恐怖の研究
- 第四期エラリー・クイーン (10)
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
クイーンが伝説の名探偵ホームズに挑む。しかも扱う事件は切り裂きジャック事件! | ||||
| ||||
|
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
妹に頼まれての注文でしたが、面白くて満足との由です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ストーリーがあっさりしていて淡々としている。エラリーとホームズの2つの時代を行き来し、ラストはホームズの意図をエラリーが説明するという構成。しかし、ホームズ側のストーリーはただ時間が流れていくだけ。ホームズの調査は結局あさっての方を向いていたし、推理もしていない。結局何もしておらず、切り裂きジャックを追い詰めもしない。何だったんだろうと思う。 歴上の犯罪者と対峙するため、結局表層的な犯人像となっていて、何故切り裂きジャックなのかも説明されない。歴史ドラマにも、ホームズが出ているためできないし、中途半端にならざるを得なかったと思われる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
当初ホームズは、この事件にあまり興味を示していなかったが、彼宛に送り主不明の外科医用手術器具のケースが届けられ、またそのケースに貴族の紋章がついていたことから、事件を追うことになる。 80年の時を隔てた二人の名探偵のそれぞれに、送り主不明の品が届くという韻を踏ませた発端がステキだ。 というわけで、クイーン側とホームズ側の物語が交互に進む構成になっているが、分量的に"ワトスンの書簡"が主なので、クイーン側の「謎」の解明が味気ないのは致し方ない。「解説」で中島河太郎は、「感興の妨げになるばかりで失敗だった」(P.218)と断じているが、ここはやはり、探偵エラリー・クイーンのファンに向けてのボーナス・トラックとして了解したいw 当然クイーンは、ワトスンの文体に注意を払っているはずだが、そこはよくわからない。 創元版になじんでいるわたしは、ワトスンの妻の「メリー・モースタン」表記に強い違和感を感じてしまうくらいなので、文体以前の問題だw ちなみに、メアリ/メリー・モースタンはMary Morstanと綴る。 彼女やマイクロフト、ハドスンさんやレストレードも登場するし、ベーカー街遊撃隊のウィギンズの近況にまで触れていて、ホームズファンへの擽りは充分以上である。 なんにせよ、わたしの知る限りでは、切り裂きジャックvsホームズのはしりであるし、この時点での著者のチャレンジに拍手したい。クイーンは――というか、マンフレッド・リーは――『エラリー・クイーンの国際事件簿』で犯罪実話にも多大な興味を示していることからも、犯人が不明のこの有名な事件に手をつけたのは当然の帰結かもしれないが、本作に対するリーとフレデリック・ダネイの役割や関心度の相違を知りたいところだw【注1】 切り裂きジャック事件(1888年4月3日~1891年2月13日にかけて発生した11件の未解決殺人の総称であるホワイトチャペル殺人事件の一部)では、犠牲者の腹部等を切り裂いて、内臓を解体したり、一部を持ち去ったりしていることから、当初から外科医や肉屋、屠殺業者の犯人説が疑われ、犯人が特定されないことから、王族の関与までささやかれてきた。 ホームズはその冒険譚で、何度も高貴な依頼人の便宜を図っているので、本作で貴族が絡んでくるのはごく自然な流れだと思うが、しっかり医者や屠殺業者も登場させている。ぶっちゃけシャイアズ公爵家の中の三択で進むのだがw その中でサプライズを試みているのも、さすがはクイーンといったところ。 巧くいったとはとても云えないにしても……。 さて、クイーンはワトスンの文体のパスティーシュだけでなく、史実の切り裂きジャック事件のディテールには、細心の注意を払ったはず。 ――と思ったが、その一連の事件に関しての、さまざまにある魅力的な要素にも全然触れてこない。もちろんそれらの中には、当時の新聞があることないこと煽情的に報じたことで、増え散らかした憶測が多い(というかほとんどかも)のだろうが、史実に類する固有名詞はアニー・チャップマンくらいだった……。 当時のホワイトチャペル地区には、スコットランド・ヤードの公式見解によれば、62の売春宿と1200人ほどの売春婦が存在したというが、上記のホワイトチャペル殺人事件の中で、まず切り裂きジャックの犯行であるとされているのは五件で、それすら怪しいものである。 一応その五件を下に記してみたが、エリザベス・ストライド殺害は関係ないかもしれない【注2】し、逆にこの五件以外にもジャックの犯行があったかもしれない。 ホームズとワトスンは、死体安置所でアニー・チャップマンの遺体と対面するが、レストレードは、これで五人目だと述べている。 そもそもこの残虐な犯行に「切り裂きジャック」の名がついたのは、Jack the Ripperの署名で9/25にマスコミに送られた手紙「親愛なるボスへ」から流布したのがはじまりである。だからワトスンが(1908年にまとめたと思われる)地の文で、切り裂きジャックと表記するのは問題ないが、アニー・チャップマン事件に際して、ホームズたちが会話の中でそのように呼称するのは間違いである。 また――主にワトスンの先走りの失態の所為【注3】で――次にポリーという犠牲者が出てしまうが、これに類した事件が実際にあったのかも不明だ。チャップマンより前の事件で、ジャックの第一の犠牲者(とされる)メアリー・アン・ニコルズは、一名ポリー・ニコルズといったらしいが……。 8月31日……メアリー・アン・ニコルズ殺害 9月8日……アニー・チャップマン殺害 9月25日……「親愛なるボスへ(Dear Boss)」セントラル・ニュース・エージェンシー宛 9月30日……エリザベス・ストライド殺害 9月30日……キャサリン・エドウッズ殺害 10月1日……「生意気なジャッキー(Saucy Jacky)」セントラル・ニュース・エージェンシー宛 10月16日……「地獄より(From Hell)」ホワイトチャペル自警団ジョージ・ラスク宛 11月9日……メアリー・ジェーン・ケリー殺害 付け加えると、"犯人"からマスコミへ声明を伝えた手紙は、この三件だけではなく、それこそ数百件あったらしい。 【注1】探偵作家がこの手の事件に興味を示すのは当然かもしれないが、例えば、「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」の江戸川乱歩は、現実の事件には何の興味もないと明言していた。 【注2】この五件には、売春婦の喉を裂いて殺害したという共通項に加えて、死体損壊の程度が徐々に酷くなっていく特徴があるが、エリザベス・ストライドは特に損壊されていない。ただ同日に起こったキャサリン・エドウッズ殺しと合わせて、翌日のJack the Ripperからの手紙「生意気なジャッキー」で、この二件がdouble eventと表明されているので、一般的には、何らかの邪魔が入ったためにストライドの"解体"を中断したのだろうと考えられている。ただし手紙は事件の公表前に郵送されたから本物、いやいや消印は一日以上経過後だからイタズラだと評価がわかれている。 【注3】個人的には、パスティーシュの中で、ワトスンの間抜けが助長されるのは好きではない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ワトソンが書いた部分とエラリー・クイーンが書いた部分が交互に出て来ます。推理小説としてはエラリーの書いた部分は、少なくとも途中までは不要な感じですが、これが挿入されているお蔭でワトソン部分も真実味(本当にワトソンが書いた未公開の文章であると)を感じさせる作りになっています。ちなみにエラリー・クイーンは探偵にして作家と、ホームズとワトソンの二人の役を一人でこなしていますが、エレリ―。クイーンというのは実はプロット担当と文章担当の従兄弟二人のペンネームなので、コナン・ドイルが一人でやっていることを二人でやっている事になります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かった。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 11件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|