ザ・ポエット



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初公開日(参考)1997年10月
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長編小説

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ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)

1997年10月01日 ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)

デンヴァー市警察殺人課の刑事ショーン・マカヴォイが変死した。自殺とされた兄の死に疑問を抱いた双子の弟で新聞記者であるジャックは、最近全米各所で同様に殺人課の刑事が変死していることをつきとめる。FBIは謎の連続殺人犯を「詩人」(ザ・ポエット)と名付けた。犯人は、現場にかならず文豪エドガー・アラン・ポオの詩の一節を書き残していたからだ。FBIに同行を許されたジャックは、捜査官たちとともに正体不明の犯人を追う…。エドガー賞受賞の鬼才、マイクル・コナリーが犯罪小説の極北に挑む野心作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.33pt

ザ・ポエットの総合評価:8.65/10点レビュー 23件。Aランク


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(9pt)

ザ・ポエットの感想

物語全般を通じて張り巡らされた伏線、そしてそれが2転3転とする展開の中、次々と重要なファクターとして浮かび上がる。
「あ、そうだったのか」と何度思ったか、よくもここまでと感心せずにはいられない。
詩人はこの後のボッシュシリーズにも登場するそうなので、まだ伏線があるのでは楽しみでならない。

blueridgecabinhome
UHOQT2T1
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

地方新聞記者、奔る!

コナリー初のノンシリーズである本書は双子の兄の警察官の自殺の真相を調べる弟の新聞記者が探偵役を務める。従って今までのボッシュの破天荒な捜査とは違った事件のアプローチが描かれ、興味深い。

自分の双子の兄で殺人課の刑事だったショーンが自殺したというショッキングなニュースを知り、そのことを記事にしようと決意した弟ジャック・マカヴォイが事件を調べるうちに他の事件にも似たような符号があることに気付き、一連の警官の自殺事件の背後に潜む連続殺人犯の存在を突き止め、その正体を探ると云うのが大方の物語だ。

しかしコナリーは連続殺人犯“ザ・ポエット”をすぐには出さず、あくまで新聞記者ジャック・マカヴォイの取材を通じて一歩一歩その犯人の存在を浮き彫りにしていく。

そしてこれまで刑事、しかもハリウッド警察という地方の一警察署の一介の殺人課刑事の捜査を描いてきたハリー・ボッシュシリーズとは違い、複数の州にまたがった広域的連続殺人犯の捜査をFBIと共に同行する形が採られており、行動範囲、捜査の質ともに今までよりも濃い内容となっている。

ハリー・ボッシュシリーズが足で稼ぎ、またほとんど違法とも思われる強引な捜査で絶えず警察のバッジを回収されそうになる危うい捜査の中から集めた数々の情報と証拠を長年の刑事の勘による閃きによって事件を解決する、一匹狼の刑事の過程を愉しむ物語ならば本書はFBIという最先端の操作技術を持つ組織がプロファイリングや警察機構の更に上を行く情報システム、鑑識技術を駆使してそれこそ全米にまたがって多数の捜査官によって事件を同時並行的に捜査する、質、量ともに警察を凌駕する広域捜査の妙を愉しむ作品が本書である。

主人公ジャック・マカヴォイは社会部の新聞記者で、一般的な新聞記者と違い、じっくりと取材をしたドキュメントめいた記事を書くのを専門としている。扱うのはいつも殺人について。殺された人の周囲とその人が殺された事件を丹念に調べ、記事にする。そして新聞記者をしながらいつか作家としてデビューすることを夢見ている男だ。
コナリー自身新聞記者からミステリ作家に転身した経歴の持ち主なだけにこれまでの登場人物にも増して作者自身が最も投影された人物のように思える。

物語の合間に挿入される新聞記者としての心情の数々。
大きなスクープを当てて注目され、ピュリッツァー賞を獲り、それを手土産に地方新聞社からLA、ニューヨーク、ワシントンのビッグ・スリーの一つへ移り、名新聞記者へと名を馳せた後、犯罪実録作家としてデビューする。町へ行けばそこで起きた過去の事件を思い出し、その現場にまるで観光名所のように訪れて、その時の事件について思いを馳せ、自分を重ねる。興味があるのはそんな事件現場ばかり。
自分の行動範囲で発行される新聞には全て目を通し、自分が記事にするに足りうる殺人事件を毎日探している。自分の記事の載っている新聞は自宅に取っておく。ただいつも自分も事件の最前線にいたいという思いが募っていた。自分も彼らの捜査に加わることで事件をもっと臨場感持って感じたかった。事件の起きた“後”を追うのではなく、事件をリアルタイムで捜査官と共に追いかけ、一員になりたかったと願っていた。

ジャックのこの心の吐露はハリー・ボッシュシリーズでデビューし、好評を以って迎えられた1作『ナイトホークス』を皮切りに立て続けに3作出して作家としての地歩を固めたコナリーがデビュー前の自分を重ねているかのように読めて非常に興味深かった。

そして本書ではボッシュシリーズとのリンクも見られる。
小児性愛者ウィリアム・グラッデンについて書いたLAタイムズの記者ケイシャ・ラッセルは前作『ラスト・コヨーテ』でボッシュに協力した若手の女性記者である。前作では披露されなかった彼女の記事が本書では読める。ボッシュシリーズから登場するのがこのケイシャの記事だけということから考えても刑事よりも新聞記者にスポットを当てたかったからだろう。

またジャックには幼き頃に姉を亡くした苦い過去がある。
家族で湖に出かけた時に凍った湖の上を走った際に、それを引き留めようとした姉が、体重がジャックよりも重いばかりに氷が割れ、湖に落ちてしまったのだ。それを引き起こしたのが自分であるとその頃から悔恨の念に駆られている。だからこそ兄のショーンを再び喪った彼は犯人に対する強い憎しみを抱き、今度こそ兄弟の無念を晴らそうと躍起になっているのだ。
そして彼にはもう1つの理由があった。それはショーンの妻ライリーがかつての初恋の相手だったことだ。それも自分の不注意で相思相愛になりかけたチャンスを逃したためにその思いはジャックの中で途切れず、今もまだどこかライリーのことが気にかかっている。新聞記者としての名誉、ノンフィクション作家への足掛かり、姉、兄、そして義姉への贖罪、色んな要素が複雑に絡んでジャックの原動力となっている。

その連続殺人犯がエドガー・アラン・ポオの詩を現場に残しているところが文学的風味を与えている。特にジャックが過去の殺人課刑事自殺事件のファイルとポオの詩篇を比べるためにポオの全集に読み耽る件は実に興味深い。ポオの詩はジャック自身の過去の忌まわしい記憶を想起させ、心の深淵を抉り、そこに潜んでいる冷たいものを鷲掴みしてポオその人の心の憂鬱と同化していく。
その様子はなんとも文学的香味に溢れ、深くその詩の世界、いや死の世界へと沈み込んでいくかのようだ。その詩は人々の記憶に眠る死の恐怖を喚起させるとジャックは述べる。

しかし次から次へと矢継ぎ早に妙手を打ってくるものだ、コナリーは。

今回ジャックが一緒に行動を共にすることになったFBI捜査官の主だったメンバーはレイチェル・ウォリング、ボブ・バッカス、ゴードン・トースンの3人。
レイチェルとゴードンは元夫婦の関係で反発し合う関係である。レイチェルは最初は女ながらの凄腕の捜査官として登場し、ジャックを手玉に取ろうとしていたが、兄が殺されたことを知り、捜査に加わるようになってからジャックの世話役となり、やがてお互い恋仲になるまで発展する(逢って間もないのにすぐにベッドインする関係が実にアメリカ人らしいと思うのだが。やはりストレスの溜まる仕事をしている女性はどこかで発散させないといけないのだろうか)。

一方ボブ・バッカスはレイチェルたちの上司で良識派の人物。冷静に物事を判断しながらもジャックを、捜査官にありがちなように見下したような態度を取らず、むしろ今回の連続殺人事件を発見してくれた功労者として対等に扱う紳士だ。

そして最後のゴードン・トースンは典型的な高圧的なFBI捜査官で新聞記者であるジャックを目の敵にしている。おまけに元妻といい仲にあることを気にしてか、いつも嫌味をいい、そして見下した態度をジャックに向ける。ジャックはウォレンに今回の記事が先んじられた原因はこのトースンにあると信じて疑わず、いわば犬猿の仲である。

しかしコナリーは物語の中盤、反発し合う2人をパートナーと組ませて話を展開させていく。共に行動することでジャックはトースンが優秀なFBI捜査官であることに気付かされ、見方を変えるようになる。

このようにコナリーは登場人物をステレオタイプに描かず、意外な側面とミスマッチの妙を用いることで人物と物語に膨らみをもたらすのだ。次第にお互いの有能さに気付いていく展開は実に読んでいて面白かった。

さて物語は小児愛者であるウィリアム・グラッデンの話を合間に挟みながら展開する。<詩人>の特徴である子供を対象にした殺人事件、自分が誰よりも頭がいいと思っている優越感に満ちた人物、そして催眠術を掛ける能力を有していることなど、これらの条件が全てこのウィリアムに当て嵌まるが、私はこれこそ作者の巧みなミスリードであると思った。

人は何かを得ようとすると何かを失う。そして得た物か失った物かいずれかが本当に欲しかったものなのかはその後の人生で答えが出るものだ。
コナリーの紡ぐ壮大なボッシュ・サーガの世界でまた今後ジャックとレイチェルの2人がなんらかの形で登場し、その後の2人を知ることが出来ることを期待して、また次の作品を手に取ろう。


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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ザ・ポエットの感想

マイクル・コナリーの作品は発表順に面白さが増しているように思いました
実在の文豪の詩を作品中重要な鍵にするところなど風格を感じます
HBシリーズではありませんが、主人公の新聞記者JMの過去に捉われている心理や孤独感、組織で孤立しがちなキャラは同じです
しかしマイクル・コナリーはもともと新聞記者だったのでJMの捜査(取材)活動は活き活きと描かれているように感じました
恋愛事情に関してはお相手のRWはどこかかわいく、憎めないキャラで、JMに深く感情移入してしまいました
プロットの展開は予想に反して二転三転し、意外な展開でラストに向かい、まとめています
スリリングな展開でいっきに読ませましたが、私としては少し消化不良を感じました
"to be continue"と放置されたようで、続きがあるのか無いのか気になりました
後の方の作品にJMやRWが登場する作品があるようなので、楽しみにして読んでいこうと思います

のぶくん
UIM2AM2N
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No.20:
(4pt)

報道機関は、ときにはより大きな絵なり話なりに関心を向ければいい。毎度毎度その場限りの願望充足に走るのではなくて。

本書は、『ナイトホークス』から『ラストコヨーテ』に至るボッシュシリーズ4作品において、ボッシュのかかえる自身の過去にひとつの区切りをつけた後、もと新聞記者であったマイクル・コナリーが、満を持して自身の体験と知識を存分に発揮すべく取り組んだ力作といえるでしょう。
 報道機関に対して感じているFBI捜査官レイチェルの意見は的を得ている。
「自由な社会に報道機関は不可欠なものだと尊重している。尊重していないのは、あまりのも度々見かける無責任さよ。報道機関は、ときにはより大きな絵なり話なりに関心を向ければいいのにと思うわ。毎度毎度その場限りの願望充足に走るのではなくて」
 従って、FBIや警察といった捜査機関は、報道対応には非常に気を使っている。
 どの情報を下ろし、何を下ろさないか。
 例えば犯人にしか知りえない情報を犯人逮捕前に報道機関に下ろすことはない。
 それは容疑者を真の犯人と特定するために非常に重要なポイントになるからだ。
 そういう意味でも、記者が捜査機関の内側に入ることが認められることは考えられない。
 しかし、捜査機関の誰よりも早く疑問点を提示し、真実解明に迫ることができている本書主人公ジャック・マカヴォイは、自らの持つ情報力と交渉力によりFBIの内側に参入することを実現している。
 自らの調査力により、捜査機関よりも先に真犯人に迫る記者という意味では、調査報道のバイブルとも呼ばれた『殺人犯はそこにいる』『桶川ストーカー殺人事件』の清水潔を思い出します(この2冊も非常に面白いです。まさに事実はフィクションを超えると感じさせられた内容でした)。
 本書主人公も、自身のみが持つ誰にも負けない情報力により、ポエット事件の本を執筆することを目標としています。
 一方、捜査機関の内側に属することで、捜査員の持つ信念や生きざまにも気づかされるマカヴォイ。
 マカヴォイをあからさまに毛嫌いする捜査員トースンにも「理解と明晰さの瞬間のために、自分が真実に迫っていることを知る瞬間のために彼は生きている」面に気づかされます。
 本書が発表された際には、本書はノンシリーズの単発作品と考えられていましたが、その後ボッシュシリーズともつながりを見せる(『天使と罪の街』は本作の続編でもある)ようになることから、ボッシュシリーズのスピンオフ作品として、『天使と罪の街』を読む前に読んでおいた方がいいかもしれません。
ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)より
4594023630
No.19:
(5pt)

ストーリー

本の内容が最後までわくわくさせられるものでした。また、本の状態も非常に良かったです。
ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)より
4594023649
No.18:
(5pt)

読後はちょっとモヤっとしたが、一晩経って納得

ジャックは新聞記者なので、他の物語のように自主的に悪と戦う強いヒーローではない。
だが、第六感、情報収集力、鋭い知性など優れた職能を発揮し、警察が気づかなかった点に疑問を抱く。
さらには職業柄身についている積極性(図々しいとも取れるほど)で、半分脅迫してまでもFBIの捜査に加えさせる。チームの中では一歩引きながらも、鋭い感性が光っていた。

結局犯人の動機ははっきりしなかったが、この物語は主人公含めてほぼ全員が、大なり小なり深層心理に闇を抱えているというのがテーマなのだろう。それは育った環境や幼少期の経験が影響すると社会通念上よく述べられており、定評となっていること。確かに犯人もある意味被害者なのだろうが、だからといって同情する余地は全くない。
アメリカの司法制度や判事の融通の利かなさにも疑問と怒りを感じた。
余韻を残す終わり方だったが、主要登場人物はこの後もボッシュ・シリーズなどに参加するとのこと。
コナリー作品はやはり順番に読むべきで、この後の再会が楽しみだ。

序盤ジャックが顔に残る傷について、新米時代に被害者家族を取材し「どんなお気持ちですか」と質問して殴られた時のものとある。
現実に未だある。未熟な現地リポーターの無能さ、無神経さ…。
最近でも私はテレビを観ていて、彼らが被災地へ詰めかけ「こんなことは初めて」という定型文を言わせなさいというマニュアルがあるのではないかと辟易としている。

下巻のレビューに「翻訳者の古沢氏は愛知か岐阜県の出身か」という記述があるが、私はしょっちゅう出てくる「うんにゃ」という言葉もわからなかった。私は北海道と北陸に長年住んでいるが馴染みがない。調べるとどうもこれは鹿児島県方面の方言だそう。やはりこの翻訳者には漢字の使い方に加えて違和感が続く。若干、一般的な感覚とずれているよう…。
ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)より
4594023630
No.17:
(3pt)

ボッシュシリーズに比べると少し物足りない感じ

上下巻ともに楽しめましたが、ボッシュシリーズに比べると物足りない感じでした。キャラクターに親しみがないのも理由の一つかもしれません。
二転三転する展開はスリリングで、飽きさせないですが、途中ちょっと凝りすぎているようなところもあり、読了までに少し時間がかかりました。
あと、真犯人の動機がいまいちよくわからないのは、少し残念。
マイクル・コナリーは時系列順に読んでいるが、「ブラック・ハート」「ラスト・コヨーテ」がかなり面白かったので、少し肩透かしを食らったような感じ。
でも、記者を主人公にボッシュシリーズとは違った視点で、謎解きをするのは楽しかったです。
ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)より
4594023649
No.16:
(5pt)

良かった

コナリー好きならおすすめできるんではないでしょか、よかったです。
ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)より
4594023630



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