スティール・キス



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初公開日(参考)2017年10月
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長編小説

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スティール・キス 上 (文春文庫)

2020年11月10日 スティール・キス 上 (文春文庫)

四肢麻痺の名探偵ライム×殺人マシーン 科学捜査の天才リンカーン・ライム・シリーズ 従順な機械たちが、いきなり牙を剥く! 「みな考えろ。よく考えるんだ。 答えは必ず、現場にある」 ―ーリンカーン・ライム NYのショッピングセンターでエスカレーターが誤作動を起こし、通行人の男性を巻き込んだ! 刑事アメリアは必死に救助するが男は痛ましい死を遂げ、あげくに捜査中の犯人を取り逃がしてしまう。リンカーン・ライムに助けを借りたいが、彼は市警を辞めてしまっていた。一方のライムは、民事訴訟でこの事故を調査し始める―ー。( 下巻につづく)(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.25pt

スティール・キスの総合評価:7.35/10点レビュー 26件。Bランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

便利さの裏側に潜む、何とも危険なキス

リンカーン・ライムシリーズ12作目の本書ではリンカーンはNY市警を辞め、大学で鑑識技術の講義を行っている。

従っていつものようにアメリア・サックスとコンビを組んでの捜査とはならず、それぞれがそれぞれの事件を追っている。

アメリア・サックスが追っているのは未詳40号と付けられた、異様に背の高く、痩せた風貌の殺人容疑者だ。しかしリンカーンの手助けを借りれないアメリアは遅々として進まないNY市警の鑑識結果にイライラしながら、それまでの捜査で培ってきた洞察力で容疑者を追っていく。

一方リンカーンはそのアメリアが偶然出くわした容疑者を尾行中に入ったショッピングセンターで起きたエスカレーターの事故の調査を行っている。上りのエスカレーターの上り口の乗降板が開き、そこに落ち込んだ店の従業員がモーターに挟まれて圧死した原因を突き止め、残された家族のために賠償金を請求するための証拠集めを強引に休暇を取らせた相棒メル・クーパーと講義の熱心な聴講生である、同じく四肢麻痺の生涯を持つ、元疫学研究者のジュリエット・アーチャーと共に当たる。

この2つの捜査(調査)はやがて1つへと繋がっていくのだが、これまで読んだリンカーン・ライムシリーズとは異なり、非常にじっくりと時間をかけて進むのだ。

今まで彼らが相手にしてきた犯人は次から次へと犯罪を、殺人を繰り返し、事件を未然に防ぐために証拠類と奮闘するリンカーンとの秒刻みの戦いが醍醐味だったが、アメリアが捜査する未詳40号は、彼の犯罪が発覚した被害者トッド・ウィリアムズ以降の殺人がなかなか起きないでいる。

またリンカーンサイドも自室内に実物大のエスカレーターのモックアップを設けてまで、事故を起こしたメーカーのエスカレーターの調査を行うが、彼らが想定する誤作動の原因探しは試行錯誤の連続で、なかなか捗々しく進まない。

これほどじれったく長く続くこの2人の捜査も珍しい。

この並行する2人の捜査は300ページを過ぎたところでようやく交わる。アメリアの追う未詳40号とライムの調べるエスカレーターの事故が繋がる。
エスカレーターの事故は内蔵されたスマートコントローラーを意図的に遠隔操作した者の仕業だった。その人物こそが未詳40号だった。

いつもながらディーヴァーは色んなテーマを扱い、我々の生活と彼の対峙する敵の犯罪が実に近いところで繋がっていることを知らしめてくれるが、本書ではさらにその距離が縮まっている。
今回の敵、未詳40号が殺人に利用するのは我々の生活を便利する通信技術だ。スマートフォンのアプリで遠隔操作するシステムの穴から潜り込み、誤作動を起こさせて人を殺す、なんとも恐ろしい敵だ。

まずはエスカレーターの乗降板を意図的に開放させ、人を落としてモーターに巻き込んで殺害。

次に家庭のガスコンロを意図的にガス漏れさせ、ガスが室内に充満したところで点火し、住民を丸焼きに。

そして大型テーブルソーを誤作動させて腕をスパッと切るかと見せかけて電子レンジの出力を何倍にも上げておいて温めていた飲み物とマグカップの中に含まれている水分を水蒸気爆発させる。

さらには自動車の制御システムも遠隔操作して猛スピードで逆走させ、衝突事故を起こさせて渋滞を招き、アメリアの追跡を交わす。

生活が発展し、便利になるとそれを悪用する輩も出てくる。スマートフォンのアプリで色んなことができ、色んなものとリンクすることが可能になったが、ウィルスを侵入させて壊したり、スパイウェアを侵入させて個人情報を搾取したりと枚挙にいとまがない。
しかしディーヴァーは過去に『ソウル・コレクター』で他人の情報を奪って成りすまして犯行を行う犯人を描いていたが、今回は便利さを利用して人を殺すという誰もが被害に遭いそうな犯行方法を生み出した。
何とも恐ろしい犯行を、犯罪者を生み出したものである。あまりにリアルすぎて背筋が寒くなる。

更には街ですれ違って自分を罵倒した弁護士の素性を調べ上げ、アパートのセキュリティシステムに侵入して、幼児誘拐まがいの悪戯を仕掛けることもできる。

また恋人との情事を盗み聞きしていた隣人を防犯カメラで捉え、自分たちのプライベートを汚したことで殺害する。

題名の「スティール・キス」とはこれら便利な物たちの誘惑を比喩した“鋼鉄のキス”という未詳40号の比喩に由来する。

また一方でアメリアも刑務所に服役していた元警官で恋人だったニック・カレッリが再び彼女の前に姿を現す事態に出くわす。彼は強盗事件に関わった容疑で逮捕され、服役していたが、実は冤罪でそれは彼の弟のやった事件で彼は弟の身代わりになったというのだった。しかしその弟も今は亡く、彼はやり直すために当時の事件の資料を調べ、潔白を証明したいとサックスに協力を求める。
そしてサックスもかつてと変わらぬニックに心を傾けていく。

またロナルド・プラスキーはプライベートでヤクの売人と接触し、独自の調査を行っている。

そんな複数のエピソードを交え、今回も大なり小なりのどんでん返しを見せてくれた

ディーヴァーだが、ある程度パターン化してきた感は否めない。

行く末が逆に判っているからこそヒヤヒヤさせられることも無くなってきた。そう、免疫がついてきてしまった。

あといささかあざとい仕掛けも感じた。

そんな風に思っていたら、なんと今回の結末は意外にもリンカーンとアメリアにとっても苦いものとなる。

人生全てが順調ではなく、万全ではない。生きていれば一度や二度、挫折もし、苦汁を舐めさせられることもある。
しかしそれを乗り越えて生きてこそ、人はまた成長し、そしていつかは笑って話せる過去へと消化できるよう、心が鍛えられるのだ。

転んでもただでは起きない者もいる。

今回色々な悪が描かれてきた。

巨大企業のビジネス優先主義によって製品の欠陥を隠匿しようとした悪。

その犠牲になり、復讐のために次々と人を殺してきた悪。

自らの犯行を正当化し、かつての友人や恋人を騙してまで大金をせしめようとした悪。

それぞれの悪が円環のように巡り、そして殺しの連鎖を導く。人が利己的にならなくなった時に犯罪は無くなるのだろうか。

スティール・キス。
それは便利さの裏側に潜む甘美な罠。
もう我々はスマートフォンなしでは生活できなくなってきている。我々の便利な生活が危険と隣り合わせであることをまざまざと痛感させられた。便利と危険は比例することを肝に銘じよう。

▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

スティール・キスの感想

リンカーン・ライムシリーズも12作品目となり、登場人物の周りにも様々な変化が訪れる。
本質となる事件の展開も興味深かったが、登場人物のドラマにも目を離せなかった。
次作の事件も気になるが、今後の彼らのドラマも気になってしまう。

松千代
5ZZMYCZT
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

安心して読めるミステリーって?!

どういう展開になるのか、ハラハラドキドキ感はたっぷりありますが
ずっと安心して読めるミステリーというのも面白いものですね。

表紙良し!題名良し!
ライムとサックスの関係もなかなかいい感じです。
新たに加わった女性も強者っぽくて(実際強者ですが)個性的な役者揃いで、ホントこのシリーズは楽しみです。

ももか
3UKDKR1P
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

犯行は残虐、犯人は小粒?

リンカーン・ライム・シリーズの第12作。現代社会の盲点を突いた犯罪の怖さを見せつけて日常生活に恐怖を覚えさせる、ある意味ホラーなサスペンス大作である。
NY市警のコンサルタントを辞めたライムのもとに持ち込まれたのは、ショッピングセンターでエスカレーター事故に巻き込まれた被害者遺族の損害賠償訴訟への協力だった。これは実は、殺人事件の犯人追跡中に事故現場に居合わせたアメリア・サックスからの依頼だった。安全なはずのエスカレーターで、なぜ予想もしない事故が起きたのか? ライムのチームが原因を探ってみると、これは事故ではなく、仕組まれたものではないか、殺人ではないかとの疑いが濃くなってきた。一方、事故現場で犯人を取り逃がしたサックスの捜査は行き詰まり、それをあざ笑うかのように、同じ犯人による殺人事件が引き起こされた。しかも、エスカレーターによる殺人も同一犯によるものではないかと思われた。日常生活に普通に使われている電子機器を凶器に変える犯行の動機は何か、犯人の意図するものは何か?
毎日使っている装置や道具に、こんな危険が潜んでいるのかと、読んでいる途中で怖くなる。まさに、作者の意図通りの反応をしてしまうサスペンスフルな作品で、いつも通りのどんでん返しもたっぷり仕掛けられており、ハラハラドキドキの度合いは期待通りと言える。ただ、今回は犯人の狂気というか、ねじれ具合がイマイチ。こういうサイコな作品は悪人次第という点から言うと、やや小粒な作品である。
いつものメンバーに、新たに魅力的なキャラクターの新人が加わったし、ライムとサックスの関係にも変化が訪れそうで、次作へ期待を持たせるのも、いつも通り。期待以上ではないが、期待通りに面白い、安定した作品である。シリーズのファンにも、単発で読む読者にもオススメできる。

iisan
927253Y1
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No.22:
(1pt)

コレジャナイ

繋がっているのかと思ったら繋がってない。
みたいな展開が多いので、読んでいてとても疲れる。
今回の作品はプロットに欠陥があるし、気付いてるはずのディーヴァーも放置してる。
そこもあって黒幕が判明するときは拍子抜けだった。
こんなだったら被害者すべて無関係な人の方が良いだろに。…

ディーヴァー読んでモヤモヤするとは思わなかった。
この”欠陥”は、かなりマイナス。
スティール・キスAmazon書評・レビュー:スティール・キスより
4163907440
No.21:
(4pt)

誤作動を武器とする犯罪、という新機軸

リンカーン・ライム・シリーズの第12作は新機軸として、現代的過ぎる凶悪なディジタル犯罪を扱ったものである。現場に残された証拠を分析することで、犯罪者を追いつめてゆくリンカーン・ライムのアナログ的な科学捜査を特徴とする本シリーズも、ついに現代という奇妙な時代にタイム・スリップしてきたか、という印象の一作である。

 もっとも、序章における驚愕のエスカレーターの事故がディジタルの存在をすぐに感じさせるわけではない。ショッピングセンターで起こったエスカレーターの誤作動と、そこに立ち会い悲惨な犠牲者の姿を目撃することになったアメリア・サックス。最初からスプラッタな展開で始まる本作。眼を背けたくなる凄惨な事故現場。しかしこの誤作動は、事故ではなく嘲笑する殺人者による狂気の犯罪であるというもの。

 主人公のリンカーンより、アメリアと犯罪者との追跡と逃走、犯罪者の駆使するディジタル機器への仕掛けと、それらが誘発する思わぬ展開が見どころとなる。何故エスカレーターは落下したのか? 何故、アメリアの捜査する建物が火焔に包まれたのか? 久々のオープンなアクションとスケールの大きさ、そこにディジタル犯罪という新手の闇が加わることで、本シリーズとしては捜査側が最も攪乱される事件と言える一作である。

 誤作動を武器とする犯罪、という一点で連続する、捜査側としてもあまりに予想外の殺人が連続する。まったく予想もできないディジタル・ノイズにより、日頃便利と感じている家電製品や最新建築技術が、人を殺傷する武器と化す。本作は、世界に普及しなお進歩を遂げてゆくディジタル機械に対し警鐘を鳴らすものであり、我々が日頃便利と感じている生活のあれもこれもが、誤作動による思いもかけぬ危険な敵に変貌する有様を描いてゆく。ページを進めるにつれヒートアップしてゆく犯罪と、それを駆使する悪魔のような犯罪者を、ライムとサックスがどのように追いつめてゆくことができるか? 

 また本作では印象的なゲスト、ジュリエット・アーチャーが登場する。疫学研究者でありながら車いすでライムのラボにインターンとして日参するなかなかの切れ者アシスタントである。ライムのラボにライムとジュリエットの車いすが行き交うという科学捜査本部(?)の様子も本書では犯罪小説とは別個の読みどころとしてシリーズ作品ならではのアクセントも置かれている。ジェフリー・ディーヴァーのサービス精神が相変わらず光る。そう感じさせる作品である。
スティール・キス 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:スティール・キス 上 (文春文庫)より
4167916010
No.20:
(4pt)

誤作動を武器とする犯罪、という新機軸

リンカーン・ライム・シリーズの第12作は新機軸として、現代的過ぎる凶悪なディジタル犯罪を扱ったものである。現場に残された証拠を分析することで、犯罪者を追いつめてゆくリンカーン・ライムのアナログ的な科学捜査を特徴とする本シリーズも、ついに現代という奇妙な時代にタイム・スリップしてきたか、という印象の一作である。

 もっとも、序章における驚愕のエスカレーターの事故がディジタルの存在をすぐに感じさせるわけではない。ショッピングセンターで起こったエスカレーターの誤作動と、そこに立ち会い悲惨な犠牲者の姿を目撃することになったアメリア・サックス。最初からスプラッタな展開で始まる本作。眼を背けたくなる凄惨な事故現場。しかしこの誤作動は、事故ではなく嘲笑する殺人者による狂気の犯罪であるというもの。

 主人公のリンカーンより、アメリアと犯罪者との追跡と逃走、犯罪者の駆使するディジタル機器への仕掛けと、それらが誘発する思わぬ展開が見どころとなる。何故エスカレーターは落下したのか? 何故、アメリアの捜査する建物が火焔に包まれたのか? 久々のオープンなアクションとスケールの大きさ、そこにディジタル犯罪という新手の闇が加わることで、本シリーズとしては捜査側が最も攪乱される事件と言える一作である。

 誤作動を武器とする犯罪、という一点で連続する、捜査側としてもあまりに予想外の殺人が連続する。まったく予想もできないディジタル・ノイズにより、日頃便利と感じている家電製品や最新建築技術が、人を殺傷する武器と化す。本作は、世界に普及しなお進歩を遂げてゆくディジタル機械に対し警鐘を鳴らすものであり、我々が日頃便利と感じている生活のあれもこれもが、誤作動による思いもかけぬ危険な敵に変貌する有様を描いてゆく。ページを進めるにつれヒートアップしてゆく犯罪と、それを駆使する悪魔のような犯罪者を、ライムとサックスがどのように追いつめてゆくことができるか? 

 また本作では印象的なゲスト、ジュリエット・アーチャーが登場する。疫学研究者でありながら車いすでライムのラボにインターンとして日参するなかなかの切れ者アシスタントである。ライムのラボにライムとジュリエットの車いすが行き交うという科学捜査本部(?)の様子も本書では犯罪小説とは別個の読みどころとしてシリーズ作品ならではのアクセントも置かれている。ジェフリー・ディーヴァーのサービス精神が相変わらず光る。そう感じさせる作品である。
スティール・キス 下 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:スティール・キス 下 (文春文庫)より
4167916029
No.19:
(5pt)

一気読み

2日間で一気読み。あー面白かった!年末になると読みたくなる!
スティール・キス 下 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:スティール・キス 下 (文春文庫)より
4167916029
No.18:
(1pt)

配送ミス

上巻の代わりに間違って下巻が2冊送られてきました。その処理の方法を何度か問い合わせましたが、まったくの音沙汰なしです。誠意ある回答をお願いします。太田範明(フランス在住)
スティール・キス 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:スティール・キス 上 (文春文庫)より
4167916010



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