絹の家 シャーロック・ホームズ



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初公開日(参考)2013年04月
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長編小説

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絹の家  シャーロック・ホームズ

2013年04月27日 絹の家 シャーロック・ホームズ

ロンドンの美術商がアメリカで凄絶な事件に巻き込まれた。からくもイギリスに戻るが、新妻を迎えた家に忍び寄る不審な男の影。ボストンのギャングが追ってきたのか?相談を受けたシャーロック・ホームズは、「ベイカー街不正規隊」の少年たちに探索を命じるが、その一人が命を落とし、怒りに燃えるホームズを新たな罠が待ち受ける。「ハウス・オブ・シルク」の戦慄すべき秘密とは?衝撃の事件がいま、明らかになる。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

絹の家 シャーロック・ホームズの総合評価:7.39/10点レビュー 80件。Aランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

正典61編目は確かに今だからこそ発表できる驚愕の事件だった

少年スパイアレックス・ライダーシリーズで日本に紹介されたホロヴィッツが年末のミステリ界のイベントであるランキング本に初めてランクインしたのが本書である。
つまり本書は初めてホロヴィッツがミステリ読者に認知されることになった作品でもある。

日本人というのはなぜかホームズのパスティーシュ作品に目がないようで、いわゆるシャーロッキアンと呼ばれるホームズマニアが多くおり、日本シャーロック・ホームズ・クラブなるものまである。そしてそういう方たちの中には自らホームズのパスティーシュ作品を手掛ける者もおり、本書の解説をしている北原尚彦氏はその第一人者である。彼の作品はまさに正典を読んでいるかのように忠実にシリーズの文脈や雰囲気を再現しているが、本書もまた同様に正典を読んでいるかのような錯覚に陥るほどの出来栄えだ。
それもそのはずで実は本書は通常のパスティーシュに留まるものではなく、コナン・ドイル財団から正典60編に続く61編目のホームズ作品として公式認定された続編なのだ。
そんな大業のためにホロヴィッツは自ら本書を書くに当たり、10箇条を設定し、その中の1つに19世紀らしい文章表現をすることを課していたのだ。

今回ホームズが手がける事件は≪ハンチング帽の男と絹の家≫と呼ばれる事件で時期としては『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』所収の「瀕死の探偵」事件以後に当たる。その内容はアメリカでの取引でギャングにつけ狙われることになった美術商の依頼で彼の身辺をつけ回すハンチング帽の男の正体を探ることに端を発し、その男の行方を探らせたベイカー街別動隊の1人が殺害される事態まで発展し、さらにその捜査の中で浮上した“絹の家(ハウス・オブ・シルク)”なる不明な言葉の謎を探るうちにいつの間にか国際的な陰謀に巻き込まれるという実に壮大な事件である。

ホロヴィッツはそれまでのホームズ物にない、ベイカー街別動隊の仲間の死と“絹の家(ハウス・オブ・シルク)”の謎が英国政府機関からも口止めされるほどの機密事項であることから彼の兄マイクロフトの助けさえも借りられなくなるという大きな試練を与えている。
そしてこのベイカー街別動隊の一員の死がその後作品でベイカー街別動隊が登場しない理由となっている。即ち子供を事件捜査に携わらせて危険な目に遭わせることをホームズは禁じたのだ。恐らく正典ではアクセントとして登場していたに過ぎないであろうベイカー街別動隊の登場について上手く理由づけまでするのだ。

またワトスンの妻メアリの死の前兆などにも触れられていたりと、こんな風に本書ではそこここにシャーロッキアンをくすぐるような演出や情報が取り込まれている。これも作者自身が積極的に正典から主な登場人物を意表の着く形で登場させると10箇条の1つとして入れているからだ。
従って本書の中に登場する数々の人名や事件の数々は正典とのリンクが多々見られ、生粋のシャーロッキアンならばニヤリとするに違いない。私もホームズシリーズは全て読んだものの、あいにくシャーロッキアンほどの記憶力と知識を備えておらず、どこかで聞いたことがあるがどの作品だったのかと記憶を掘り起こしてはみるもいささかも思い出す気配のない始末だった。

そしてワトスンによる序文にこの事件が今まで語られなかったのはホームズの名声を傷つける恐れがあることとあまりにおぞましく、身の毛のよだつ事件であったこととある。
往々にしてこのような話は読者の気を惹きつけるために煽情的に書かれ、実際はさほどと云ったものが多いが、本書はその言葉が示すように確かに今までのホームズ譚にはなかった、刺激的で痛烈な真相が暴かれる。

蓋を開けてみればイギリスの政界がひっくり返るような大スキャンダルと執念深いアメリカ・マフィアの意外な正体、その他色んな事実が判明する痛烈な真相であった。
まさにホームズ生前では語るのを躊躇われる悍ましい事件だった。

しかしホロヴィッツ、実に器用な作家である。複雑怪奇な事件を案出し、更にそこここに正典で語られる事件のネタを放り込みつつ、更に今回の時制がホームズが亡くなって1年後という回顧録の体裁を取っていることで、リアルタイムでホームズの活躍を綴っていた時には語れなかったワトスンの心情が思い切り吐露されており、それがまた実に面白い。
ホームズの引き立て役となったスコットランド・ヤードのレストレイド警部の作中での扱いに対するお詫びにベイカー街別動隊が必ずしも清廉潔白な一味ではなく、貧民窟で育った子供なりに手癖が悪かったことや彼らの生活環境が“最底辺”と呼ぶに相応しい劣悪な環境に逢ったこと、ホームズの兄マイクロフトに抱いた印象とその後の彼について、そしてホームズ最後の敵となったモリアーティ教授との邂逅と彼による刑務所に入れられたホームズの救済への意外な助力と、まさに「今だからこそ云える」話が盛り込まれている。

しかし一番驚いたのがホームズシリーズでも随一の人気を誇る『バスカーヴィル家の犬』のストーリーの流れを擬えたかのような展開だ。
あの作品では一旦ホームズは捜査の舞台から退き、しばらく語り手のワトスンだけの捜査になる。本書もまた同様に捜査の途上で亡くなったベイカー街別動隊の1人ロス・ディクスンの仇討ちとばかりにアヘン窟に乗り込んだホームズがその姉を銃殺した容疑で逮捕され、ワトスンは一人での捜査を強いられる。

『バスカーヴィル家の犬』ではホームズはロンドンでの別の事件の捜査に携わなければならない事態で一旦退場するのに対し、ホロヴィッツは本書でホームズ逮捕、しかも目撃者多数で「ハウス・オブ・シルク」という禁断の領域を侵そうとする彼の殺害計画が進行しているという絶体絶命な状況を演出するのだ。

そして彼が単に器用な作家に留まらず、センス・オブ・ワンダーを持っている作家であることが今回よく解った。

正直私は島田氏の作品を読んでいるかのような錯覚を覚えた。

また冤罪で捕まったホームズが脱獄する手法もホームズが変装が得意であることを上手く活かしてサプライズをもたらしている。また刑務所からホームズが脱走するシチュエーションはある意味ルパンへのオマージュではないかと思ったりもする。

また男娼の施設の名称が「ハウス・オブ・シルク」である理由もよく練られている。

まさに続編と呼ぶに相応しいホームズ作品だった。そしてそんな大仕事を見事にこなしたホロヴィッツはまさにミステリの職人である。こんなミステリマインドを持った作家が日本ではなく、英国に今いることが驚きだ。
さてこの職人、次はどんな仕事を見せてくれるのか、愉しみだ。


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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ホームズとワトソン君が記憶を呼び起こす

ホームズとワトソン君といえば、NHKのドラマです。
ベーカー街のあのなんとも言えない風景が浮かんできます。
作家さんの上手さなのか翻訳家さんの上手さなのか、あの頃の記憶が蘇ります。懐かしいな〜。

こういう気持ちになれたという点だけでも、私にとってこの「絹の家」は大成功です。
ミステリー自体は、それほど目新しいものはありませんでしたが、十分読ませる内容だと思います。



ももか
3UKDKR1P
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.78:
(5pt)

ホームズの世界観+新たな味付け。

コナン・ドイル財団認定というだけあり、ホームズの世界観はそのままに、ホロヴィッツならではの味付けも施してあり、ページを手繰る手が止まらないほどに面白かったです。
シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)より
4041025109
No.77:
(3pt)

いまだに読み終わらない

なんだかテレビ版のホームズ的な描写がかなり多く、もう少し削ぎ落とせないのかなと。
買ってだいぶ経つがなかなか読み進まず
シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)より
4041025109
No.76:
(5pt)

面白かった

面白かったです
安定してますねこの作者さん
ただホームズものではおなじみのあのM氏が出てくるのですが、どうせ出すなら「共通の敵を前にしての夢の共闘」とまではいかないまでももう少し活躍させて欲しかったかな
結果的に「何のために出てきたんだおまえは」って形になっちゃってるんで
シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)より
4041025109
No.75:
(3pt)

面白い

楽しめました
シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)より
4041025109
No.74:
(4pt)

なかなかの再現

ドイルの作風を辿っているように見せて、実はホロビッツ独特の描写でホームズを再現しているように読める。
シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)より
4041025109



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