レイトショー



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初公開日(参考)2020年02月
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長編小説

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レイトショー(上) (講談社文庫)

2020年02月14日 レイトショー(上) (講談社文庫)

主人公レネイ・バラードは、ハワイ出身(ポリネシアとコーカソイドの混血)の三十代のロス市警女性刑事、独身、ボクサー犬ミックスの大型雌犬をコンパニオン・アニマルにしているなど、従来のコナリー作品には登場してこなかったキャラクター。ただし、警察官としての有能さと使命感は、ボッシュ刑事と共通している。 レネイは、ロス市警のエリート部門である本部強盗殺人課の殺人事件特捜班で殺人事件担当刑事として五年余り勤めていたが、二年まえ、班長に着任したロバート・オリヴァスにセクハラをされ、それを告発したものの、セクハラ現場に居合わせたパートナーのケン・チャステイン(『エンジェルズ・フライト』の最後に暴徒に襲われて死亡したロス市警内務監査課刑事ジョン・チャステインの息子)が保身のため、レネイの告発を裏付ける証言をしなかったせいで、告発は不問に終わり、レネイはハリウッド分署に飛ばされ、分署長がオリヴァスと警察学校の同期だったことから、”深夜番組(レイトショー)"と呼ばれる夜勤担当にさせられた。以来二年、深夜番組をパートナーのジョン・ジェンキンズとともに粛々と勤めているが、事件の本格的捜査は、昼勤担当刑事がおこなうため、やりがいを覚えずにいた。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

レイトショーの総合評価:8.18/10点レビュー 28件。Bランク


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(8pt)

新ヒロインはさながら深夜の暗闇に差す陽光だ

コナリーの新しいシリーズの幕開けで新キャラクター、レネイ・バラードの初お目見えとなった。

ハワイ生まれのまだ独身の女性刑事はかつての上司を告発したことでその上司からハリウッド分署に飛ばされ、そして深夜勤担当になった。
仕事を終えると中古で買った白いヴァンを駆って、預けていた愛犬ローラを引き取ってビーチに出かけ、パドルボードをし、そしてビーチに設営したテントで寝た後はまたローラを預けて出勤する。そして仕事着のスーツは分署のロッカーに全て保管しており、職場で着替える。どうやら家を持っていないようだ。

また彼女は深夜勤担当に追いやられても決して腐ってはいない。寧ろ一刑事として事件を最初から最後まで追いかけたいと強く願う女性刑事だ。
彼女がトランスジェンダーの男娼殺人未遂事件の容疑者を突き止めたと確信した時のアドレナリンが体内から沸々と湧き上がるような高揚感を覚える様はボッシュが悪を突き止めた時と全く同じだ。彼女はこの瞬間を、快感に似た感覚を得られるからこそ左遷されようが警察を辞めようと思わないのだ。

そんな彼女のパートナーであるジョン・ジェンキンズは有能なベテラン刑事だが、癌に侵された妻の介護のために深夜勤刑事になった異色の存在だ。しかし彼は刑事としての常識を備え、“レイトショー”の自分たちが昼勤刑事たちへ事件を引き継ぐ宿命の存在であることを受け入れ、出しゃばったことをしない。あくまで妻のことを第一に思い、事件に深入りせず、残業せずに帰宅する。
こういう風に書くとサラリーマン刑事のように思えるが、そうではなく、自分の役割をわきまえた刑事であり、レネイの相棒でありながら先生でもある存在だ。

そして今回バラードが関わった事件の内、ナイトクラブ<ダンサーズ>で起きた銃殺殺人事件の陣頭指揮を執るロバート・オリバスはロス市警本部の強盗殺人課警部補だ。
彼はクリスマス・パーティーでバラードにセクハラを働き、それを告発されるが権力で強引に取り下げさせ、彼女を花形のロス市警の強盗殺人課からハリウッド分署の深夜勤刑事へと左遷した男だ。
そして彼はレイトショーに携わる刑事を無能と見なしている。ボッシュシリーズでのアーヴィング的存在だ。

そしてかつてロス市警時代のレネイの相棒ケン・チャステインは上昇志向の持ち主で彼の上司オリバスがバラードに告発した時に自らの地位と将来を重んじてオリバス側に着いた男だ。ちなみに彼はボッシュシリーズの『エンジェルズ・フライト』で殉職したジョン・チャステインの息子だ。

息子のケンは警察官であった父を尊敬し、道半ばで殉職した父親の無念を晴らすが如く、上の地位を目指してきた。
しかし彼はそうすることである程度の地位に就き、そしてやがて機密事項にも触れられる立場になったことで父親ジョンの死の真相を知り、ショックを受ける。

それがさらに彼の上昇志向に火を着ける。

このチャステインを筆頭にロス市警を舞台にしているだけあってハリー・ボッシュシリーズとのリンクがそこここに見られる。

『死角 オーバールック』と『ナイン・ドラゴンズ』でボッシュの上司を務めたラリー・ギャンドルがロス市警の強盗殺人課指揮官として登場し、物語の後半ではバラードが関わった事件で起こったことに対するカウンセリングを、ボッシュのカウンセラーでもあるイノーホスが受け持つ。

さてこの新ヒロイン、レネイ・バラードが関わる事件は大きく3つある。

1つは老人から盗んだキャッシュカードでネットショッピングを行い、商品の横流しをして金稼ぎをしている詐欺事件。

もう1つはホームレスの男娼ラモナ・ラモネを悪辣な暴行で瀕死の重体に負わせた犯人を追う暴行事件。

そしてナイトクラブ<ダンサーズ>で起きた5人が殺害された銃殺事件。

最初の詐欺事件は容疑者を逮捕することでレネイは初めて事件を最初から最後まで務めることになる。

次の事件ではなんとバラードが犯人に拉致監禁され、前妻と共に殺されそうになる。これについて後で述べよう。

このナイトクラブ事件の犯人を特定するのにまたもや新しい鑑識技術が出てくる。VMDというその技術はメッキのように薄い金属被膜を利用して平坦でない表面に付着した指紋を抜き取るというものだ。やはりドラマ『CSI』を意識しているのだろうか、コナリーは。

この犯人を挙げるまでのミスリードはなかなかのものだが、今回は案外彼を犯人と目する伏線が張られていたので予測が着いた。

しかしレネイ・バラードはよくよく男性にモテる魅力を備えているようだ。上に書いたように元上司のオリバスはクリスマス・パーティーで彼女の口に自分の舌を強引にねじ込もうとするセクハラを働くし、一緒に捜査に携わるようになった州保護観察官のロブ・コンプトンも彼女に魅かれ恋人になる。またパドルボード仲間のアレックスにも誘いを掛けられ一夜を共にするし、<ダンサーズ>殺人事件の被害者の1人ゴードン・ファビアンの弁護士ディーン・タウスンからも誘いを受ける。

ボッシュも女性にモテるが彼は男性で誘う側だ。一方バラードは女性で誘われる側である点が異なる。もしかしたら将来バラードもボッシュと一緒に捜査をするとなると彼から誘われるのかもしれない。

また余談だが事件の被害者の1人、クラブのウェイトレスのシンシア・ハデルがシンダーズ・ヘイデンという芸名でウェイトレス役でドラマの<BOSCH/ボッシュ>に出演していたというお遊びがある。

またあの有名な音楽プロデューサー、フィル・スペクターがバーで引っ掛けた女性を殺害したとは知らなかった。その時のクラブでの現場調査は41時間に上り、ロス市警での最長記録らしい。

閑話休題。

警察は身内が被害に遭う事件に対して異常に闘争心を燃やす。それは市民の平和と街の治安を守る危険と隣り合わせの苛酷な境遇下で置かれる者同士の絆が堅牢であるからだろう。

正直に告白すれば待ちわびたコナリーの新作ということで期待が高まったのと、新シリーズの幕開けということでの不安が入り混じった中での開巻となり、最初はボッシュシリーズで馴染んだハリウッド分署とロス市警を舞台にしながらもいつもと異なる登場人物たちに戸惑い、なかなか物語に入り込めなかったが、流石に物語の中盤に差し掛かり、レネイの追う事件の容疑者が判明し、さらに蚊帳の外に追いやられている<ダンサーズ>銃殺事件からの疾走感はコナリーならではのリーダビリティーをもたらしてくれた。

特に物語の中盤を過ぎた頃の、男娼暴行事件の容疑者トーマス・トレントに拉致され、全裸で監禁された時の決死の抵抗は鬼気迫るものがあった。満身創痍の中、全身全霊を傾けて犯人に打ち克つ姿は身の震える思いがした。

そこからはもうレネイがボッシュでなくともそこまでにコナリーの描写も相まって逆境にも挫けない女性刑事の肖像が立ち上り、いつの間にか彼女を応援する自分がいた。
少しルールを逸脱してまでも自分の欲するものを手に入れようとする、朝になれば昼勤刑事に手掛けた事件を引き継がなければならない、つまり自分の事件を最後まで全うできない宿命にある“レイトショー”の刑事レネイ・バラードのタフさは読んでて気持ちいいものを感じた。
ボッシュ同様、部下に持つと苦労させられる刑事ではあるが。

またもやコナリーは現代アメリカの警察小説のトップランナーに恥じぬ仕事をした。出すたびにベストセラーランキングに躍り出て、そして傑作を書き続けるという高いハードルを越えて見せた。それもレネイ・バラードという魅力的なヒロインを引っ提げて。

いやはやコナリーの筆は衰えるどころか魅力ある女性刑事を主人公に添えることで今まで男臭い刑事の物語に涼風を与えることに見事に成功した。

新しいシリーズキャラクターを迎える不安は最後のページを閉じる時には次作への大いなる期待に変わっていた。
まだコナリーを読む喜びはしばらく続きそうだ。


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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

事件解決に飢えた、新ヒロイン登場

マイクル・コナリーの30冊目の長編で、新たなヒロインが登場した新シリーズの第1作。ロス市警の本流から外された女性刑事が、執念と使命感で難事件を解決する本格的警察ミステリーである。
レイトショーと呼ばれる深夜勤務専門の女性刑事・レネイ・バラードは、女装男性が激しく暴行された事件に遭遇した。レイトショーの役割りは初動捜査だけで本格的な捜査は昼間の刑事たちに引き継がれるのが本来なのだが、悲惨な犯行に怒りを覚えたバラードは独力で捜査を進めようとした。同じ夜、ナイトクラブで銃撃事件が発生し、近くにいたバラードも現場に駆けつけた。しかし、この事件を担当するのはバラードが深夜勤務に追いやられる原因になった元上司で、バラードは捜査に関わるのを拒否される。それでも諦めないバラードは独自の捜査を進め、ロス市警内部に存在する闇の中から真相を引き出すのだった。
主人公の女性刑事が特筆すべきキャラクターで、まさに新シリーズの登場を強く印象づける。刑事としての資質はハリー・ボッシュ同様、熱い行動派で粘り強く正義感に溢れている。しかも、バックグラウンドにまだ謎の部分が多く、これからの展開が楽しみである。
ハリー・ボッシュ・シリーズのファンはもちろん、正統派の警察ミステリーファンに自信を持ってオススメする。

iisan
927253Y1
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No.26:
(2pt)

綺麗てす

探して保存している
レイトショー(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:レイトショー(上) (講談社文庫)より
4065169518
No.25:
(5pt)

集めてます

本が綺麗で気に入ってます
レイトショー(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:レイトショー(下) (講談社文庫)より
4065186609
No.24:
(3pt)

いろんな意味でいつものコナリー作品

新主人公の登場であるが、ボッシュと立場や性別の違いはあれど、基本的にボッシュと同じ雰囲気のキャラクターで、あまり変わり映えしない印象を受けた。ストーリーの出来はいつもどおり。

そもそもマイクル・コナリー作品の主人公たちはベテランが多いので、せっかく若めの新主人公を登場させたのだから、未熟な主人公が色々経験をして少しずつ成長していく様を描く作品の第1幕にしても良かったのではないだろうか。
レイトショー(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:レイトショー(下) (講談社文庫)より
4065186609
No.23:
(4pt)

新しいヒロイン誕生

ボシュもおじいさんになったので 若い娘の活躍に期待!
アマゾンTVのボシュ役の俳優が嫌いで観なくなりました。
レイトショー(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:レイトショー(下) (講談社文庫)より
4065186609
No.22:
(5pt)

女性版ボッシュではないところがミソ!

ハードボイルドである。しかも主人公は女性刑事。とくればボッシュの女性版かと思ってしまうが、そうではない。この主人公のキャラクター設定にはずいぶん時間と手間をかけたのだろうと思う。実在の人物をモデルにしたのかと思ってしまうほどキャラクター設定がしっかりしていてリアリティがある。これまで著者は書いてきた女性の主人公たちの誰とも重ならない独自のそして魅力的な主人公である。
そしてストーリーはこれまた凝りに凝った、練に練ったものである。一部のスキもない。著者の力の入れ方が感じられる。女性だから女性ならではのものの見方みたいなものがないところがまたいい。そんなものは中途半端なものしか書けない物書きに任せておけばよい。王道のサスペンス小説であり、いまはあまり流行らなくなったかもしれない正統なハードボイルド小説である。
レイトショー(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:レイトショー(上) (講談社文庫)より
4065169518



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