007 逆襲のトリガー



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長編小説

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007 逆襲のトリガー (角川文庫)

2019年05月24日 007 逆襲のトリガー (角川文庫)

「カーレースに出場し、ソ連の陰謀から英国人レーサーの命を守れ」―Mの指令でドイツを訪れた英国秘密情報部00部門諜報員ジェームズ・ボンド、通称“007”。そこでボンドは、レースファンの実業家・シンがソ連の秘密組織スメルシュの幹部と接触する場面を目撃。同じくシンを探っていた米国の女性ジャーナリスト・ジェパディと調査を始めたボンドは、やがて米ソ宇宙開発競争の裏でうごめく恐るべき陰謀に辿り着き…?(「BOOK」データベースより)




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(7pt)

往年の007シリーズ再び!

コナン・ドイル財団公認のホームズ譚続編を2作上梓し、もはやパスティーシュ作家として有名になったホロヴィッツが手掛けたのはイアン・フレミング原作の、世界でもっとも有名なスパイ小説007シリーズだ。しかもホームズ作品同様にイアン・フレミング財団直々に007シリーズの新作依頼がされたとのこと。
007シリーズの続編はこれまでもジョン・ガードナーやジェフリー・ディーヴァーなど錚々たる作家が書いており、ホロヴィッツもそのメンバーに名を連ねるようになった。

私が今回感心したのは物語の舞台を現代ではなく、過去、つまりイアン・フレミングが現役で新作を紡いでいた時代に設定しているところだ。しかも時代としてはボンドがプッシー・ガロアと共に組織を壊滅に追い込んだ『ゴールドフィンガー』の直後、つまり1950年代となっている。

ディーヴァーの007シリーズは物語の舞台を現代にし、またボンドも若者に設定しており、スマートフォンのアプリを駆使してスパイ活動する実に若々しい内容になっていた。それはそれで作者としての特色も出ており、興味深い物であったが、どうしても往年の007シリーズを映画でも見ている当方にしてみればどこか違和感を覚えたのは正直なところだった。

しかし本書は当時の時代設定でまだ携帯電話すらない時代だ。逆にそれが007シリーズならではの雰囲気を演出しており、私個人的には映画の007シリーズの世界に一気に引き込まれるような錯覚を抱いて、物語世界に没入することができた。

さてそんなホロヴィッツ流007はまずボンドがレーサーに扮してスメルシュが画策する現在優勝争いトップのアメリカ人レーサー暗殺計画を阻止せよという任務から幕を開ける。

私は007シリーズを映画でしか見たことがないので、敢えてそれをベースに述べるが、今までの007シリーズでも類稀なる身体能力を発揮してプロさながらの腕前を見せてきたボンドだが、流石にこれは無茶ぶりだ。
彼もカーレースが趣味で齧っているということで任務に選抜されたが、明らかに無理がある。そして彼の相手はロシアのトップレーサーで腕前は一流ながらも過去に他のレーサーを故意に事故らせたとして処分された男。更にレースが行われるのはドイツのニュルブルクリンク。

しかし読書というのはどうしてこうも私を導くのか。
このボンドがレースに挑むドイツのレース場ニュルブルクリンクは実在するレース場でしかも世界でも最も難易度の高いレース場として知られており、本書に書かれている様々な悪条件は決して誇張ではない。そしてそれを私はつい先週に観たF1レーサー、ニキ・ラウダとジェームズ・ハントの伝記映画『ラッシュ/プライドと友情』で知ったばかりだ。ニキ・ラウダが全身大火傷を負う大事故を起こしたのがこのニュルブルクリンクだったのだ。まさに本書を読むに最高のタイミングだったと云えよう。

とまあ、知識があればあるほど今回の導入部の無茶ぶりが解ろうというものだ。
その後物語の軸は謎の韓国人実業家ジェイソン・シンことシン・ジェソンへと移る。

レース場でスメルシュの幹部とやり合っていた、1950年代当時ではまだ珍しかったヨーロッパの上層階級の交流場にいるアジア系のこの人物は人材派遣業で一大財を築いた男。

このスメルシュとの関係から繋がった糸はやがて偽札事件を追うアメリカの財務省に属する秘密捜査局の人間ジェパディー・レーンへとボンドを繋ぎ、更にロシアが画策するアメリカの宇宙ロケット打上失敗を絡ませたニューヨークの中心エンパイア・ステート・ビルの直下で地下鉄に乗せた、マンハッタン中心部を壊滅状態に陥らせるほどのテロ計画が発覚する。

つまり本書におけるボンドの敵はスメルシュではなく、韓国人の実業家シン・ジェソンだ。
彼は貴族階級の出で裕福な家庭に生れ、自身もソウル国立大学で経営学と法律を学び、英語もマスターしたエリートとして順風満帆な人生を送っていたが、朝鮮戦争で1950年6月25日に北朝鮮の韓国侵攻で避難生活を余儀なくされた。そして北朝鮮に加勢したアメリカ軍によって自分の家と祖母の命を失くし、ノグンリの橋に差し掛かった時にアメリカ軍用機から苛烈な攻撃を受け、一人命からがら生き延びた男だ。
妹を守ろうと胸に抱えて必死に避難したが、実は助けていた妹に弾が当たって自分の命が助かったという過酷な過去を持つ男だ。
そして去り際に祖母が渡してくれたブルー・ダイヤモンドを元手に人材派遣会社を立ち上げ、今の地位を築いた男だ。

このシン・ジェソン、なかなかの手強い相手でボンドは何度も窮地に陥る。

さて007シリーズの定番と云えばやはりボンドガールの存在だ。今回ボンドは3人の美女と出遭う。

1人目はプッシー・ガロア。彼女は前の任務ゴールドフィンガーの金塊強奪計画で知り合ったゴールドフィンガーの手先で同性愛者組織セメント・ミキサーズの首領で共に計画阻止を行った女性。
その任務の後、ボンドと共にロンドンへ渡り、同棲を続けていたが、ゴールドフィンガーの残党に拉致され危うく殺されそうになる。

2番めの美女はボンドにレーサーになるための訓練を行った女性ドライバー、ローガン・フェアファックス。
最初はボンドのレースへの挑戦を無謀だと思い、彼の運転技術を見くびっていたが、日に日に上達する彼を見直し、食事を共にし、その後一緒の部屋に行くまでになるが、プッシー・ガロアの拉致事件が起きて、ボンドと共にガロア救出へと向かい、なんとその後はガロアと恋仲になってアメリカに渡ることになる。

そして3人目の女性こそが今回のボンドガールだ。ジェパディー・レーン、Jeopardy、即ち「危険」をファーストネームに持つ彼女の正体については既に述べているのでここでは繰り返さないが、彼女の経歴もまた異色だ。
父親を6歳の時に亡くし、母親に捨てられ、路上生活を送っていたところを巡回サーカスに拾われ、そこで数々の曲芸を身につける。母が肝臓ガンで亡くなった後、叔父に拾われ、きちんとした教育を受けてアメリカ政府に仕える身になった。そしてその魅力は午前4時にも関わらずボンドに欲情を掻き立てさせるほどだ―というよりもボンドの性欲の凄さには驚かされるやら呆れるやら―。

そしてそのボンドの内面についても描かれるのが興味深い。
上にも述べたように私はフレミングの作品を読んだことがなく、映画でしか見たことないのだが、そのスーパーヒーロー然としたキャラクターはタフさが強調され、繊細さが描かれるようには感じられなかった。しかし本書ではボンドがスーパースパイであると同時に1人の人間としての弱さを備えていることも描かれる。

彼が色んな女性と色恋を繰り広げられるのは1人の女性と長く暮すことに苦痛を覚えるからで、一時の情熱にほだされるが長くは続かないことが吐露される。

またそれまでの任務が数限りなく悪の手下どもを抹殺してきたことに思いを馳せる。
絶大な権力を持つボスに家族や自身の命を盾にして好むと好まざるとに関わらず悪事に加担し、従わざるを得なかった、それまで普通の暮らしをしていた者もいるだろう、家族もいるだろう手下たちを殺してきた自分は果たして正しかったのかと自問する。“殺しのライセンス”を持つボンドは決して殺人機械ではないと自らを納得させることに成功する。

しかし毎回思うのだが、ジェームズ・ボンドはスメルシュやスペクター、またCIAやKGBにつとに知られた名前、コードネームだろう。
しかし彼はいつも他の職業に扮してもその名を名乗るのだが、なぜ偽名を使わないのだろうか。恰もスパイが来ましたと名乗り出ているようなものではないか。よほどその名前に誇りを持っているのか。

閑話休題。

常々述べてきたがホロヴィッツは本当に器用な作家だと今回も痛感した。先に述べたように時代設定を敢えて007シリーズがリアルに執筆されてきた1960年代にすることでシリーズ特有の雰囲気を味わえるし、また正典のキャラクターやエピソードもふんだんに盛り込まれ、地続き感が味わえた。

しかしやはりそれでもこれまでの作品にはどこか物足りなさが残るのは否めない。
それはやはり既存の有名シリーズのパスティーシュ作品であるがゆえに避けられないオリジナリティの欠如だ。
人気シリーズが作者の逝去によって続編が期待できないことはファンにとっては残念なことであり、その続編を他の作家が書くことは期待と不安が入り混じった物になる。ホロヴィッツはその器用さゆえに水準をクリアしているのが素晴らしいところだが、出す作品がいずれもパスティーシュになると、ましてや1つのシリーズのみならず、他のシリーズも同様に書くとなると、この作家は自身で新たな作品が創出できないのか、つまり既存の設定の上でしか書けないのかと疑いたくもなる。
彼のオリジナル作品である少年スパイアレックス・ライダーシリーズも必ずしもホロヴィッツの独自色が出ているわけではなく、既存のスパイ小説、特に007シリーズの影響が色濃く見え、寧ろ作者がそうすることで解る人には解るマニアックな愉悦を与えているような感さえある。

まさに職人作家とも云える才能と姿勢なのだが、水準は保てても突出したものが生まれないきらいがある。
しかしその懸念を振り払ったのが2018年の海外ミステリランキングを総なめにした『カササギ殺人事件』である。この作品をようやく読むに至った。
それまでの作品で蓄えてきた技能と技巧がどのように結実したのか、じっくり確かめながら読むことにしよう。

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Tetchy
WHOKS60S
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No.13:
(3pt)

レーサーになったボンド

物語の始まりからして、ボンドがカーレースに参戦するくだりが、意外と同時にやっぱりという相反する感想になった。レース参加までの細かなホテル滞在での描写なども面白かったし、仕事なのかスピード狂の趣味なのかよく分からないところもあったが、自分にとって初めての作家の作品、イアン・フレミングの一連作を思い出しながら読み進めて楽しめた。
007 逆襲のトリガーAmazon書評・レビュー:007 逆襲のトリガーより
4041042127
No.12:
(4pt)

さすがアンソニーホロビッツ

彼の作品は安心して読めます。
007 逆襲のトリガーAmazon書評・レビュー:007 逆襲のトリガーより
4041042127
No.11:
(4pt)

稀少本

この作家の翻訳文庫本は稀少なので、有り難いです。
007 逆襲のトリガーAmazon書評・レビュー:007 逆襲のトリガーより
4041042127
No.10:
(5pt)

やっぱりボンドだよね、サイコー

舞台は1957年の冷戦時代という設定。
その設定を生かすのに、
第二次大戦中のニセ札の話なども出てきて、なかなか面白い。
F1レースの話なども、そのころなら話題性も十分なのでしょう。
ところが、ひとつ残念なのは、
「ジョン・F・ケネディ国際空港」という表記。
この名を使い始めたのは1963年からなので、
57年ではまだ「ニューヨーク国際空港」という正式名称、
あるいは「アイドルワイルド空港」という略称で
呼ばれていたと思うのです。
この本は2年前に発売され、文庫になったのは今年になってから。
最初の版ではだれも気付かなかったのかな?
それにしても、ボンドにはやはりそんな時代が似合います。
楽しい時間を過ごせました。
James Bond will return
を望みます。
007 逆襲のトリガーAmazon書評・レビュー:007 逆襲のトリガーより
4041042127
No.9:
(5pt)

読後がストレスフリー⁈

イアン・フレミングの遺志を継いだアンソニー・ホロビッツによる007です。ボンドがF1レーサーとして密命を果たします。ボンドガールはいつものお色気ムンムンではありませんが、なんとなくボンドが何故結婚できないのか⁈分かる気がしました⁈映画化されていませんので、地図等を見ながら読み進めると旅行気分が味わえます。
007 逆襲のトリガーAmazon書評・レビュー:007 逆襲のトリガーより
4041042127



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