■スポンサードリンク


素晴らしき世界



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

素晴らしき世界の評価: 4.11/5点 レビュー 19件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.11pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全19件 1~19 1/1ページ
No.19:
(3pt)

翻訳がかなり劣悪。英語で読んだ方が楽しめるかも。

ハリー・ボッシュとレネイ・バラードが真実に迫っていくストーリーはスリリングで楽しめました。しかし翻訳がひどい。読み進めていくと「?」と引っかかってしまう。警察内部のジャーゴンも多いので、意味がわからず直訳してごまかしているんじゃないだろうか。例えば、ギャングの幹部コルテスをロス市警の特殊捜査班とボッシュが追跡する場面。「浮いた箱形監視を行っているうち二台の車が先に入っており、・・・」はて?「浮いた箱形監視」って何?
以前に読んだ「転落の街」も翻訳の出来がひどかったのを思いだし、翻訳者を確認したら同じ人でした。
ジェフリー・ディーヴァーは池田真紀子さんの素晴らしい翻訳とセットで作品の価値を高めていますが、マイクル・コナリーは劣悪な翻訳が作品の価値を台無しにしているように思えます。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.18:
(2pt)

期待外れ

TVドラマのシノプシスを読んでいるようで残念ながら印象に残りません。作者もボッシユも歳を採ってしまったようです。
素晴らしき世界(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(下) (講談社文庫)より
4065216087
No.17:
(3pt)

必殺仕事人みたいになっていいのか?

ハリー・ボッシュ68歳の設定。メイン・ストーリーは2つ、ボッシュが無給の予備警察官をやっているサン・フェルナンド市警のギャングの事件と前作「汚名」でボッシュが助けたエリザベス・クレイトンの9年前に殺された娘デイジーの事件。後者の解決のために「レイト・ショー」で登場した夜勤専門刑事レネイ・バラードが絡んでくる。ボッシュのピンチをバラードが助け、バラードのピンチをボッシュが助け・・。いい感じで進行するのだが・・・・

どちらの事件も最後の解決が唐突で超法規的・・・というか「必殺仕事人」じみてきた・・・SIS、それでいいの。後半になって収拾つかなくなってこんな解決になったのかな、とするとそれまでの細かい伏線は???と思う。

68歳で膝を悪くしているボッシュだが、今回はエリザベスとの間でお色気シーンあり。元気だ・・・。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.16:
(4pt)

新しい女性刑事の登場

ボッシュシリーズの新しい面が見られた。バラード女性刑事が実に素晴らしい。タイトルがハードボイルドらしくない。9作目のタイトルと入れ替えるべきだ。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.15:
(4pt)

新キャラクターの確立なんだけど

レネイ・バラードの魅力は前作の「レイト・ショー」で十分に感じていたんだけど、本作で彼女のキャラクターも確立されたと思う。ホームレスと大して変わらない生活の刑事も斬新なんだけど、女性警官の置かれた立場をうまく描いているし、Amazon Videoも見ているので、そちらでビレッツ警部補が直面する事象にも通じる気がする。さて、本作ではボッシュとバラードの視点から事件が集約されていくという描き方が新たな魅力になっているのは、他レビューと同じだし、彼らの協力関係が今後も発展していくだろうことは楽しみでもあるのだが、いみじくもバラードが「規則を曲げることになる」と言うように、捜査が法から逸脱しかねないグレーゾーンにあることを良しとしているコナリーの心情に少々気になるところがある。いや、確かにボッシュは元々、正義(彼の信じる)のため法を逸脱することはよくあるし、それを楽しむ自分もいたのだが、それでいいのだろうかと。それでは、ビジランテと変わらないのではないだろうか。それをアメリカ国民自体が歓迎する向きがあるのではないかと、ふと、政治的な意味合いを考えてしまう。その辺りを次回の「鬼火」で確認することになるのだろうか?
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.14:
(3pt)

表紙に傷、指紋

表紙に傷があり、指紋も付いていて残念です。在庫管理や梱包管理を丁寧にして頂きたいです。
素晴らしき世界(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(下) (講談社文庫)より
4065216087
No.13:
(4pt)

安心して手に取れる作品です。

滑らかな文体、淀みない展開、安心して手に取れるコナリーの新刊です。ステイホームにはぴったりです。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.12:
(5pt)

合体が生み出した相乗効果抜群の新シリーズ

『レイトショー』のレネイ・バラード・シリーズと、『汚名』のハリー・ボッシュ・シリーズが、どちらもそれぞれの前作の続編という形で合流する。これ以上ない読者サービス。しかも素晴らしいリーダビリティをどちらも前作から受け継いだままのリズムで。離れ業。

 コナリーは、そもそもシリーズ主人公たちを一つの事件で引き合わせて、話を展開させることが上手い。新主人公をすぐ次のボッシュ・シリーズで合流させ、主流に持ってゆくというサービス精神に富んだ作家なのである。

 C・イーストウッド主演監督で映画化された『わが心臓の痛み』のテリー・マッケイレブも、マシュー・マコノヒーを起用した『リンカーン弁護士』のミッキー・ハーランも、『ザ・ポエット』の主人公である新聞記者ジャック・マカボイも、いずれもハリー・ボッシュのシリーズに合流する。初主演作では独立しているものの、作者はより彼らの活かそうと、使い捨てにはせずに、再登場させてシリーズを互いに合流させてきた。

 最新デビューを果たした魅力的なナイトシフトの刑事レネイ・バラードは、すぐに直後の作品である本書にてボッシュとのシリーズ合流を果たした。バラードとボッシュが引きずってきた直前のストーリーとシームレスに繋がるいくつもの事件に向かい合う形で。

 ボッシュの前作『汚名』では、リンカーン弁護士が契約する探偵シスコの手を借りている。キャラの強い者はサブであれ流用されるのがコナリーの世界なのだ。そしてそれは見事に活きている。

 本作では、ボッシュとバラードの世界が交互に描かれて、複数の事件を互いの協力のもとどれも解決に導いてゆくものなので、見た目にはオムニパス・ミステリーのように見える。一時期、流行った映画『パルプ・フィクション』『バベル』『クラッシュ』などの形式みたいに。複雑に関係し合う短編作品集みたいに。それでいて大きな激流の中で、互いに岩にしがみつき合う孤独な二つの魂みたいに。

 ストーリーテリングの上手さは、相変わらず。最強のページターナーぶりを誇ったまま。時間を前に押しやる推進力と、そこに野太く息づくヒーロー&ヒロインの個性の強さと、信頼すべき彼らの尊厳と力強さと、そして優しさを読者へと確実に受け渡して見せる。これまた、職人技、ここに極まれり、としか言いようのない一作なのである。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.11:
(5pt)

合体が生み出した相乗効果抜群の新シリーズ

『レイトショー』のレネイ・バラード・シリーズと、『汚名』のハリー・ボッシュ・シリーズが、どちらもそれぞれの前作の続編という形で合流する。これ以上ない読者サービス。しかも素晴らしいリーダビリティをどちらも前作から受け継いだままのリズムで。離れ業。

 コナリーは、そもそもシリーズ主人公たちを一つの事件で引き合わせて、話を展開させることが上手い。新主人公をすぐ次のボッシュ・シリーズで合流させ、主流に持ってゆくというサービス精神に富んだ作家なのである。

 C・イーストウッド主演監督で映画化された『わが心臓の痛み』のテリー・マッケイレブも、マシュー・マコノヒーを起用した『リンカーン弁護士』のミッキー・ハーランも、『ザ・ポエット』の主人公である新聞記者ジャック・マカボイも、いずれもハリー・ボッシュのシリーズに合流する。初主演作では独立しているものの、作者はより彼らの活かそうと、使い捨てにはせずに、再登場させてシリーズを互いに合流させてきた。

 最新デビューを果たした魅力的なナイトシフトの刑事レネイ・バラードは、すぐに直後の作品である本書にてボッシュとのシリーズ合流を果たした。バラードとボッシュが引きずってきた直前のストーリーとシームレスに繋がるいくつもの事件に向かい合う形で。

 ボッシュの前作『汚名』では、リンカーン弁護士が契約する探偵シスコの手を借りている。キャラの強い者はサブであれ流用されるのがコナリーの世界なのだ。そしてそれは見事に活きている。

 本作では、ボッシュとバラードの世界が交互に描かれて、複数の事件を互いの協力のもとどれも解決に導いてゆくものなので、見た目にはオムニパス・ミステリーのように見える。一時期、流行った映画『パルプ・フィクション』『バベル』『クラッシュ』などの形式みたいに。複雑に関係し合う短編作品集みたいに。それでいて大きな激流の中で、互いに岩にしがみつき合う孤独な二つの魂みたいに。

 ストーリーテリングの上手さは、相変わらず。最強のページターナーぶりを誇ったまま。時間を前に押しやる推進力と、そこに野太く息づくヒーロー&ヒロインの個性の強さと、信頼すべき彼らの尊厳と力強さと、そして優しさを読者へと確実に受け渡して見せる。これまた、職人技、ここに極まれり、としか言いようのない一作なのである。
素晴らしき世界(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(下) (講談社文庫)より
4065216087
No.10:
(3pt)

普通の警察小説ですね

初期の頃は、2つのトラウマ(売春婦である母の死とベトナム戦争の体験)を抱いたボッシュが同じくトラウマをもった犯人を追う、という陰鬱なムードの小説だったけど、最近の作品は陰鬱なムードが消えた。また、パートナーがいても基本的には一人で犯人を追いかける話だったけど、今回は相棒のバラードと交互に視点を変えて描く構成。ボッシュも歳をとったので仕方ないけど、トラウマを抱いた孤高のヒーロー、というキャラに魅せられた私にとってはちょっともの足りない。
 話は面白いけど、まぁ、普通の警察小説という印象。新作を読むより、初期の作品を読み返そうかな、と思いました。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.9:
(5pt)

これでコナリーの新しいシリーズの誕生となるだろう

コナリーの前作でデビューした深夜勤務(レイトショー)担当の女性刑事レネイ・バラードが早くもと言うか、ついにというか
コナリーが生み出した最高のキャラクターであるボッシュとコンビを組むという記念すべき作品である。コナリーの作品は
何時読んでも、「はずれ」がないが、この作品では特に二人の出会いということもあり力が入っているように
思う。9年前の未解決事件である15歳の売春婦殺人事件を追うボッシュ。それを知って捜査の協力を申し出る
バラード。この事件が、この作品のメインストーリーにはなっているが、この作品では大小事件の山盛りとなっている。
バラードの職業柄各種事件をすべてまずは担当するということから、本当に多くの事件が出てくる。まさに
ウィングフィールドの「フロスト警部」を読んでいる感じだ。もちろん、雰囲気もキャラクターも異なるが、まったくばらばらの
事件でありながら、要所でメインストリームと合流する形を取っている。流石、コナリーと唸ってしまう。ボッシュもギャング団に
命を狙われたり、相変わらず活躍するが、コナリーは二人の主役のためにそれぞれの章を交互に出して、平等な(?)
扱いをしている。最後に、二人は今後も一緒に働こうと言った類のやり取りをするが、多分、ボッシュシリーズは、
今後ボッシュ・バラードシリーズに収斂されていくような気もする。段々、歳を取り警察という権威から離れざるを
得ないボッシュと現役のバラードがコンビを組むことでまた面白い展開の作品が読めそうだ。楽しみである。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.8:
(4pt)

面白い。

面白い。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.7:
(4pt)

面白い。

面白い。
素晴らしき世界(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(下) (講談社文庫)より
4065216087
No.6:
(5pt)

訳者古沢嘉通氏の労に敬意を表したい。

まずマイケル・コナリーの著作のほとんどを翻訳されてきた古沢嘉通氏の労に敬意を表したい。
 原書の面白さを如何にして日本の読者に提供するかは翻訳者の力量によること大であることは否めない。
 本書のタイトルの原題「Dark Sacred Night」を翻訳したら『暗く聖なる夜』となり、ボッシュ・シリーズ第九作「Lost Light」の邦訳タイトルと同じになってしまうから使えない。
 本書のなかでバラードがゴミ埋め立て地での死体捜索へ助っ人で行ったの際に現場の酷い匂いに遭遇し「なんてすてきな世界だ」と言ったことから、サッチモの有名な持ち歌「What A Wonderful World」の歌詞から本書のタイトルにしたと、氏の苦心を本書あとがきで記していた。
 評者が先に読んだ『汚名』にはいつも楽しみにしていた訳者あとがきがなかったので苦言を呈したレビューを書いたが、氏は律義にもその理由を釈明していていたので得心したのです。
 ボッシュとネレイ・バラードがタッグを組むというコナリーの新シリーズが今後も続くようである。
 次作の翻訳版を一日も早く手にしたいと思いながら本書を読み終えたのです。
 本書のレビューを書くのは手抜きしてニューヨーク・タイムス紙のマリリン・スタシオ氏の書評を下にそのまま使わせてもらいます。
 「ロス市警ハリウッド分署に所属する若き警官、レネイ・バラードは、老いたライオンの素晴らしいパートナーとなった」
 <追記>
 「このミステリがすごい!」などとの出版社のRPを鵜呑みにしないで良書を選ぶ目利きになるよう読者諸兄姉に警告したいと思いながらマイケル・コナリーの傑作『素晴らしき世界』下巻を読み終えたのです。
素晴らしき世界(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(下) (講談社文庫)より
4065216087
No.5:
(5pt)

駄作を読んだあとのコナリーは、また格別です。

つまらんアンソニー・ホロヴィッツの探偵小説を読んだ口直しにと思い、最近読んだマイクル・コナリーの女性刑事 "レネイ・バラード" シリーズ『レイトショー』に続く第二作目『素晴らしき世界』(2018年)を入手して読むことにした。
 本作ではレネイ・バラードとハリー・ボッシュが出会い未解決事件を協力捜査するというのがメインの筋立てだから、ハリー・ボッシュ・シリーズでもある。
 ボッシュ・シリーズ前作『汚名』で義弟ハラーの調査員のシスコの助けを借りて保護したエリザベスもボッシュは自宅で面倒を見ている。
 9年前にエリザベスの娘デイジーを殺した犯人探しを、ボッシュは、サンフェルナンド市警刑事(予備警察官)の任務に就きながらハリウッド警察分署まで行き内密に資料を当たっている。
 そんなボッシュを見咎めながらも興味を持ったのがレイトショー勤務(夜中の勤務だけ)のレネイであった。
 それがきっかけでボッシュとレネイは、自分たちの仕事の空き時間を利用して過去の資料を二人で精査し始めた。
 本書では「BALLARD」と「BOSCH」という章を交互に展開し、パラレルでそれぞれの事件捜査のエピソードを描写しながら進んでいく構成も本当に面白く読みやすい。
 とにかく作者であるコナリーが次々と傑作を創作してゆく意欲と才能には舌を巻くほかない。
 先に読んだ探偵小説は、A・Hが15年もアイデアを温めながら書きあげたという駄作とは雲泥の差だと思いながらコナリー最新翻訳版『素晴らしき世界』上巻を楽しみながら読み終えました。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.4:
(5pt)

読者も登場人物も睡眠不足

勝手な推測で年を取りすぎたボッシュの終焉が静かに描かれるのではないかと思いながら手にした本作でした。ところが静かな終焉どころか連続するスリリングな事件の解決にボッシュもレネイもガツガツ向かって行きます。ネタ切れとは無縁のエネルギッシュで最高にタフな作者のおかげでレネイもボッシュも睡眠不足で気の毒になります。先が気になって読み進めてしまい私まで眠れませんでした。終焉どころかコナリーさんは、まだまだボッシュを寝かさないようです。
素晴らしき世界(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(下) (講談社文庫)より
4065216087
No.3:
(4pt)

やっぱりおもしろい!

良いところ
ハリーはハリーのまま、歳をお召しになり、
読者の私も歳をとり、
読みながら共感できるところはたくさんあること。
やりすぎなところもあるけど、
もう許す。
時には自分に、「これは現実の世界じゃない!」と
言い聞かせることも必要です。
自分に降りかかる老いだけは、現実ですが。

バラードはバラードで、仕事中毒真っ盛りのお年頃で、
エンジンかかりっぱなしなところ。魅力全開。
若い、っていいわね。

気にかかるところ
ドラマシリーズ「CSI」は最後まで面白かったけれど、
シリーズが重なるにつれ、一回の放送で
事件が同時に発生し、
いくつも詰め込まれるようになり、
慌ただしさで面白さを補っていました。

同じことがボッシュシリーズでも起こっています。
仕方ないのだろうけれど。
コナリーのもとに「私の名前を登場人物に使ってください」という人が
殺到しているのではないでしょうか。

登場人物が異常に増殖し、
もちろん深みがあり、無くてはならない人物もいるんだけど、
どうでもいいような人が増えた気がします。

私にとっての大事な「脇」は、
かつてのシーアン刑事だったり、今回のティム・ファーマー警官だったり。
そのくらい「濃い」脇の人々を深めて欲しいのが本音です。

登場人物はもう少し整理してあったほうが、
物語の良さが際立つと思うのですが。

もうひとつ、良いところ。
とにかく、
この作品は、前回の『汚名』と深くかかわってもいるので、
このタイミングでの出版はすばらしいです。
それこそまさに「素晴らしき世界」なり。
こんなに短い期間で出版が連発されるのは、シリーズ始まって以来です。
大歓迎。これからもこの速さでお願いします。
おかげさまで、素晴らしい秋の連休となりました。

もうひとつ、気にかかるところ。
だから、今まで、作品名を日本語にするときに、
変なふうにいじくらない方がよかったのに。
ストレートに題名を訳していれば、こんなことにはならなかったのに。

残念です。今となってはどうしようもないけど。

なんだかんだで星を一つ減らしましたが、
読んで良かったです。それはほんと。
素晴らしき世界(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(下) (講談社文庫)より
4065216087
No.2:
(5pt)

最高のコンビ

ボッシュ・シリーズ20弾『汚名』では、ボッシュが、潜入捜査で知り合ったジャンキー女性の娘が殺害された未解決事件に取り掛かるところで終わっていたが、本作はその続きである。
そしてこれはボッシュとバラードが共演する新シリーズであり、主人公は完全にふたり。
なので、前述作品及び『レイトショー』を読んでからの方がより内容を理解できると思う。
ボッシュとバラードは協力し合って新たな資料を元に調査するが、9年前の事件であり、干し草の山から針を探すようなもの。それでも粘り強いふたりは寝る間も惜しんで根気強く調べ続ける。
それぞれの職場の本来の業務もあるため、常に他のいろいろな事件が並行して物語は進行する。これまでのシリーズ以上にごたごたしていると思ったが、読了してみるとそれぞれが大なり小なり意味を成して繋がっていることに気づいた。さすがのプロットだ。
ボッシュは殺害された少女の母親を前作『汚名』から援助し続けてきたが、現実とその結果彼が思ったことはもっともだと感じた。

ボッシュは齢68で膝の関節炎を発症しているが、頭の回転と事件に取り組む意欲はばっちり。あちらも可能。危機時には女性たちが救出しに来てくれる。モテモテだ。彼の人間的魅力の為せる業だろう。
バラードもとても魅力的。女性側から見ても好感度抜群で素敵な女性だ。今回はその運動能力と身軽さに驚いた。
互いの救命をし、それぞれの仕事に対する熱意を基に次第に息が合うようになったふたり(大いに年齢差がありロマンスはない)。今後の新シリーズ展開に大いに期待する。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534
No.1:
(5pt)

「なんてすてきな世界だ」

2020/8月に読んだ「汚名」からわずか3ヵ月。「素晴らしき世界(上・下) "Dark Sacred Night"」(マイクル・コナリー 講談社文庫)を読み終えました。
 「レイト・ショー」を終えたレネイ・バラードがロス市警ハリウッド署に戻ってくるとファイル・キャビネットを漁っている見知らぬ男に出くわします。その男は、ハリー・ボッシュ。バラードは、ボッシュが十五歳のデイジー・クレイトンが殺害された<コールド・ケース>を調査していることを知ります。バラードはボッシュに共感し、二人でその事件を共同で調べ始めます。それがメイン・ストーリーですが、ボッシュの章とバラードの章が時系列に沿って交互に語られていき、エピローグを迎えます。
 バラードは並行していくつかの事件に遭遇し、都度解決していきますが、「ハリウッド警察25時」などのジョゼフ・ウォンボーの著作を想起しながら、そこには米国のUp-to-Dateな警察捜査が反映され、(ちょっとビザーレな味わいもあり)それぞれの事件をとても興味深く読むことができました。また、ボッシュもまたある事件に巻き込まれることになるわけですが、その事件とメイン・ストーリーについては、じっくりとお読みいただければと思います。
 習慣性の生き物である中毒者たち。私もまた大好きな映画「ドライブ」(監督:ニコラス・ウィンディング・レフン)。ウォーホル。シャトルを見に行きたいボッシュ?いずれにしても老いたボッシュをバラードが補完し、バラードはその老いたボッシュに導かれ、その精神性を継承しながら、ボッシュによって補完されます。
 何度かパセティックな思いを抱く瞬間がありましたが、それらはほぼ<ボッシュ>の現在に起因しているように思えます。「ナイト・ホークス」の頃からのその捜査に向ける熱に変わりはないのだとは思いますが、いかんせん彼もまた老いた。その老いに向き合うボッシュの姿に<ハリー・ボッシュ・サーガ>を見つめ続けてきた独りの読者として、少しだけやるせない思いを抱いたことも確かなことだと思います。
 タイトル:"Dark Sacred Night"は、「暗く聖なる夜 "Lost Light"」というシリーズ9作目の邦題で何故か使われてしまっていますので、今回の邦題は「素晴らしき世界」。原題よりも邦題が素晴らしい(笑)ヴェトナム戦争(輝き祝福された日)、トンネルねずみ(暗い神聖な夜)。
 「典型的な糊塗手段だった。なにか醜いものや恐ろしいものに 美しい名前を付けるのだ」(下巻:Kindle の位置No.678-680)。米国、そして常に覚束ないこの国の<現在>を見るにつけ、我々が生きるこの世界もまたなんて素晴らしき世界なのでしょう?

 それでは、これから(今回は)アタッチされている古沢嘉通さんの<訳者あとがき>をじっくりと読ませていただきたいと思います。
素晴らしき世界(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:素晴らしき世界(上) (講談社文庫)より
4065169534

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!