第八の日
- 第四期エラリー・クイーン (10)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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エイブラハム・デイヴィッドソンによって書かれたとされる本書はクイーン作品でも異色の光彩を放つ。閉じられた世界での物語といえば『シャム双子の謎』や『帝王死す』などそれまでにもあったが、本書は世界観から創っているところが違う。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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この「第八の日」は、いつものミステリーとは、ちょっと違ったミステリーでした。 犯罪自体はそんなに凝った物ではありませんが、ミステリー小説として読むと中々面白く、きっと好みは分かれるかとは思いますが、私は好きです。 | ||||
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これは困った、彼はぼくをだれかほかのものと間違えている。だれだか来るのを待っていた人だと思っているらしい。名前の音が似ていると いうだけでなにも具体的な根拠がない悲喜劇的な偶然の一致ではないか。だが彼は、いったいぼくをだれと間違えたのだろう?エラリイという ぼくの名前を聞くと、彼はぼくが〈エル・ロイー〉とか〈エルロイ〉 神はわれを見給う といったのだと思って、うやうやしくひれ伏して しまったのだ。彼はまさかこのぼくを・・・・・・ 1964年作。作品全体を決定づけているのは聖書の内面世界をそのまま再現するとでもいうようなもので異色中の異色力作なんだ。そう空気さえも 創造する。。さて舞台は1943年から44年、戦意高揚映画の脚本の為にハリウッドへと駆り出されたエラリー。まあそうなんだ、情勢も情勢なので 車でニューヨークから行けと(笑)。その時点での体調の悪化に加えあまりのハードワークぶりにもう完全に精神が参ってしまった愛すべき彼は 役目を免ぜられて、帰途、東部へと向かうことになったんだけど・・・・・、ネバダ砂漠へと迷い込んでしまったんだよお。。それにしても砂漠 の手前でナイスガイのオットー・シュミットが店主を務める【世界の涯の店】で出されるシナモンとちょうじの二つの香り付けがなされた特製の パイいいなあ〜〜。。っとまあそれはいいとして(笑)、日常風景は次第にぼやけ、外界の汚濁から離れた砂漠のオアシスといえる村落が そこにはあったんだ。外部からの規則、それに従わなければならないという圧力から解放された見知らぬ世界。抑圧する政体のたわごとを超えた まさにそこは楽園のような豊饒を醸し出すところ。世間から忘れ去られ、自給自足生活を営む宗教的共同体。もともとはねサンフランシスコから の移住なんだけど、最年長者にあたる老教師さえどうにか南北戦争をうろ覚えしてるなんてもんで、第一次世界大戦も知らなきゃ、現在戦われて いる第二次世界大戦も知らないという、、なんてったって半世紀の間も犯罪がなかったという平和な地域社会なんだから(!)。しかしそこの 十二人の評議員が評議会を開く神聖なる集会堂において殺人が起きてしまう謎。。むき出しになる内奥の響き、それは黒い虚無に向かって開き ながらも同時に陰鬱でありながら輝いてしまう。それこそ夢見がちな散策者が邪魔なものを無視するような具合に。その欲求は実質的であり、 決定的であり、絶対的に築き上げられていた真実へと。ここでアイデンティティーはもはや移り変わることはないんだ。描かれていた幻影は イコンへと硬直し、目前に存在し始めるんだから。それは約束されている場所。永遠の日曜日。笑えるほどよく出来たラスト。 だのでもはや誰が犯人だとかそーゆう次元じゃないんだけど(笑)、お約束のヒント!この事件のヒントはSEKAI NO OWARI(世界の終わり)の 「天使と悪魔」の曲のなかにあるよ!それにしても老教師の回想から見て取れるあの時代の暗黒ぶり、、結局導くものに要求される同時的両面性 なんだ。答え!終わりじゃなく一瞬で再構成を。前に今は幕末みたいな流れって言ったけどまさにそうで、愛すべき単純さが通用しないんだ。。 愛すべき単純さゆえにフランクリン・ピアースはアル中になって、愛すべき単純さゆえにユリシーズ・グラントは愚図になっていったんだから。 あの時代の我が国における最高に愛すべき単純な象徴的人物は挙げるまでもないけど、結局は方向性の問題じゃないんだ。しかしまあここ10年で 急速に消えたのがその愛すべき単純さだわな。簡単に愛すべき差別ってことなんだけど。感覚的にいえば、愛すべき偏愛を黒澤明だとすれば、 愛すべき差別は溝口健二だとすれば分かりやすい(笑)。それは往々にして好き嫌いに基因するってことなんだけどそれじゃ何の推進力・前進力 にもならないんだから打ち出される愛すべきコミュニケーション能力という概念。実に合理的なんだ。愛すべき単純さで認めたら・信用したら その得体の知れない概念は成立せず何の推進力・前進力もない。だから何の役にも立たない。しかしごくごく当たり前だが、認めもしない、信用 もしないならコミュニケートする以前の問題なんであって、実に合理的だ | ||||
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砂漠に迷い込んだ主人公が、一般社会から隔絶した不思議な共同体に吸い込まれるように入っていく導入部分は、後戻りできない不安を感じさせ、なかなか読み進むことができず、途中で挫折を繰り返し、購入後、読み終わるまでにかなりの時間がかかりました。 物語に引き込まれていく怖さは、聖書の一節が何度か引用され、神秘的な意味のある単語がちりばめられているせいもあるでしょうか。 昔読んだ、エラリー・クイーンの他の作品とはかなり違った印象があります。 最後に出てくる、発見された「失われた書」の真実にはびっくりさせられます。 全体を通して、解説にもあるように、単なる推理小説以上の深みを持つ作品になっていると思いました。 ただ、訳が古いせいか、読みづらくわかりにくいところがあります。 | ||||
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クイーンが活躍しますが宗教によって統治されている架空の町を舞台にしておりそこに俗人のクイーンがやってきて犯罪を暴くがそれは宗教の前には何の意味がないことだったという人間クイーンの苦悩を描く異色作です | ||||
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