限界点



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長編小説

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限界点

2015年03月12日 限界点

連邦機関に属する警護官、コルティ。命を狙われた者たちを守り抜くプロのボディーガード。つねに敵の手を読み、綿密な戦略を立てて任務を遂行する。対するは凄腕の“調べ屋”ラヴィング。ターゲットを拉致し、情報を引き出して殺すエキスパート。緻密な計略で警護の手を巧みにかいくぐり、標的を殺す。二人のプロが知力を尽くして戦う死のゲームが幕を開ける!知的スリラーの旗手の真骨頂、熾烈なるノンストップ・サスペンス。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.25pt

限界点の総合評価:6.05/10点レビュー 21件。Bランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(7pt)

タイトルの真の意味はどんでん返しの限界点を意味するのか?

久々のディーヴァーのノンシリーズ作品である本書は警護のプロと<調べ屋>と称される殺し屋との攻防を描いたジェットコースター・サスペンスだ。

主人公は連邦機関<戦略警護部>の警護官コルティ。6年前の事件で師であるエイブ・ファロウを殺害された警護のプロ。

対する敵はヘンリー・ラヴィング。凄腕の<調べ屋>でコルティの師ファロウを拷問の末に殺害した男。

<調べ屋>とはターゲットの人物の家族構成、仕事、交友関係、趣味などを徹底的に調べ、通信機器を傍受し、予定や行動を調べ、完全包囲してミッションをやり遂げる殺し屋。ヘンリー・ラヴィングはターゲットのみならず、その関係者、隣人などの交友関係の弱点やかけがえのない人物や物を利用して―コルティはこれらを“楔”と呼んでいる―、自分のミッションに組み込んで協力を余儀なくさせることを得意とする。
例えば普段から交流のある隣人の奥さんを人質に取り、命を助ける代わりにターゲットの家に銃弾の雨を放たせるなど、護る側、護られる側が予想もしていない方向から不意打ちを食らわせるといったものだ。

一方コルティはかつての因縁からラヴィングのやり口を熟知しており、あらゆる可能性を想定してターゲットの警護に当る。それは彼の同僚や上司であっても、与えられる情報が、ラヴィングによって楔を打ち込まれて恣意的に誤報を流していないか疑うほどの慎重ぶりだ。

そんな2人の極限の攻防はまさにターゲットの死を賭けた精緻なチェスゲームのようだ。
ディーヴァー作品の特徴に専門家と違わぬほどのその分野の専門的知識が豊富に物語に盛り込まれることが挙げられるが、本書でもこの警護ビジネスに関する知識がコルティの独白を通じて語られる。いくつか挙げてみよう。

サインカッティングという追跡技術は、森林の中で人を追跡する際に注目する微妙な変化を読み取る技術だ。例えば人が通ることで普段は日の光に向いている枝が裏返っていたり、小石やシカの糞が妙な場所に落ちていたり、落ち葉があるはずのないところに敷かれていたりという人為的な痕跡を見つけ、辿る方法だ。

ハリウッド映画の世界では出来栄えが気に入らなかった作品に自分の名前を出したくない時に使うアラン・スミシーという架空の映画監督の名前があるが、諜報活動の世界でもマスコミの目を欺くための架空の犯罪者の名前―エクトル・カランソと本書では述べているが、恐らくこれは偽名だろう。でないと本書でその存在がバレてしまうからだ―があるとは知らなかった。

また意外にも警護する側も敵に弱みを握られたり、拷問を受ければ警護対象者の情報を明かすらしい。任務よりも自分の命が大事であるのがこのビジネスの信条。
但しもしそうすれば会社の信頼は落ちるだろうから、それを覚悟した上での救済措置なのだろうが。

また本書がこの敵と味方の攻防をチェスゲームのように描いているのは作者も意図的である。
コルティの趣味はボードゲーム。プレイのみならず古今東西のボードゲームの蒐集も行なっている。さらにコルティは大学院で数学の学位を取得中にゲーム理論をかじっており、これを自分の仕事に活かしている。本書ではこのゲーム理論がところどころに挿入され、それがさらに本書のゲーム性を高めている。

囚人のジレンマ、合理的な選択、合理的な不合理、等々。

ディーヴァーのシリーズ作品であるリンカーン・ライム物、キャサリン・ダンス物が複数の手掛かりが示唆する方向性を見出す、いわば推理物の定型の中に数々のミスディレクションを散りばめ、サスペンスやどんでん返しの要素を盛込んでいるのに対し、本書ではコルティが想定する数々の選択肢から最良の物を選び、それをさらに敵が凌駕するコンゲームの要素を成しているのが大きく異なるところだろう。
複数の手掛かりから唯一解を導く、複数の選択肢から最良の手を選ぶ。
この2つは近似していながらも受動的、能動的という面で異なり、特にコルティはどちらかと云えば、追う側から逃れる側であることから、ライム物やダンス物での犯人側に心理に通ずるものがあるように感じる。

また追う者と追われる者のハンターゲーム以外にも、もう1つの謎としてライアン・ケスラー刑事を標的にした依頼人の目的が不明なことだ。金融犯罪を担当する彼が扱っている2件の事件について調べていくうちに、意外な展開を見せていくのもまたミステリの妙味となっている。

1件目はペンタゴンに勤める民間アナリスト、エリック・グレアムが遭った小切手詐欺事件。4万ドルもの大金を盗まれた彼はしかしコルティのライアン警護の最中、突然刑事訴訟を取り止めることになる。子供の学費のために大金が必要な彼がなぜ突然翻したのか?
それには“さる大物”から警察に捜査の取り止めを行う指示もあった。そしてグレアムはペンタゴンが定期的に行っている嘘発見器テストも風邪を理由に休んでいると、謎は深まっていく。

もう1つは牧師クラレンス・ブラウンによる貧民層へのねずみ講詐欺事件。しかし彼の身元を調べていくうちにこれも新たな事実が判明してくる。

更にはケスラーの車には彼の署でも使われている追跡装置が仕込まれていたことも判明する。

敵から身を護るためにケスラー夫妻と妻の妹マーリーはほぼ監禁状態を強いられるわけだが、そんな変化に乏しい生活ではストレスの溜まり、あらゆることが疑わしく思えてくる。特にコルティたちはそれを職業としており、あらゆる可能性を想定しなければならないから、情報量から推測されるパターンは膨大な数になるわけで、このような仕事はよほど精神的にタフでないとできないなと痛感させられる。文章からも制約された場所や行動による圧迫感がひしひしと伝わってくる。

これら疑わしい存在は下巻になって次々とその真相が明らかになっていく。

どんでん返しが専売特許のディーヴァー作品だが、本書におけるそれはどこかちぐはぐな印象を受ける。

しかし本書でディーヴァーが見せたかったどんでん返しがまだあったことに驚かされた。

色んな情報を盛り込み、読者を翻弄して追う者と護る側の攻防を見せながらも専売特許であるどんでん返しを盛り込んだディーヴァー印の作品でありながら、至る結末が尻すぼみであるがゆえに浅薄でちぐはぐな印象が残る作品だった。
残念。



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Tetchy
WHOKS60S
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

限界点の感想

護衛VS殺し屋の戦い。追いつ追われつしながら、ディーヴァー得意の後半へ。後半になるにしたがい、スピード感のある展開でまるで映画を見ているようでした。真の警護対象者を巡って二転三転し、アクションシーンもあり、楽しめました。拷問に紙ヤスリを使うって初めて読みました。やっぱりライムシリーズがいいなぁ。

タッキー
KURC2DIQ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

新しい主人公

久し振りにディーバーの本を読みました。一番好きなのは「ボーンコレクター」。それを超える作品かな?でも、題名を見る限りあまり面白く無さそう・・・などなど思いながら。
予想よりは面白かったけど、主人公の内面とか、心理面をもう少し掘り下げて書いて欲しかった。
最後を読むと、すこしホッとした気持ちにはなれますが、こういう終わり方だと、これからディーバーの小説を読む時は、最後を疑いながら?読みそうな・・・(笑
それと、題名にはもう少し捻りというか、これだ!というディーバーらしさが欲しかった。

ももか
3UKDKR1P
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ツイストは効いているけど

ディーヴァーが新しいヒーローを誕生させたノンシリーズ作品。ボディーガードのプロ対誘拐と拷問のプロの対決を描いた、サスペンスアクションである。
主人公コルティは連邦機関「戦略警護部」に所属する人身保護のプロ。対するのは、人間の弱みを突いてターゲットを追い詰める冷酷非情のハンターであるラヴィング。ラヴィングは、コルティの師匠を罠にかけて殺した因縁の敵でもある。この二人が、警護対象であるワシントンD.C.の刑事の一家を巡って壮絶な戦いを繰り広げることになる。
襲撃する者と守る者が、お互いに「裏の裏」を読みながら手に汗を握る追跡ゲームが展開されるのと同時に、刑事一家が狙われるのはなぜか、黒幕は誰なのかが、徐々に明らかにされるという、アクション部分とミステリー部分の両方が盛り込まれた欲張りな構成である。さらに、ディーヴァーお得意のどんでん返しが、これでもかと言わんばかりに出て来て、読み通すのに気力と体力の両方が必要だった。派手さはあるが、リンカーン・ライムシリーズほどの味わい深さを感じなかったのが残念。
主人公がボディーガードのプロだけに素材はいくらでも見つけられるので、評判が良ければシリーズ化されそうな作品だが、どうなるだろうか。

iisan
927253Y1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.17:
(2pt)

池田訳で再読したい

全然物語に入って行けない。
リンカーンライム、アメリアサックス、キャサリンダンスが出ていないからじゃない、非常に読みにくいからだ。
翻訳物は細かいところまで見てしまうので、本当につらかった。
貴重な海外作者の作品を一つ無駄にしたみたいな喪失感が残りました。
ディーバと並んで好きなカリンスローターの作品も翻訳の当たり外れが激しいから悲しい
限界点Amazon書評・レビュー:限界点より
4163902287
No.16:
(2pt)

つまらない

他のジェフリー・ディーヴァーと何か違う。
限界点 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:限界点 上 (文春文庫)より
4167910241
No.15:
(3pt)

なかなか次に進めません

エンターテインメント系の著作物に対して、この翻訳はやや難ありでしょう。次の一ページをめくりたいという意欲がいちじるしく削がれます。読みにくい。純文学でも、カポーティの同じ作品を訳すにしても、別の訳者とでは、ここまで違うのかと驚くことがありますが。ましてや、この作品はエンターテインメント。もっと翻訳のやりようがあったと思います。ストーリーはいつものディーヴァーで、それなりに楽しませてもらいました。
 
p47上段
〈「~ラヴィングは家に押し入り、情報を取ろうと男の目の前で子どもを拷問しようとした」
「やめて」ジョアンは喘いだ。「でも……アマンダが。わたしたち、娘がいるの」〉
 とあるが、なぜ、《でも……》なのか。意味がわかりません。

 p49下段〈~ラップトップを抜き出した。大きなユニットを起動して、新たなウィンドウに〉とあるが、〈大きなユニット〉ってなんだ。おそらくコマンドを打ち込むパワーシェルのことだと思うがわかりにくい。

 p52上段〈『ビルおじさんのとこで不自由な生活をなさい』〉って、話し言葉の中で、こんな言いかたはしないだろう。p66下段〈尾行を確かめるには、平和そのものの路地に住みつくか迂回してみることである〉とあるが、作中では今、現に尾行されているかもしれない車を撒いているところだ。その中での描写だ。〈平和そのものの路地に住みつく〉ってなんだ。

 p67上段〈まず彼女は、ラヴィングと仲間の隠れる場所がはっきりしているだけに、少なくとも義理の娘とビル・カーターは安全だという正確な分析をしてみせた〉とあるが、この描写は、〈ラヴィングと仲間〉たちが隣家の人間を利用して〈彼女〉たちを襲った直後のことだ。隣家に〈ラヴィングと仲間〉たちが潜んでいたからこそ〈潜んでいた場所がはっきりした〉と思ったわけだから、ここを〈ラヴィングと仲間の隠れる場所がはっきりしているだけに〉と現在形で訳すのはおかしい。さらに〈ラヴィングと仲間〉は、この時点では、これからどこに潜伏するのかまだ不明なのだから、別の意味でも〈場所がはっきりしてい〉るはずもない。意味が通らない。

p72上段〈被害者は危険人物──テディ・ノックスにたいし、武器を捨てることを厭わなくなる〉も単に、〈テディ・ノックス〉に対する攻撃をためらわないというだけのことだ。〈武器を捨てることを厭わない〉なんて、持って回った描写をする必要があるのだろうか。

 p73上段〈携帯片手のその間抜けがぶつかってきて〉とあるが、〈その〉は必要ないだろう。ここで初めて〈ぶつかってきた〉ことを描写しているのだから。p76上段〈こちらの振りつけどうりに動かすことを“餌とすり替え”と呼ぶ〉とあるが、〈餌《の》すり替え〉でしょう。このあと何回も〈餌とすり替え〉とあるが、なんか違和感があります。

 p90下段〈これが頭に定着しないうちに、彼女のほうがしゃべりだしていた〉とあるが、〈定着しないうち〉って、なんだかなあ。p91上段〈私が持って生まれたようなゲームプレイヤーの気質はそなえておらず、したがって私と調べ屋、消し屋が戦う命懸けのチェスマッチは彼女の性に合わない〉とあるが、わかりにくい。ここは〈《彼女は》私のように持って生まれたゲームプレイヤーの気質はそなえておらず〉でしょう。

 わかりにくいところが、ほかにも多々ある。p92からp93にかけてがとくにそうだ。〈マーリーはステーションに寄ってコーヒーを注いだ〉とあるが、これは室内での話だ。リヴィングステーションのことだと思うが、それほど一般的な日本語とも思えないのだが。ほかにも〈コーヒーに戻り〉、〈口を開かなかった〉は〈口を開くことはなかった〉だろうし、〈髪はさっぱりとクルーカットにしていた。身代わり、すなわち近接警護官である〉とあるが、意味がよく通じない。〈私は手を握ったガルシアをアフマドに紹介し〉とあるのは単に〈握手して〉じゃないだろうか。

 p95上段〈わが組織にない部門が戦術だった〉って、意味がよくわからない。p112上段〈DC一帯では、このようにさまざまな政府関係の本部が散在している〉とあるが、〈さまざまな政府関係の本部〉を描写するのは、このあとだ。それなのに〈このような〉はないだろう。まだ紹介していないのだから。p120上段〈いや。その逆だ。みんなが四万ドルのことに、聞かれるまで知らんぷりを決めこんでいる〉も、〈ことに〉は〈こと《を》〉だろうし、なぜ、〈ことに、〉と、ここで読点を打つのか。

 p133上段〈ラヴィングは影も形もなかった〉。p141下段〈『上等だ』とエリスは口の中で言った〉。p180上段〈こちらの様子をうかがってきたグレアムは〉は〈うかがって《い》た〉だろうし、p181上段〈コンピュータはかなりのことしかできない〉は、〈コンピュータ《なり》のことしか〉だろう。p194下段〈『アマンダ、大丈夫だ。なにも心配いらない……で、車か? こっちはアライグマも近寄らない人間の屑だが、一台通るのは見た』〉って、まったく意味が通じない。p196上段〈ラヴィングの道をすばやく移動した〉は〈ラヴィングの《通りそうな》道をすばやく移動した〉だろう。p237〈炎の哮りはすさまじく、サイレンの音を耳にするころには、消防車はもうすぐそばまで来ていた〉って、あたり前だろう。

 ほかにもいろいろ、「?」と思う描写があったが、とても書ききれない。それにしてもp330下段〈心臓の四分の一拍ごとに目が合った〉とあるが、どういうことだろう。心臓は普通、一拍で「ドクン」と鳴る。それが四分の一拍とは、ちょっと想像するのに苦労しました。音符じゃねえよと。
限界点Amazon書評・レビュー:限界点より
4163902287
No.14:
(4pt)

ディーバーならでは…

ディーバーのノン・シリーズ物ですが、是非次作を期待したいくらいの満足感。
なんか読み進めるといつもと違う。
翻訳だ!
リンカーン・ライムシリーズでディーバーの虜になったヒトには、訳の違和感がつきまとうかも。
でもやっぱりついつい読み進みたくなるのは、ディーバー流。
池田真紀子さんの訳に慣れている方は、しばし訳を忘れてストーリーを楽しみましょう。
限界点 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:限界点 上 (文春文庫)より
4167910241
No.13:
(4pt)

護衛官vs調べ屋

アメリカの犯罪ものミステリーでは、FBIや州警察、ほかにCIA等の諜報機関、軍の機関、司法関係の検察官もいるし、どういうつながりがあって、それぞれの抱える組織としての役割などが、いまいちわからないことも多い。今回も上院議員とその秘書的な人物なども出て来る。捜査官ではなく証人などを守る立場の警護官が主人公なのもあって、立場の違いや上下関係など、充分に把握し切れていない。
 まあ、そんなものは抜きにしても、手に汗握るアクションシーン満載で、さぞかし映像化してもおもしろいだろう。
「調べ屋」と称される、必要な情報を拷問という非合法な方法で聞き出して、最後には殺してしまう敵役に、警察官が狙われる。情報を引き出すために「楔」としてその家族が人質にとられ、口を割らされる可能性があるため、その家族も警護対象者となる。自分の尊敬する上司を「調べ屋」に殺された警護官が、警察官家族の守りながら、「調べや」逮捕に立ちあがる。
 何故狙われるのか、依頼した黒幕は誰かといった謎はもちろん、読み進めていくと、そもそも狙われているのは警察官なのか、その妻なのか、妻の妹なのか、それとも娘なのか、狙われる理由と共に、謎は深まっていく。そして、冷徹な「調べ屋」が仕掛ける罠は、警護官の予想を超えて迫ってくる。更に、警護任務にブレーキを掛ける存在が次々現れ、任務の遂行を行政権力が邪魔をする。
 まさに息つく暇もない。わずか数日の出来事なのではあるが、合法的に、ときには非合法すれすれで、さまざまな情報を、電話やネット、監視カメラなど機器をフルに使って収集し、相手の考えを読み、次の一手を予測して、作戦を指揮していく主人公。
 主人公の部下として情報収集を担う女性職員や、警護の同僚、FBI捜査官など一人ひとりの人物描写も、なかなか凝っている。銃撃戦もあるが、結局味方はだれも死ななかったところは、読んでいてもほっとできるところだ。ディーバーのシリーズものではない作品だがらしさ満載だ。
 最後に余談だが、車を使った移動場面の描写が多いが、残念ながらアメリカの地理に疎いので、地図も載せてくれるとありがたかった。
限界点 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:限界点 上 (文春文庫)より
4167910241



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