素晴らしき世界



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初公開日(参考)2020年11月
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長編小説

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素晴らしき世界(上) (講談社文庫)

2020年11月13日 素晴らしき世界(上) (講談社文庫)

ロス市警ハリウッド分署深夜勤務女性刑事レネイ・バラードがボッシュと共演。深夜勤務から署に戻ってきたバラードは古い事件ファイルを見ず知らずの男が漁っているのに気づく。男はロス市警を引退したハリー・ボッシュだった。ハリウッド分署管内で発生したある未解決事件の記録を内密に調べていたのだ。Amazonオリジナルドラマ「BOSCH」原作シリーズ。ボッシュ&バラード第一作!(「BOOK」データベースより)




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素晴らしき世界の総合評価:8.05/10点レビュー 21件。Bランク


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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

まるでカードの裏と表のようなおいた男性刑事と若き女性刑事のコラボレーション

『レイト・ショー』で登場した新シリーズ・キャラクター、レネイ・バラードとハリー・ボッシュが早くも共演したのが本書である。

ひょんなことから2人で捜査に当たることになったのは9年前に起きた未解決事件だ。それはデイジー・クレイトンという当時15歳で亡くなった街娼をしていた少女の殺害事件だ。

これがなんと前作『汚名』の囮捜査で知り合った薬物依存症の女性エリザベス・クレイトンの娘が亡くなった事件であることが判明する。
いやあ、まさかあの作品の最後にエリザベスに誓った事件の捜査を読めることになろうとは、コナリーは本当に読者のツボを押さえる術をよく知っている。

しかしそちらは余技的なもので、昼勤のボッシュが担当する事件は14年前に起きたサンフェルナンドを牛耳るギャング、サンフェル団のボス、クリストバル・ベガ殺害事件だ。

このシリーズを読む醍醐味の1つとして警察というものの生態が実に肌身に迫るように感じられることが上げられる。

今回ボッシュが探る未解決事件、エリザベス・クレイトンの娘デイジー殺害の捜査で段ボール箱数個に亘って保管されている当時の職務質問カード、通称シェイク・カードをしらみつぶしに調べるが、その中でバラードはティム・ファーマーという警官が書き記したカードに興味を覚える。
彼が書いたカードの裏には散文詩のような彼の相手への印象が刻まれ、それがバラードの心を打つ。興味を持ったバラードはその警官のことを尋ねるが、ボッシュから3年前に自殺したことを知らされる。しかもそれは退職の1カ月前。
現場にこだわった彼は退職前に内勤をさせられるのを拒み、退職届を出した後、最後のパトロールの最中で自殺する。カードに詩を残した警官は詩人のように自殺した。

また未解決事件の捜査で当時の担当刑事に状況を尋ねると自分が解決できなかったのだから誰も解決できないと決めつけて素っ気なく応対する刑事もいる。

また警察航空隊が勤務時間が一定でしかも危険手当が付くことからベテラン警察官の憧れの部署であることや、SIS、即ち特殊捜査班は犯罪者を“排除”する、いわば超法規的措置を行うロス市警の中でも独自の立場を保持した部署で外部からたびたび非難の対象となるが、警察の中ではむしろそこに加わりたくないと思う警察官はひとりもいないこと。本来ボッシュがいるべき部署なのではないか。

さて“レイトショー”即ち深夜勤務担当のレネイ・バラードにはボッシュと共に共同で捜査するデイジー殺害事件以外にも様々な事件が舞い込み、駆り出される。

バスルームで頭を割られて死んだ遺体があり、殺人事件かと思えるような事件がある。

また後日その家で高価なアンディー・ウォーホルの版画が盗まれる。

女性からレイプ被害の連絡を受け、駆け付けると相手は現在人気上昇中のコメディアンで、風評被害を与えることに配慮して慎重に対処せざるを得なくなる。

連絡のつかなくなった男の父親が市長の友人で高額納税者であることから昼勤刑事の引継ぎで深夜にもその男の許を訪ねるように命じられ、行ってみるとそれが殺人事件だったことが判明する。

バーの喧嘩騒ぎの通報を受けて出動すれば用心棒を殴ったのは4人の学生のうち誰かであるのを探ろうとすればそれぞれが異なる供述をし、しかもそのうちの1人は弁護士の息子だったりする。

そんな彼女と仕事をする警察官は捜査の終りに皆彼女に親しみを覚えるのだ。そのことについては後に触れよう。

物語はバラードの章とボッシュの章が交互に語られる。この構成が2人の刑事を対比させ、そして胸に沁み入りさせる。

レネイ・バラードはまだ若い女性刑事だ。上司に逆らった廉で深夜勤務専門の刑事となっているが、彼女はそれを自分の中で大切なものとしている。
彼女の周りにはしかし彼女を理解する者がいて、彼女を陰ながら応援している。かつてボッシュの相棒だったルシア・ソトもまたその一人だ。
そしてレネイ・バラードはまだ刑事として汚れていない。容疑者を何としても捕まえたいと願うが、あくまで決められた規則に従って創意工夫を凝らして犯人の懐に入り込む。女性刑事につきもののリスクを抱えながら、時に屈強な犯人に取り押さえられそうになり、またはレイプされそうになりながらも彼女は決して屈しず、心折らせることなく悪と立ち向かう。
遺体現場に行けば、腐敗臭が服に沁みつかないかと気にして、何着か着替えを用意し、着替えが無くなると実家に戻って選択するための有休を取るといった女性らしさも垣間見える。また共に捜査して自分を救ってくれた仲間にお礼に食事を奢り、それがきっかけで友人となったルーク・ヘザーは航空部隊の女性観測手で、レネイとのホットラインを持ち、協力し合う。
また深夜勤務担当刑事は勤務が明けると昼勤刑事に事件を受け渡せばそれで終わりなのに、彼女は取り掛かった事件の捜査の手助けを申し出る。それが彼女の周りに理解者を、仲間を作っていくのだ。

プライベートでも前作では良き友人だったライフガードのアーロン・ヘイズと今回恋人になっている。

一方ボッシュは定年を過ぎ、サンフェルナンド市警の予備警察官という無給の刑事だ。
彼もまた悪に対してはそれが世に蔓延ることで次の犠牲者を生むことを良しとせず、取り掛かった事件は必ず犯人を捕まえようと昼夜を問わず捜査に没頭する。彼は常に眠れない。なぜなら寝ている間に悪人が罪を犯すことが判っているからだ。

しかし彼は長年行ってきた規則から逸脱した捜査の仕方が身に沁みついており、その強引さゆえに過ちを犯し、そしていつもクビになるリスクを伴う。

また彼は昔自分が行った上司の名前を騙って行った捜査が許でその上司が誤って拷問にかけられ死に至らしめたことを警察官内では公然の秘密のように知られている。

そして以前の捜査で知り合ったエリザベス・クレイトンを麻薬中毒から救い、自宅へ住まわせ、そして彼女の娘が殺害された未解決事件の捜査を行うが、エリザベスは自分がボッシュの自宅にいることで娘との連絡が途絶えていることを気に揉んで、出ていってしまう。

ボッシュの周りにはいつも仲間が、連れが去り行くのだ。

レネイ・バラードもまた親しい同僚にボッシュと働くことは好きで、先輩刑事として学ぶべきところはあると思うが、その日の終りになるとどこか信用できないところが残ると述べている。

この老いた男性刑事と若き女性刑事の境遇はまさにカードの表と裏のような関係だ。

ボッシュの許からは常に仲間が、連れが去っていくと述べたが、だからこそ娘のマデリンこそが彼にとってかけがえのない存在であることが今回さらに強調される。

しかしこの娘への強い思いを再確認することでボッシュはエリザベスに対して行った自分の行為を悔いる。

今回彼がエリザベスに対して強い思いを抱いていることが今回ひしひしと伝わる。

さて今回の作品の原題は“Dark Sacred Night”、つまり『暗く聖なる夜』だ。それは既にボッシュシリーズ9作目、原題“Lost Light”で使われている。
この原題はルイ・アームストロングの名曲“What A Wonderful World”の歌詞の一節であることから訳者は逆に曲の題名を少し変えて『素晴らしき世界』と名付けたことだろう。しかしこの一節、実は作中にも出てくる。

それはバラードがゴミ集積場の中から行方不明者のバラバラ死体を昼勤の刑事が捜すのを手伝い、無事遺体が見つかった時にお互いに「なんてすてきな世界だ」と言葉を交わすのだ。これが即ち原文ではルイ・アームストロングの題名そのままであり、ここから訳者は邦題を採ったと思われる。
どうもコナリーはこの歌が大好きのようで確か作中でもボッシュがBGMで流した場面があったと記憶している。今後原題が“What A Wonderful World”になったら、訳者はどうするのだろうか。

ボッシュは彼女に刑事としての激しさを、何があっても前に進み続ける強さを彼女に見出す。
ボッシュとバラード、カードの表と裏、そして陰と陽、警察の外側と内側。そんな2人は実は相反することなくいつも背中合わせの存在なのだ。

今まで何人もの相棒と組み、または育ててきたボッシュにとってレネイ・バラードは最後の切り札になるのだろうか。

これから書かれるであろう2人のコンビとしてのシリーズ作を愉しみにしようではないか。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:
(6pt)

タイトルがなんともね

もう少し何とかなりませんか、「素晴らしき世界」
ボッシュシリーズは大好きでほとんど読んでいますが、原題を使わないのならもう少し格好いいものにして欲しかったところです、ボッシュ泣いてないかな。

ミステリーとしてももう一つ物足りなくて、ボッシュシリーズだから読みましたが、悪くはないけど良くもない。
コナリー氏の著作はよくこんなこと考えだしたな〜と(意表をつく)感心することが多いのですが、目新しいものが少なくファンとしてはガッカリでした。

ももか
3UKDKR1P
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ボッシュが「レイトショー」のバラードと初タッグ

ボッシュ・シリーズとしては第21作、深夜担当刑事・バラードものとしては第2作、二人がタッグを組むのは初めての作品。15歳の家出少女が殺害された未解決事件を、ボッシュ、バラードが協力して解決する警察サスペンス・ミステリーである。
バラードが深夜の出動からハリウッド署に戻ってみると、誰もいないはずのオフィスで古い事件ファイルを漁っている男がいた。ボッシュと名乗った男を追い出したバラードだったが、彼が見ていたファイルに興味を引かれボッシュとともに再捜査することになった。事件は、ボッシュの管轄外であるハリウッドで起きたものだったが、被害者の母親とボッシュにはある因縁があったのだ。またバラードは女性が被害者になった暴力事件を許すことができず、本来の職務以外の「趣味の捜査」として上司を説得し、日常業務外に寝る間も惜しんで捜査に取り組んだ。一方ボッシュも本来の仕事である地元のギャング絡みの事件を抱えており、その身辺には危険が迫っていた。二人それぞれの事情を抱えながらの捜査は困難を極めたが、粘り強く真相に近づいて行った…。
ボッシュ、バラードそれぞれの職務と共同で取り組む未解決事件とが入り混じり、やや散漫な印象があるもののオーソドックスな警察捜査ミステリーとして十分に楽しめる。ただ事件の派手さの割に犯人像が小粒なのが残念。
ボッシュ・シリーズ、バラード・シリーズのファンにオススメする。

iisan
927253Y1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.18:
(3pt)

翻訳がかなり劣悪。英語で読んだ方が楽しめるかも。

ハリー・ボッシュとレネイ・バラードが真実に迫っていくストーリーはスリリングで楽しめました。しかし翻訳がひどい。読み進めていくと「?」と引っかかってしまう。警察内部のジャーゴンも多いので、意味がわからず直訳してごまかしているんじゃないだろうか。例えば、ギャングの幹部コルテスをロス市警の特殊捜査班とボッシュが追跡する場面。「浮いた箱形監視を行っているうち二台の車が先に入っており、・・・」はて?「浮いた箱形監視」って何?
以前に読んだ「転落の街」も翻訳の出来がひどかったのを思いだし、翻訳者を確認したら同じ人でした。
ジェフリー・ディーヴァーは池田真紀子さんの素晴らしい翻訳とセットで作品の価値を高めていますが、マイクル・コナリーは劣悪な翻訳が作品の価値を台無しにしているように思えます。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.17:
(2pt)

期待外れ

TVドラマのシノプシスを読んでいるようで残念ながら印象に残りません。作者もボッシユも歳を採ってしまったようです。
素晴らしき世界(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(下) (講談社文庫)より
4065216087
No.16:
(3pt)

必殺仕事人みたいになっていいのか?

ハリー・ボッシュ68歳の設定。メイン・ストーリーは2つ、ボッシュが無給の予備警察官をやっているサン・フェルナンド市警のギャングの事件と前作「汚名」でボッシュが助けたエリザベス・クレイトンの9年前に殺された娘デイジーの事件。後者の解決のために「レイト・ショー」で登場した夜勤専門刑事レネイ・バラードが絡んでくる。ボッシュのピンチをバラードが助け、バラードのピンチをボッシュが助け・・。いい感じで進行するのだが・・・・

どちらの事件も最後の解決が唐突で超法規的・・・というか「必殺仕事人」じみてきた・・・SIS、それでいいの。後半になって収拾つかなくなってこんな解決になったのかな、とするとそれまでの細かい伏線は???と思う。

68歳で膝を悪くしているボッシュだが、今回はエリザベスとの間でお色気シーンあり。元気だ・・・。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.15:
(4pt)

新しい女性刑事の登場

ボッシュシリーズの新しい面が見られた。バラード女性刑事が実に素晴らしい。タイトルがハードボイルドらしくない。9作目のタイトルと入れ替えるべきだ。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.14:
(4pt)

新キャラクターの確立なんだけど

レネイ・バラードの魅力は前作の「レイト・ショー」で十分に感じていたんだけど、本作で彼女のキャラクターも確立されたと思う。ホームレスと大して変わらない生活の刑事も斬新なんだけど、女性警官の置かれた立場をうまく描いているし、Amazon Videoも見ているので、そちらでビレッツ警部補が直面する事象にも通じる気がする。さて、本作ではボッシュとバラードの視点から事件が集約されていくという描き方が新たな魅力になっているのは、他レビューと同じだし、彼らの協力関係が今後も発展していくだろうことは楽しみでもあるのだが、いみじくもバラードが「規則を曲げることになる」と言うように、捜査が法から逸脱しかねないグレーゾーンにあることを良しとしているコナリーの心情に少々気になるところがある。いや、確かにボッシュは元々、正義(彼の信じる)のため法を逸脱することはよくあるし、それを楽しむ自分もいたのだが、それでいいのだろうかと。それでは、ビジランテと変わらないのではないだろうか。それをアメリカ国民自体が歓迎する向きがあるのではないかと、ふと、政治的な意味合いを考えてしまう。その辺りを次回の「鬼火」で確認することになるのだろうか?
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534



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