かなかったのかが不思議に感じた。

さて本書の舞台がハリウッドであることの理由について作中でちらりと触れられている。映画の都ハリウッドでは世間の一般基準から逸脱した者たちさえも個性ある人物として逆に評価される、従ってこの夢の都では何が起きても不思議ではないというわけだ。
今後エラリイの活躍の場がホームタウンのニューヨークからこの地へ移るのか解らないが、なるほどなと思わされた。

人間の心理へ踏み込み、探偵が罪を裁くことに対する苦悩を描いてきたこの頃のクイーン。
前作『ダブル・ダブル』では作品の軸がぶれて、殺人事件なのかどうか解らなかったところがあったが、本書では次々と起こる奇妙な出来事の連続技で読者をぐいぐい引っ張ってくれた。
しかしその内容と明かされる真相および犯人の意図は現実的なレベルから云うとやはりまだ魅力的な謎の創出に重きを置き、犯行の必然性とマッチしないところがあって、手放しで賞賛できないところがある。
しかしミステリに対するエラリー・クイーンの凄みを感じる作品だったので今後の作品に期待しよう。


▼以下、ネタバレ感想

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No.6:
(3pt)

タイトルにつられ・・

タイトル「悪の起源」と言うのに期待して読み始めました。 でも実際はそんな事はなくガッカリ感の強い作品でした。 犯人も私的には「悪」と言う感じもなく、多少の意外感はありましたが、期待していたほどではなかったです。 ☆2.5くらいでした。
悪の起源 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-9)Amazon書評・レビュー:悪の起源 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-9)より
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No.5:
(5pt)

どのようにアダプトされてるか? そのデッサンは 神話主題と過渡的ジャンプ

結局、同じひざまずくんなら人間らしくひざまずきたいだけで

さて(笑)、1951年作。舞台はハリウッド、変わった?殺人事件に巻き込まれるエラリー君。現れた若い女性、それを媒介にして沈潜させる
ように促す、そんな典型的導入なようで、しかし話はお決まりのものじゃなく、 犯人は犬? 死んだ犬が父を殺したと
まあ・・・取り上げる上でまともじゃない(笑)。養女なんだけど過保護とも思える愛情がそこにはあり、この問題に関してガンとして主張を
曲げない頑固さがあった 尊敬
金を残して死ぬは下 仕事を残して死ぬは中、人を残して死ぬが上 満鉄初代総裁 なんか、最近やたらにぎわってる(笑)
そんなことでエラリーに懇願しに来たんだね。そういうことで冗談を大まじめにとる(笑)、 否、 大まじめな冗談。しかしお願い来てたのは
彼女だけじゃなく、その亡くなった宝石商の共同経営者の男にも謎の奇妙な小箱の贈り物
こちらは半身麻痺でこもってた。弱味を見せない能力を開発しなければならぬということで、日常生活における用途と自身の嗜好をなるたけ
提供してくれるスーパー車椅子(笑)に乗った暴君 Tampoco
妻 だからこの時期において珍しく大人向けロマンス?の戦術的配置があって、やばい魅力の女(笑)
肉欲的ピクチャレスクに陥るエラリー 笑
まあそれはいいとして、この一冊は見立てオブジェは殺人としてのそれじゃなく、続々と送られてくる奇妙な生物学的脅迫、比重はこちらの
インパクトなんだね。威されている者の過去から浮かび上がるある影 これは果たして・・・!?
ひび入りの投影イメージ 強い残像 部分が全体と連関した その脅迫のプロセスを吟味する。なんだかんだでクイーンの作品の中でも
最高の頭脳を持った犯人の一人。つまりそれは褒め言葉にならないわけだけど(笑) 病気
裁く そんな現実における不可避の根拠指向は意味を抜きとられてしまったんだね。だので、必要とされることのない雌雄を決する期間ってな
ことで、両者ともになかなか手ごわいぜニヤッって心の吹き出しがついてるラストがよかったりする。しかしそれがとりもなおさず、作中で
勃発する朝鮮戦争における代理戦争の趣・様相を呈してたりする 皮肉
さてそれじゃ今回もヒントを 今回の事件のヒントはThe Killersの『Human』の歌詞及びビデオの中にあるよ。
America is raising a generation of dancers かつてそんなことを言った人がいました 拳銃 死 彼
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No.4:
(2pt)

クイーンに忠誠を

私は【エラリー・クイーン】氏の熱烈なファンであります。同氏との出会いはここ2,3年という短い期間ではありますが、友人同様長さが問題ではありません。その深さが重要であります。私は同氏の作品を書かれた順を追って(多少前後した時もありましたが)読み進めております。それは昨今の日本の漫画同様に、書かれた当時と比較すると変化があり、その変化は大体の場合、良い変化であることが多いのです。私は同氏の作品を出版された順に読むことで、同氏が成長していく過程も創造しながら読んでいます。作家も作品を追う毎によって成長するのだと感じました。今回の『悪の起源』は同氏の丁度中間作品といえるものです。中間というのはデビューしてから最後の作品までの数のほぼ中間。作品の内容ですが、同氏の作品を読み進めてきた人なら、少し違和感を感じる作品になるでしょう。同氏をこよなく愛している方々にとっても、多分物足りない作品になったことでしょう。というのも、他の作品が素晴らしいからなのです。類稀な才能を持つ同氏の作品の中では、少しランクの低い作品です。ですが、同氏のファンであれば、必ず読むべき作品であることも確かであります。どのような人間でも失敗なくして成長は無いということを、著しているような気になります。初めての方が読むような作品ではありませんが、同氏を読み進めている方は必ず読むべき作品でしょう。同氏のファンであるが故に、少し酷評的な感じにはなりましたが、これは愛情所以だということを認識して頂きたいです。是非、同氏の作品を始めから読み進め、ここまで辿り着くことを願っております。
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No.3:
(3pt)

華麗なハリウッドで渦巻く、壮大な陰謀

父親の宝石商が犬の死骸と共に送り付けられた脅迫状でショック死したという少女ローレルからの相談を受け、捜査に乗り出したエラリイ。調べが進捗してゆく内に、死んだ宝石商ヒルと、同じく脅迫を受けている共同経営者ロージャーとの間に、秘匿された忌まわしき過去の存在が浮かび上がる。 妖艶なロージャーの妻デリア、その息子で核戦争に備え原始的樹上生活を送るマクガワンなど、登場人物達は皆奇抜だ。しかも舞台がハリウッドと来るのだから、その演出性にも拍車がかかって、まさに映画のごとき様相を呈している。エラリイがデリアに籠絡されてゆくあたりも、名探偵のいつもの明晰さとは対極的な迷走ぶりに苦笑してしまう。 一方で、スリリングなムードも勿論満載だ。因業な不具者のロージャーは異様な支配欲に満ち、そんな彼に邸の者達は追従し、世間の者達は禁忌する。彼に連続して届く、姿の見えない殺人者からの「警告」!一見無関係と思えるそれらの「贈物」の意外な関連性が後半で解き明かされた時、クイーンのその不世出の着想には思わず感服してしまう。 容疑者は途中で覆され、ラストでようやく真犯人が分かるのだが、結局誰も彼を追求することができないままで事件は幕引きとなる。これには面食らってしまうのだが、そこは論理のクイーン、これはこれで、あくまで本作としての最も自然な終焉の仕方なのだろう。 後から判然となるわけだが、この作品にはいたる箇所に巧妙なからくりが仕掛けてある。これらを解くのは決して容易なことではない。だが、謎解きに挫折してもくじける必要などはない。この推理活劇はただそれだけで極上のエンターテイメントなのだから。
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No.2:
(3pt)

懲りすぎ

ハリウッドものの第一弾であるが、エラリイクィーンにしてはめずらしく読者を引っ掛けよう、犯人を解かせまいとする姿勢がみえすぎかと思う。こんなにぐるぐるこねくり回さなくてもエラリイは面白いのにね。
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